オルガマリー「──樹海の内部、富士山の麓。ここが…」
『光子力研究所』
「すみません、こちらにいらっしゃいますか?」
(ここにいるのは、うたうちゃんを制作した『卒業生』の一人がいる。…私は探らなくてはならない。カルデアの可能性、その先を)
?「おう、話は聞いてるぜ。オルガマリー所長。うたうちゃんが世話になったようだな」
オルガマリー「!」
甲児「わざわざ来てくれてありがとうよ。オレは甲児。石丸甲児だ。さぁ──」
「………」
「上がってくれ。もてなすぜ?オルガマリー所長」
オルガマリー「…夏草昇陽学園卒業生…石丸甲児…」
オルガマリーは、一人求めていた。カルデア…
否。『父の遺産』ではない、自身が求めるその先の姿を。
『拳で拓くは人魔の未来!キュアオンラ!!さぁ、奇跡のゲンコツ受けてみやがれ!!』
暗雲が立ち込め、やがて晴れ、そこに現れしはフリフリの格好に身を包みし温羅…ではなく、キュアオンラ。鬼のために、人の未来の為に立ち上がりしオニキュアである姿を取った温羅は、四人を護るように庇い立つ。
「ま、ま、まさか!まさかっ!温羅、温羅こそが!オニキュアであったのかぁ!?」
『カッコイイー…』
推しのヒーローを目の前で目の当たりにした精神的少女の二人、無論の事大興奮。ドラランド完全監修の下行われる変身エフェクトが閃き、ガブラス達を威圧する絶対強者の様相を顕現させる。
【ぐぬぅ、大きいからって調子に乗っちゃって!やれー!ガブラスー!】
ボレアスマスクの指示に応え、ガブラスなる黒皮スーツ蛇頭の集団が一斉にキュアオンラに襲いかかる。統制されきった動きのそれは、かのオニキュアにも微塵も慄く様子を見せることは無かった。戦いが今、始まる。
「見とけよ母ちゃん。これが鬼たちの希望、オニキュアだぜ!」
(ノリノリだな、温羅…)
当然ながら、アマノザコに対する親孝行の意図もある温羅は勇猛果敢にその勇姿を魅せる。その在り方は、恥ずかしいとか照れくさいとかを全く感じさせない堂々としたものだ。
「うぉおぉおぉおっ!!!」
キュアオンラの戦いぶりは勇猛で、勇壮で、苛烈で徹底的だ。脚や腕を掴み、人間大の等身であるガブラス達をムチや武器のように振り回す。それはさながら台風のような暴れ狂いぶり。少女が見るには些か血腥さが漂うほどの凄惨ぶりだ。
【あ、あ、アマノザコ…これは大丈夫?大丈夫なのだろうか?れーてぃんぐとか、あーるなんとかとか…】
『人間のプリキュアの原初のコンセプトも、『女の子だって暴れたい』であるのだ。それが鬼ともなればこうもなる。心配は無用だ』
そ、そうなのか…?地面が抉れ派手に壁に叩きつけられるかのような圧倒的蹂躙に気を揉む伊邪那美であったが、アマノザコは茨木達を指し示す。
「くはははははは!これが鬼窮阿!これがキュアオンラまたはキュアゴッドの力よ!天地神明を自ら切り拓く無双の豪傑!竜種とて物の数ではないわぁ!」
『がんばえー!オニキュア、がんばえー!』
夢中になって声援を飛ばす茨木とカグツチ。それらにとって派手に暴れ抜く事こそがオニキュアの本懐であり正しき姿。それが目の前で繰り広げるとなれば、興奮と感動もひとしおなのだろう。それが二人じめとなれば尚更だ。
『子供は大人が考えているより、ずっとずっと残虐さや闘争に耐性があると言うことだ。心配することはない』
【そ、そうか。そうかぁ…】
伊邪那美にそう語る中で、アマノザコもまた娘である温羅の戦いを静かに見やる。それがあくまでお芝居、台本ある戦いなのだとしても。
「オラオラァ!次々とかかってきやがれ!!」
『…いい顔をする』
それに全力を以て打ち込む気迫、迫力、そして何より誰かのために戦い、誰かを笑顔にする振る舞いを行えている。その事実は、アマノザコへの無言の訴えであることを彼女は受け止める。
彼女は呪いにて、温羅を蠱毒の如き地獄に叩き落とした。世界のすべてを喰らわせ、世界の全てを背負わせ、自らのために利用し踏みにじった。その事実があるからこそ、アマノザコは大っぴらに母として振る舞うことを避けていたのだ。だが、そんな事は娘にはお見通しだった。活き活きとした姿を見せる彼女は、ただ示したのだ。
いつまでも気にしてんな。アタシはこうして元気なんだから。そう…子供の元気な姿こそ、最高の親孝行である。彼女が導いた結論がこれだ。
『お母さん、一緒に応援しよう。がんばえー!オニキュアー!』
【よ、よし!がんばぇえー!おにきゅぁー!】
必然的にカグツチと伊邪那美の距離も縮まることとなる。全力の振る舞いは熱を持ち、熱は伝播し、見るものの心もまた熱くする。
(なるほど。これがお前の…親孝行なのだな)
蟠りなど無い。この世界で自分はきちんと居場所を見つけたのだ。その勇壮さは雄弁に、猛々しく吼える。彼女の…鬼神なりの親孝行の有り様を。
「こいつで!!いっちょう上がりだぁ!!」
ガブラスを束ねて積み上げ、勝利と言わんばかりにボレアスマスクへと示す。最早ガブラスは戦闘不能、雑兵は一瞬で叩きのめされた。茨木達が求める以上の強さを、物語以上のリアルを魅せつけた。
「くははははははは!鳴り物入りでやってきながらこの程度か!鬼窮阿は無敵だ!たかが竜種などにどうこうできるものではないわ!」
『強い、大きい!カッコイイ!むてき、さいきょう!』
見ている側のテンションもMAXになる快進撃。盛り上がりの熱視線を目の当たりにしながら、ボレアスマスクにキュアオンラが相対する。
「さぁ、残るはテメェら三人だけだ。誰からだ?纏めて来てもいいんだがな」
【【………】】
外套を纏う二人が一歩歩み寄る。まとめてか…そう構えるキュアオンラだが、ボレアスマスクが二人を制する。
【待って二人とも。やはり雑魚じゃどうにもならなかったか。なら…この私が相手をしてあげよう!】
そうして踏み出せしはなんとボレアスマスク本人。体格差は歴然ながら、悠々とキュアオンラに立ち塞がる。
【大将がいきなりご出陣とはよ。チビでも容赦はしねぇぞ?】
【むっふっふ。見た目で判断するとひどい目にあうよ。あなたの仲間のオニキュアみたいにね?】
何…?そう訝しむ温キュアオンラにパチリと指を鳴らし、衝撃的な映像を見せるボレアスマスク。
「な、何ぃ!?」
『うそ…』
そこに見えしは、囚われ磔にされしキュアオンラの仲間達。キュアシュテン、キュアイブキ、キュアスイカ、キュアユーギ。それは纏めて、ボレアスマスクに下された事を意味していたのだ。
【オニキュアを全滅させるといったねぇ。それはあなたが最初じゃあない。もう既に王手をかけている状態だったのだぁ!ふぅ〜はははははぁ〜!】
「テメェ…!!」
衝撃的な展開、仲間達の全てが敵の手に落ちていた。オニキュア達は敗れ、残るはキュアオンラのみ。希望が一転し、絶望感を煽る状況となる。
「だがよ、テメェをやれば全部チャラじゃねぇか!さっさと仕留めさせて、迎えにいかせてもらおうか!」
【それは確かにそうだねぇ〜。でも多分無理だと思うよ?】
「今からそれを試させてもらうが、構わねぇよな?」
【ふふん、構わないけど…何もかも無駄になるっていう絶望を教えてあげる。個の強さなんて、絶対的な存在の前にはなんの意味も無いことを!】
そしてボレアスマスクはマスクを脱ぎ捨て、気迫を見せる。──それは、驚くべき変化だった。
【ふぬー!!!】
「何っ…!?」
ボレアスマスクの身体から焔が溢れ、大きく、強く変わっていく。角は青く光り輝き、黒き鱗はしなやかかつ肉感的なフォルムへと。アジ・ダハーカと似た姿でありながら、全く違う竜人の姿。
【──このように、竜や龍の頂点たる我(ワタシ)の前には無意味であること。示してあげちゃうんだからね】
それは、ボレアスマスク…否、祖龍ミラルーツの力の一端。龍の姿と力を再現し、自らの姿を本来のものへと回帰させるもの。(ショーで発動するものではないという点を除けば)ベールに包まれていた力の発露であった。
「ッ…!」
【さぁ見せてみなよ。この我に…どこまでできるのかをね!】
ボレアスマスクがキュアオンラに牙を剥く。ここにオニキュア最悪最大の敵が立ち塞がる───!!
…そして。茨木達が見たものは。
茨木「ばかな…!」
キュアオンラ「ぐあぁあぁぁあ────!!」
嵐、爆炎、霧、龍気、そして棘。あらゆるものを以て蹂躙せしボレアスマスク。
カグツチ『ぁ…』
それは屈強にして不死身に等しいキュアオンラを打ちのめし、叩き伏せ、蹴散らし吹き飛ばし…
ボレアスマスク【──良い子の諸君。一つ賢くなったね?】
キュアオンラ「ぐぅ…っ」
【世の中には…どうにもならない事があるという事を知れたねぇ!】
鬼たちの最後の希望を討果す、龍の姿を見せつけるのであった…。
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