人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

1961 / 2537
クリームヒルト【……………………】

(解りやすいストーリーね…)


【…私達を取り巻く全ても、こんなに簡単だったら良かったのに…】


おまけ ヴリトランに乗っ取られた経緯

ヴリトラン【お会いしたかったぞ祖龍。こちら近付きのアムリタじゃ】

ミラアンセス『ありがとー!(ゴクリ)ウッ(パタリ)』
ヴリトラン【よしよし。憑依!】

ボレアスマスク爆誕。


対決!白き龍のこだわり

【ボルシャック…それに皆。どうしてここに?】

 

ポカンと惚けるボレアスマスク。見知っている筈の龍の姿が大いに変わっていることに驚く竜達が、疑問を投げつける。

 

 

『そりゃああんたに封印…いや、まぁそれは多分覚えが無いだろうがいい。それよりも派手にやるじゃねぇか大将。オニキュアの頭をこうまで叩きのめすとはよ』

 

「…………」

 

『前々から言っていた、種族と種族が手を取り合う調和の時代ってのは諦めちまったのかい?アンセ…ボレアスマスクさんよ』

 

ボルシャックの問いに、んーと頬をかくボレアスマスク。そう、龍のトップミラアンセスは頭こそ弱く楽観的で、絶対存在であるが故に迂闊でぽんこつ、だがそれでいて度量が深くとても慕われているドラゴンであり、『どんな種族とも触れ合い、接することで素敵な世界が作れたらいい』という理想を語っていたのだ。

 

【それね、やっぱりめんどくさくなっちゃったからいいや】

 

『なに…?』

 

なんでもないように導き出された答えは、彼等が知る龍の言葉とはあまりにかけ離れた、支配者と絶対者の視点と振る舞いに満ちたものであった。

 

【下等な連中と視点を合わせるよりも、私達龍やドラゴン達が世界の覇権を握り支配したほうがいい世界を作れると思うの。多様性を認めてへんな方向に自滅されても困るし、星の資源は有限だからさ。私達がうまく管理してあげるのが正解だと思わない?】

 

自身らこそが至純の無二。そこを到達点とし支配し管理する。ボレアスマスクと成り果てた白き龍の理想は悲しきまでにねじ曲がってしまっていた。自分たちを封印したのは、その意にそぐわぬと解りきっていたからか。

 

『…なるほど、よーく解ったぜ大将。アンタは間違いなく、龍の覇者だ。呆れ返るくらいの生命の絶対者だ』

 

【でしょ?封印しといて頭は冷えたみたいだね。それじゃあ私とオニキュアに止めを…】

 

『だからこそ──今のアンタにゃついていけねぇな、ボレアスマスク!』

 

その答えを聞いた全員が、ボレアスマスクへと向き直る。眼の前にいる黒龍が、変わり果てているものと知ったが故に。

 

『俺等がついていくのは、底抜けの青空のような気持ちのいいアホの白龍だ。本気で世界の全員と調和できたらいいだなんぞと抜かす清々しいバカのミラアンセス様だ。てめぇみてえなドス黒いドラゴンじゃねぇな!』

 

竜は全員、理想主義者でふわふわした平和を本気で信じるミラアンセスに呆れていた。だが…誰よりも強くありながら、弱き者の可能性を信じ新たなる世界を調和と理想で語る彼女の事を慕い、応援していたのだ。

 

【む…せっかく考える時間をあげたのにまだ解ってないなんて!】

 

『よく解ってるぜヴリトランよ!さぁ、俺等の大将を今すぐ返してもらおうか!!』

 

彼等にとって、大将はこんな俗物ではない。彼女を乗っ取った主犯の彼女を討ち果たす為に、一行はオニキュアを庇い立ち躍り出る。

 

「お前さんら…!」

 

『おっと、勘違いするなよオニキュア。まだ俺等はお前等の為に戦うわけじゃあない』

『我等の大将があのザマでは、勝てるものも勝てんからな』

 

『仁義の上、手を貸すのみ』

『オレ様は戦えればそれでよい!』

 

【あなたたち…わけのわからないことを!いいもん、なら徹底的に教育し直してあげる!このボレアスマスクこそが真なる龍、絶対者だって事をねぇ!】

 

そして放たれる火球の超ブレス。一斉に回避し各自最強、渾身の一撃を放ち合いボレアスマスクに叩き込む。斬撃、打撃、攻撃のあらゆる全てが雪崩れ込む壮絶なもの。

 

「ッ、ドラゴン同士の対決を間近で拝むことになるとはよ…!」

 

弱った身体に響く余波を懸命に支えるキュアオンラ。それは生命が容易く吹き飛ぶ頂点のぶつかり合い。余人の立場なき龍と竜の闘争。勝負あったかとおもいきや……

 

【わはははは!無駄無駄無駄無駄ー!!】

 

『『『『うぉおぉおっ!!』』』』

 

なんとボレアスマスクは微塵も動じないどころかたやすく四人を弾き返してみせる。身体は人型でありながら、その耐久力は常軌を逸しており、ボルシャックらの総攻撃すらなんの痛打を示していない。

 

【私は完全無欠の生命体!どんな攻撃も抵抗も意味を成さない!私は無敵!私は不死身!私は最強なのだふふははははー!】

 

『ぐっ…そういやタフさはマジで折り紙付きだったな。あんなポンコツで不死身なのは、俺等なんぞ比べられないレベルな生物としての完璧ぶりから裏打ちされてるもんだったか』

 

ボルシャック達は竜、アンセスは龍。最強達と無敵の格差をマジマジと見せつけられる。

 

だが──それ故に。彼女、ヴリトランには見落としているものがあった。ヴリトランは完璧、完全無欠を謳ったがそれは違う。

 

『だがな…ミラアンセス様を名乗るには、一つ忘れているものがあるぜ!』

 

【!】

 

『それはなぁ!『完璧な生き物なんていちゃいけない』っていう、この世界に共に生きると決めたが故の…あの方の慈悲の制約だ!!』

 

ドラゴン達がフォーメーションを取る。先程とはまるで違う、統率の取れた陣形。ボルシャックを先頭にしたもので、ヴリトランの知らぬ形態だ。

 

【何を…】

 

『知らねぇなら身体で解らせてやるぜ!こいつはアンセス様が自慢げに俺等に教えてくれていた、てめぇを止める為に使えと伝えた無二の弱点だ!』

 

【ふん、何を言い出すかと思えば。私に弱点などない!また正面から受け止めてやる!】

 

『なら喰らいやがれ!!対祖龍必殺ブレス──『バーニング・ビクトリー・ポップコーン』!!!!』

 

4体の力を総結集した渾身のブレス。それをボレアスマスクが受けとめ拮抗する。

 

【ふん、何をするかと思えばこんなもの!すぐに弾き返して…】

 

『へっ、馬鹿が。必殺だと言っただろが!』

 

【な、何?は、弾き返せない!?何故、どうして!?】

 

それは、彼等が本来決して撃てない『光』のブレス。竜達の絶対的なブレスではなく、世界に生きる小さな者達の命を借りた、弱くとも星に生きる者達の調和の願いを込めたブレスだ。ボヴリトランは単純に厄介な敵としてボルシャックを封じたが、彼女は彼等に託していたのである。自身が世界の脅威になった際の、必殺ブレスを。

 

【こんな、ただのブレスに──この私が、この、わえが…!!】

 

彼女は世界の一員として生きる中で、自分に弱点を設けた。それは完全無欠の生命ではなく、皆と同じ命として、沢山の命の、世界の在り方に習うようにと誠意のものである。完璧な生命など、世界に必要ない。

 

【ぬ、ぬああああああああ!!】

『へぶ!』

 

その願いは無事実り、小さく白き龍と、それに取り憑いていた黒き邪竜ヴリトランが分離する。ヴリトランは傷だらけであったが、ミラアンセスには傷ひとつない。

 

『ひぃ、いたぁい』

【ぐぅうぅうぅう!おのれ、おのれ!無敵の生命体でありながら、下等どもに敬意など払いおって…!!許さぬ、許さぬぞ!最早龍の肉体など不要!わえのみの力でこの世界をわえの望むままにしてくれる!!】

 

龍のエネルギーを得て魂が実体化したヴリトランが吼える。ボルシャック達は力を使い果たし、動けない状態へ陥ってしまっていた。

 

【世界を統べるはこのわえ!ヴリトランよ!きーっひっひっひー!】

 

『ちょ、みんな!どしたのー!?』

【どけぃ!】

 

『ふぁー!!』

 

尻尾で叩かれ、なすすべなく吹き飛ばされるミラアンセス。その時──

 

【ご無事ですか、アンセス様】

『へぶ!(二回目)』

 

受け止められ、顔を上げるミラアンセス。そこには、自身を支える従者、ニャルニャルの姿があり──

 

「待たせた諸君。さぁ、決着をつけるぞ!」

 

最高の、希望がもたらされる──!




イブキ「はろはろー!大丈夫?ウラ?」

温羅「イブキ!」

シュテン「なんやようけ美味い酒呑んでから記憶ないわぁ。二日酔いやけんど、かまへんね?」

スイカ「なんか暴れたい気分だ!やるぞー!」

勇儀「醜態は自分の手で挽回してやらにゃいけないねぇ」

「シュテン、皆…!」

ミラアンセス『どゆこと?どゆこと?』
ニャルニャル【それは後で説明します。ハスタン!】

ハスタン【ほーい。ほれ、変身アイテ厶じゃ】

茨木「おぉ、おぉ!!」

ウラ「しゃぁ!じゃあお前等、行くぜ!!」

「「「「おう!!」」」」

カグツチ『きた…!』

オニキュア達『『『『『天地神明!天孫降臨!!』』』』』

遂に5人の、オニキュアが揃う。次回、決着の時!

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