人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

1979 / 2537
カルナ「アルジュナ、あれを見てみろ」


『写真撮りコーナー』

「顔を突っ込めば、一時的に竜となれるらしい。素晴らしい趣だ。試したくはならんか」

アルジュナ「貴様、試したいのだな」

「あぁ、とても試してみたい」

アルジュナ「……ふぅ。仕方あるまい。酔狂もまた、苦行のうちだ」

カルナ「感謝する。オレは白い方に嵌まろう。お前は黒い方だ」

アルジュナ「現代には奇怪なものがある…」

アシュヴァッターマン「おーいカルナー。ポップコーン食べ…」

『『POPに突き刺さったインド兄弟』』

アシュヴァッターマン「だははははははは!!!」

ラーマ「おぉ!?なんだあれは!?」

シータ「楽しそう…」

カーマ「ヴィジュアル系が二人して何をしているんです…?」
グドーシ「ははは、善哉善哉。仲良きことは美しきかな」

パールヴァティー「ふふ…」
ガルーダ『カルナにアルジュナ、ラーマにシータ、ブッダにマーラ。マハーバーラタにもこのような奇跡はありえまい。……』

パールヴァティー「ガルーダ?」

ガルーダ『…私にも、兄とあのような時間があればよかったのだが、な』


キャラクターエピソード〜聖鳥、暁を想う〜

ガルーダは、かつて奴隷であった。勝ったほうが負けた方を奴隷とするという約定にて母が敗れ、そしてその子たるガルーダもまた奴隷となってしまったのだ。

 

その境遇に嫌気が差し、ガルーダは母に訪ね不義により自らが奴隷となった事を知り、やがて天界へと不死の薬を求め飛び立つガルーダであったが、その長き奴隷生活を乗り切る事が出来たのは、一人の兄の存在を聞かされていた事に起因する。

 

『お前には、暁の如き兄がいる。不義を許さず、不徳を許さず、誇り高く雄々しき兄が。私の罪を怒りとと共に格した、真なる勇敢な兄が』

 

かつて母がガルーダ、アルナの卵を500年暖め続けた頃、ナーガ族の親たるカドゥルーの1000個の卵は孵ったが、ガルーダとアルナの卵は孵らなかった。耐え難き恥と嘆いたヴィナターは、卵を一つ叩き割ってしまう。すると、その卵から上半身のみの赤子が産まれいでた。これこそが、暁の神にしてガルーダの兄、アルナである。

 

『アルナは私の所業に深い怒りを抱いた。自分を醜く産んだことではなく、おまえを深く想ったが故に怒りを齎したのだ』

 

私はこのように産まれ出でた。しかしこれが傍らの子であればどうなっていたか。愚かなる母よ、おまえは自らの為にか弱き命を殺すところであったのだ。恥を知らぬ女め、貴様に母である資格はない。

 

自らではなく、危うくガルーダの卵を壊しかけた母ヴィナターを憤怒と共に糾弾した。生まれたばかりでありながら、アルナは家族、弟ガルーダの兄としての自覚を懐き目覚めていたのだ。

 

『我が身の至らぬ罰として、私は競いに負けたが故に勝った方に仕える呪いを受けた。それは我が身の、子を殺しかけた兄の怒りの具現。我が身はまだ、アルナに呪われているのだ』

 

 

ガルーダはその話を聞き、深く感動する。自らの顔も、生まれも分からぬというのに既に兄として己を護り、庇ってくれた。母にすら異を唱える勇気と、その深い愛にガルーダは顔すら知らぬ兄を心から尊敬した。

 

『ならば私は理不尽には負けるまい。強く、気高く生き、理不尽に怒ろう。いつか兄に出会うまで』

 

嫌気が差した、正確には何故母が奴隷であるかを確かめたかったガルーダ。その生活が兄による愛なのだと知り、ガルーダは毎夜毎夜アルナに祈りを捧げ続けた。500年の間、彼はアルナを想い続けたのだ。

 

『暁よ、見知らぬ血を分けた兄よ。母の罪は我が罪。その怒りが鎮まるまで、奴隷として甘んじよう』

 

そして奴隷の契機を終えたガルーダは、再び奴隷の契約を存続しようとするナーガの意志を汲み取り、不死の霊薬アムリタを奪い天界へと飛翔する。

 

『我が兄よ、母はよく悔い、償った。もうよいのではないか。罪には、赦しがあるべきなのだ』

 

母を解き放つ為、再びの家族となるため、母の為にガルーダはあらゆる神々を退けた。天変地異、見ると灰になる蛇、ありとあらゆる神々の妨害を跳ね除け、ガルーダはついにアムリタを手にする。

 

『これは戴いていく。母の…家族の始まりの為に』

 

そんな飛翔の最中、ガルーダは調律の神ヴィシュヌと出逢う。不思議な雰囲気の彼は、ガルーダの力と勇気に深く感動する。

 

『母君の為に神すら倒す。エモいですねガルーダ君。私はあなたをえらーく気に入りました。ではこれをどうぞ』

 

そんな簡単に、あっさりとヴィシュヌはガルーダに不死を与えた。アムリタでしか得られぬ不死、それを容易く与えるヴィシュヌはまさに神々の頂点の一角だ。

 

『それでは。母を大切に』

 

満面の笑みで告げるヴィシュヌだが、ガルーダは踵を返すわけにはいかなくなった。調律神に、なんと不死を軽々と渡されたのだから。

 

『礼がしたい。素晴らしき神ヴィシュヌよ、私に何か望むことはないか?』

 

『望み、ですか。そうですねぇ…あ、なら私を背中に乗せてくれませんか?欲しかったんですよ、翼。』

 

そんな簡単に、かつ自然体なる友情を結んだガルーダとヴィシュヌ。そこには主従ではなく、互いへの尊重があった。

 

そして二人で襲い掛かってきたインドラを下し、ナーガからアムリタを取り返したガルーダ。母を取り戻し、ヴィシュヌと永遠の友情を育んだガルーダは、二人に問われる。

 

『ガルーダ、アルナに会ってはいかがでしょう?こんなにも立派になったあなたを、兄に見せてあげたなら…』

 

『そうですよ、なんと今ならヴィシュヌがついてきます。このガルーダに乗せてもらえてるラッキーゴッドとして、私を紹介してみませんか?ガルーダ』

 

二人の問いは有り難く、ガルーダは深々と礼をする。しかし、彼はその願いを柔らかく辞退した。何故か、と聞かれるとガルーダは問い返す。

 

『彼は暁として、世界の全てをあまねく照らしているだろう。わざわざ会いに行く必要もない。朝焼けに照らされれば、それが我等の対話であるのだ』

 

アルナの心境、心労、立場をガルーダは深く思いやった。それがまさしく、自身にアルナがしてくれた気遣いであり心遣いであったものだと、彼は信じていた。世界にあれば、必ずや会うことはできる。ガルーダの愛は成熟しており、また大きく慎ましかった。

 

だからこそ、彼は暁の空を飛ぶことを何よりも重んじ、愛している。背中にて穏やかに微睡み、時に楽器や歌を奏でるヴィシュヌを載せ、雄大なる暁の空を飛ぶことを。

 

『兄よ。世界は広い。だが、それでも貴方を見失いはすまい』

 

遥か下に広がる雲の海。眩き暁や朝焼け。言葉など無くとも、世界の在り方が神の所在を示す。広く大きい、アルナの腕に抱かれるかのように思いながら、ガルーダは果てしなき空を飛ぶのだ。

 

『私は兄を忘れまい。顔を見知らずとも、会わずとも、我らはこうして永遠に共に在るのだから』

 

『意地張らないで、いっそ会ってあげちゃいなさいって。お兄さん安心するよー?ヴィシュヌの感は当たりますこれマメね』

 

『我が主…余韻は壊さないでいただきたい…』

 

気楽すぎる主ではあるが、彼もまたガルーダの在り方を認め自由にさせてくれる大恩ある主だ。世界の破壊を担う恐ろしきシヴァではなく、ありのままを愛する陽気な調律神。

 

『いつかあなたに、会ってほしいものだ』

 

『社会人になってから全く予定が合わなくなる。哀しいものです。いつかまた、出会えるといいですねぇ』

 

──これは遠い記憶の一つ。聖鳥が今も忘れぬ、暁の記憶だ。




カルナ「待て、アルジュナ。…抜けん」

アルジュナ「何!貴様もか、カルナ!」

アシュヴァッターマン「だははははははは!!腹いてー!!」

カーマ「あーもー、カルナさんってそういうところですよ!グドーシさん、抜きますよ!そちらを!」

グドーシ「心得た。せ~、の」

シータ「…楽しそう、ですね」

ラーマ「う、うむ!仲はいいな!」

ガルーダ(…ああいった未来は描けずとも、絆は確かに胸にある)

パールヴァティー「いいお話です…アルナさん、また会えるといいですね」

「はい。いつか、そんな日が来たるなら」

(我等はそれでいいのだ。なぁ、我が兄アルナ──)

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