人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

1992 / 2530
あまこー『ワフ…』

将門公『………』

(ブラッシング中)

イザナミ『アマやー、次は私の番ですよー』

あまこー『………………』

『露骨に嫌そうな顔はやめたもう!?』


振り返りその2〜オーバー・ノーヴァー〜

【というわけで!次は大日本オールスター、大乱闘ノッブラザーズの振り返りじゃな!いやー、108人に増えたわしが大陸めがけて信長をふっ飛ばしていく様は手に汗握るようじゃったのぅ。だがまぁ並み居る有象無象に劣る道理なし!リッカ先輩の強い後押しを受けたわしことゴッドノッブがあらゆる全てをなぎ倒して終了!此度も一番はわしじゃ!ノッブ大勝利〜♪うははははは!振り返り終わり!!】

 

 

「200文字にも満たない上に間違いと真実を織り交ぜた巧妙なキテレツ振り返りもどきはやめなさいノッブ!そんなんじゃないでしょう!?ちゃんと然るべき攻略や振り返りシーンはありましたよ!まぁ…一番否定したい大量ノッブは真実なんですけど…」

 

原作ですっかり日本サーヴァントの独壇場恒例の場となったぐだぐだイベント。ぐだぐだなのはメンバーだけでストーリーはガッチガチな事とサルこと秀吉のヤバさが浮き彫りになったことが記憶に新しい中、こちらも当然その系譜を組むものであることは間違っていない。ノッブが大量に増え、信長による天下取りが齎されていたのは紛れもない事実なのだ。こちらはリッカとカルデアの信頼に応え、魔王でなく神となった通称ゴッドノッブでありこの特異点攻略以降ずっとこのままである。こう見えて日本鯖最強クラスに名を連ねる流石の大人気武将である。

 

「私が言うのもなんですが、この手のイベント考える方の頭ってどうなってるんでしょう?私みたいに酒と塩を決めているとか?あははは、それなら気狂いなのも納得ですねぇ。はいもう一杯おかわり!」

 

そんなカルデア安土城で酒樽を空にしているのは天才にして越後の龍、長尾景虎。リッカという特異極まるマスターにのみ心から懐き、カルデアではもっぱら酒を飲み警備を担当しているこの特異点出身のランサー。彼女もまた、歪みを抱えながらもリッカにメンタルケアされた質である。

 

【一杯ではないわ!樽単位を空にしておいて何がおかわりじゃ!わしの酒無くなるんじゃが!加減せい加減!】

 

「酒が無くなりゃ茶を飲みゃいいじゃねーか殿。ルール無用で分かりやすいしうめぇぜ?ま、最近じゃ抹茶ラテなんてもんもあるがよ!キレそーだなあの爺さん!」

 

「か〜………」

 

そしてこの特異点は漂流者だったり戦国無双だったりのコラボ特異点の走りでもある。森長可の隣で寝ているは島津豊久。お互い強烈に血に餓えているように見えて極めて理知的なコンビ。ここに土方も加えたのが日本の誇るヒーロートリオである。泣く子は黙る。応援しなければ死ぬようなメンツだからだ。

 

「はぁ…カルデア労働最高…。永久就職バンザイ…」

 

「次から次と増えてく中、やっぱ信長のネームバリューはつえぇやな。信長やってて良かったぜオイ。ねー俺も安土城欲しいー」

 

カルデアオペレーター部門のオルミーヌ、小汚い方のノブノブもこちらの特異点の出である。敵も信長、味方も信長。それが今回の信長特異点の大体の概要であったのだから。

 

「そういえば、今一緒にやってるキリシュタリアさんの初参戦もこの特異点でしたね?」

 

【桐之助、じゃったか?原作から片鱗はあったが、もうすっかり面白外国人じゃのう。あれでマスター最強クラスとか侮れぬわ。ま、リッカ先輩とわしの敵ではないがのぅ!うははははは!】

 

そう、今やゼウスを宿し面白外国人ポジションで親しまれているキリシュタリアのカルデアデビューはここである。キリシュタリアに釣られてマシュもなんだか壊れていたような気もするがまさにそれは根本的なところでギャグキャラ適性があったことに他ならないだろう。今なお彼は自然体だ。強烈な使命感に縛られる理由も無い今、彼は爽やかなゼウスの写し身である。女性職員と楽しげに話している姿を見るのはまさにしょっちゅうだ。自分の部屋のカードキーを渡しつつ。

 

「最後に大立ち回りしたのは、確かマクズとかいう宗教崩れだったか。聖杯を使って型崩れの神を差し向けてきたのは覚えてる」

 

土方がたくあん茶漬けをかっこみながら振り返る。そう、神に出会えず、自ら神を創るに至った大僧正の手により作成された特異点、それこそが信長大集合の狙い。信長式蠱毒的なサムシングである。戦国武将のフリー素材化は今に始まったことではないとしても、信長便利に使われすぎ問題である。

 

【痛快じゃったのう。神なんていない、助けてくれないと諦めきった輩の前にマジモンの神霊をリッカ先輩を助けるために喚び出したのじゃから。これ程の意趣返し、これ程の価値観の粉砕は中々ないわ。ま、人徳と愛嬌その他諸々の違いじゃの!わしも今ゴッドノッブじゃし!生臭坊主とリッカ先輩、どっちを助けるかなんてリッカ先輩じゃろ。誰だってそーする。わしだってそーする】

 

「まぁカルデアは敵対者には一切の容赦はありませんからね。その後はこの沖田さんの三段突きで聖杯奪って大勝利ー!カルデア最古参の名は伊達ではありませんとも!もうホント、二桁話らへんからいるんですからね!」

 

【ま、今じゃ参戦時期くらいしか誇れん哀しき人斬りサーの姫じゃがのう。貴様の奥義なんぞ桃太郎の通常攻撃じゃし】

 

「日本産エルキドゥさんと比べないでくれます!?それ言ったら貴方なんて田村麻呂さんの下位互換じゃないですか!あっちは大将軍!あなたは本能寺なんですから!」

 

【本能寺を称号みたいに使うでないわ!!やはり貴様とはきっちり片をつけるべきじゃな…信長と新選組とか因縁がある事自体おかしいんじゃが!】

 

「上等ですよ…あなたをサクッと仕留めて神殺しの天才剣士沖田総司としてグランドサーヴァントに昇格交渉すると致します!」

 

【フッ、夢は寝てから見て寝言は寝てからほざくものじゃぞ沖田ァ!】

 

ぎゃーぎゃー騒ぎながら庭に出ていく二人。晴天の空の下始まる腐れ縁の大決戦。それには目を向けず、天守閣より景虎は空を見やる。

 

「…世界を救う。その大役を未だ投げ出さず駆け抜け続ける。私にとって、人間とはあなた一人のようなものなのですが…」

 

自分と同じと思えたマスター。何故このような世界を護るのか。その問いを投げかけた相手。その問いを完全に返した相手。

 

人は愚かだ。それは間違いない。

 

だが、それだけではない。素晴らしい人間はいる。美しい人間はいる。その清濁混ざった在り方こそが人なのだ。そしてその美しさがあるのであれば、護り命を懸ける理由には充分。

 

 

「私は、私であることから逃げない。なんと強き信念でしょう。なんと気高き人でしょう」

 

その言葉は、二度目の主とするに相応しい程に誇り高きもの。神々が救わんとするに相応しいもの。あの日の戦いは、あの日の決意は、今もこの胸に刻まれている。

 

「貴女がどこに向かい、どこに至るかは解りません。解りませんが、私はあなたの行先を切り拓くと致しましょう」

 

それがカルデアにやってきた理由。リッカが世界を救うなら、リッカの心を護るために槍を振るう。リッカの生に寄り添うために槍を振るう。

 

「いや〜、私の親友は最高ですね〜!よーし気合い入りました!ふたりとも!この長尾景虎も混ぜていただきましょうか!!」

 

【げぇっ!トイレイキりの龍!!】

 

「笑止!ランサークラスなぞオヤツであることを思い知らせてあげましょう!!」

 

「あっはははははっ!!殺せー!!!」

 

 

…彼女は気付いていないかもしれない。長尾景虎、彼女の笑みは神仏の、猛獣のそれだ。

 

だが…マスター、藤丸リッカの事を考えているその時分だけは、人間と相違無い、屈託なき笑みを浮かべられているのだ。

 

それもまた、サーヴァントとマスターとの妙。二度目の生が見出す、かけがえのない奇跡の一端である。




マクスウェルの悪魔「オファー、待ってます」

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