人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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部員ネット、愉悦部員の説明です



説明しておけば、ここを読んでくださいと言えますからな


観測――愉悦部員、部員ネット

……ん?

 

 

 

あぁ、なんだ。君も新しくこの物語を眺めに来たのかい?

 

 

 

そう、君だよ、君。高い次元にいながら、観測することしかできない『傍観者』の君さ

 

 

まずはお礼申し上げよう。この無色透明な物語へようこそ。心から君を歓迎しよう

 

 

原作は知っているかな?『fate』という作品の派生、最早一大ブランドとされるソーシャルゲーム、グランドオーダーと呼ばれる世界観を下にこの物語は織り成される

 

ある一つの存在により焼き払われ、滅亡した人類たち。狂いし歴史、七つの特異点。それを突破し、未来を取り戻す物語――

 

 

この物語は、そんな舞台に『無垢なる魂』を『英雄王』の器に放り込んだ事から始まる転生もの、憑依ものと言う奴だ。うん、中々にありふれた題材だと我ながら思うね

 

 

だけどまぁ、ありふれた。ということは、皆に愛されているジャンルという事でもある。何事もモノの見方、言い方で印象なんていくらでも変わるものさ

 

無銘なる魂、黄金なる英雄王が旅路の果てに何を見出だすのか……まぁ、暇潰しくらいにはなると保証しよう

 

『またよくある転生ものかよ』『何番煎じだよこのネタ』と、悪態混じりに読む君の手が止まらないことを祈っておくよ。まぁ、最新話までは長い長い旅路だが、一度はじまったらあっという間なんじゃないかな?

 

 

……さて、こうしてわざわざ都合よく現世で生命を手放す君達に力を与える側の存在が口を回すのは他でもない『この物語における、君達の立ち位置』だ

 

 

今更言うまでもないだろうけど、言葉にしておき、説明しておこう。単純に説明責任を果たしておかないと混乱するだろうからね。納得するかしないかは私の知ったことじゃない。義務を果たすだけだからね

 

 

結論から言うと、この物語においてのみ、君達は『傍観者』じゃない。物語に『波』を起こせる『当事者』となる権利を獲得する

 

いわゆる、読者参加型、という奴だね。君達の存在は『君達のいる世界』ごと『認識』され、この旅路に登録される事となる

 

何事も認識から始まるからね。いたとわかるからこそそこにいるし、いなかったらそれは無価値なものに他ならない。神様の在り方がそんな感じだ

 

まぁそんな訳で、君達の存在はこの物語を小さく動かすことができる『端役』としての役割を持つわけさ

 

 

分かりやすく例えると……ヒーローショーで『ヒーローが負けそう!皆!応援して!』と司会の御姉さんに言われて声を張り上げる少年

 

プリキュアにエールとパワーを送る『がんばえー!プリキュアがんばえー!』と叫ぶ少女

 

 

そういった存在に、君達はなるんだ。では、これを

 

 

『入部届』

 

大切に持っているといい。今はまだ何の変哲もない入部届だし、何の意味もないものだが……これは重大な意味を持つものになる

 

いずれ、あの不思議な英雄王は設立するだろう。『部活動』と称して、人類の集合無意識をサーバーに、人々の魂と精神を回線に、肉体をPC代わりにした『電脳』の最新の宝具

 

 

そう――『部員ネット』をね。この入部届は、その回線に今、そこにいる君の存在を繋げるものだ

 

要らないのなら、それは此方で預かろう、参加するも、しないも君の自由だからね

 

 

……部員ネットについて詳しく教えろ?……まぁ、特異にも程があるからね。かいつまむとしようか

 

 

部員ネットとは英雄王の設立した『愉悦部』を、異世界ネットワークにて拡張、広大化し再現したものだ

 

話を聞いて察したかもしれないが……世界はそれはもう大変な事になっていてね。カルデアにいる人員じゃどうしても手が足りないと王は気付くのさ

 

そして王は簡単な結論に思い至る。『この世界が滅びたならば、別の世界を観測し物資や人員を確保するまでよ』とね

 

荒唐無稽にも程があるが、彼はそれが出来るし、思考を認識することができた。だからこそ、彼は使ったわけさ

 

『異世界間を繋ぐ交易ネットワーク』として『愉悦部』と称する異世界観測端末を、彼はこれから利用するために使った、と言うわけさ

 

王の千里眼はその気になれば異世界をも見通せる。彼だからこそできた荒業だね。此処にないものは、ある所から取り寄せる。実に効率的だ

 

 

だが、千里眼は便利だが万能じゃない。『無数にある世界から、自分に力を貸す世界』だけを都合よく見ることは難しいのさ。砂漠に埋もれた砂まみれのダイヤを見つけるのは難しいだろ?それと同じさ

 

そんなわけで『自分に力を貸す意思を持った世界と縁を繋ぐ』為に、英雄王はこのネットワークに『部』と名付けた

 

この旅に参列するもの、我に続くものは来るがいい、と言った名目でね

 

そうすることで、この物語を『視て』好ましく思った者を『基点』とすることで、カルデアと『その者』の世界と縁を結ぶ

 

『異世界とカルデアを繋ぐ要石』それこそがこの物語における君達の役割

 

そう――王を賛美し、その存在を以て王の旅路を助ける存在

 

それこそが『愉悦部員』。その集まりが『部員ネット』というわけさ。大まかな内容はこんなところかな?

 

まぁそう難しく考えなくてもいい。王には賛美する民草、進言する部下が必要だろう?それを彼は募集すると言うだけの話さ。物語が進んだあとにね

 

何故今更こんな話をするのか、と愛読している皆には思われるかもしれない

 

寧ろ、『今だから話す』のさ。『物語にて語られる事』は、『物語の内の現象』に当てはめられる

 

内輪の話から、物語の要素に昇華するにはどうしても、説明と理解が必要だからね。要するに、これはそういう物語なのさ

 

まとめると、今そこにいる君は、そこにいるだけで王の旅路の助けになる

 

観測者でありながら、物語の端役となる不思議な『有り得ざる登場人物』それが今、そこにいる君なのさ

 

何をするでもいいし、何をしないでもいい

 

無責任、些細かつ、大きな揺らぎになるかもしれない存在が『部員』とされる存在だ

 

これはある意味でスケールの大きい話だ

 

『一つの世界を救うため』に『無数の世界』の力を借りる大仕事になるわけだからね

 

ピンと来ないかい?それはそうだ。おそらく誰もやったことが無いだろうからね

 

この試みが『誰もが思い付かなかった、やれなかった』偉業となるか『先人達が思い付いたけどあえてやらなかった』愚行となるか

 

まぁ、ゆるく楽しんでくれ。どう転ぼうと、それは恐らく『誰も見たことのない結末』に転ぶだろうからね

 

私?私は……そうだな……

 

『人でなし』とでも名乗っておくよ。全てを出来る力を持っておきながら、なにもしない愚者さ

 

『倦怠となった全能』とでも認識してくれれば間違ってはいない。――まぁ忘れてくれ。私はなにもしないし、なにもやらない。ただ、あの魂を送り込んだだけの存在だ

 

――ふむ。送り込んだだけでそのままというのもどうかと思うな、よし解った

 

かの魂には、もう一つ特典をあげよう。『諦める自由』だ

 

『辛いのなら、止めてもいい』。この言葉をかの魂が受諾した時、物語が終わるように私がしてあげよう

 

リタイア、電源ボタンだ。送り出した者の責任として、しっかりと止めをさしてあげよう

 

そして、この役割を誰に与えよう……?――そうだ、君がいい。比較、災厄の獣とかいう君

 

 

(……なんでボクなんだよ。休ませろよ)

 

まぁそう言わないでくれ。グランドオーダーお疲れ様。自らの総てを使った救済、お見事だった

 

(二周目やれっていうのか?嫌だよ、何が悲しくてまたビーストにならなきゃいけないんだ)

 

まぁまぁ、君は『一度経験した』からこそ、傍観者に相応しいんだ。君が適任なんだよ

 

(……)

 

もしかしたら、『君が生き残り世界を謳歌する結末』が得られるかもしれないよ?

 

(……何を根拠に)

 

かの魂は無垢だ。君の『比較』の理は通じない

 

もしかしたら……君を『単独で倒してしまう』かもしれないよ?

 

(……バカみたいな理屈だね)

 

そうだとも。だが、バカみたいな理屈は、時にバカみたいな奇跡を呼ぶかもしれない

 

(……)

 

――君だって一度は夢見たんじゃないか?『善き人々と笑い合う未来がほしい』とね

 

 

(……ボクは獣だ。いいか、倒される存在だ。そんなボクが都合よく……)

 

無理だろうね。だが……

 

『それはその世界の話だろ』?

 

(――……)

 

この物語は今から始まる

 

だからこそ、君も当事者となって何かをすれば……何かが変わるかもだ

 

 

(……――はぁ。解った、解ったよ。あの魂を見守り、ささやけばいいんだろ。『辛いなら止めてもいい』ってさ)

 

そうだ。君が破滅の引き金になるか、奇跡の切っ掛けになるか……期待させてもらうよ

 

(フン、そんな都合よくいくもんか。アレだってそのうち下らないものになるに決まってる。授かった力で俺ツエーなんて飽きるほど見た。……でも、もしそうならなかったら……ボクは)

 

……

 

(ボクは……一人くらい、『親友』を作ってみるのも、いいかもしれないな)

 

――行ってらっしゃい。どうか、よき旅路を

 

 

……長々とすまなかったね。話は終わりだ

 

 

君達の存在がどうなるか、興味は少なからず湧いていたりしているのもある。さっきとは所感が違うが、まぁ慣れてくれ

 

 

さて、そろそろ幕が上がる。最古にして最新の叙事詩が始まる

 

どうか、長い付き合いになることを祈っているよ

 

 

『愉悦部員』君――




(――・・・)


――どうしたの?フォウ?


(いいや、なんでもないよ。・・・ねぇ)

――なぁに?

(・・・これからも、よろしくね。⬛⬛)

――もちろん。フォウ――

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