ミラルーツ『ふがー』
『剥ぎ取らないでください』
『あいた!?』
『Blu-rayDISC』
ルゥ『…なにこれ?』
〜
ルゥ「ばぁば、これ何かわかる?」
イザナミ「ルゥちゃん、これは…ふりすびぃ!!」
ルゥ「ふりすびぃ」
〜
「アマやー!取っておいでー!」
アマテラス『ワフー!』
ルゥ「うんうん…」
ツクヨミ『いや違うから』
タケル『映像媒体だ』
「『『!?』』」
「何故Blu-rayDISCがこんなところに…」
あまりに意味不明なプレゼントから、そんな月並みな感想しか漏らせない晴明。そもそも高天ヶ原にあるBlu-rayってなんだ。そんな困惑を浮かべる傍ら、道満は合点がいったとばかりに皆を集めプレイヤーを拝借していた。
「皆々様!ご安心めされよ、これは呪物でも危険物でもありません!これは中身を拝見しなければならないものですゆえ御安心めされい!」
そんな道満の言葉を信じ、神々がなんだなんだとテレビの前に集まってくる。巨大モニターの前に八百与の神。ツクヨミは過呼吸気味だ。
「それでは…再生しますぞ…」
全てを把握したかのような様子の道満が、DISCを挿入する。するとすぐさま砂嵐が流れ、映し出されたるは伊豆大島の井戸
「井戸だね(祖龍のあふれる知略からのコメント)」
『井戸なるや!(創造の女神のあふれる神威からのコメント)』
(こんなのが人と龍のツートップなのか…)
『まさか、呪いは終わってなかった?』
『……』
将門公、並びに崇徳上皇が僅かに警戒の気を張った…次の瞬間だった。
『日本中を震撼させたあの 【貞子】が カルデアにやってくる!!』
『『『!?!?』』』
井戸から、ロケット発射の如くに打ち出されしは山村貞子その人。ウルトラマンめいたポーズで、テロップと共に遥か空へと飛んでくる。
『星はなんと一! 初心者にも取り扱いやすい、親切設計!(当社比)』
そのまま雲海を突き抜け虹色の軌跡を描き、集まってきた鳩と並走し暁の夜明けへと飛んでいく。場面は某有名タクティカルコマンドアクションソーシャルゲームのバトルゲームめいた画面へ。
『ステータスはイマイチですが、セールスポイントは宝具!昨今流行りのシステム対応、なんと宝具カラーを変えられちゃいます!オーバーチャージはなんと宝具威力アップ、アーラシュさんリスペクトですねぇ』
そのまま敵を呪殺していき、宝具発動を行う。全体にダメージを与え、最後は貞子の魔眼のアップで締め。まさかの顔面宝具。
『プレイヤーは呪い殺したりはしません(笑)更に更に、世界を救う戦いにも貢献!?』
スマホを取り出す貞子。そこにはラインアプリが紹介され、貞子がアイコンを飾る。
『貞子アプリを使えば、憎いアイツに送るだけの簡単操作!呪力をパワーアップした貞子により、半日後に受信者を殺しに行きます。マスター殺しに最適!アサシンアヴェンジャー適任!』
ぐっ、とサムズアップを送る貞子。その広告は更に続いていく。
『将門公、道真様、崇徳上皇…天下に煌めく怨霊に、私もなりたい!』
アストロガンガー動画めいたガタイで走り出す貞子。星空には、一人はまだ出番がないので二人のご尊顔が映し出される。
『怨みは晴らすもの。恩は返すもの。これからはカルデアの低レア怨霊として頑張ります!』
そのまま南極へと貞子が落ち、アグレッシブにカルデアの門を叩きまくる映像と共にテロップが発揮される。
『山村貞子(アヴェンジャー)、本日実装!ピックアップ召喚開始!』
周りにはたくさんの礼装イラストも含まれた自作のピックアップ召喚画面が展開され、その映像は幕を閉じる…、のだが。
『あ、忘れてました』
ひょい、と振り返り、テレビ画面よりびしりと指差す貞子。
『道満さん。私を気遣った責任は…とって貰いますからね♪呪、呪、呪♪』
その映像を最後に、砂嵐に画面が戻る。一同、理解の範疇を超え沈黙の後…
「拙僧!?」
『自分で、PR作ってきた…この怨霊…』
「ふっ、はっはっはっはっはっ!!」
大困惑する道満、大爆笑の晴明。すげぇ編集技術…と感心仕切りのツクヨミ。受け止め方は人それぞれであったが、意図はしかと読み取る一同。
『煌めく怨霊って、ぼくたち褒められてる?』
『然り(寛容新皇)』
『星1を選び性能を盛りに盛るか。策士だな…』
「ピックアップ召喚開催する辺り、厚ぅい。面の皮ぁ」
「あなやさっきこれでふりすびぃやっちゃいましたがぁあぁ!?呪われるぅ!!?」
『ワフ(大丈夫でしょう。離婚の呪い持ちですし)』
「辛辣ゥー!!」
「くくっ、あははははははははは!!良かったじゃないか道満、大層気に入られたなぁ?スカウトは大成功だぞ道満!ふふはははははははっ!あー、腹が痛い!」
「貞子殿…」
面食らいはしたが、道満にとってそれは素晴らしい事だ。こうして世界に、彼女は英霊として認められたのだから。まぁ、反英霊なのは間違いなくともだ。
「えぇ、勿論歓迎致しますぞ。我等で、今の世に生きる命と未来を護りましょうぞ…」
「よし、これで無事伽椰子と貞子の祓いが完了したことをチャンネルで報告できるな。将門公怒りの調伏も500万再生突破したし、万々歳だ」
許可を取り回していた大迫力の怨敵退散は大好評。将門公と崇徳上皇に大量の赤スパが乱れ舞う現状にさらなる燃料透過に王手を確信し笑みを零すメイ。そして、道満に告げる。
「今回の成功は、やはり貴様がいなければ叶わなかった。そこだけは誇っていいぞ、道満」
「晴明殿」
「伽椰子は怨念に堕した存在、力でそれを上回れば良かった。しかし貞子を成仏させ、仲間にするには私にはできなかった。私には情というものがほぼ無いからな。まぁ、茜や香子君、リッカ君は別だが」
だからこそ、道満の協力が必要だったのだ。自分にはない、情とと心。法力ではなく、人間としての魅力に満ちた蘆屋道満の協力こそが貞子の御祓の鍵だった。そしてそれは、正しく果たされた。
『皮肉なものだ。犠牲者の嘆きの声にあれほど激した怨霊と謳われし、慈悲溢れる将門公などよりよほど私は冷淡なのだから』
「…ふふ、何を仰られますか晴明殿」
道満からしてみれば、晴明のことを過小評価しているのは晴明自身だ。彼に情がないなどとんだお笑い草だ。
「情なき相手に、香子殿があれほど親しげな笑顔をみせましょうか?」
「あ、あれはまぁ…香子君は愛弟子だし…源氏物語2凄い楽しみだからな…」
「それに、リッカ殿の故郷を護るために動いたあなたを冷血漢などと拙僧は思いませぬ。人を愛せぬがゆえに獣にならなかったリンボなどとは違う。あなたは確かに、愛を有していますぞ。晴明殿」
一本取られた、とばかりに目を白黒させため息をつく晴明。
「どうやら私もまだまだだな。お前ごときに言い包められるとは」
「ふふ。拙僧はライバル、ですからな!」
抜かせ。そう拗ねながら目をそらす晴明の姿は…姿もあり、まるでいじけた子供のようで。
『せ、晴明様!晴明様!誰も、誰もいないはずなのに召喚サークルが動いておられます!あわわ…!』
「いかん、貞子がきっと来るーしてしまったようだ。香子君が危ない!行くぞ道満!」
「ははっ!では皆様!」
『『『『いってらっしゃーい!』』』』
こうして、新たな仲間を迎え今回の騒動は幕を閉じた。
『ねぇ、将門』
『む?』
『怨霊も、神も、人も。一緒にいられていいね』
『──然り』
余談であるが、メイは新たに道満と貞子をチャンネルに迎え全国の心霊スポット探検企画を刊行。
【怖い幽霊がいますね…】としきりに呟く貞子とガチビビりする蘆屋道満の姿が多ウケし、全チャンネル内3位の登録者数を記録した。
──スパチャは『金儲けは馬鹿を騙して巻き上げるに限る』といった晴明の方針にて、カルデア職員の口座と予算に振り込まれているという。
「ふぅ、ふぅ…あぁ、貞子殿」
【はい?】
「これからも、よろしくお願いいたします」
【こちらこそ。コンゴトモヨロシク】
…貞子は【蘆屋道満の式神】を名乗っているという。
おまけ
廃屋
晴明「む」
『人形の跡』
「…このネジ、茜の…なるほど、そういう事か」
『ネジだけで妻を特定する男』
〜
晴明「楽しみにしているんだ…源氏物語2」
香子「あわわわわわ」
『晴明は紫式部の大ファン』
〜
「そういえば将門公に奉ったあの巻物は…」
『伽椰子の被害に遭った人たちのリストだ』
『将門公憤懣300%チャージ案件』
〜
イリヤ「将門さま〜、そこに、そこにいてくださいね〜…!」
将門公『然り』
『夜のトイレに将門公』
〜
イリヤ「心霊特番なんて怖くなーい!将門さまだぞぉー!」
ミユ「よろしくお願い致します」
将門公『然り』
クロ「そりゃぁ、怖くないわよねぇ…」
崇徳上皇『ぽりぽり(ぽてち)』
『心霊番組のお供に将門公』
〜
貞子【それでは♪】
『伊豆大島への観光客が十倍になった』
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