人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

2016 / 2508
旅客機

上司「カルデアかぁ〜。可愛い子がたくさんいるんだろうなぁ!」

パンダ「遊び放題がチャリ放題らしいですよ上司〜!」


上司「そりゃあいい!天下り先にはぴったりだ!のんびり余生を謳歌するぞ〜!わーっはっはー!!」

ニャルラトホテプ【ふふ、ご期待に添えたら…嬉しいですね。付きましたよ。あそこが私の、カルデアです】




ニ}·[¢¡℃¶¶®‡プ

元邪神

パンダ

被験体1号

シャチ

被験体2号

上司

被験体3号

【テイコウペンギン】



【超絶暗黒企業に就職したらどうなるのか?】

〜【凄絶な人体実験】

 

【耐熱テストー】

 

「あぢぢぢぢぢぢぢ!!?」

 

【耐冷テストー】

 

「ざむむむむむ!!!」

 

【耐ショックテストー】

 

「いだだだだだだだ!!!」

 

【耐真空テストー】

 

「あば、あばば…あば……」

 

無事にカルデアへと就職できた上司。そこで上司はニャルラトホテプによる様々な歓迎を受ける。人体の極限環境における耐久力確認のデータ採取。早い話が人体実験である。ここのデータから、宇宙進出の際のデータ対応や礼装等の着用プランなどの割り出しが行われる。

 

【この薬を投与すれば、お前の身体の痛みは数倍になる】

 

「あがっ、あだだだだだ!ぎゃあぁあ〜〜!!」

 

【そしてこの薬を投与すれば、お前の身体の痛みは更に数倍になる】

 

「なんで2回打つんだぁ〜!!ママァ〜〜〜!!!」

 

【んん〜?間違ったかなぁ?まぁ我慢してくれ。人間に使う薬を作るんだ、ラットやモルモットより人間を使ったほうがいいし、お前の頑張りでラットやモルモットが助かるんだ。良かったなぁワッカネズミ…53位…】

 

「普通逆なんじゃないか〜〜〜〜!!!」

 

〜【過酷な教育】

 

『科挙、という試験は知っているな?一般平民が高級官僚へと至る事の出来る極めて公平かつ公正な試験である。うんこ製造機となっていた貴様らが栄えあるカルデアの一員となる際、最低限の知恵礼節を身につけるためこの朕自らが問題を手掛け用意した。さぁ、己が限界に挑むのだ畜生共よ!』

 

「「ひぇえ〜〜〜〜〜〜!!!」」

 

動物愛護の観点から、パンダとシャチに肉体的な負担はかけない。その代わり、倍率三千倍天才であることが最低条件とされる歴史上最難関と言われる試験にて頭にカルデア労働の際の知識を始皇帝自らが教鞭をとり振るう。それもまた、このカルデアにおける最低限身に付けねばならないもの。逸般人ならぬパンピーは世界がお断りなのだ。

 

『デイリーミッション、クエスト消化は朕がやっておく。安心して試験に取り組むがよいぞ』

 

「横暴だ〜!!僕は楽して毎日暮らせる場所だって聞いてたのにぃー!!」

 

「ペンパイと一緒に働けると思ったから来たんですぅ〜!」

 

『採点の結果次第では当然罰を与えよう。そうさな。不合格の度に…アプリアンインストールの刑に処す』

 

「いーやーだーーーー!!それだけはーー!!!」

 

『なぁに、合格すればいいだけの話よ。シャチ。貴様には5秒ボタン百連打の刑を処す。安寧ない人生を過ごすが良い』

 

「あの苦痛だけはもう嫌ですーーーー!!!」

 

結局合格できず、パンダはアプリをほぼ全て消去されシャチは5秒ボタンを千回程押す羽目になったとさ。

 

 

〜【存在しない人権】

 

【今日はここまでにしておこう。明日は更なるディープな実験が待っているぞ。コラボだから配慮しつつ、な】

 

『んー、出来ないにしてももっと見込みが欲しい物だ。零点ではなく、一つか二つまぐれで当てれはしなかったか?』

 

ニャルと始皇帝の言葉に返す言葉もなく転がされる三人。シャチは絶賛地獄の5秒体験中である。パンダは知恵熱でダウンだ。

 

「………………」

 

【社会のゴミにも使いようはある。どうせゴミのような命、活用できて良かったな上司君】

 

「…てやる」

 

【ん?】

 

「訴えてやるぞー!!こんな人権無視な非道な扱いが許されるものかー!!」

 

ズタボロとなった上司、吠える。怒りでダメージを忘れているのか蝋燭の最後の輝きか猛々しい。そこにパンダも続く。

 

「そうだそうだー!僕達は平等な命だ!こんな不当な扱いに納得できるもんかー!僕のアカウントをがえぜぇー!!」

 

「お前達の悪事を全て然るべき機関に訴えてやる…!大体カルデアのある南極も思いっきり南極条約に違反しているからな!どうだ思い知ったかこの人でなしどもめ!それが嫌なら今すぐ俺を開放しろ!人権を尊重しろー!!」

 

【訴えてやる…人権の尊重ねぇ…】

 

『好きにするがよいぞ。懸命に捻り出した恫喝、無下にするも無粋よな』

 

「「えっ」」

 

恐れおののくどころかあっさり受理されきょとんとする二人。ニャルは始皇帝に続き伝える。

 

【まぁ、君らが来る前に飲ませたジュースにたっぷり薬物入れてあったから、警察に垂れ込んだら薬物不正使用の容疑でまずしょっぴかれるのは君らだけどな】

 

「「えっ…」」

 

【それにな、警察上層部や政治家の対策なんてとっくに根回ししている。君らの頼る公的機関は全て我々の手中に落ちているんだ。そんな状態で、君らは誰に頼ろうというのかな?】

 

顔面蒼白となる二人。ダメ押しとばかりにニャルがそれを提出する。それは、警察手帳。

 

【警視総監、神山真二郎…改め、ニャルラトホテプ。よろしくね♪】

 

「あ、あぁ…」

「に、日本の国家権力が敗北したというのかぁ…!!」

 

 

〜尊厳破壊

 

 

ガックリと崩れ落ちる二人。最早縋る者無き者たちを見下ろし、ニャルは吐き捨てる。

 

【人権、平等、公正。それらを真っ先に主張するのは大抵がそれに預かる価値のない者たちだ。前の会社でお前たちは散々ペンギンに不平等を押し付けていただろう?】

 

「うっ…」

 

【お前たちがペンギン君にしていたように、私たちもありったけの不幸や理不尽をお前たちに押し付けてやるのさ。お前達も同じくらい苦痛を味わわないと、お前たちが大好きな平等や公正にはならないだろう?】

 

「人間と動物は違うだろう!人間はこの地球上で最も偉い霊長の覇者だぞ!!」

 

上司の持論に、ニャルは口笛を吹く。

 

【尊厳破壊はご存知かな?】

 

「はっ?そ、尊厳破壊?」

 

【他者が持つプライドや自尊を壊すこと、生き様や矜持を否定することだ。私はカルデア以外の人間へ行なう尊厳破壊が大好きでね。要するに…】

 

ずい、と顔面を寄せるニャル。その笑みは口が耳元まで裂け、目が黒と赤に染まっていた。

 

【霊長の覇者の人間をねずみ以下に扱う。最高の尊厳破壊だとは思わないかな?】

 

「うぎゃあぁあぁあぁぁ〜〜〜〜!!!ママ!ママ〜〜〜!!」

 

見てはいけないものを見た。その事実に悶え苦しみながら発狂する上司。

 

「あわ、あわわわわわ………」

 

目の前の怪物を越えた人間に、パンダは腰砕けとなりお漏らしをしながら後ずさる。耳まで口が裂けた人間の笑みが、果てしなく恐ろしい。

 

【では…また明日会おう。パンダ君。シャチくん】

 

「ひぎっ…ひっ、ひぃ…」

 

「あばばばば、あかっ………」

 

すっ、と口を元に戻し始皇帝と部屋を後にするニャルラトホテプ。

 

【カルデアでの生活は…始まったばかりだぞ】

 

その絶望的な宣告と共に閉められるドア。5秒の地獄にあえぐシャチと幼児退行した上司、そしてパンダ。

 

「っ……っ…………」

 

引きつけを起こしながら、パンダは落ち着くまで何十分もの時間を過ごしたのだった。

 

 

〜【心からの後悔】

 

「僕達が間違っていたんだ…」

 

まともな精神を辛うじて有していたパンダが、その近況を振り返る。

 

「ペンギンをカルデアに推薦して、そのお溢れで自分も甘い汁を吸うなんて甘い考えを見透かされていたんだ…」

 

そう、パンダは楽園にペンギンを紹介していたのだ。その仲介として自分も楽園で自堕落な生活を送ろうとしていた、打算に溢れた選択だとパンダは自嘲する。

 

「でも実際は僕はこんな恐ろしい場所で、誰にも知られず死んでいくんだ…ペンギンにやってきたように、たくさんの不幸や苦痛を押し付けられて…」

 

ペンギンに仕事を押し付け、自分は楽ばかりしてきた。辛いことは誰かに押し付けてきた。今、その報いを受ける日が来たのだ。まだ肉体的な苦痛は与えられていないが、いずれ上司の様に痛めつけられる日が来るだろう。

 

「……なさい…うぅ、う…」

 

そのあまりの恐怖、あまりの絶望にとうとうパンダの情緒は破壊される。

 

「ごめんなさい〜〜〜!!もう仕事を押し付けたりしないし会社でスマホもイジらないし真面目に生きます心を入れ替えますから〜〜〜!!」

 

誰か助けてぇ〜〜〜!!恥も外聞もなく泣きわめき絶叫するパンダだが、返ってくるのは精神崩壊した二人の声だけだ。

 

「うっ、ううっ…ごめん、ごめんよ…ペンギン…」

 

極限状態の中、懐いたのは謝罪と反省。パンダはもういないペンギンに侘び続け、謝り続けた。

 

それが、パンダの本性。最後に懐いたのは、悪意ではなく友への謝罪。

 

「ごめんよ…ペンギン…」

 

やってくる明日の絶望に心を砕かれながら、パンダは譫言のように呟き続けた…。




?「…起きろ。パンダ、起きろ!」

パンダ「……ぁ、え?」

ペンギン「どうやらニャルラトホテプさんにみっちりしごかれたみたいだな。少しは反省したか?」

パンダ「ぺ…ペンギン…?なんで…?」

ペンギン「ここもカルデアだからな。ケイオス・カルデア。社会の暗部や人間の闇に対応する為のもう一つのカルデアなんだ。シャチも起きろ」

シャチ「ぺ…ペン、パイ…?」

ペンギン「あれはただのボタンだ。ランダムで映像を脳に流されていただけだ。ダメージもプラシーボ効果の幻覚だぞ」

パンダ「ペンギン…ペンギンなんだね!」

ペンギン「オルガマリー所長に頼み込んでな。お前たちをなんとかカルデアで矯正できないかと。成功したようだな」

「「……!」」

ペンギン「パンダ、俺を推薦したのは…俺を労ってくれたんだと所長から聞いたぞ。感謝する」

パンダ「な、なんのこと!僕はただ仲介として招かれたかっただけだよ!」

ペンギン「シャチ。カルデアに来たなら甘えは許さん。ビシビシ鍛えるが、ついてこれるか。パンダも」

シャチ「はいっ!僕は、生まれ変わります!」

パンダ「もうこんな怖いカルデアにいたくない…いるくらいなら自分を変えるよ!ペンギン!」

ペンギン「そうか。なら…俺達はまた同僚だな」

「「ペンギン(パイ)!」」

「さぁ行くぞ!テイコウするんだ、世界を脅かす全てに!」

「「おー!!」」

上司「ママァー!」

パンダ「あ、上司は?」

ペンギン「ケイオスカルデアで正式に治験体として配属されるらしい」

シャチ「そこは変わらないんですね…」

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。