人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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明けましておめでとうございます!今年を無事に迎えられた喜び、皆様と分かち合う事をお許しください!


いよいよ新年が幕を開けました!展開も後半戦、英雄王と英雄姫の旅路は如何なる未来を辿り、如何なる結末を迎えるのか?


よろしければ、一緒に追いかけていきましょう!この作品がこれからも、皆様の素晴らしき人生に釣り合うような、日々の生活を彩れる作品になりますように――!


「新年と言えば年玉よ!遠慮せず受けとるがいい!」


『AUO特性ブレスレット・1人1人の誕生石を踏まえた仕様』

『年賀状の粘土版』

『ウルク麦酒・バターケーキ』

『ウルククルーズ招待券』

『シグラット見学フリーパス』

『ウルク一ヶ月滞在許可証』


「ふはははは!!持っていけ!!新年も我を崇め、奉り、その凡庸な魂の全霊を以て賛美せよ!!」


――皆様がいてくださるからこそ、私達の旅路はかけがえのないものであると言うことを、ワタシはけして忘れません


慢心無かれ、精進あるのみ。――皆様がくださった祝福や様々なもの、恩義に報いれるモノは何一つ持っていないのが本当に残念です・・・

ですからせめて、皆様を失望させないよう、けして期待や信頼を裏切らぬように。魂の総てを懸けて進み続けると誓います!


何度でも、何度でも言わせてください!


ワタシは、皆様が大好きです!そして皆様が生き、皆様が紡いでいくこの世界が大好きです!


魂からの感謝と敬意を!ワタシ達に、新しい年の始まりを見せてくれてありがとう!どうか、ワタシの終わりが来るその日まで――


あなたがた1人1人が生きるこの素晴らしい世界で、めいいっぱい『愉悦』を知ることが出来ますように――!

(エア!お待たせ!)


――あ!出来たね!ふふふ、このギルガメシア、皆様に貰ってばかりではないのです!

感謝を形に示す故の英雄姫!いつも良くしてくださる皆様に、精一杯の感謝を込めて作りましたこちらをどうぞ!

『ゴージャス☆プレシャス☆十重おせち』

正月には、女性が料理をしなくていいように気合いを入れて料理を作ると聞いていたので皆様に作ってみました!

和食三段、洋食三段、中華三段!そして最後の一段は財宝の器を使い、『一人一人の一番食べたいもの』が開いた瞬間に出来上がります!英雄王の財があれば一人一人にあったおせちができる!凄いでしょう!英雄王は凄いのです!

正月という御目出たい時間を、少しでも幸せに出来たなら嬉しいです!どうか、皆様の過ごす日々が幸福でありますように!

長くなりましたが、本編をお楽しみください!名前を頂いた今もずっと変わらず、ワタシは皆様と、皆様の生きるこの世界が大好きです――!


『』


「あぁ、これ?『消滅したボク』さ。『消滅した』という因果を作ったの。ボクはもう『消滅している』のさ。これならボクも――」


――フォウも一緒に!今年も、よろしくお願いいたします!
「あっ――――」

――フォウ?


「――ありがとう。新年も、ボクは君に倒された――」


フォウ――――!?


愛と、希望の物語

カルデア、とある一室

 

 

「ミドラーシュのキャスター、私の能力にて。ここは絶対公平の場となりました」

 

 

厳かに告げる

 

 

 

「どうか皆様、気を楽にして、思うままを受け取ってくださいね」

 

 

 

「はーい!」

 

集められたのはマシュ、リッカ、オルガマリー、ダ・ヴィンチ。

 

 

「なんだろうね?大切な話って?」

 

 

「きっと、グランドキャスターの話ではないかしら。彼、何か掴んでいたみたいだし」

 

 

「このタイミング的にその可能性が高いかと・・・しかし、英雄王はどこに・・・?」

 

 

「ふふ・・・」

 

笑いを洩らすダ・ヴィンチちゃん

 

 

「・・・師匠?」

 

 

「え、ああごめんごめん。大事な話だから確り聞いてやっておくれ?――あぁ、本当に」

 

涙を拭いながら呟く

 

 

「ようやく報われるんだねぇ、君の悲鳴をあげながら唄う自由が」

 

「・・・?師匠・・・?」

 

 

何を、と言おうとした瞬間

 

 

「わ!?」

 

 

突然、照明が落ちる。真っ暗闇になる部屋

 

 

「何事!?」

 

「先輩!落ち着いて!」

 

「きゃーこわーいたすけてでしー」

 

「何を言っているんですかもう・・・」

 

困惑する一同だが

 

 

「――僕と!」

 

更なる困惑が

 

 

「我の!」

 

 

一同を襲う!

 

 

「「何故なにソロモン~!」」

 

 

至高の王、ギルガメッシュ。ライダースーツを着て『助手』と書かれた名札をつけている

 

そしてロマン。明らかに照れている。顔が真っ赤だ

 

 

「「「・・・?」」」

 

 

キョトンとする一同

 

 

「ほらぁ!言わんこっちゃないドン引きじゃないか!」

 

「場を呑んだと言え。これは完全に我等のペースよ。見よ!あの鳩が豆鉄砲を食らったような顔を!」

 

――無理もない。突然簡素なセットが現れ、ハイテンションで王と医者が喋るんだから

 

 

あ、セット製作は私とフォウです。真心を込めて作りました

 

 

「ロマニ・・・?」

 

「あ、えっと、その・・・」

 

 

「この場では我等の戦う相手、グランドキャスターと宣う雑種、ひいてはソロモンという存在の総てを語るということだ。その為にこのセットを設けた。であるな、ロマン先生」

 

すかさずフォローする器

 

 

「そ、そうそう!ナイスフォロー!」

 

「あのセットかわいー!フォウが一杯かいてある!」

 

「ギルが作ったのかしら?・・・素敵ね」

 

「はい!とてもメルヘンチックです!」

 

 

――大好評だ!やったよフォウ!嬉しい!キミの可愛らしさはバッチリ伝わったよ!

 

 

(やったね!頑張った甲斐があった!ありがとうエア!)

 

 

《こら、話が脱線しているぞ。嬉しいのは解るが気を引き締めぬか》

 

 

――あっ、す、すみません!

 

《よい。ではいくぞ。我が質問運びをしてやろう》

 

指示にしたがい、器のコントロールを明け渡す

 

 

「では早速この助手王ギルガメッシュが司会してやろう。ではいくぞ。まず一つ」

 

英雄王が話す瞬間、ピタリと場が静まる

 

 

「あのグランドキャスターはなんだ?随分と小物臭かったが、本当に真なるソロモンなのか?」

 

 

――器と自分の所感は『否』としている

 

 

自分としては、王を名乗りながら、彼からは『王気』をまるで感じなかった

 

そして、彼等は自分を真なるソロモン、『ゲーティア』と呼称していた

 

『真なる』というには異なる存在がいる。この矛盾は・・・

 

 

「あぁ。彼はソロモンじゃない。いや、『肉体』はソロモンだけど、中にある魂は別物なんだ」

 

 

――!

 

《フッ。解りきったことよ》

 

 

「どゆこと?」

 

 

「あぁ、ソロモンはとっくに死んでいる。英霊にもなっているよ。だけどあれは英霊ソロモンじゃない。――魔神柱がいただろ?あれは七十二柱あるんだ。そして本来の魔神は高次の生命体、寿命なんてないんだ。ソロモンは死んだけど、魔術式は生きている、つまり・・・」

 

「『ソロモンの死後、置き去りにされた魔術式が遺体に取り付き、生きた魔術式として活動を始めた』大方のあらましはこんなところだろうよ」

 

 

――成る程、そう言うことか!

 

 

ソロモンは死しても、彼が使役していた『七十二柱の魔神』というシステムは生きていた

 

それが死と言う概念、終わりのある生命を憂い、憐れみ、嫌い、それを乗り越えるためにソロモンの身体を乗っ取り活動を開始した

 

人類史を焼き、束ね、光帯として集め、それを何千年も繰り返し

 

――遥かな過去に飛び、自分達が星となって世界をやり直す

 

 

それが彼等の計画、人理焼却の次なる所業

 

 

『逆行運河・創生光年』そしてそれを成し遂げた魔神達の集合体『ゲーティア』

 

 

――七つの人類悪の一つ『憐憫』の理を持つビーストⅠ。人が人を憐れむという驕り、失望するという獣性を持つ獣なのか・・・!

 

 

――情報が揃った瞬間、たちどころに器が真理を一瞬で読み取る

 

 

《たちどころに真理に至ったな。流石我が下で研鑽を積んだ至宝よ》

 

――更に、自分の魂で彼等に触れられたのが大きいです。彼等の口から計画を聞いた事もあり、判断材料は十分でした。これだけあれば、王の千里眼の力を借りて一瞬で見抜けましょう

 

 

《そうだ。それこそが人理焼却を成し遂げた愚か者の正体だ。ゲーティアめ、致命的な失策よ。寄生虫の分際でよりにもよって我に宿る魂に触れるとは。たちどころにからくりを見抜かれたわ》

 

――そして理解しているのはもう一つ

 

彼等の理念は『終わりを乗り越える』『定命の運命を覆す』という『愛』から来ている

 

 

そうだ、『人類悪』とはそのまま『人類愛』

 

 

深く、尊い目的を成し遂げる為の手段が、そのまま今ある人類を滅ぼすことに繋がる

 

《然り。奴等の理念は一貫している。人類を脅かすのは憎しみや恨みではない。『より良い未来を望む』想いそのものなのだ。――まこと、無様かつ面倒な性分よな》

 

 

――今なら解る。フランスで言った王の言葉を理解する

 

 

何かをより良くしたい

 

 

何かを成し遂げたい

 

 

必ず何かを成し遂げる

 

 

その決意が総て――今ある人類に牙を向くのだ

 

 

恨みや憎しみは、必ず癒える

 

『ここまですればいいだろう』『これくらいで勘弁してやる』

 

だが、愛はそうではない

 

愛は『尽きない』のだ。自らが抱き、満たし、満足するまで

 

『必ず成し遂げる』『必ず何かを達成する』

 

 

――だから、行き着く先は。邪魔物の一掃、徹底的な排斥なのだ

 

 

『愛』あらば何をおいても成し遂げられる。例えそれが、『人類を抹殺する』であろうとも。それは目的ではなく、あくまで『過程』。愛を満たす『手段』なのだから

 

――今まで見てきた、全ての人々のように

 

――世界の果てまで、『愛する』人間を『見定める』事を自らの職務と定めた、英雄王のように

 

《――事実だが、間違っても英雄姫の時に口にするなよ?解りきった事だからな》

 

頭をわしわしされる。

 

はい。貴方の所感を代弁、吹聴は致しません。貴方の矜持を汚す真似は、けして

 

《うむ。聞き分けもよい。まことお前の敬意は心地好いな。ふはは。では、質問を続けるぞ》

 

 

「成る程、ではその魔神どもは何故その様な大それた事をするに至った?余程腹に据えかねた事があったのか?」

 

 

「・・・そうだね。当時は別に気にしなかったけど、今なら解る。彼等の考えていることが。彼等の決意がね」

 

あはは、と笑うロマン

 

 

 

「それを語るには、まずはソロモンについて話さなきゃいけない。少し長い話になるけど、構わないかい?」

 

 

「だそうだ。トイレに行きたくば行っておけ」

 

 

「大丈夫?マシュ、マリー」

 

「もちろん。大事な話だしね」

 

「私も問題ありません」

 

「だそうだよ。さぁ話せ、今はなせー」

 

 

ヤジをいれるダ・ヴィンチに、やれやれと首を振るロマン

 

「全く気楽なんだよなキミは。・・・まぁいいや。なるべく解りやすいように話すから、楽に聞いてくれ」

 

――そして、ロマンは話始めた

 

 

「――まず一つとして、ソロモンという王は『人でなし』だった」

 

 

――一人の、ゆるふわな王様を

 

 

――あらゆる自由を奪われた、一人の非人間の話を

 

 

 

 

 

 

まず、ソロモンは神に捧げられた子だった。神の声を聞き、神の意志を代弁し、神の意志に従う代行者。まあ要するに操り人形なわけさ

 

ソロモンがいた時代は人の自由意思が希薄でね。『何かをする』『何かを選ぶ』という意識がとても乏しかった

 

だって、『神様』がいるからね。自分で悩むより、神様の御告げに従った方が余程楽だ

 

 

で、そんな民達を治める為に生まれた王がソロモンなわけ

 

神の代弁者に心なんて要らない。最低限の人格と、最低限の精神があればいい

 

魂があれば、啓示は届くからね

 

そんな感じで・・・ソロモンは本当に『人でなし』だった。喜怒哀楽なんて欠片もない。あらゆることを「ふーん。だから?」で済ませる酷いやつさ

 

 

――そんなソロモンだけど、とある日に神様が現れてね

 

ぐっすり寝てたら枕元に神様だ。そりゃあ驚いたよ

 

「何のようだい?」と聞いたらさ、なんて言ったと思う?

 

 

『汝に望みあり。望むものを口にせよ。与えよう』

 

だってさ。自由意思もくれなかったくせに何言ってるんだと・・・言ってやりたかったなぁ

 

ソロモンは考えた。名声?間に合ってます。富?使い道なんてないじゃないか

 

 

――そして想い至ったんだ。

 

 

人間達の心が知りたい。喜怒哀楽が知りたい。そこにいる人達の、ありのままの心を知ってみたいってさ

 

人間達は、何を考えて生命を全うしてるのか。何を考えて、苦しみを積み上げる巡礼を進むのかと・・・知りたくなった

 

 

だから告げたんだ

 

 

『智恵を。世界に満ちる当たり前を知る智恵を』

 

 

ってね

 

そしたら何を勘違いしたのか、ソロモンに指輪を渡してきたんだ!

 

天使と悪魔を自在に使役する10の指輪。後に奇跡と称される神の力

 

 

いやいや、おかしいよね?自分は智恵って言ったんだよ?ありのままの心を知りたかったんだよ?なんで使い魔渡されるの?パシりにパシりが増えただけじゃん!

 

 

・・・と、文句を言える心なんて知らず、教えてもらえず

 

『使命を果たせ、民を導け』

 

と、神様の操り人形に、便利な使い魔が渡された訳さ

 

 

――で、だ。使い魔を得て職務果たしてたら、何度も何度もクレームが来てね

 

内容は『人間は不完全だ』『この世界には哀しみに満ちている』だっけ?

 

ソロモンに心はないけど、彼等にはあったんだ。だから・・・あの時には気の利いたことは言えなかった

 

 

『人間は不完全だ』

 

――そうだね、だから?

 

『この世界には哀しみに満ちている』

 

――だよね、で?

 

 

『貴方は何も思わないのですか!』

 

 

――何に?

 

 

『この悲劇を!人間の不完全を正そうとは思わないのですか!』

 

 

――何言ってるんだと思ったね。思っただけだけどさ

 

――いや、まぁ。別に何も?

 

 

『――――』

 

 

――だって人間なんてそんなものだよ?『誰かが苦しんでいても、自分がそうじゃないならいい』そういう生き物じゃないか、人間なんて

 

それを治めるのが私の仕事だし、神の言うままそれを整理するのが私だよ?それが出来てるなら、別に人間がどうだっていいじゃないか

 

『――――』

 

責務を果たしなよ、魔神達。人間達の未来を見るのがお前達の『責務』なんだから

 

 

 

『――責務、責務・・・責務・・・!』

 

 

 

怒ったんだろう

 

 

哀しんだんだろう

 

 

だけど、自分は意に介さなかった

 

そんな自由、許されていなかったからね

 

 

ソロモンは千里眼を持っていた。過去と未来を見通す目を持っていた

 

人間の総てを観ることができた。ソロモンは無感動のまま、それを見続けた。でも魔神達は違った

 

意思があるまま、何千年も人の醜さを見てきたんだ。眼を逸らすことも許されない。結局はソロモンと一蓮托生だ。縛り付けられてスプラッタとかバッドエンド見せられてるようなものさ。それに耐えきれなかったんだろうね

 

で、なんとかしてくれと泣きついた主がこの有り様だ。やけっぱちになるのも解るよ。当時のソロモンには解らなかったけどさ

 

 

 

――結局ソロモンは人間を見ながら人間に何もせず眠りについた。もらった指輪を使ったのは一度、自分の意志は指輪を返しただけ

 

 

――ソロモンなんていう人でなしの話はここで終わる。けれど魔神達は死ななかった

 

多分・・・『なんとかしよう』と思ったんじゃないかな?

 

『こいつがやらないなら自分がなんとかしよう』

 

『自分達で、人間達をなんとかしよう』

 

その為に・・・身体が必要で、何かをするために、ソロモンの遺体が必要だったんじゃないかな?

 

 

で、今に至るわけ

 

 

 

 

 

 

 

 

ふう、と息をつく

 

 

 

「まぁソロモンはこんな感じかな?要するに、使い魔とのコミュニケーション不全が原因だったんだよねぇ」

 

 

ポリポリと頭をかく

 

 

「言い訳がましいけど、もうちょっとでも自由意思が許されていたらなぁ・・・」

 

 

――それが、魔神達の決意、魔神達の決議

 

 

・・・ますます、悔やまずにはいられない

 

 

過去と未来を見通せたならば、何故悲劇ばかりを見てしまったのか

 

 

それと同じくらい、喜びや未来、希望はあったはずだ

 

 

人生は、世界は、死と、断絶では決して終わらない

 

 

むしろその先にこそ・・・尊い未来を紡ぐ、『愛』と『希望』が溢れているのだ。自分はそれを、見せてもらった。この王に

 

 

・・・ソロモンに、自由意思があったなら

 

英雄王のように。英雄王が見せてくれたように

 

 

『悲劇など、世界を彩る要素の一つである』と・・・必ず教えてくれた筈だ

 

 

誰が悪いわけでもない、誰が間違っていたわけでもない

 

 

――ただ、致命的に、全ての歯車が噛み合わなかった

 

 

《うむ、ソロモンと肉塊どもの関係など一言で片が付く言葉を我は知っているぞ。月に現れた聖人の言葉だ》

 

――聖人の言葉?

 

《そうだ。『ただ、間が悪かった』とな。意思のなかった大馬鹿者。一片の染みを見て織物を焼き払った大馬鹿者。ただそれが――致命的に噛み合わなかっただけなのだ》

 

 

――間が、悪かった・・・

 

 

《お前も、これからの旅路で詰まったときには唱えるがよい。『間が悪かった』。全ての事は、大抵これで片が付くのだぞ》

 

間が悪かった・・・

 

 

ストン、と魂に言葉が落ちる

 

 

そうか・・・そうだったのか

 

 

彼等の関係は、ただ。間が悪かっただけなのだ、と・・・理解できたような気がした

 

・・・だからこそ、自分は貴方に、感謝を

 

――ありがとう、英雄王

 

《ん?》

 

――自分に世界を見せてくれて

 

悲劇も、喜びも、全てを見せてくれて・・・

 

 

本当に、ありがとうございます

 

 

――ワタシは。貴方に宿る事ができて、本当に幸せでした――

 

《・・・そう我の威光ばかりがお前を決めたわけではないぞ、エア》

 

フッ、と笑う

 

《いくらみえる目があろうとも、『見ようとしなければ』意味がない。我はただ、見せる機会をくれてやっただけだ。――観ることを決め、総てを観ることを選び、結論を出したのはお前だ》

 

 

――!

 

 

《我の庭を『素晴らしいもの』と答えを出したのはお前自身だ。悲劇も、苦しみも、絶望も、目の当たりにし、時には見せ付けられ、それでもお前は『この世界を見ていたい』と決めた。――だからこそ》

 

こちらを見つめる英雄王。その瞳には、誇らしさと、慈しみ

 

 

《だからこそ――お前の魂は美しいのだ。我が至宝の銘を賜わす程にはな。エア》

 

 

――あ、ありがとう、ござ、います・・・

 

 

・・・魂が熱い。なんだろう。風邪かな

 

魂なのに風邪?・・・そんな、まさか・・・

 

《フッ、今度はお前が頬をかく番よ。それが『照れ』だ。お前に敬意を向けられている我が味わっている所感だ。ふはは、火が出るであろう?》

 

 

――でも、英雄王への敬愛は止めませんからね

 

貴方がいてくれたから、自分は美しい答えを抱けたのです

 

――本当に、ありがとう。ワタシの、ただ一人の英雄王・・・

 

 

《――――・・・よい》

 

むに、と頬を突かれる

 

《我を褒め殺す気か。お前の敬意など、既に我が庭に蔓延る雑種の数と同程度受け取っているわ。全く・・・まこと、可愛いげがあるにも程がある》

 

――あぅ~・・・

 

 

「ギル?」

 

 

気が付いたら、ロマンが心配そうに覗き込んでいる

 

「大丈夫かい?休憩する?」

 

 

「しっかり助手~!」

 

ダ・ヴィンチがヤジをいれる

 

「解っている。ウルクの職務を経験する我がこの程度で疲労するか、たわけめ」

 

 

「本当かい?じゃあ私が代わりに質問するかな!」

 

 

ピッ、と手をあげる

 

 

「質問です!どうしてそんなにソロモンに詳しいんだい?」

 

「た、確かに!なんというか・・・」

 

「『まるで、見てきたみたい』ね・・・」

 

二人が呟く

 

「どういうことでしょう?ドクター」

 

 

マシュの問いかけにうなずく

 

 

「あぁ、それはそうさ。『経験した』んだから」

 

 

「「「――え?」」」

 

 

「ギル、今度はこちらから質問しよう」

 

 

ロマンが尋ねる

 

 

「『あのソロモンに、何かおかしい場所は無かったかい?』」

 

 

「――おかしいところか、さてな・・・どうだったか」

 

 

ふむ、と考え込む器

 

《エア、答えよ》

 

 

――自分ですか?

 

《お前は魂のみで奴と対峙した。目の当たりにし、気付く違和感が必ずある筈だ。記憶を頼りに思い出せ。必ず――そこに答えが在ろうよ》

 

 

――違和感、おかしいところ・・・

 

 

存在、禍々しい雰囲気・・・いや、違う、何か――

 

 

『無垢と憧憬を励起する魔神『レメゲトン』として、我等が偉業に参列せよ』

 

 

差し出される右手

 

そこには、五つの指輪が――

 

 

――!!

 

 

そうだ!

 

《気付いたか》

 

中指です!中指の指輪!あれだけ色が違う、レプリカでした!間違いないです!

 

 

《ますますもって愚かよ。我が魂に弱点を露呈するとは。情報の漏洩が止まらぬではないか。これで全能とは笑わせる》

 

 

「指輪だ。ヤツの指輪は一つ、本物ではあるまい」

 

肯定し、告げる

 

 

「そう。かのグランドキャスターの指輪は不完全だ。一つだけ、一つだけ本物の指輪を見失っているんだよ。そして――」

 

 

ゆっくりと、右手の手袋を外す

 

 

「その指輪はここにある。ソロモンが未来に備え、未来に送った真なる指輪は、この右手に」

 

 

――キラリと輝く、真なる指輪

 

右手の中指に、しっかりと嵌められているそれは紛れもなく『ソロモンの指輪』だったのだ――

 

 

「――」

 

「どう、して・・・」

 

「・・・ドクター、これは・・・」

 

 

「・・・今や君たちは、偽りのソロモンを看破した。その功績を称え、僕も全てを明かそう。――英雄達の王に『財』とまで呼ばれた、親愛なる君たちに」

 

 

瞬間、ロマンの身体が光に包まれる

 

「わぁっ!?」

 

 

そして、現れしは――

 

 

 

「――改めて、名乗らせてもらうね」

 

 

白髪、威厳ある衣装

 

 

 

そして・・・何も変わらぬ、ゆるふわっとした笑み

 

 

「僕は魔術王ソロモン。ろくでもない人でなし、臆病者の名前負けなチキン野郎さ」

 

たはは、とおどけて笑うロマン、いや、ソロモン

 

「「「――――」」」

 

 

絶句する三人

 

 

「あ、あれ?やっぱり引く?だめ?」

 

「似合わぬな」

 

「端的かつ的確な言葉をありがとう!ちくしょう!君に比べたら誰だって花なんてないさ!」

 

 

涙目になりながら否定する。・・・その動作は、紛れもなくロマンだ

 

 

「おめでとう――!!ロマン!」

 

 

ぱちぱちとダ・ヴィンチが拍手を送る

 

 

「ようやく君の涙を流しながら駆ける自由が終わったわけだ!今までよく頑張ったね!」

 

 

――・・・・・・――

 

 

(しっかりエア!魂!魂!)

 

 

はっ!?――驚くと、魂って抜けるんだ・・・!

 

 

《丹田に力を入れよ。魂の尾を巻き戻すのだ》

 

は、はいっ!

 

 

「はぁ。他人をおいてけぼりにして話を進めるのは君の悪い癖だよ、レオナルド」

 

やれやれと首を振る

 

 

「ろまっ、ロマンがソロモン?え?ソロモンがロマン?――ソロマン?」

 

 

「ソロマン!?あ、でもいい名前かも!ロマン、いいよね!」

 

「――まさか」

 

オルガマリーが口を開く

 

 

「カルデア英雄召喚第一号、私も知らなかったサーヴァントとは・・・!」

 

 

「――うん。そうだよ、マリー。それは僕。君の父、マリスビリー・アニムスフィアが召喚し、聖杯戦争に参加したパートナーが・・・僕、ソロモンなんだ」

 

 

「マジで!?」

 

 

――なんて、ことだ・・・

 

 

動揺と驚愕が部屋を包む

 

 

 

「安心してほしい。きっちり説明するからね。――では、召喚されてから、僕が人間になるまでを語らせてもらおうかな――」

 

 

そして、ソロモン、いやロマンは語る

 

 

己の経緯を――

 

 

 

――未来に送った指輪を触媒に、マリスビリーは僕を召喚した

 

 

聖杯に捧げる目的は、『巨万の富』。カルデアスに火を入れ、運用するだけの富を彼は欲しがった

 

 

通常の手段では他の魔術師に足がつく。手にした成果にケチがつく

 

そう考えたマリスビリーは『奇蹟』をショートカットに、誰にも悟られない抜け道を通るために。聖杯を求めた

 

『私は奇蹟を前にしながら、俗物のように巨万の富を願うのだ』って笑ってたっけ

 

 

まぁ、僕はそこまで叶えたい願いはなかったし、自害すれば仕事は終わるなぁぐらいしか思わなかった

 

 

ギルが教えてくれたろう?本来ならそれが魔術師との関係だからね。そして察しのとおり、僕は自害を命じられるものと疑わなかった

 

 

だけど――

 

 

『君は?君は聖杯に何を願う?』

 

 

そう、マリスビリーに聞かれたんだ

 

 

『おいおい、言っただろう?願いはマスターとサーヴァントに叶える権利があると。それは勿論、君にも与えられる権利だ』

 

 

――予想外だった。ビックリしたよ

 

まさか、ぼくにまでチャンスがあるなんて思わなかった。だから混乱した

 

 

願いなんて許されなかったからね。どうしよう?どうしよう?と悩んで――

 

 

思い出したんだ、とある思い出を。聖杯戦争中盤だったかな?

 

 

 

『お疲れさま、ソロモン。また一組脱落させたな。流石はグランドキャスターだ』

 

 

『望まれたことをやってるだけだよ』

 

『それがわたしにはありがたい。――そんな君に、感謝を込めた贈り物だ』

 

そのときにマリスビリーが僕にくれたのが・・・

 

 

『まんじゅう、という食べ物だ。食べてみたまえ。美味しいぞ』

 

『――――』

 

――あのときの衝撃は忘れられないよ

 

 

ふわっとして、もちっとして。甘くて、切なくて

 

 

もう夢中になって食べた。もぐもぐ食べたよ

 

 

大袈裟かもしれないけど、そこで思ったんだ

 

 

『――マリスビリー』

 

『ん?』

 

『――世界は、しっかりと紡がれているんだね』

 

 

 

 

――それを思い出してさ

 

 

「いや、僕にも願いがあるよ。本当に、何を願ってもいいんだね?」

 

 

浮かんだ願いを告げることを確認したんだ

 

 

「勿論。このマリスビリー・アニムスフィアの命以外なら、なんでも」

 

 

――良かった。なら自信をもって告げよう

 

 

 

「解った。・・・僕は」

 

光輝く聖杯に願ったんだ

 

 

「『人間になりたい』」

 

 

人間になりたい

 

 

当たり前の喜怒哀楽がほしい

 

誰に縛られることなく、自分の願うままにいきたい

 

もう一度・・・あの饅頭を食べてみたい

 

 

 

そんな細やかな願いを、聖杯はきっちり叶えてくれたよ

 

 

もうはしゃぎたい気分だったよ!やった!これで自分は自由だ!やりたいことをやって、好きなように生きれる!

 

 

 

力なんて要らない、ただ自由な生涯が送れるってね!――そう

 

 

その筈、だった。でもね、見てしまったんだ

 

 

「――!?」

 

 

滅びる世界

 

焼け落ちる星

 

 

人類の、終焉って奴を、人間になる刹那、見てしまったんだ

 

 

 

「どういう、事だ――!?」

 

 

それが何か知りたくても、もうそんな力は無い。無力な青年になったんだからね

 

自由にはなった。自由にはなれた

 

 

 

でも――その破滅の未来を、無視するなんてできなかった。確実に僕が原因だからね

 

 

だから――

 

 

「――一から、やり直しだな」

 

 

一からやり直しだ。何もかも学び直した

 

 

あらゆる役立つ事を学んだ。生きる術を学んだ

 

 

何かに備えた。いつくるか解らない災厄を、何が引き金になるか、何が原因か。何も解らないまま、ただ準備し続けた

 

 

先も見えない事態だったけど・・・それでも

 

 

 

「くそぅ!やること山積みで辛い!せっかく人間になったのにこれじゃあ損だ!でも――」

 

あぁ、それでも――

 

 

「なんて『楽しい』んだ!自分の生き方を自分で決める!僕の時代には無かった生き方!いいぞいいぞ!こうでなくちゃ!」

 

 

そう、僕は楽しかった、嬉しかった

 

「自分の意思で何かを果たす!何かを成し遂げる!『ロマン』だっけ!こんな生き方を、僕はずっと、したかったんだ――!」

 

 

何かをする。何かができる

 

 

誰が引き金か解らないから誰も信頼できなかったし

 

 

何がきっかけか解らないから不安だらけだったけど

 

 

 

僕はとても、あぁ

 

 

とても――楽しかったんだ――

 

 

 

そして、一年くらいだったかな?そして僕は――

 

 

 

「お邪魔しまーす!!あれ?」

 

 

 

「はーい、入ってま――――うぇえぇえ!?誰だ君は!?ここは空き部屋だぞ、僕のサボり場だぞぅ!?誰のことわりがあって入ってくるんだい!?」

 

 

「こんにちは!私は藤丸リッカ!好きな事はコミュニケーションとサブカルチャー!嫌いなものは裏切りと先入観!座右の銘は『意志があるなら、神様とだって仲良くなって見せる』です!」

 

 

 

――僕にとっての、運命に出逢ったんだ

 

 

 

 

 

――部屋を、沈黙が包む

 

 

 

「――以上が、僕の全てだ。君達に黙っていて、危険な目に遭わせた男の全てだよ」

 

 

――そんな、事が・・・

 

 

「ずいぶんと短い自由であったな。まるで悲鳴をあげて走るあての無い全力疾走を続けているようではないか」

 

 

 

――それだけの事を、誰も伝えずに・・・?

 

 

 

「――本当なら、レオナルド以外に誰も話さない筈だった。僕は最後の締めとして、魔神たちに引導を渡すつもりだった。――でも」

 

すっ、と顔をあげる

 

 

 

「――もう、限界なんだ。リッカ君は明るいし、マシュは素直だし、マリーは頑張り屋だし。ギルは僕よりずっとみんなの事を考えてくれて。カルデアを、こんなに素敵な場所に変えてくれた」

 

 

ロマンは笑っていた。

 

「――もう、だめなんだ。君達を騙したくない。君達に嘘をつきたくない。君達に、後ろめたいものを隠していたくない」 

 

 

――涙を流しながら、ロマンは、笑っていた

 

 

喜びを浮かべ、怒りを知り、哀しげに、楽しい想いを胸に抱き

 

 

「僕は人でなしだ。人類の滅亡の原因だ。どうしようもない屑だ。――でも、それでも――リッカ君。君が言ってくれた。『人を信じることは、怖いことじゃない』って言ってくれたんだ」

 

「ロマン・・・」

 

 

「そして、ギルが僕たちを認めてくれた。価値あるものと、財だと言ってくれた。――それが、本当に、本当に嬉しかったんだ――」

 

 

声を震わせながら、ロマンは紡ぐ

 

 

「だから、・・・――だから。君達に、君達にお願いをしてもいいかい?」

 

 

――

 

 

「――僕を、仲間に・・・いれてくれるかい・・・――?こんなヤツだけど・・・君達を、信じてもいいかい・・・?」

 

 

 

「――それは愚問と言うものだぞ、ロマン」

 

 

くい、と顎をやる

 

 

「え――」

 

 

 

「ロマァァーン!!」

 

リッカが抱きつく

 

 

「当たり前じゃん!!ロマンがいてくれたからずっと頑張れたんだよ!!ずっといよう!ずっと一緒にいようよ!!」

 

 

「リッカ君・・・僕は、君に辛い役を・・・」

 

「皆が、ロマンがいるから辛くない!」

 

 

「――!!」

 

「ドクターの奮闘は、皆知っています」

 

 

涙で目を真っ赤にしながら、マシュが告げる

 

 

「貴方がいたから、カルデアは生きているんです。だから――そんなさびしい事を言わないでください」

 

 

「マシュ・・・」

 

 

「――伝えてくれてありがとう、ロマン」

 

オルガマリーが毅然と告げる

 

「私はまた、絆に甘えるところだった。大切な繋がりを・・・失うところだった」

 

「マリー・・・」

 

「今更よ。ロマニ。むしろこちらから言わなければならないことだわ」

 

 

すっ、と右手を握る

 

「あなたに感謝を。このカルデアは、貴方がいたからこんなに素晴らしいものになりました。貴方は――私の、かけがえのないパートナーよ」

 

 

「――――っっっ」

 

 

「ね?言ったろロマニ」

 

にやにやとダ・ヴィンチが笑う

 

 

「『王様が認めたんだ。大丈夫だ』ってさ!」

 

 

「――あ、あぁ・・・あぁあぁ・・・!」

 

 

堰をきったかのように、ロマンが崩れ落ちる

 

 

「ありがとう!ありがとう・・・!怖かった、辛かった!恐ろしかった・・・!誰にも言えないことが、誰がきっかけが解らないことが・・・!そして、誰かを欺くことに慣れていくことが・・・!何より――」

 

三人を、強く抱き締める

 

「『君達に拒絶される』事が、何より怖かった――!ごめんよ、ごめんよ・・・!今まで黙っていて、本当にごめんよ・・・!うぅ、あぁああぁぁあぁあ――!!」

 

 

「いいんだよ。弱いままで・・・よわっちくてもいいんだよ。皆、受け入れるから」

 

「はい。皆で、ささえあって。この旅路を乗り越えていきましょう――」

 

「私みたいな半人前じゃカルデアスの運用はまだ無理。あなたみたいなパートナーがいないとね。こきつかうから覚悟なさい――ロマン」

 

「うん!うん!あぁあ、あぁああぁ――!僕は、僕は――!!」

 

 

ロマンは泣き続けた

 

信頼できる人に囲まれながら

 

 

今まで赦されなかった分を取り戻すように、泣き続けた

 

 

《――エアよ》

 

――はい

 

《我の王道は知っているな》

 

――獲得と、守護です

 

 

《こやつらは、我が財だ。価値のある、我が獲得するに相応しき者共だ。――聡明なお前だ。この先は、言わずとも解っていような》

 

 

――はい。護りましょう。必ず、皆の未来を紡ぎましょう

 

王と、私と――フォウで

 

(――そうだね。あのクズと一緒なんて腹が立つけど、エアの物語をバッドエンドになんかさせるもんか)

 

 

――ありがとう。ワタシの大切な親友

 

(どういたしまして、ボクの姫)

 

 

――あぁ、そして、きっと

 

 

彼等の旅の行き先こそ、自分の見たい世界。見たい『願い』

 

そして、彼等の旅の終わりに掴む結末こそ、自分が見たい『愉悦』

 

 

そして、それこそが――

 

 

――行きましょう。英雄王。やろう。フォウ

 

 

死と断絶。絶望と憐憫を越える果てに綴られる――

 

 

皆で紡ぎましょう――『愛』と『希望』の物語を!

 

 

 

ワタシが望む『願い』、ワタシの望む『愉悦』が

 

 

 

――ワタシの望む総てが、皆と進む旅路の果てにに――必ず其処にあるのだから――!!

 

 

《貴様も消えることは許さんぞ、エア。貴様の魂は既に我のものだ。森羅万象有象無象、なんであろうが我以外に髪の毛一つくれてやるつもりはない。そして、我が赦し無くして消えることは、我に対する最大最悪の不敬と知れ》

 

――はい!貴方の言葉を胸に刻みます!

 

 

(救った世界で、必ずバイクツーリングするんだからね!ボクは世界より、君の方が大事なんだから!)

 

 

――ありがとう、フォウ!

 

 

やっぱりワタシは、世界が大好きです!

 

 

希望と喜びを産み出し続け、広がる世界が――

 

 

――世界を彩る総てが、大好きです――!

 

 

 

――悲鳴を上げ、自由を謳った青年の苦悩は終わり

 

 

カルデアは、本当の意味で一つになる

 

 

 

――愛と希望の物語

 

 

その紡ぐ果て

 

 

――誰もが望む、未来を目指して

 

 

 

――王と獣、そして

 

 

 

――最新の英雄たる姫は、彼等の未来を切り拓いてゆく事を誓う――




「みっともないところを見せちゃいましたね、マリー」

「あなたがみっともなかったら私なんて酷いわよ。自信を持ちなさい」

「あはは、確かに」

「もう!なんでそこは生意気なのよ!」

「すみません!――マリー、指を出してもらえるかい?」 

「?こうかしら」

『ソロモンの指輪』

「――これ・・・!」

「マリーに持っていてほしいんだ。僕をこの世界に招いてくれた、君に。アニムスフィアの末裔に」

「――・・・!」

「君はほら、マスター適正が無いこと随分気にしてたからさ。形だけでも、ソロモンのマスターっぽくなってるみたいで、気が紛れるというか・・・あはは・・・」

「――貴方を縛る気はないわ。でも、貴方が言うなら預からせていただきます。ただし!」

「!?」

「――これは人理修復が終わったら返すから。必ずそこにいなさい。いなくなったら絶対に許さないから!良いわね!」

「・・・はい!皆で、頑張りましょう!!」

「えぇ、皆で!」



《魔神王ゲーティアとやらは恐らく魔神の集合体だ。撃破するには上から完膚なきまでに叩き潰すか、奴等の結合を解除するかのどちらかとなろう》


――本拠地に乗り込み、本拠地ごと消し飛ばすか・・・何らかの方法で結合を解除するかですね


《恐らくロマンは『指輪を天に還した』逸話を昇華させた宝具を持っている。――恐らく、自らの総ての完全消滅であろう。それをさせたくなくば・・・》

――自分と王の、奮闘次第と言うわけですね。――やります。やってみせます。・・・あぁ、きっと

《む?》

自分は、きっと

――『彼が消えてしまう』という未来を変えるために、ここに来たのかもしれません・・・

《それは違う。お前の旅路は、あくまでお前のものだ。『ヤツを救うためにお前が奮闘するのではない』。『お前の研鑽と旅路の果てにヤツが救われる』のだ。そこを間違えるな。――お前の総ては、お前のものだ。『エア』の意味、間違えるなよ》

――はい!行きましょう、英雄王!

(ボクもいるよ!一緒にいこう!)

うん!行こう!誰もが望む結末に向かって――!!




ロマンの自室



「じゃあ、改めて」

「はい。――今まで、本当にお疲れ様でした」


「――来てくれてありがとう。砂漠の果てより来たりし、僕の永遠の女王よ」
「――身に余る光栄です。真なる智恵の覇者、私のかけがえのない、大切な王――」

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