人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ニャルラトホテプ【ご飯だぞ】

アザトース【あー】

ニャルラトホテプ【点滴変えるぞ】

アザトース【うー】

ニャルラトホテプ【電気消すぞ】

アザトース【あー】

ニャルラトホテプ【……………】

『キチガイレコード』

【あー】

ニャルラトホテプ【一生聞いておけ、クソが】

【あー】



クトゥグア【ばーかばーか!人間なんかに私が殺せるもんか!あいだだだだだだだ!痛い!痛い!?なんで!?】

ナイア「痛みは感じる。知性もある。よし、完璧ですね」

【や、やめろ!神は不死だ!死なないんだぞ!?】

ナイア「ご安心を。──死にたくなるようにしてあげます」

【ひぃい…!?】


遥かなる銀河の海で

『ブラックホール砲、発射します。乗客の皆様はそのまま席を立たずにお待ちください。繰り返します。ブラックホール砲を発射します。乗客の皆様は…』

 

「はー、車掌さんも思い切ったねぇ。まさかいきなり徹底抗戦だなんて!やるぅ〜!」

 

「株主様であるあなたがご乗車している以上、決して不備や不覚を齎すわけにはいきません。銀河鉄道に与する者、断固としてこれに抗います」

 

メーテルの強き決意に頷くマイノグーラ。車掌め、張り切っちゃってー♪だなどと軽口を叩く彼女であるが、その敵対者から余談はそうそう許してはくれない事を冷静に分析する。

 

 

「アザトースに、クトゥグア。私達の界隈の中でもとびきりの異端者とはみだしものが来たもんだー…」

 

「アザトースとはニャルラトホテプ様の上司、クトゥグアはニャルラトホテプ様の敵対神性と聞き及んでおります」

 

メーテルの言葉にうなずく。他神話的に言えばゼウス、ヴィシュヌ、オーディン辺りのビッグネームなのだが、それを信仰していることこそが異端である事を彼女は説明する。

 

「アザトースは白痴を患っている神。その神性に信仰をいくら奉じようと決して応える事はない。何故なら自分に信仰を向けられていることを理解していないから。あいつは常に、自分に向けられた音楽を聞かされながら微睡んでいる。それだけの神様なのよ」

 

かの神を信仰しても無駄である。痴呆者にまともな恩恵を与えることが無いように、アザトースは自身への信仰を理解しない。それ故、まともな応対など望めず望むべくもない相手だ。それをこうして信奉するは、その名を借りて好き勝手行う輩か、筋金入りの狂信者のみだとマイノグーラは断じる。

 

「あいつも直属、なんて聞こえはいいけどねぇ、実際は末期の病人の介護と何も変わらない連日連夜のお世話なんだからそりゃあ逃げたくもなるでしょ。ま、あいつが起きたら宇宙の一つは消える…なんて可能性もあるけど、起きないから。あいつ」

 

「なんと…では、クトゥグアを信奉する方々は一体?」

 

クトゥグアとは生ける炎でありニャルラトホテプの敵対者である。ニャルラトホテプの地球における住処を焼き払うなどその関係は険悪そのものであり、それらは当然ニャルにとっての敵なわけだが…、マイノグーラはあっけらかんと答える。

 

 

「クトゥグア、最近死んだって噂が流れてる。狩人に、ニャルラトホテプが雇った腕利きのハンターに狩られた…ってね」

 

「なんと…!神を殺しうる狩人など存在するのでしょうか…」

 

「そこが眉唾で、実際にニャルに聞いてみようと思った部分でもあるのよねぇ。ニャル程でなくてもれっきとした神。そんな神を単身狩れる狩人なんているはずがない…とは思うんだけど。ある日からクトゥグアの支配領域がみるみるうちに縮小しているデータもある。もしかすると…ただの噂じゃないかもね」

 

振動に揺られながら、パソコンをメーテルに提示する。宇宙における信仰シェアが、ニャルラトホテプとクトゥグア両者のグラフが極めて低迷していることを示している。他にはハスターがいるのだが、その信仰シェアは高くありながらも全く互いに干渉していない。

 

「シュブニグラス、ヨグソトースもどういう訳か静観しているし、外宇宙神性は今不気味かつ極めて静かな均衡を保っている。これは一体何を意味しているのか…」

 

「嵐の前の静けさ、という可能性もあるのでしょうか?」

 

「そうかもしれない。近々、銀河や宇宙の命運を左右する事態が起きる予兆、或いは前触れ。この世界に、大きな変革が近付いているのかも…わっ!?」

 

瞬間、車内に伝わる激震。それは明らかに、ダメージを負った類の振動だ。それを裏付けるように、慌てた車掌の放送が響く。

 

『ブラックホール砲、破損!ブラックホール砲、破損!安全の為、乗客の皆様は後部座席に避難してください!繰り返します!乗客の皆様は…!』

 

「あちゃー、なんだかやばそー。木っ端組織にしちゃ中々気合入った連中じゃん…?」

 

「こちらへ、マイノグーラ様。我々は命を懸けてあなたを御守りします…!」

 

メーテルがマイノグーラを制するように前に立つと、前方より覆面を被った集団が大挙しやってくる。当然、乗っていた乗客といったものではない。

 

「マイノグーラ…会長役職のマイノグーラで間違いないな」

 

「御名答ー。銀河鉄道の一番えらーい人でーす」

 

その軽薄な答えと同時に相手を洞察する。白き出で立ちと紅き装束。互いが信奉する神を有していることは明白だ。さしずめ、過激派と言ったところだが。

 

「一緒に来てもらおうか。そうすればこれ以上手荒な真似はしない」

 

「ダイヤ乱しまくって何を言っているんだか。数分列車を止めただけでも請求される損害賠償はエライことなのよ?あなた達みたいなテロリスト崩れに支払える額じゃないんだから」

 

「無駄話をする気はない」

 

合図と共に、部下たちが銃を突きつける。それはマイノグーラでなく、メーテルへと向けられていた。

 

「神に連なるであろう貴様はこんなものでは死ぬまいが、そちらの女はどうかな?銀河鉄道の看板の一つ、メーテル」

 

「……!」

 

「その女が死んだとなれば、我々の脅威は広く知れ渡るだろう。同時に、銀河鉄道の使用者は激減する。我々にとってこの取引は、利益しか齎さない訳だな」

 

「ちっ、無敵の人はこれだから…」

 

「いいでしょう。撃ちなさい」

 

テロリストの要求に舌打ちするマイノグーラだったが、メーテルは毅然と立ち向かう道を選んだ。一歩一歩、テロリスト達に歩みを進めていく。

 

「遥かな宇宙を征く以上、このような荒事は覚悟の上。我々は決して、あなた方のような下劣な輩には屈しません」

 

「メーテルっち…!」

 

「おやりなさい。例え私の体をその銃で撃ち抜こうと、我々の誇りは決してあなた方には折ることは叶いません。それを身を以て思い知るのです!」

 

「この女…!」

 

美麗ながら、その気迫は宇宙に誇らしげに咲く一輪の華そのものだ。銃口が額にぶつかるほどに近付きながらも目線は逸らさない。半端な覚悟で気圧されるのはテロリスト達の方だ。

 

「なら望み通りにしてやる!死ね、メーテル!!」

 

「いけない…!」

 

流石にメーテルの死を見逃す訳にはいかない。彼女は銀河鉄道において誇り高き導き手。迷えるもの、行く手を求めるものの手を取るのがメーテルだ。彼女の損失は、全ての銀河鉄道の損失するのすら上回る。

 

(ちょいとグロめだけど、子供ら呼ぶか…!)

 

そう、決心したその時だった。

 

「──女性に対し下劣な振る舞いをする輩め。恥を知るがいい」

 

「なっ!」「ぐわあっ!!」

 

瞬間、重力サーベルの軌跡が閃き瞬時にテロリスト達が倒れ伏す。その剣閃に、瞬く間に形勢を逆転される狼藉者たち。

 

「えっ…!」

「なっ…!」

 

「重力サーベルの閃き!まさか貴様は…!」

 

「ほう…少しはものを知っているか。この剣閃、この剣技に覚えがあるか」

 

素早く喉元に突きつけ、謎の女性は静かに告げる。

 

「失せろ。この剣を見知るなら、忠告を無視した際に齎される結末は解るはずだ」

 

「くっ…おのれ…!」

 

分が悪いと判断したか、速やかに撤退するリーダー格。

 

「あ、あなたは…」

 

「気にするな。ただの通りすがりだ。──あの紋章、掲げたからには黙ってはいられん」

 

女性が指すは、テロリスト達の艦首。そこには、海賊めいた髑髏がありありと掲げられていた。

 

「我等の誇りを貶めた落とし前…速やかに付けさせてくれる」

 

素早く走り去る。そう、愚かにして不条理にも、彼等は逆鱗に触れたのだ。

 

──誇り高く、海原を行く者たちの逆鱗に。

 




?『全く無茶をするなエメラルダス!単身飛び込んで行くとは!』

?「困難の只中であれ、見かけた鉄火場には飛び込んで見るものだ。現状維持を打開する為の鍵がきっとあるだろう」

『そうだといいがな。相手はどうやらたちの悪い強盗らしいぞ!』

?「どんなものであれ、我々に立ち塞がるものなら蹴散らすまでだ」

『やるんだな、──ハーロック!』

キャプテン・ハーロック「あぁ。──アルカディア号、全速前進!ダイヤを汚す鼠どもを駆除するぞ!」

乗組員「「「「「了解!!!」」」」」

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