人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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車掌『というわけで大変なんです!ニャル様、お助けー!』

ニャル【すぐ行く!…が、間に合わないな…!個人的な友人を派遣する!】

『お願い致します!』

ニャル【あ、もしもしゾフィー?助けてくれる?】



エメラルダス「………」

メーテル「あ、あの…」

エメラルダス「先に言うが、初対面だ。初対面だぞ」

メーテル「は、はい!」

マイノグーラ(誤魔化し下手かぁ〜?)


信念と狂信の交錯

「アルカディア号、全速前進!」

 

誇り高き宇宙海賊、キャプテン・ハーロックの号令の下に髑髏を掲げた海賊船、アルカディア号がその艦体を真正面からテロリストの母船へと真っ直ぐ突撃させる。

 

「馬鹿め、真正面からやってくるとは!撃ち落としてやれ!」

 

テロリスト首謀格の怒号もそれに呼応し、迎撃を開始する。平穏に仇なす者たちなだけはあり、備えは万全と言った所だ。それは小規模ながら、艦隊戦へと突入する。

 

『敵はこちらより多いぞ!あまり油断はするなよ!』

 

「烏合の衆ならば、蹴散らすまでだ!カノン砲用意!全砲門、前方に展開!」

 

親友、トチローの言葉に応えながら操舵輪を回す。髑髏を掲げしアルカディア号が猛進し、戦火飛び交う中敵船へと真っ直ぐ、ひたすら直進を選択する。前以外に進む道がないと言わんばかりに。そしていよいよ、戦火が交錯する。

 

「な、何ぃ…!?」

 

その僅かな交錯で、テロリスト達は海を誇りを以て往く男達の強さを思い知る。テロリスト側の攻撃は、ハーロックの神懸かりな操舵によって紙一重や皮一枚でやすやすとかわされ、返す刀のレーザーカノン、ミサイル、カノン砲は取り巻きを含め次々と直撃し、たった一隻で数を着実に減らしていく。

 

「何をしている!敵は向かってくるのだ、なぜ当てられない!」

 

「う、撃つ前に避けてやがる!なんて精度の高い予測だ!」

 

「あの武装、現代の兵装なのか!?パワーが違いすぎる!」

 

突如現れた、あらゆる意味で自分達の上を行く海賊。指揮系統はそれに習い大混乱に陥る。その隙を、ハーロックは決して見逃さない。

 

「敵は浮足立っている。追撃しろ!道を外れた輩に情けをかけるな!狂信ならば尚の事だ!」

 

あらゆる練度、あらゆる覚悟、あらゆる決意が違う。ハーロックとトチローを名乗るアルカディア号の乗員、一人ひとりの結束。それらが全て、海賊の誇りを掲げた者たち。

 

髑髏の印が死に場所の証。明日死ぬとも知れぬこの暗き海を渡り歩いて培われた絆と覚悟は、ただ他人を傷つけることしかできない世迷の輩に遅れを取ることなどあり得ない。その信念を表すように、怒涛の猛攻は続く。

 

「み、味方艦残り我々のみ!正体不明の海賊船、尚も接近!」

 

「なんという事だ…!何、さらに突撃だと!?」

 

もはや対空機銃すら直撃するレベルまで肉薄するアルカディア号。あわや追突と言うまでの領域にまでハーロックは接近する。

 

「奴を直接叩く…!トチロー、アンカーを出せ!」

 

『気をつけろよ、ハーロック!』

 

阿吽の呼吸で、艦体を直撃追突コースから僅かにそらしすれ違う角度にて調節。そしてそのまますれ違った瞬間にアルカディア号からホース状のアンカーが敵艦橋付近に叩き込まれる。

 

「うぉおぉおっ!!」

 

「奴め、自らが出向くと言うのか…!」

 

敵リーダーの予想通り、大胆不敵にもハーロックは単身、重力サーベル片手にブリッジへと乗り込む。テロリストといえど艦を動かす以上、それなりの数はいる。一人では無謀、という程の多寡の差を前に、ハーロックは佇む。

 

「艦長自ら首を差し出しに来るとは。貴様の首を我等が神に捧げてくれる!」

 

「……」

 

「殺せ!」

 

瞬間、無数の敵クルーがハーロックへと襲い掛かる。荒事は得意なようで、それぞれが得物を持ち、彼を切り裂かんと迫りくる。

 

しかし。

 

「はっ!」

 

たった一振り。ハーロックのその一閃にて、無数に犇めいていた敵クルーたちは一瞬で切り捨てられ、その場に倒れ伏す。それは武力においても達人クラスのハーロックの、露払いにも満たぬ決着。

 

「な、何…!?」

 

「お前も男であるならば、己の道は己で切り拓いてみせろ」

 

静かにサーベルを突き付け、リーダーを挑発するハーロック。それを受け、リーダーは刃を抜く。抜かざるを得ない。

 

「いいだろう…!我が信仰、思い知れ!」

 

「!」

 

ぶつかり合う白刃。リーダーを務めるだけあって先の雑魚たちよりも剣戟は鋭く、ハーロックと一撃、二撃の斬撃を交わすに能う。

 

「我等が神の復活、邪魔立てはさせぬ!」

 

「信仰か。確かに海を生きる者に信仰は必要だ」

 

鍔迫り合いを演じるリーダーに向け、ハーロックは静かに告げる。宇宙においても海においても、敬虔な心は不可欠だ。大海原という巨大な生き物は、人間のみが踏破するにはあまりに強く、大き過ぎるが故に。

 

「だが、それは狼藉蛮行の免罪符にはならん。信念とは刃にするものではない。己が胸に灯し、燃やすものだ!」

 

「ぬうっ…!?」

 

その気迫に気圧されたリーダーが、刀の圧力に圧され体勢を崩す。瞬間、腕ごとサーベルを叩き斬るハーロック。

 

「ぐわあぁぁぁぁっ!!」

 

「無秩序の報い、受けるがいい!」

 

そのままハーロックは重力サーベルを突きつける。その切っ先はビームを発射できる作りとなっており、一発の光条となってリーダーの眉間を正確に貫く。

 

「が……」

 

静かに倒れ伏し、屍となるテロリスト達。わずか数分の交戦ながら、その実力差はあまりにも隔絶していたが故の瞬殺。

 

「…どのような信仰であろうと、弱者を踏み躙る事を是とする神がいるものか」

 

そう言い残し、無人となった艦橋を後にするハーロック。チューブアンカーを伝い、アルカディア号へと帰還する。

 

『ハーロック、やったな!』

 

「あぁ。だが…喜んでもいられん。残りのエネルギーも僅かになってしまった」

 

『だから言ってるだろ、やったなって!最低限の航行燃料まで絞り上げてしまったな…』

 

「……残った僅かな食料を惨めに食いつなぐより、誇りと信念を護るために費やす。それもまた、有意義な使い方だとは思わんか?」

 

『物は言いようだな。これで状況が好転しなかったら、めでたく俺達は遭難だぞ?』

 

「……」

 

『ハーロック?』

 

「…後は野となれ山となれ、だ」

 

腕を組み、操舵輪によりかかるハーロック。そう、彼等もまた、迷い人であるのだ。

 

『時空の歪みに巻き込まれやってきてしまったこの場所は、どうやら過去の宇宙らしいぞハーロック』

 

「そのようだな。相手の武装がやや古く感じられた」

 

『となると、艦隊の修理どころかエネルギーの確保も難しそうだ。でも、どこであろうと銀河鉄道999は美しいな』

 

「そうだな。…どうやら要人も抱えていたようだ」

 

『こちら、エメラルダス。安全を確保した。ハーロック、銀河鉄道の株主が話をしたいようだ』

 

エメラルダスの通信により、仰天するトチロー。

 

『とんでもないのが乗っていたな!?』

 

「…どうだ。言ったとおりだろう」

 

『まさかお前、こんな棚からぼたもちを海賊の勘、とか言うんじゃないだろうな?』

 

「…………」

 

『図星だったのか!』

 

「ともかく、話を聞こう。進退窮まった時、物を言うのはやはり人とのつながりだ」

 

『はぁ…まさかとは思うが、お前もヤケになっちゃいないだろうな。ハーロック…』

 

頼れる相棒にして艦長の、いつになく無軌道な物言いに呆れながらも、アルカディア号を静かに曳航させるトチローでしたとさ。




エメラルダス「紹介がまだだったな。私はエメラルダス。涙を知らぬ女と言われている」

メーテル「…姉さん?」

エメラルダス「!!」

「あ、すみません。似ていたもので。もうずっと行方もしれなくて…」

ハーロック「不思議な事もあるものだ」
トチロー(誤魔化しはもっとうまくやれ!)

マイノグーラ「助けてくれてありがとう!私はマイノグーラ、銀河鉄道の株主やってます!助かっちゃった!」

ハーロック「ハーロックだ。…株主、権力者だな?」

マイノグーラ「まぁね!」

「助力を乞いたい」

マイノグーラ「異なる時間から飛ばされて、エネルギー枯渇寸前浜辺のクジラ、ってとこ?」

ハーロック「………そうだ」
(何者だ、この女…)

マイノグーラ「じゃあ行くしかないわね!私達で!状況打開の為のキーポイント…地球へ!」

ハーロック「地球…」
トチロー(やっぱり、そうなるか…)
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