人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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地球衛星軌道上

ハーロック「地球…それも、過去の地球か」

トチロー(どうやらまだ宇宙航行手段にも乏しい時代のようだ。それにしてはあの機械や金属生命体、光の巨人まで集結している星になっている。どうなっているんだ?)

ハーロック「簡単な事だ」

(何?)

「誰もが惹かれるのだ。あの美しき蒼き星に…」

(ロマンチックな観点だ。リアリティな問題もスマートに行けばいいが)

「それは、これから次第だな」

(だな)


善の天文灯台

「銀河鉄道999、並びにアルカディア号とその随伴者の皆様。ようこそカルデアへ。歓迎致します」

 

暗き宇宙から、なんの因果か蒼き地球へと帰還したハーロック達。警備も何もない宇宙外来者からの来訪経験に乏しい昨今の現代だからこそ、海賊のハーロック達がスムーズに入港できたのは結果オーライと言えるだろう。当然、応対は所長であるオルガマリーが行う。

 

「ハーロックだ。アルカディア号の艦長に就任している。まずは困窮していた我々を保護してくれた事に感謝する」

 

「人間として、困っている人間を助けるのは当然の行いです。そして我々カルデアは、あなた方を懐柔するつもりも自由を侵害するつもりもありません。ガソリンスタンド、パーキングエリアに来たものと考えお気楽にどうぞ」

 

海賊としての、誇りの線引はかつて来訪したゴーカイレッドやスペースイシュタル等の一連でノウハウを培っている。まずは互いの線引を明確化し、スムーズな取引を行うオルガマリー。

 

(やり手だな。若いのに大したものだ)

(うむ。世界を救うという大志、懐くに相応しい存在だろう)

 

「よろしく頼む、オルガマリー所長。早速だが、本題に移ろう。我々は時空の歪みに巻き込まれ未来からやってきた。その際、我々の艦船はエネルギーや整備がままならぬまでに疲弊している。出来ることならば快復に助力を請いたい。それさえできれば…」

 

「面倒事に巻き込む前に我々は立ち去る。感謝と恩義を置き土産にな」

 

「解りました。カルデアは、あなた方への協力を惜しみません。宇宙規模の隣人にも協力を仰ぎます。必ずや再び、冥き空へと飛び立つことが叶いましょう」

 

オルガマリーは即諾し、握手を求める。それに、ハーロック、エメラルダス、車掌が続けて応じ取引は無事に成功、受諾となる。

 

(手助けに迷いがないな、この組織は。仮にも海賊、怪しいとは考えないのだろうか?)

 

(私腹を肥やす政治家崩れや名声目当ての俗物とは一線を画す様だ。善意を灯りに照らす灯台…幸運はやはり巡るな、トチロー)

 

(あぁ。この厚意に預かるとしよう、ハーロック)

 

「すまない、メーテル…銀河鉄道の面倒もどうか見てやってはくれないだろうか?あれは、…その」

 

「無論です、ミス・エメラルダス。銀河鉄道はニャルとの友好関係を結んでいます。どうぞご随意に」

 

「ありがとう。心から感謝する」

 

(あちらもあちらで親愛が隠しきれていないな…)

 

(野暮は言うな。涙は知らずとも、温もりは忘れぬというものだ。夫冥利に尽きるな?)

(よせやい。俺なんかには勿体ないのは一番俺が解ってる)

 

「それでは、カルデアのマップと端末をお渡しします。どうぞごゆるりとなさってくださいね」

 

これが、契約にして関係の締結の一連である。ハーロック達はここでしばし、自らの世界に帰還する道筋を頼る事となるのであった。

 

一方、銀河鉄道サイドでは様々な出会い…或いは再会が齎されていた。件の邪神の従姉が、ニャルに会いに来たのだからそれは普通に終わるはずもなく。

 

 

【来てくれたか、姉貴殿。歓迎しよう。ようこそ、素晴らしき人間の集い、カルデアへ】

 

【うむうむくるしゅうない!ニャル小僧の娘達よ、マイノグーラおばさま、おばちゃまと呼んでくれたまえ〜!仲良くしてくれたら嬉しいぞー!】

 

カルデア食堂にて展開された細やかな歓迎パーティー。その只中にあるマイノグーラが朗らかに声を上げる。知る人ぞ知る邪神の従姉。その存在はやはり鮮烈なものだ。

 

【へぇ、ニャルに姉貴なんていたんだね。あたしはエキドナ。彼の妻やってます。よろしく】

 

【よろしくよろしく!うちのドブ色の脳細胞がお世話になっております末長くよろしく〜!】

 

【娘たち、あいさつしてやってくれ。こちら、ナイアにモア。端末内にはリッカちゃんのAI、ディーヴァもいる。ブイン・プランクブレーンにはマイサンもな】

 

「よろしくお願いいたします、おばちゃん様!ナイアです!」

「モアです!おじ様のお世話になっております!てゆーか養子縁組?」

 

【おぉ~!!我が従弟がこんな可愛い娘たちに恵まれるなんて〜!どうぞどうぞよろしくしてね娘たち〜!よくやったぞ〜ニャルニャル〜!でかしたー!】

 

(これがホントにニャルのお姉さん?明るいんだねぇ)

(そうなんですよルゥ様。どうぞ彼女もよろしくお願いいたします)

 

(うむ、くるしゅ〜ない〜)

 

【まーた家系図が面倒くさい事になるのぅ。わしなんか貴様の甥じゃぞ、甥。ニャルおじさんじゃぞ貴様】

 

【(腹が捩れるほど笑っている)お小遣い、渡させてくれるかいハスター爺ちゃん?】

 

そんな風味に和気藹々と過ごし、歓迎パーティーは続いていく。マイノグーラはいたくカルデアを気に入ってくれたようで、楽しげに一時を過ごしている様子が見て取れる。

 

【なんじゃ、せっかく従姉が来たのに一緒に飲まぬのか?わしとルゥでは代わり映えせんじゃろ】

 

「焼きモロコシ…焼きモロコシ!(しゃくしゃく)」

 

【いいんだよ。私が姉を招いたのは、娘や嫁さんと面識を持ってもらいたかったからなのだから】

 

ニャルには、家族にはどうしても与えられない血縁というものがある。それはニャルへの罰の一つ、決して変えられない血の繋がりだ。血よりも濃く娘や妻を愛している自負あれど、それは不文律なもの。

 

だからこそ、より近い縁を持つマイノグーラの関係を蔑ろにしてはならないと彼は気付いた。赤の他人ではない、隣人たる存在を愛せず本当の意味で家族を築けないと感じたからだ。

 

【貴様はなんというか、ナイア嬢から学んだ愛にどこまでも真摯じゃのう】

 

「醤油…醤油も…合う…モロコシ!(しゃくしゃく)」

 

【まぁな。まぁ?姉貴殿金持ってそうだし?カルデアへ資金提供してくれたりしないかなーって思っただけだし?】

 

「流石のトリックスターも、家庭にはたじたじになるのですなぁ!」

「いつものキレがありませんよ、ニャル様?」

 

そんな彼に問うのはメーテル、そして車掌。協力者のお陰でぶじやってくる事が出来たのだ。

 

「マイノグーラ様が連絡してくださり、暫く運休という事になりました。休暇を兼ね、少しカルデアに滞在いたします!」

 

「前々から、カルデアには足を運びたかったのです。どうぞよろしくお願いいたしますね」

 

【これはこれは。麗しきメーテルに頑張り屋の車掌。ようこそ、歓迎致します】

 

ゾフィー達は月の方で銀河鉄道やアルカディア号の吟味をしているため、こちらにはメーテル達がやってきたのだ。恭しく頭を下げるニャルと会釈するハスター、モロコシに夢中なルゥ。

 

「本当に、素敵な御家族をお持ちになりましたね」

 

【他者の幸福がそう見えるのは、心身ともに美麗な証。痛み入ります、メーテル嬢】

 

「なーにを気取っていますか。いつも自慢げにカルデアや家族を自慢しているのに今更!」

 

【勘弁してくださいよ車掌さん…一応ミステリアスキャラで通っているんですから…】

 

【敵にはともかく、味方で貴様を今更ミステリアスに見る輩などおらぬわ】

 

「うんうん。そう思ってるのはニャルだけ〜。しゃくしゃく」

 

【これは参った…。それでは甘ったれになったついでに、よろしければカルデアのご案内をさせていただきますか?】

 

「うふふ、それではお願い致しますね?」

「噂の楽園…!隅々まで御堪能したかったんですよぉ!」

 

【必ずや御満足いただけます。では、こちらへ…】

 

こうして、宇宙海賊に車掌達の滞在は決定することになる。きっと打開の手段は見いだせるだろう。

 

具体的には、次かその次かのお話の暁に。




マイノグーラ(それにしても…ここの世界の可能性の収束度合いが半端じゃないわ。地球という特別な環境とはいえ、ここは更に凄まじい。普通に考えてウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムが一同に介すなんてどんな時空よ?)


【…この時空には、どんな時空にも存在しない『何か』がある。…少しでも、把握できたならいいんだけど】

(外生生物に、この恒星資源を食い荒らされる前に…ね)

ニャル(悪いこと考えてそうな顔だな…)

マイノグーラ(あんたに言われたくないっての)

ハスター【何を睨み合っとるんじゃ、あやつらは】
ルゥ「マヨネーズも合う…モロコシ!(しゃくしゃく)」

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