「どうだ、辛くはないか。マシュ」
『スペシャルヒーリングカプセル『本当にすまない』』
「そのカプセルに入っていれば、肉体のコンデイションは最高に保たれる。それどころか身体に神秘を染み込ませ、新生すら叶うだろうよ」
『あ、ありがとうございます・・・!確かに、身体に力がみなぎってくるようです!』
「――こやつの出生、我がとやかく言うべきことではない。如何に生まれようが生命は生命。どう生まれたかよりどう生きるかの方が余程重要であるからな」
「うん。――ありがとう、ギル」
――どう生まれたかより、どう生きるかの方が・・・
・・・うん。やっぱり英雄王は、本当にカッコいい
「良いか、マシュ。これから長い時間を懸けて、お前の身体を造り直す。睡眠は八時間。その間このカプセルに毎日入れ」
『は、はい!』
「――この処置は、いつか貴様が戦いたくとも戦えず歯噛みする未来を砕くための物だ。まずはともあれ身体が資本。貴様の盾と同じくらい・・・とは言わぬが。せめて神代の肉体は身に付けるがよい」
『は、はい!ありがとうございます!マシュ・キリエライト。肉体改造に励みます!』
「うーん。こうしてみると・・・やっぱりマシュは健やかに育ってくれたなぁ・・・」
「――ロマン。気が緩むのはどうでもよいが何だその格好は。マギ☆マリの鉢巻きに法被。それはよい。何故よりにもよってソロモンの姿なのだ」
「いやぁ気が緩んじゃってさぁ・・・慌てて呼び出されたからついつい・・・ほ、ほら!こうしてればこんなドルオタがソロモンだなんて誰も思わないだろう?高度な戦略なのさ!うん!」
――な、なるほど・・・!流石ロマン、ソロモン!まさかそんなところまで計算を・・・!?これが、歴史に名を残せし智恵の覇者・・・!
(無垢い、尊い――(ひっそり消滅&復活)コホン、エア、エア。違うよ。コイツは控えめにいってバカなだけだから)
――えっ!?違うの!?
(うん。・・・しかしやるな、ギルのヤツ。・・・これなら最期のアレは大丈夫かもね。となると・・・よおし、希望が見えてきたかも!)
???
(エアの約束、絶対護るって事だよ)
――うんっ!
『身体が、私が・・・生まれ変わっていくみたい・・・これなら・・・もっともっと、皆さんのお役に・・・!』
それぞれの備え
カルデア、ダ・ヴィンチ工房
「資料をまとめました。師匠、確認をお願いいたします」
机に向かっていたオルガマリーが書き終わり筆を置く。三十枚程に綴られ、纏められたレポート用紙を纏めあげ、ダ・ヴィンチちゃんに手渡す
「はいはーい。じゃあ確認するよん」
パラパラとめくりあげ、ほう、やふーむ。などと言いながらオルガマリーが書き上げていたレポート用紙を閲覧する
――何を書いていたのかと言うと、だ
「はーい!おおよそ完璧といっていいだろう!人理焼却の発端、経緯、緊急時によるレイシフトの使用の正当性!おおよそ伝えるべき事は完全に伝え、伝わるだろう!よくやったね!」
「・・・良かった」
ほっ、と息を吐く
・・・そう。この資料纏めは、人理焼却を乗り越えた後に魔術協会、時計塔、聖堂協会、国会全てに、自分達の行いを正当だと主張する為のものだ
如何に自分達が奮闘していたのか
如何なる意志で自分達が戦ってきたのか
如何なる理由で、人理を取り戻すために戦ったのかを、資料で完璧に主張し、如何なる反論も許さぬよう、危害を加えられぬように、アニムスフィアの名の下に書き記したのだ
――それが、所長としての私の戦い
皆が戦い、私はその道筋と、結果を護る
いつか必ず、私達は世界を救うだろう
彼女たちなら、彼ならきっと果たすだろう。そこに疑いはない。確信がある
――だからこそ、自分は未来を見据えた戦いをしなくてはならない
ケチをつけてカルデアを奪おうとする輩を倒さねばならない
成果を認めず不当な要求をする輩を倒さねばならない
私利私欲で、彼女達が掴む奇跡を汚されないようにしなくてはならない
――そう、これは私にしかできない戦いだ
人理を救う皆を・・・護る、戦いなのだ
「理路整然とした文体、徹底した第三者からの視点の所感!連中もこれならぐうの音も出るまい。必ずこちらの言い分は通るはずさ!流石、よく頑張ったね!やっぱり君は私の弟子だ!最高のね!」
「ありがとうございます。まぁ、当然ですよね?万能の天才の手解きなんですから」
フフン、と胸を張る
――そうだ。マスター適正とか、他人の目線なんてどうでもいい
そんなものより・・・私にしかできない事をする方が大事で、大切だ
「でも・・・理屈で納得しないのが人間であり、欠点かつ美徳だ。もし、これらを読んでも『それがどうした』として強引な手段を取られたらどうしよう?」
――あぁ、それなら決まっている
「それはこちらにあります。あまり褒められた手段ではありませんが・・・」
ピラリ、と用紙をダ・ヴィンチに渡す
・・・そんなもの、とっくに考えてある
説明は果たした。こちらの誠意は尽くした
それで納得しないと言うならば――
「んん?何々?『この説明に対し、強硬、あるいはこちらが不利益を被るような選択をそちらがとった場合、アニムスフィアの成果、カルデアスは所長責任の下、魔術協会、時計塔、国連。あらゆる人類の手より訣別し、『人理』の観測を果たす使命の下永遠に稼働を果たすことを宣言する。尚その所在は、万物の裁定者に譲渡するものとする』・・・なるほど!大きく出たねぇ!」
・・・そうだ。カルデアスが、皆が、下らない思惑に晒され危機に陥るぐらいなら
『人類の手からカルデアスを訣別させる』。魔術協会、時計塔、国連。・・・勿論自分の手からもだ。そして、その使命と命題を永遠に果たす、一つの自動機構に変えさせる
・・・要するに、『文句があるならカルデアスは誰にも渡さず、人類から没収する』ということだ。あらゆる外界からシャットアウトする。今がそんな状況なのだ。特に不都合が無いのなら継続しても問題はあるまい
――そして、アニムスフィアの集大成は、彼に託すことにする
英雄王、万物の裁定者。ギルガメッシュ
彼にアニムスフィアの『宝』を捧げるのだ。彼ならきっと・・・この地上のどんな生物よりも正しく、カルデアスを使って、護ってくれるだろう
彼になら、安心して・・・私の総てを捧げられる
――重いと言われるだろうか。下らないと言われるだろうか
でも・・・私は、彼を信じている
彼の・・・人類を見定める在り方を信じている
私利私欲に使われるくらいなら・・・その責務の助けに、カルデアスを使ってほしい
それなら報われる。アニムスフィアの願いは果たされる
だって――あのきらびやかな財に、カルデアスが迎えられるなんて。あの王に、財と認められるなんて
これ以上の栄誉は・・・無いのだから
「あはははっ!奴等は目を丸くするだろうね!こんなに強気に出られたらどう対応するのやら!」
「もう彼等の援助や助けなど必要ありません。ギルという最高の協力者を得られた以上、人間の思惑など無用のものです」
「彼は最後までカルデアにいてくれると言ってくれたからね!名実ともに最高のオーナー兼スポンサーだとも!」
「――本当ですか!?」
ギルがいてくれる・・・!人理修復後も、自分達を支えてくれる・・・!?
「おや?君もそのつもりで書いたんじゃなかったのかい?この強気な文はさ?」
「い、いえ・・・期待半分というか・・・」
「あはは!全くいじらしいなぁ私の弟子は!でもいいのかい?君へのやっかみはすごいと思うよ~?『カルデアスを私物化した恥さらし』『アニムスフィアの汚点』なんてブーイングが来るかもだ」
――あぁ、それなら問題ない
「構いません。罵詈雑言、罵倒、末代までの恥、上等です。私は総てを受け止めます」
パシッと、拳を掌に叩き付ける
――私の大切な友達がするように
「だって――その末代と、罵詈雑言を飛ばしてくる人たちを救うために戦っているのですから。それくらい覚悟はしておくものでしょう?」
ニヤリと笑う
「続きはこうです。『文句があるならかかってきなさい。そちらが交戦という手段を取るならば、断固とした対応を取るまでの事。自らの正当性と権利、そして人類の宝を守護するために、私達は戦う。それを脅かすならば、人類を敵に回そうとも戦いましょう!』ってね」
そうだ
私達は戦う。立ち止まらない
この世界を救うために戦い続ける
それを阻むなら・・・人類であろうと屈するつもりはない
カルデアスは、彼以外に誰にも渡さない
「『言っても解らないなら、態度で示してやるわ!』・・・なんてね」
――私達の戦いは、そういったものなのだ
下衆な思惑なんて認めない
彼女達の旅路を汚すのは許さない
私の敵は・・・そんな奴等なのだ
「あはははっ!アニムスフィアは随分と乱暴になったものだ!いや、鍛えられたのかな?」
笑いながら、肩を叩かれる
「いいとも!しっかりバッチリ叩きつけてやろう!私とギルくんで、カルデアをバッチリ護るからさ!君は毅然と、宣戦布告をしてくれたまえ!」
「いや、あくまで説明責任を正しく受理されなかったらの話であって戦いたいわけでは。それに手早くスタッフの家族を保護しないと人質にされかねないし」
「あぁ、もちろん考えているとも!人理を修復したらきっちり回収に向かおう!あぁ――まさに、万全というやつだね!」
――そう
「私達の戦いは、人理修復の後にも続くのですから。――だから」
深々と、頭を下げる
「これからも、ずっとずっとよろしくお願いいたします。ダ・ヴィンチ師匠」
「もちろんだとも!私は今のカルデアが大好きだ!愛する弟子もいるしね、頼まれたって退去なんてしてあげないよ?」
不意に、ダ・ヴィンチがオルガマリーを抱きしめる
「私達は、ずっと一緒だ。これからもよろしく頼むよ?」
「――はい。師匠」
天才の抱擁を受けながら、オルガマリーはそっと呟いた
――こちらこそ。よろしくお願いいたします。師匠
「・・・では、師匠。リッカの所に行ってきます」
「うん?特訓かい?」
「あぁ、いえ。そうではなく・・・私の魔術回路のメインをすべて譲り渡そうと」
「おぉう!そうかそうか!」
――私の大切な友達に、せめてもの手助けを
「私は聖杯がありますから、魔力には困りません。もて余すくらいなら、全てリッカに」
「いよいよリッカ君に質も量も一流の魔術回路が備わるのかぁ!パンクラチオン、サムライソード、女神の祝福、自在な礼装!いやぁ末恐ろしいな、もう現代人じゃ敵わないんじゃないかな?」
「それくらいになってもらわなくちゃ困ります。彼女は――」
そう、彼女は――
「――私が認める、人類最高のマスターなのだから」
――あなたも同じ気持ちであるなら嬉しいです。ギル
だって・・・そうでしょう?
貴方のマスターが、世界で一番でない筈が無いのだから――
「・・・あぁ、そうだね。もうAチームにだって、彼女を一般マスターなどと侮れる者はいないだろう。だから――」
「はい。胸を張って言いましょう。彼女こそ、私達を代表するマスターであると!」
――自分勝手かしら?でも、大丈夫よね
貴女は、私達の期待くらい・・・大丈夫、って笑ってくれるわよね
――人類の未来を背負って、笑ってくれる貴女なのだから
・・・あ、でも
たまには、弱音くらい吐いたっていいのよ?
「では、行ってきます!」
「気を付けてね、弟子!」
少女は駆け出す
憔悴を越え、依存を止めた希望の華は
今、誇らしげに咲き誇る――
「はい、私の魔術回路の移植はおしまい。これで貴女はサーヴァントを6体、更に強力な魔術を使用できるようになる筈よ」
「ありがとう!・・・凄かった・・・♥」
「・・・ふふっ」
「あ、マリーも?」
「そうじゃなくて。・・・こうして、皆をサポートできることが、嬉しいの。もしかしたら、彼処で私死んでたかもだし」
「マリー・・・」
「ほら、シャキッとする。これで貴女は腕前はともかく、資質は間違いなく一流になったのよ。後はあなたの頑張り次第」
「うん!」
「頑張りなさい。――貴女は、私が認める、最高のマスターなんだから」
「うん!ありが――」
『監獄の景色』
「――!?」
「・・・リッカ?」
「ん?んん?・・・ううん。なんでもない・・・?」
「・・・大丈夫?顔色が悪いけど・・・」
「へーきへーき!大丈夫大丈夫!」
「話は終わった?全く。友達との話し合いなのにスイーツの一つもないって女子的におかしいわよ。はい、ショートケーキにチーズケーキ。二人で食べなさい」
「わーい!」
「ありがとう。ジャンヌオルタ」
「別にいいわよ。好きでやってるんだし。感想を聞かせてくれたらもっといいんだけどね?」
「美味しい!(あたまのわるいかお)」
「・・・マスターはこれしか言わないから・・・」
「あぁ・・・じゃあ、いただきます」
「召し上がれ。あ、ナプキンもあるから――」
「・・・リッカ?」
「――あ、れ」
「――マスター――!?」
「さぁ、パーティーの準備は整った!招かれたぞ、お前の光と闇を歓迎しよう!クハッ、クハハハハハハハハハハハハッ――――!!!」
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