グール【ぶへぁっ!】
【ナイアさんパース!】
ナイア「承りました。ホーム、ラン!」
グール【ぐへぇえっ!!】
ナイア「おや…」
魔力人員室
ナイア「成る程、ここでチェンジリングした方々から生体エネルギーを吸い上げていたのですね」
ニャル子【殺さずに利用していたのは賢明と褒めてあげましょう。しかし!その行為はギルティそのもの!チャキチャキ殺ってチャキチャキ解決させていただきましょう!】
グール【ぐ、ぐぬぬ…ぐ…!】
ナイア「聖杯を使用したのは悪手でしたね。特異点となったならばカルデアの領分。見逃すはずも無いのですから」
グール【ま、まだだ…】
ナイア「?」
グール【我等、地に伏せるばかりのグールにあらず!どのような手段を使おうとも、我等は我等の理想の国を作り上げる!神の手から逃れ、我等グールのみの理想郷を!】
ニャル子【成る程崇高な理念ですねぇ!不可能という点に目を瞑ればですが!】
グール【我々は…成し遂げねばならぬのだぁああっ!!】
ナイア「…!?」
ニャル子【なんだか豪華なコップ!用意していましたか!】
ナイア「何をする気ですか…!」
【集まれ!雑に処理され続けた我等同胞よ!魂を束ね、我等グールの悲願よ、今こそここに!】
グールは高々と聖杯を掲げ、シェルター内のグールの魂を吸い上げていく。魂とは高密度の情報物質であり、聖杯の容器を満たす中身となる。グールはそれらを吸い上げ、聖杯に吸収していく形となっているのだ。
【追い詰められた豚はジャッカルより凶暴と聞きます!ナイアさん、早急に始末しますよ!】
「えぇ、無論です!」
タナトスフォーム、フルフォースフォームと化した二人がグールにトドメを刺さんと迫りゆく。聖杯を好きにさせては、何が起こるかは未知数。ただのグールが使いこなせるような代物ではない。早急なる対処が求められるのだ。
【もう遅い!我々の無念、我々の悲願を思い知れ──!!】
だが、タッチの差でグールの魂を全て吸い上げた聖杯より、無尽蔵の魔力が溢れ出す。奇跡の再現をやすやすと叶えるのが聖杯、願望機たる本懐。それを手にすることができたなら、例え矮小かつ脆弱なグールであろうとも上位種の力を手にすることも可能であろう。ましてや、十分な供物を有するのならば
「くっ!」
【おおっとぉ!?】
それは最強クラスの実力を有するのナイアやニャル子すらも吹き飛ばすほどの威風。巻き起こす魔力はただのグールが放てる規模ではないことは明白。その存在は、奇跡によって引き上げられた事を示唆している。
【我等、種族の繁栄の為…!邪魔者は全て、排除する…!】
そこから現れたのは、見上げるほどに巨大なグールの集合体とも言える姿。筋骨隆々に、両手に棍棒を持った一般的イメージのグールを徹底的に突き詰めたかのような風貌。未知の恐怖の住人でありながら、そのイメージは狂気ではなく、単純なる凶暴さの側面が強い。
【追い詰められてパワーアップですか小賢しい!そんな虚仮威しが通用するものですかー!!】
「あ、ニャル子さん!」
フルフォースフォームと化したニャル子、構わず突撃。フルフォースフォームは彼女が思う最強の姿。相手に気圧されるような殊勝な存在ではない。
だが、聖杯とはカルデアの時空における奇跡の物質。カルデアにて手頃といえど、それは貴重かつ希少の具現であることに変わりはない。決して侮っていい存在ではないのだ。
【無駄な事だァッ!!】
【サラダバーッ!?】
なんとニャル子の飛び蹴りをあっさり掴み取り、振り回し、一撃をもって叩き落とす。当然ながら、普段ならばクリボーの如く蹴散らす筈のグールに攻撃を返されること自体が異常事態である。ニャル子、盛大に撃墜されるもバック転で距離を取る。さしたるダメージはないが、驚きの色が強い。
【なんですか聖杯って!こんなに劇的ビフォーアフターするなんてことあります!?偉いチートがあったもんですね全く!】
「こちらの世界では全ての魔術師が血眼になって求めようとしている物質なので…グールも使えばそれなりになるものなのですね…」
その強化は、ニャル子の一撃すらも防げる程の躍進ぶりであり別物である事は火を見るよりも明らかだ。ナイアとニャル子、共にグールと睨み合う。
【我々は、手にするのだ…!我等の安寧の地を、我等家族が安心して生きていける地を…!】
「…家族?」
ナイアはそのワードを聴き捉える。本来ならば狩る相手の戯言には耳を傾けはしないが、そのワードは決して縁遠いものでは無くなっているのだから。
【我等グールは地に潜むが定め…それを私達は変えるのだ!この力で!我々の安住の地を必ずや手にしてみせる!】
「……………」
(はっ!?これはボス戦あるある、敵のなんちゃって詭弁に耳を傾けてしまう心やさしい仲間の闇落ちフラグ!?)
ニャル子は地球文化を愛するので、そういった展開御約束にも明るい。敵の言葉に耳を傾けてしまうのは、後々の絆にヒビが入ることが往々にしてあるのだ。所謂闇堕ちを危惧する。
【駄目ですよナイアさん!こういった輩の戯言に耳を傾けては!敵と分かり合うなどフィクションです!後ろから刺される前にやるべきなのですから!】
おおよそヒロインや主人公が言っていい持論ではないが、ニャル子なりの精神鑑定をナイアへと向ける。一度友好的となれば面倒見が良いのはニャル子の本来の性格である。
「ありがとうございます、ニャル子さん。ですが、大丈夫ですよ」
だが、本人が言う通りグールの言葉にナイアは動じてなどいない。なぜならば、そんなものは狩人として生きる中でごまんと聞いてきたものだからだ。
「自分達の為に、誰かを傷付け利用した時点で情状酌量の余地はありません。家族の為に一丸となるのなら、子々孫々に至り一匹残らずあなた方を始末するのみ」
【おのれ、邪神の娘め!最早慈悲すら失くし我等以上の怪物に成り果てた様だな!】
「それはお互い様です。あなたに、父と母を入れ替えられたお子さんの心は永遠に解らないでしょう」
ナイアは冥府の剣を取る。そしてニャル子をそっと起こし、共に構える。
「力を貸してください、ニャル子さん。一瞬で決めましょう」
【あいよっ!です!】
【舐めるな、異星人どもがぁあっ!!】
グールの集合体は狂乱と共に武器を振るう。辺り一帯を破壊する暴虐の嵐を、二人は絶妙なコンビネーションで回避し、右へ左へ、床へ天井へとかわしていく。
「はっ!!」
【ぐぉおぉっ!!】
瞬間、ブーストにてナイアが急接近。タナトスの剣で、瞬時にグールの片腕を細切れに寸断し、返す刀でもう片方の腕も切り落とす。
【どわぁいしゃぁぁあぁっ!!宇宙CQCエンハンサー、私の真尋さんは宇宙一スイィイング!!】
【ぬおぉおぉお!!!?】
そして腕を失くしバランスを欠いたグールを、ジャイアントスイングで縦横無尽に振り回すニャル子。当然ながら、彼女は異星人な為力は満ち溢れている。
【ナイアさん!決めますよ!】
「承知しました」
ニャル子が高々とグールを放り投げ、ナイアが体に取り込んだ聖杯の部分に刀を投げ込み狙いをつける。刀が目印となり、どこを打ち込めばいいかは一目瞭然。
【今必殺の!ダブル!】
「ハンター…!」
【ま、待て…!】
「【キィィィィィィィック!!!】」
二人同時のライダーダブルキックが炸裂し、聖杯を突き貫き抉り取る。中枢を奪われたグールは、悶え苦しみ始める。
【ぐぉおぉおぉお!馬鹿な、馬鹿なぁあぁあっ!!】
【馬鹿なのは、身の程知らずにも私達のいる地球に手を出したあなた達グールですがね!】
「誰かの家族の大切さも知らないあなた方に、家族を語る資格はありません」
【何を、言う…!貴様の父は、遥か無数の命を、家族を、星々を奪ってきたろうに…!】
「そうですね。…それでも、私は父を愛していますので御心配なく」
【わ、我等の種族は永遠だ!グールに無限の繁栄あれぇえぇえっ!!!】
最期の断末魔を上げ、爆散していくグールの集合体。今更、父の罪などで愛が翳る筈もない。
【いやー、ナイアさんはぜんっぜんブレませんね!見ていて安心感すらありましたよ本当に!】
「死に逝く敵の世迷い言と、注いでもらった親心と愛情。どちらを信じるかなど迷うまでもありませんから」
(なーるほど、ニャルの一方通行ではなく、しっかりと通じ合った家族なのですね!私と真尋さんのお子さんも、ナイアさんのように育てられるように頑張らなくては!)
「?どうかなさいましたか?」
【あぁいえいえ、ちょっとした人生設計をしていただけですので!それでは戻りま…なぬっ!?】
「…!」
グールは滅んだ…そう思われた。
だが──聖杯はまだ、輝いていたのだ。
ニャル【この反応は…】
マイノグーラ【あらあら。ゴキブリみたいにしぶといと思ったけど…これは想像以上かも?】
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