人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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第七章が始まるので、早めに投稿致します。

攻略集中の為、水曜くらいはマテリアルになるかもしれない事をご了承くださいませ。

天界エレベーター

キラナ『たかーい』

ラマッス仮面「リッカちゃん、下を見てはいけないラマッス。もう地上からは1キロくらい離れたラマッス」

リッカ「う、うん!でも…大丈夫かな…私、天国入れるかなぁ…」

パパポポ『ご不安?なにゆえ?』

リッカ「いや、ほら、その。アンリマユとアジーカが半身なので…すっごいワルなので…」

パパポポ『悪い子だから門は開かないと?それは違うよ、リッカちゃん』

リッカ「違う?」

パパポポ『地獄に堕ちる輩とは【悪事を悪事と思わない者】や【悪を悪とすら思わない者】なんだ。それらは地獄の業火でしか罪を償わせられない。だからね、迷い、悔いたりする魂はキチンと天国に行けるんだ。大丈夫』

リッカ「そ…そうなん、ですかぁ…」

パパポポ『そう。まさに『天界に行っていいんかい』…なんちゃって』

リッカ「!?」

ギル《ふふははははははは!!》

ラマッス(傍で見守ってくださったギルが!?)
フォウ(やっぱギャグセンスとフットワークが軽いのが共通なのかな、最高神クラスって)

パパポポ『あ、見えてきた。天国の門だ。見張りはいないからフリーパスで行こう』

〜天国の門

リッカ「でかっ!!?」

ラマッス仮面「数百メートルはあるラマッス…」

パパポポ『父に応え、開け。天の門よ』

「「開いた!!」」

パパポポ『ようこそ。魂の行き着く場所、天国。偉大なる、千年王国へ』

パパポポが展開した固有結界、天国の全容が今明かされる──


天の座にて、聖夜は来たる。

「「おぉーっ!!」」

 

『わぁ…!』

 

パパポポに導かれ、天国…雲より高く空より遠い、黄金の空の果てへ続くエレベーターを昇り、重く荘厳な扉を開け、その先にある王国。最後の審判を潜り抜け、善き魂が導かれ千年の幸福を約束されし場所。

 

『ようこそ、天国へ。人々が祈りの果てへと至りし時、開かれる父の国へ』

 

パパポポが飛び立ち、その光景を導く。踏みしめられる雲の大地。虹を素材とした七色の架け橋。黄昏の、どこまでも突き抜けていくような晴天。神を賛美し、称える音楽が鳴り響き、輝ける光が暖かく照らし出すまさに至上の光景に、ラマッス仮面とリッカは感嘆を漏らし、キラナは静かに感激を表す。

 

『固有結界なので、四大天使もメタトロンもサンダルフォンも、ルシファーも不在だがそこは赦してほしい。ハトなる身では天国を現世に表すのが精一杯だったのだ。反省ッポ』

 

「精一杯????」

 

「一念鬼神に通ず。ハトさん天国を作る。何もおかしい事ではないラマッス。フォウ見て!雲のじめん!雲のじめんだよ!」

(覚悟とか特に関係無いよねやったよエア!)

 

『アフラ・マズダも仰っていました。唯一神の座たる天国は、神々が示す空間において並ぶ者なき素晴らしい風景であると。これは、とっても凄いものですね!』

 

『ご期待に添えられたようで何より。イエ…ロン毛の誕生日でもあるし、君達はサンタとしての私の仲間だ。天国フリーパス。では絶景写真スポットへ案内しようかな』

 

パパポポは飛び立つ。その光り輝く姿は黄金の空よりも眩く

、その白き身体は雲よりも清く、軌跡は虹の何よりも美しい。

 

『3人とも、追いかけよう!レッツゴー!』

 

「はっ!パパポポさんが飛んでいってしまうっ!」

 

「あまりの心地よさについ!フォウ!今が駆け抜ける時!」

(トロンベフォウにチェンジするしかないフォウ!行くぞー!)

 

パパポポは確かに神に連なるもの。しかし、その慈悲深さこそは確かなる在らんとして在る者。その自由さを、皆は静かに噛みしめるのであった。

 

 

『イチオシスポット、神が座る玉座。ここに座って写真を撮ろう』

 

「「畏れ多い!?」」

 

『神の御座の座り心地、覚えて帰ってね』

 

唯一神が鎮座する、神にしか赦されぬ至高天の中心の座。神たる存在の究極たる空間に軽いノリで記念写真を撮らせるパパポポ。ラマッス仮面は常に傍に在る王の魂と相談し座り方をご教授され、リッカはあまりの緊張に膝が笑いっぱなしである。

 

『そんなに緊張する事は無いんだよ。見なさい、キラナちゃんの堂々たる鎮座を』

 

『へーい』

 

『あんなふうに、アトラクションだと思って座ると良いよ。君達にはその資格がある。アフラ・マズダの御子、アンリマユの名代、そしてマルドゥークの巫女よ』

 

「そそそ、そう仰られましても…!」

「い、意を決してみるしかないラマッスよ。心頭滅却すれば顔まで御獅子。ここまでパパポポ様に言われて断ればそれこそ御無礼ラマッスので…!」

 

「え、えぇえい!ままよ!!」

 

光で編まれし形なき光の玉座。座る体勢ながらも、身体がふわりと浮かび上がり包まれているような感覚が満たしていく至極の御座にて、三人は写真を撮る。

 

『聖ジョージも写真にハマってたんだっけ。呼んでも良かったかもなぁ。まぁいいや、では笑って笑ってー。全ての命にー?』

 

『光あれー!』

 

(写真の掛け声それなんですねパパポポ様!?)

(凄いラマッス。キラナちゃんが完璧に対応しているラマッス!流石、流石はアフラ・マズダ様の暖かい教育を受けた御子ラマッス…!)

 

『ラマッスさん、リッカちゃん。光輪頭に乗せて座ってみてー』

『アフラ・マズダとアンリマユ、聖霊とバビロニアコラボ。これはバズる。一位は貰った』

 

「いかんこのままじゃ悪属性の私が死ぬぅ!!」

 

「うぅ…ギルがあの座に腰掛ける姿を見たかったラマッス…」

《気持ちは有り難いのだがな、エアよ。流石に神の座に我が座るは色々と揺らいでしまうのでな。立ち位置やキャラの問題だ、すまぬな》

 

やんちゃを咎める天使たちがいないこともあり、父のやりたい放題は続き、天界の楽器による演奏会や、天衣無縫の装束お土産屋に寄ったり、神のみが入れる泉に浸かったりと、天界ライフを存分に味わう一行。

 

「天国って〜…いいところですね〜…」

「人の魂が行き着く一つの終着点…。死の後がこんなに安らかならば、確かに人は救われるはずラマッス」

(あぁ〜)

 

『すや〜…』

 

『天の扉は常に広げられている。人は全て、此処に至ることが叶うのだ』

 

下界、宇宙…銀河系団や星々を見下ろす泉にて、一行はサンタ業の締め括りを行ったのだった。そこには、パパポポの純粋な労りによる施設開放がもたらした至上の幸福があった。

 

人にもたらすクリスマスは終わりを告げる。ここからは、自身の大切な人々と過ごすクリスマスが始まるのだ。

 

 

『では、皆。此度は我が足跡にお付き合いいただき、誠に感謝する』

 

天国を降りるエスカレーターの前で、パパポポは頭を下げる。彼はまだカルデアに正式に召喚された訳では無い通りすがり。正式な仲間になるのはもう少しだけ先の未来だ。

 

『数多無数の神の乱心と狼藉。バアルへの仕打ちや他神への愚かな行い。それを知ってなお君達は私を仲間に入れてくれた。優しき愛を持つ君達よ、ありがとう』

 

「こちらこそ。私は決して天国に招かれるようないい人間じゃないのに、優しく受け入れてくださって本当にありがとうございました!」

 

リッカは確信していた。この神は、マルタやゲオルギウス、モーセやジャンヌ、ユフィが信仰を捧げるに相応しき偉大なる父たる神であると。慈悲と愛に満ちた、偉大なる神であると。母との愛とはまた違う、強く背中を押す愛。雄々しく見守る愛の体現者であると。

 

『また会おうね。我が神、アフラ・マズダは…ゾロアスターは今変革を遂げようとしている。いつか、あなたの名を騙る何かが現れし時には。私達はあなたと共にカルデアへと訪れるでしょう』

 

キラナもまた、コーヒー牛乳を飲み終わり頷く。唯一神も、アフラ・マズダも善き秩序、よき調和を祈る神だ。真の邪悪を討ち果たす為にならば、共にカルデアに至ることだろう。

 

『リッカ。アジーカとアンリマユ…そして、セーヴァーを宿してくれてありがとう』

「キラナちゃん…」

 

『アジーカ…アジ・ダハーカの魂は無垢だった。精神と本能が邪悪そのものでも、魂は決して悪でなかった。その魂と力を、アンリマユと一緒に昇華してくれてありがとう』

 

そして、キラナは光輪を見せる。増やすことは出来ずとも、無限に分け与え増やすことができる善性の証明。

 

『この光輪は、いつかカルデアの善き人々に必ず。影はすでにカルデアにあるから、必ず私はそこに行く。アフラ・マズダの…善の使徒として』

 

「うん!待ってるよ、キラナ!アンリマユも、セーヴァーも、アジーカも、もちろん私も!」

 

『うん!今日は、とても楽しかった!』

 

キラナとリッカの姿は、アンリマユとアフラ・マズダの代理調停と言ってもいいだろう。かつてセファールに相対し、アナーヒターに後を託し滅んだ二者の神は、遠い未来で善悪を越え、手を取り合う事が叶ったのだ。それは今は個人間でしかないであろうが、きっと輪として広がっていくはずだ。天国にて、その触れ合いを見守る父はそう信じるだろう。人の心は、善悪を宿す神であるのだと知っているのだ。

 

『〜ポー、ポッポ』

 

ティアマトから天空と大地が切り裂かれた世界に、人を生み出した父は満足げに頷く。その光景こそが、人が確かに歩んでいる証であるのだから…───。




ラマッス仮面「うんうん。プレゼントを与える側も最後は幸せに。本当に、有意義な時間だったラマッス」

リッカ「何言ってるのラマッス仮面!今回の主役はあなたでしょ!」

ラマッス仮面「ほへ?」

キラナ『キラナのとくせいは… おみとおし!』

パパポポ『聖霊と一つになった今のパパポポならば、貴方の正体に至ることは容易いポッポ』

リッカ「こんな素晴らしい人達が揃ったのは、あなたのお陰なんだよ!…エア姫様!」

ラマッス仮面「ぁ───。〜〜…」

ラマッス仮面はもじもじと指をいじり、意を決して仮面に手をかける。最早使命は果たした。その上、この場に在りしは皆、偉大なる仲間達である。

エア「じ、実は…ラマッス仮面の正体はエアでした!あのあの、誤解しないでいただきたいのは騙す為や欺く為では決してなく、自身の為ではなく誰かのために動く決意と決心としてラマッス仮面を名乗っていたのであの、その!」

リッカ「むっふふふ、せーの!」

「『『お誕生日おめでとう!エア姫様!』』」

フォウ(大丈夫!皆わかってるから!色んな意味で!)

エア「フォウ…皆…」

ギル《あえて無言を貫いたが、存分に愉快な行軍であった。お前の成長、これからも期待するぞ。我が至宝よ》

「──はい!本当に…皆様!本当にありがとうございました!」

…こうして、エアの心からの笑顔を以てクリスマスは迎えられる。

彼女は、確かに与えることが出来たのだ。たとえそれが、バレバレの仮面を被ったがむしゃらであっても。

仲間達に、地獄の悪魔に、七大魔王に。…その在り方で、笑顔をもたらすことができたのだ──。

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