人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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Uオルガマリー『デュワッ!』

Uオルガマリー(挨拶するのはいいけれど、これよく考えたらあれだけの個体値の藤丸を有するカルデアの偵察するのに絶好の機会じゃない。大統領は些細なチャンスも逃さないわ!)

Uオルガマリー『人間は寿命が短いくせに、歳を重ねることを喜ぶよくわからない一面を持つわ。その矛盾を知れば大統領として支持率アップ間違いなしね』←ここらへんにいます

リッカ「オルガマリー!マシュ!部員さん時空時間あけおめー!」

マシュ「あけましておめでとうございます!姫始めは受けて立ちますよ、先輩!」

オルガマリー「あけましておめでとう。まぁ大分時間軸は違うけど、職員の慰安の一環…という事で楽しみましょう」

Uオルガマリー『なるほど…地球におけるUオルガマリーはカルデア所長でもやっていける、と』←ここらへんにいます

(楽園カルデア、迂闊ね!抜き打ち視察させてもらうわ!)


エルキドゥ「なんだいアレ」
ギル「放っておけ、オルガマリー(大統領のすがた)よ」

──大吉ー!
フォウ(ボクもー!)


年始、地球大統領視察の一幕

「気がついたらもう5年もカルデアで過ごしてることになるのかー。なんだか何もかもあっという間だね。時が加速してるよこれー」

 

「光陰矢の如し。あっという間という事は充実した日々だということよ。カルデア所長として、無味乾燥な人生をあなたたちには容認しないわ」

 

「私は先輩と出会ってから毎日毎日がハッピーです!ハッピーです!!」

 

『へぇ…。こっちでは藤丸やマシュとなかよしなのね。流石は私。人心掌握術やカリスマを以てして竹馬の友を得ているのね。大したものだわ。流石は私(二度目)』

 

挨拶は済ませたが、正月の行事にいそしむカルデアの面々が気になったので帰らず姿を隠し人間の文化を視察することにした地球大統領。巨大な角を光学迷彩で隠し、こっそりとステルス活動を担う。

 

地球人類のアイコンとして、全く同じ顔をしたオルガマリーに狙いをつけ尾行を開始している。自分の平行同位体たる存在が充実した対応を受けていることにはにっこりである。地球大統領にっこり。

 

「おみくじ、引きましょうか。これから夏イベントやサタンとの決戦も控えているし、担げるゲンは担いでおきましょう」

 

「「はーい!」」

 

『ゲン?担ぐ?…なるほど、正月においても熾烈なトレーニングを行うというわけね。あの雷速で動くリッカとやらの肉体はそうやって作られるのね…』

 

大したものだわ、楽園カルデア…。ひょこひょこと後ろを付いていくUオルガマリー、リッカらの御神籤引きの現場を見据え拝見する。如何なるトレーニングであるのか、目を凝らし…

 

「やりました先輩!大吉です!先刻グランドシールダーの名を与えられ運を使い果たしたと思っていましたが!私はまだまだ先輩のお役に立てそうです!姫始めはいかがでしょうか!」

 

「後輩が自分を据えてくる…とほほ、私は大凶でした。アジ・ダハーカとアンリマユの二人がパートナーだからこういうのに縁遠くなってるのかなぁ」

 

「運なんて介在しないくらい揺るぎない強さを有すると受け止めなさいな。…私は中吉、まぁまぁね。ほら、木に結びに行きましょう?」

 

「先輩の厄よ、飛んでいけー!」

 

「大凶を飛ばしちゃだめだよ多分!私が引き受けるッ!!」

 

『あの紙切れに書かれた結果に一喜一憂しているのね。アカシック・レコードからの結果でも見れるのかしら…』

 

リッカ達が離れた後、こっそりとUオルガマリーも御神籤機にて運試しを行う。それが高度の事象観測の類ならば利用するに値すると判断したからだ。

 

『凶』

『!!』

 

例え地球大統領であろうと、決して忖度はされない。リッカの次に悪い結果を引き当てたUオルガマリーはそそくさと木に凶兆を結びに行くのでしたとさ。

 

 

「行きますよ先輩〜!せー、の!」

 

「内海流気合溜め…!ぬぅん!!ジョイヤァ!!」

 

「は、羽子板が真っ二つに!?」

 

「私の剛球、いつまで受けられるかな?さぁ、その綺麗なツラを汚してあげるよぐっへっへ」

 

「くぅう!マシュ・キリエライト、グランドシールダーは負けません…!」

 

「超次元羽子板にするのは止めなさい、リッカ…マシュも力まないでいいのよ、そんなに」

 

羽子板に興じるマシュとリッカ、一年の抱負を書き初めするオルガマリー。高天ヶ原で行われる行事を、Uオルガマリーはこっそりと、あくまでこっそりと見やる。

 

(年の始まりにはああやってマスターとサーヴァントが超絶的な戦いをするのね。帰ったら藤丸ともやってあげようかしら。下々の遊びに理解を示せる大統領はフレンドリーさから得票を望めそうだし)

 

リッカとマシュを参考にしたことによりあちらの正月が若干死戦となった事はさておき、Uオルガマリーの視線はやはりオルガマリーへと向く。

 

「………………」

 

(大した集中力ね。文字を書くことにどれほどの意味があるかは解らないけれど…上に立つものとしての気品と決意を感じるわ)

 

オルガマリーの書き初めをべた褒めしながら頷く地球大統領。そんなに肩肘を張って疲れないのかしら、等と思いながら見ていると、オルガマリーは一つの単語を書き上げる。

 

「できたわ。今年も忘れないように行きたいわね」

 

そこには墨字で、そして達筆で『責任』と書き記されていた。オルガマリーは静かに頷く。

 

「カルデア所長の責任、皆の命を預かる責任…。誰一人失わない責任をこれからも全うしなくっちゃ。私はその為に、懸命に生きているのだから」

 

『………。』

 

その責任感、高貴な決意。優れたものほど真っ先に率先し責任を果たす。ノブレス・オブリージュを刻み込む別次元の自分の姿に、地球大統領は柔らかな笑みを零す。

 

「オルガマリーさん!ご覧ください!先輩に惨敗、完全敗北です!無念です!」

 

「フェイントに全部引っかかるんだもんねぇ。マシュは少しひっかけ耐性とか付けたほうがいいよ、切実に」

 

「だからそんなに顔が真っ黒なのね…ほら、抱負を提出して顔を拭きに行くわよ」

 

三人が微笑ましく戯れる中、Uオルガマリーは一室を借り、自身に連なるものを書き出す。

 

『書けば出る、なんてアイツは言っていたし。書けば実現するのでしょう?お土産代わりに書いていくわ…できた!』

 

会心の出来ね!『当選』の二文字を美しい字体で書き上げ、御満悦の大統領。正月の行事の楽しさを理解し始めたアンブレイカブル・ワンであった。

 

 

「マシュにこれからの抱負なんてあるの〜?ギルのエヌマ・エリシュを防ぎきったじゃん?」

『なるほど、マニフェストを語る場なのね』

 

そして三人は抱負を本殿前で語る。Uオルガマリーはそこの意味合いを自分なりに理解し、やっぱりこっそりと見つめていた。紫、オレンジ、黒の振袖を着込む三人の女性達の背中を。

 

「勿論です!それは先輩の心と未来をあらゆる全てを護り切る事。生涯を先輩の盾として捧げる事が私の変わらぬ抱負です!」

 

『なんだかここのマシュの彩はこう、激烈に濃いわね…脂っこいというか、骨太というか…』

 

Uオルガマリーは色彩で世界を見やる。真意や真相、人の機微を色合いで把握できるのだ。変わっているのはリッカだけではない。例えるなら宇宙や星空めいた濃紺の色合いを見て、大統領はそう所感を浮かべる。

 

「ふふっ、良かったわねリッカ。マシュをこれからも頼んだわよ」

 

「勿論!この忠犬なすびは私がきっちり面倒見させてもらうよ!」

 

「できれば一日3回は撫でていただけると大変喜びます!先輩の抱負はなんでしょうか!」

 

マシュに促され、リッカは抱負を語る。だが彼女は最早、一々考える必要など不要だ。

 

「当然、『私は私であることから逃げない』だよ。どんな辛いことも、哀しいことも苦しいことも真正面から受け止めて乗り越える!そうやって私は生きていくんだ。これまでも、これからも!」

 

『…不思議ね。藤丸とは色合いも規模もまるっきり違うのに、魂の潔さは全く同じだなんて』

 

藤丸が有する、キャンパスが持つ当たり前の様な白。この世の黒を塗り重ねた様な色彩を持ちながら、それを失わないリッカなる少女は、確かに藤丸と同じであると確信する。

 

「じゃあ最後は私ね。といっても、至極単純なものなんだけれど」

 

「時計塔を完全支配するグランドロードになることでしょうか!?」

「キリシュタリアと無制限一本勝負勝利!?」

 

「違うわよ…?…これからも」

 

『?』

 

「これからも、あなたたちと友達でいられますように。…それくらいよ。絶対に叶えたい願いなんてね」

 

オルガマリーは何かを願うつもりはない。実現できる事は自分で叶えるからだ。

 

だからこそ、その願いは…神に託す程に大切なものである事をUオルガマリーは見抜く。彼女には既に、選挙を乗り切るために大切なものを手にしていたのだ。

 

「さ、さぁ。抱負も終わったでしょう。これから新春遊び大会よ。行きましょう?」

 

「「(ニンマリ)」」

 

「何よその顔は!もう、お年玉あげないわよ!」

 

「オルガマリー所長!?そ、それだけは!」

「すみませんでしたぁー!!」

 

『………いい仲間に恵まれているのね、あなたは』

 

最後まで気付く事なく、緩やかな正月を過ごすリッカ達を見届けていた。そして、藤丸リッカが個体能力を極めた理由も理解した。

 

『素敵なパートナーがいる政党は伸びる。…参考にさせていただくわ。あなたたちの選挙活動形態をね』

 

ならば、自分も積極的にそれをするべきだと。Uオルガマリーは判断し、頷きながらその場を去る。

 

───実りある視察。後に地球大統領はそうこの時間を評するのだった。




Uオルガマリー「マリーン。手を出しなさい。あなたにあげるわ」

マリーン「なになに〜?なにくれるの〜?」

Uオルガマリー「お年玉」

マリーン「ここ南米だしお正月じゃないよ〜!?」



Uオルガマリー「お前に日頃の感謝を込めて、落とすわ!隕石(お年玉)!」

ラスプーチン「はははお嬢様、暑さで頭で大変な事態に?」

「ありがたく受け取ることね───!!」

(また遊び…いえ、視察に行ってみようかしら!)

有意義な時間をまた。楽園を、それなりに気に入ったUオルガマリーでしたとさ。

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