キラナ「むにゃ〜」
アンリマユ【何を私の寝床を占領しとるんじゃお前は。しかも全裸!サーヴァントだからいいが風邪引くだろが、オラッ!】
キラナ「ふがっ!おはようございました!」
アンリマユ【お前自由すぎるよな、本当に…どうよ、楽園メンバーになった感想は】
キラナ「人の嫌がる事を進んでやります!」
アンリマユ【そりゃあ結構。そういやお前にはアフラ・マズダから貰った使命みたいなもんがあるんだろ?】
キラナ「そう!光輪をね、カルデアの相応しい者に託す使命!でも最近分け与える事が出来ることが解りましたので、たくさん候補を増やしていきたいなぁ」
シャムシード『〜』
キラナ「光輪になったシャムシードもそう言っています」
【あー、成る程。光輪の制御ユニットになったのね】
キラナ『という訳で!今から行こう!探しに!』
アンリマユ【今からかよ…】
キラナ『セーヴァーも一緒!レッツゴー!』
アンリマユ【服を着ろ服を!裸族とか笑えねぇだろがー!】
アフラ・マズダ『心配は無用だ。いい感じの光で阻む』
アンリマユ【まず服を着せろや──!!】
「光輪をー、受け取るべきー、魂よー。いざ来たれー、現れたれー、ここに来たれー」
【真面目なこったなぁ…アフラ・マズダへの義理立てにしたってここまでやるかよ】
色々な事を乗り越え、ようやく再会を果たしカルデアへとやってきたキラナ・シャーンティ。アフラ・マズダ、アンリマユ、アナーヒター。ゾロアスター三神がカルデアへと集う異常事態なのであるが、神々はとうに後継者を見出しているため争う理由も必要もない。のんびり気ままな、楽園散策に励むのである。
「リッカとアジーカは別件でいないんだよね。残念。でもまた会えるよね!光輪渡さなきゃ!」
【別にどうでもいいんだけどな、そんなにポンポン所有者って増やせるもんなのか?その輪っか】
『先に言った通り、光輪を増やすことは叶わぬ。しかし、その光に遍く全てが照らし出される様に、認め分け与える事は十分に可能なのだ。キラナが認めし者に、際限なく光の輪は連なっていく』
【皆で繋ぐのが大切な光の輪、ねぇ。全く以て、善を語らせりゃあ右に出る者無しだぜ】
肩をすくめるアンリマユ。自分はリッカ以外に力を貸す気など更々ないためにその気の多さと寛容さには一目置くものがあり、また肩が凝りそうだと羨ましくは思えないという気持ちを両立させる。
「じゃあセーヴァー!光輪を持つべき魂を片っ端から紹介して!もういっぱい分けて分けて、分け与えていっちゃうからね!」
『その…私のような愚昧かつ愚者でも授かれたのです。そう肩肘を張らず、横断歩道で手を挙げるくらいの善でもいける、かと思われます…』
【判定軽っ】
となると、それはカルデア全巡りと言っても過言ではない旅行日程になってしまう。何もない暇な状態なら手を引いてやるのだが、流石に徹底的な挨拶回りなぞアフラ・マズダ主導でやって欲しい。非常に手間だ。キラナ個人ならともかく、アフラ・マズダに世話を焼く義理はない。
『悪神たるアンリマユ、お前の目から見てこの光輪を受け取るべき存在は如何程に存在するか?至尊の魂、対話の龍、調律の水は除くとして…お前の意見を賜りたい』
善神の癖にやたら意見聞いてくるなコイツ。そう感じながらも、もうそのような二元の区分けは流行らないし、コラボ召喚もまだ続く。なんとかして納得出来るような答えを提出してやりたいところではあるが。
(一度挙げたらきりがねぇよなぁ。聖人なのか?善人なのか?どういう基準で渡してやりゃぁいいんだ?)
なんで悪神が善について考えねばならんのかという気持ちを考えつつ、このままでは四方にキラナが飛びついてしまうリスクを考えながらアンリマユは思案を重ね…ふと、一つの可能性に思い至る。
【あ〜…まぁ、受け取るべきっていうのなら、いくらか候補はいるかもしれねぇな。私見でいいなら案内してやるぜ、来るかい?】
「行く!セーヴァーと一緒なら何処にも行く!」
【決まりだな。よっしゃ、付いてこいよ】
セーヴァーはキラナの手を取り、彼が思う善性の存在へと導く。アフラ・マズダ、並びにキラナはピンときていないようで、不思議そうにしている。しかしアンリマユには、確信があった。
【絶対納得するだろうぜ。お墨付きってヤツだ】
そんな自信満々のアンリマユの表情は悪戯を思い浮かべる悪ガキのようであり、それはかつて世話役と神子たる関係性であった頃を思い出し、またあの時と同じように優しく包むような握り方を覚えてくれていた事を懐かしみ…
「…ふふふ、また一緒だね。セーヴァー」
【おう。予想外だったけどな】
そんな風な、なんともない幸せを噛みしめるキラナであった。
〜
【見えるだろ、ほれ。ここにいる連中が、光輪を受け取るべき善性の連中だ】
アンリマユが連れてきた場所、それはカルデア管制室…を見渡す所長室。統括局ともいうべきカルデアの心臓部だ。所長クラスでなければ入室できないが、リッカの生体データを使えばオールフリーパス。悪い子である。
「ここにいる皆?あそこにいる、沢山の人たち?」
アンリマユが示す下部の管制室には、カルデアのスタッフ達がのんびりと、ただ確かに自らの職務を全うしている当たり前のカルデア運営の光景があった。コラボ来訪召喚の準備を整えている最中である。キラナは、英霊でもマスターでもない一般スタッフを示したアンリマユに問いかける。
【そうだ。あいつらは決して派手な役職じゃねぇ。マスターでも、サーヴァントでもない。英雄なんて役割からは遠い、裏方の端役みたいなもんさ。だが、だからこそあいつらこそが窮極の善の恩寵を受けるべきだと私は思う】
『成る程、縁の下の力持ちか』
アフラ・マズダは流石は善神、理解が早い。首を傾げるキラナに、アンリマユにしてセーヴァーは補足する。
【いいか?世界を救えたのも、マスターが戦えるのも、英霊を呼べるのも、全部あいつらが自分のやるべき事をやってくれているからなんだ。華やかじゃないかもしれない。名前なんて残らないかもしれない。だが、そんなもんはあいつらにとってどうでもいいんだよ】
「どうでもいい…」
【あいつらは全員、自分以外の大事なものを持ってるんだ。それは使命感とかだろうし、王様への忠誠でもあるかもしれねぇ。だが根本にあるのは多分、隣のやつの幸せを願う心なんだよ】
リッカや皆が、安全に戦うことができるように。彼等や彼女らが、安心して帰ってこれるように。できて当たり前の事ばかりで、やって当然だと思われることを何の躊躇なく取り組める。それは彼等が支えたい誰かがいるからであり、助けたい誰かがいるからこそ出来ることだ。見返りや自分の為ではないことに全身全霊を懸けられる。カルデアのスタッフとは、そういう連中なのだと。アンリマユはずっとずっと見てきたのだ。
【無償の愛。隣人愛。そういうの好きだろ?アフラ・マズダも、キラナ、お前もさ】
「うん、うん!」
【なら、その力でめいっぱい労ってやりな。カルデアが攻め込まれたらあっという間にくたばる、かけがえのない連中だ(なんか格闘流派修めてたり鍛え抜かれてるけど)。日頃の感謝の他に一つくらいは、神の太鼓判を貰ってもバチは当たんねーだろうぜ】
キラナはアンリマユの言葉を聞き、スタッフ達を見つめていた。その笑顔や心を、キラナは受け止めたのだ。
少年少女の帰る場所を護るために。
戦いで心が擦り減らないように。
いつか宇宙に行く日が来たら、隣人たちと臨めるように。
そんな、日の目に当たらない細やか願いは…光輪がもたらす光の如く、優しく柔らかであったのだ。
「うん!解った、よーし!」
そしてキラナは決心を固め、その光輪をカルデアのスタッフ達に指し示し、その幸福と恩寵をもたらす。
『皆が誰一人残らず幸せになれますように。皆の願いが、叶いますように。迫る悪に、負けませんように』
こうして、カルデアのスタッフ達はアフラ・マズダの祝福を受け取る事となった。その光輪の輝きがある限り、決して彼等や彼女らは喪われる事は無いだろう。
『豪華絢爛なる英雄英傑よりも、野に咲く懸命な一輪一輪を愛でる、か。お前らしからぬ着眼点だな、アンリマユ』
【依代を手に入れるのも良し悪しだよなぁ。価値観が引っ張られるからよ】
そう、自嘲ぎみに鼻を鳴らすアンリマユにアフラ・マズダは微笑みを返す。
小市民ならではの細やかな観察眼、支えられし者たる感謝、矮小な人間の足掻き。それらがそれぞれ見出した、この光輪の資格者の答えであるのだろう。
【これで…リッカやマシュ、オルガマリーが泣くこともねぇわな】
彼女たちの帰る場所を護る者達へ。柔らかに降り注ぐ光を、アンリマユは愛おしげに眺めているのだった。
アフラ・マズダ【時にアンリマユ。お前はキラナの裸を見てもそんなに動揺はしていなかったな?】
アンリマユ【あ?当たり前だろうが】
アフラ・マズダ『?』
アンリマユ【湯浴みや禊をしてたのは世話役のオレだ。あいつの裸なんて、見飽きてんだよ】
アフラ・マズダ『………なるほど』
アンリマユ【だけど聖王のアイツは良い身体してるんだよなぁ。頼めばおっぱいくらい揉ませてくれるもんかねぇ】
アフラ・マズダ『ふっ…シャムシード』
シャムシード『折檻!』
アンリマユ【ぐぇー!!】
キラナ『?』
互いに合意の元やりなさい。無事にシバかれたアンリマユでありましたとさ。
ガストン「む、ムニエル!おま、お前!」
シルヴィア「光ってる!光ってるわあなた!」
ムニエル「光ってる?まさか俺のコンちゃんへの愛が形になったか!?」
暫くの間、カルデア職員輝きまくり問題が勃発したのはまた別のお話。
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