人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ボルバルザーク『ルゥよ!ルゥ・アンセスよ!!』

ルゥ「声がすごい…どしたの?何かあった?」

ボルバルザーク『お前達の言うハンターとやら!聞けば聞くほど強さに満ち溢れているではないか!お前達強豪すらも討ち祓い、調和や闘志を齎す人間の極地だという!それはつまり絶対強者とも言えようぞ!』

ルゥ「う、うん。勝たなきゃ人類が終わりだから必然的に?そうなるよね?」

ボルバルザーク『うぉお、オレ様は辛抱たまらん!それほどに強く、魅力に満ちている狩人とならばオレ様は願わずにはいられん!!』

ルゥ「な、何を…?」

ボルバルザーク『戦いだ!!オレ様は決めたぞ…!!このカルデアに!!招くのだ!!!』

ルゥ「えぇ…」

ボルバルザーク『では早速召喚ルームへと赴くぞ!人類の調和の概念!喚んでみせねばなぁ!!』

ルゥ「何故私も〜〜!?」


来たれ!英雄の証!

「え〜、というわけで。ボルバルザークの強い要望によりエクストラクラス『ハンター』を喚ぶ運びとなりました。100%人類側の存在というか、歩くアラヤみたいな感じなので招いたら強いと思います。絶対に強い(確信)というわけで!喚ぶための機運を上げて行きましょう!」

 

ルゥの号令に、跪く古龍たち。彼等、彼女らは招かんとしている。大自然と人間の調和を担うもの。大いなる者、『モンスターハンター』なる存在を。

 

それは現代社会、魔術的観点からしてみれば人類を存続させる意志アラヤの具現と言ってもいい存在であり、彼等がいた時代では世界の滅亡する厄災すらもその力で切り抜けて来たとされる英雄の中の英雄であり、ことモンスター相手には最強の存在である。先に言った、禁忌の存在たるモンスターもまた討ち果たす事すら可能なほどの超人であろう。

 

【私達も幾度となくハンターの活躍を目にしてきました。彼等の勝利は人類の繁栄、敗北は人類の終焉!その身一つでモンスターを狩る、誉れ高き者!】

『職業としてのハンターと、象徴たるモンスターハンターはちょっと違うものって聞いたわよ?馬の骨を呼んでも困るし、そこのところはちゃんとしたいわね』

 

『うんうん!強かったり弱かったり、たまに裸だったり武器も全然違うもんね!目星をつけよう!目星!』

 

「出来れば理性のある存在を招きたいものです。広義的に見れば、密猟者などもハンターに含まれてしまうでしょうから。しっかりとした触媒を用意し、当代最強のハンターを呼ばなくてはならないでしょう」

 

「そうだよねぇ。じゃあ皆、思い思いの触媒を出してみよっか」

 

ルゥの言葉に、一同は頷き合いそれぞれが持つ触媒を召喚サークルの周囲に置いていく。

 

「では、私はこの宝玉を。鋼龍の力を凝縮した秘宝です。きっとルゥ様のお眼鏡に叶うハンターを招けるかと」

 

『あら、クシャナちゃんも?私達もそれぞれの宝玉、奮発しちゃったのよね〜』

【我等が魂!それらを詰め込んだ炎龍の宝玉!ハンターを招く標とならんことを!】

 

「じゃあ私も〜!はい!霞龍のスピリチュアルが詰まったすっごい玉!ルゥ様の為に奮発しちゃおー!」

 

「みんなぁ…」

 

躊躇いなく、悠久の中で生成される素材を躊躇いなく捧げていく古龍達。一つでも売れば末代までは遊んで暮らせる程の超巨大宝石に、職員たちからどよめきの声が上がる。

 

「私はじゃあこの、黒龍の邪眼置いておこうかな」

 

「うわっ!気持ち悪い眼!」

「ルゥ様、これはいったい?」

 

「これね、人類を過度に減らそうとした別次元のミラボレアスをめっ、した時に片目を抉って貰ったんだぁ。黒龍信仰じゃ至宝の宝物扱いもされる凄い宝石なんだよね」

 

さり気なく別次元の話も挟むルゥであるが、古龍達は悠久を生きるのでその次元がいくつあるかなど大して気にはしない。結果的に、大魔術もかくやの召喚触媒が取り揃えられることとなった。

 

「魔力はカルデアに頑張ってもらうからいいとして。後は召喚の時の呪文とかいるのかな?ハンターってどうやって出るの?何か気にするワードとかあるのかな」

 

『物欲…センサー?』

 

【尻尾は鮮度が命!!】

 

『炭鉱夫が副業、だなんて聞いたことあるわよ?』

 

『ガッツポーズへの謎のこだわり!』

 

「むぅ。ジンクスと共に生きてきたんだねぇ。とりあえず思いつくもの片っ端から置いていこうか」

 

ピッケル、尻尾、無欲のお守り、ガッツポーズの絵。とりあえず思い付くものは片っ端から用意していくルゥ達。古龍達の中のハンター水準とはとてつもなく高いのだ。生半可な存在では了承を得ることはできない。やるならば徹底的にだ。

 

「武器は何を使うんだろうね?宝具で勝手に持ってくるのかな?」

 

『片手剣の切れ味が凄まじかった記憶が』

『あー、わかるわかる。絶の一門が遺した一振りが痛いのよねぇ』

 

【超絶戦隊フルカイザーが一時代を築いたと聞き及んでおります!!】

 

『強いハンターはボウガンばっかり使ってるて聞いたことある!』

 

「ん〜。まぁ全部使いこなしてくれるよね!ハンターなら出来る出来る!」

 

それぞれ全く違うハンター像を有しているが、その力は知れ渡っているのは今更なので、武器を絞るマネはせず召喚されたハンターへと委ねる事とする。

 

「ほらほら、召喚時の呪文だよ!バーサーカーとかに使う、あなた瞳曇ってますよ大丈夫ですか、みたいなやつ!」

 

【抜刀アーティラートラオート!】

『酒とチーズ、酒とチーズ!』

 

『びちびちのうん地、切断の地、調和集団、斬裂弾、貫通速射ライト…』

 

『悪魔猫!右ラー!ギルドクエストー!』

 

「あぁ、なんか収集つかないやつに…はっ、そうだ!あれがあるじゃない、ハンターがいつもやるやつ!肉焼いた時の!」

 

『『【『上手に焼けましたー!!』】』』

 

「それそれ!お肉焼こうよ、お肉!」

 

ルゥの圧倒的閃きにより始まった召喚室肉焼きパーティー。職員皆で仲良く食べる肉が順次焼かれる事となる。

 

「うぉっ、こんがり肉でっけぇ!!俺の二の腕くらいある分厚さ!」

 

「ハンターって片手間にこんなの食べたりするのか…」

 

「早食いスキルつけたハンターは3秒くらいで食うぞ、これ」

 

「間違いなく人類最強の一角よね…」

 

『ルゥ様、すみません…生焼け肉が出来てしまいました』

 

「いいよいいよー。私が食べちゃう。あとなんか狩人って必殺技使うらしいよ!」

 

『知ってるー!攻撃を絶対に避けたり、カウンターをいっぱいしてくるとか!』

 

【どんな傷も、回復薬を飲めばたちまち治る強靭な生命力!】

 

『その身一つで我等に挑む勇気』

 

『調合書無くしたら著しくアホになる!』

 

『たまに、狩人じゃなくて炭鉱夫にもなったのよね』

 

「こうして私達が人理側にいる以上、必ず心強い味方になってくれる!ハンターを歓迎する為、皆であの台詞を言ってみよー!」

 

ルゥの号令により、なんだか珍妙な焼肉パーティー会場となった召喚室に、あの台詞が木霊する。

 

「行くよ皆!せーの!」

 

 

「「「「『『【『一狩り!行こうぜー!!』】』』」」」」

 

それがハンターを呼ぶ呪文となったのか、はたまた完全な偶然だったのか。それは定かではないが結果は確かにここに現れる。

 

「何事かね君達!?うっ、噎せ返るような肉の臭い!?」

 

「やってきましたね副所長。お肉食べます。美味しいですよ〜」

 

「いやシオン君!?なにこのイベント!?」

 

「流れが変わりましたよ副所長…!来ます!エクストラクラス!!」

 

 

今まで現れた事のない、アラヤ渾身の人選。その成果が、この儀式がここに結実する瞬間。

 

 

「さぁ出てきて!スッゴいハンター!スッゴくスッゴいハンター!」

 

その呼びかけに応え、現れしは──

 

「──こんにちは。エクストラクラス『ハンター』。あらゆる次元のハンターという概念が起動した形で召喚された…みたい?です」

 

忍び装束の姿を有せし、爽やかかつ快活な見た目のハンター。礼儀正しく自己紹介を行う者こそ、調和の化身にして、大自然の担い手。

 

「人格的にはカムラの里と呼ばれる場所出身のハンター…『カナメ』がメインとなっています。気炎万丈がモットー!どうぞよろしく、お願い致します!」

 

「やった…!」

 

「?」

 

「皆!ハンターを呼ぶことが出来たよ〜!」

 

大歓声に満ち溢れる召喚室。適当に聞き及んだ音楽家サーヴァントが例のファンファーレを鳴らし、お祭り騒ぎとなる召喚室。

 

「お、おぉ…。歓迎されてるようで嬉しいです!」

 

「よろしくね〜!みんなー!お祭りだー!」

 

待ちに待ったハンターの召喚成功。その歓声は、暫く鳴り止むことが無かったという──。




ボルシャック『お前さんがハンターか!よろしくなぁ!』

ボルバルザーク『待っていたぞハンター!!さぁ、素材をかけて戦え!!』

カナメ「え、あの、モンスター…?」

ルゥ「クリーチャーだね」

カナメ「!?」

バザガジール・ドラゴン『ヒューマン最強の一角。非常に興味がある』

ボルメテウス『お手柔らかに頼む』

ルゥ「カナメなら行ける!行けるよ!」

カナメ「えぇ…!?ま、まぁ…気炎万丈キメれば大丈夫かな!よし、やるぞ!」

ボルバルザーク『その意気や良し!さぁ、行くぞォォ!!』


…後に、クリーチャー達は語ったという。

『太刀から、猛炎たる波動が出ていた』

と。

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