人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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召喚ルームにて

ゴルドルフ「コラボ召喚、それはいいのだが…大丈夫かね?ルゥ君の言う、制御不能のモンスターが来たりする危険は?リスクアセスメントは?」

ロマン「大丈夫です、そういう場合はボクが責任を持って退去させますから!召喚もまた魔術、ソロモンのできる事リストに思い切り抵触しているんだ!」

シオン「ぶっちゃけロマニさんがいるんですから、カルデアというかこの世界でカルデアをどうこうは出来ないというか…異世界からの召喚なんて、魔術王ぐらいのプロテクトが無いとやってけませんよ」

ダ・ヴィンチちゃん「そういう事!終わる気配もないお祝い、楽しんでいこう!そーれ、回れ召喚サークル!」

ゴルドルフ「私は屈しない…屈しないぞ!この圧倒的安心感に屈さず小心者で居続けるのだ!」

オルガマリー(肩ポン)

ムニエル「来たぞ!召喚だ!」

はやて「お胸の柔らかい女の子がえぇな〜♪」

オルミーヌ「話の分かる方でお願い致します…」

橘さん(パスタ食い)

スライム「来ッッ、たァァァー!!!」

一同「!?」

スライム「はっ、しまったつい憧れのFateワールドに呼ばれた事実に感激でテンションが!いかんいかん…改めまして!僕は悪いスライムじゃないよ!」

「「「「「スライム?」」」」」

「オレはリムル!リムル・テンペスト!はじめまして、世界を救うカルデアの皆さん!今後ともヨロシク!!」

ゴルドルフ「…この場合は?」

ロマン「んー、セーフですかね?」


召喚されたらカルデアだった件〜時系列は一期終盤付近〜

「来た…召喚サークル優待チケットを握りしめ数ヶ月…数ヶ月?気持ち的には数年!遂に、遂にやってきたんだ!憧れの奇譚の聖典、型月Fateワールドに!」

 

召喚されて早々感激に震え、涙すら流しているスライムの登場に召喚室の全員は困惑を隠せない。誰が見ても、どう見ても、その意味不明な言動を行うスライムは不定形の怪しい物体でしか無かったからだ。

 

(召喚システムも不調なのか?誰がどう見てもスライムだろこれ)

(でも、観測された魔力は相当だぞ?計算すると竜種クラスくらいは平気であるとか)

 

そう、職員が言うように目の前のスライム…リムル・テンペストと名乗る彼、或いは彼女はスライムを大幅に凌駕した魔力量と実力を観測されている。それこそ、巨大エネミークラスのスケールの力の内包。トップサーヴァントに比肩するほどの実力者であることは信じ難いことに明白であった。

 

「この度は召喚の栄誉に預かり、大変嬉しく思います。こちら、英雄王ギルガメッシュが統治しているカルデアで間違いないですか?」

 

「え、えぇ。私はカルデアスの責任者にして所長、オルガマリー・アニムスフィアです」

 

「生きてる…!オルガマリー所長が立派に所長やってるぅう…!!」

 

滂沱のごとくに涙を流すリムルに、一同は困惑と心配の混ざった感情を向けざるを得ない。情緒が安定しないスライムの二の句を、ひとまずは待つ。

 

「おっと、感動してばかりもいられない!この度はサーヴァント、つまり来賓や協力者としてオレは招かれました。契約に従い、カルデアに纏わることはなんでもやらせていただきます!デイリークエスト消化やフリークエスト周回は任せてください!一家言あるので!」

 

「な、なんか俗なスライムだなぁ?君の世界は現代的なのにスライムがいるのかい?リッカ君みたいな物言いだね?」

 

「あ、それには色々あああああロマニ・アーキマンさんんんんん!!!お元気そうで何よりですウゥゥ!!」

 

情緒不安定スライムはいよいよもってテンションが振り切れていて会話が難しい。バーサーカーだろこれ、という空気が流れ始めたのを察したのか、リムルは咳払い告げる。

 

「それで、その。その代わりと言っては何なのですが…こちらからも、一つだけ条件を付けさせてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「同盟の申し出?それは願ってもない申し出でね。カルデアの責任者として、お話を伺います」

 

「さっすがー!落ち着いた所長は話がわかるぅ!序章から落ち着けばやればできる人だと思ってましたから!」

 

褒め言葉として受け止めたオルガマリー、珍妙な物言いをスルー。リムルの発言に任せ話を促す。

 

「オレはスライムであり、魔物達が平和に暮らせる国を元いた世界で創っています。この度召喚を希望したのは、その国…テンペスト共和国と個人的な友好、同盟条約を結んでほしいからなのです!」

 

(スライムなのに一国の主だって!?)

(となるとこのリムルというスライム、国王なのか!?)

(す、すげぇ…キングスライムだ…!)

 

職員たちにどよめきが上がる。侮りではない、純粋な驚きだ。それが嘘でなければ、一国一城の主が態々罷り越した事になるのだから。

 

「しかし、テンペスト共和国は発展途上で発足したばかり。突然の侵略や侵攻への対応には不安が残ります。後ろ盾となってくれる国はあるのですが、国の政策に絶対はありません。そこで大賢者…あー、考えを巡らせていたところ、異世界をまたいで人材を募集している皆様を発見したわけです!」

 

(異世界、平行世界探知もできるのか…)

(そんなスライムある?魔法みたいなことやってるじゃないか)

 

「カルデアへの物資提供、特産品の譲渡、薬品などの協力は惜しみません!ですのでその対価として、国の非常時に駆けつけてくださる非常大権、同盟戦力として!テンペスト共和国に世界を救う力を貸してはくれませんか!」

 

スライムはそう言うと、水色髪の中性的な人間の姿を取り頭を下げる。それはカルデアを、ひいてはその力を最大限に評価した敬意からくる態度と皆には見て取れた。

 

(おっ、男の娘ッッッッ!!)

(ムニエル、ムニエルステイ!)

(随分と礼儀正しい、というか評価してくれてるんだな。カルデアの事)

 

深々と頭を下げるリムル。彼の言う事には嘘はない。その切実な言葉に、オルガマリーは声をかける。

 

「中々切羽詰まった物言いだけど…今、危機にあるのかしら」

 

「いえ。ですが俺は亡き友人の心残りを果たすため、自分の国を離れなくてはならないんです。国の護りは固めてはいます、ですが先程の通り絶対はない。万が一、留守の間に非道な侵略を受けてしまったら…」

 

「積み重ねたものを失う。そのリスクを危惧しているのね?」

 

「はい。国の代表としてやるべき事をやる。それが、俺の使命ですから。それに、カルデアの皆さんは何よりも信頼できる方と信じていますから」

 

リムルの言葉に、オルガマリーは更に問う。

 

「高く評価してくれるのは嬉しいわ。カルデアの全ては私の誇りだもの。…根拠を伺っても?」

 

「はい!ここのカルデアの皆さんは誰も失わない、誰もが笑顔な結末、それを実現した凄い人達…それを果たしたのは皆が善い未来を目指して頑張っていたからだと思います。そういう、高い志で練られた組織は損得や優劣で仲間を裏切らない、崇高な存在だと俺は信じています。俺は欲しい!強さよりも損得よりも、そういう『何をおいても味方でいてくれる仲間』が!」

 

その言葉は真実だろう。でなければ、使者や文でなく己が出向いた理由に繋がらない。彼は自身の国に、カルデアの力こそが必要だと確信しやってきたのだ。

 

「改めてお願い致します!俺に、テンペスト共和国に力を貸してください!その代わり、カルデアで必要な事はなんでもやらせていただく所存ですから!」

 

もはや平身低頭、誠意極まる社会人の理想的なオジギを披露するリムル。王の割には営業トークや社会人作法が板についた彼を見やり、オルガマリーは頷く。

 

「解りました。所長としてその申し出を認可し、カルデアの王ギルガメッシュにこの件を上申する事を約束致します」

 

「そ、それはつまり!?ギルガメッシュ王に同盟のお話を持って言ってくださると!?」

 

「えぇ。私はあくまで所長、カルデア職員の総司令の立場。組織全体の方針は、王に委ねているもの。安心して、決して悪いようにはしないわ」

 

あなたの誠実さを、ありのままに報告致します。そう告げた瞬間、リムルは飛び上がり歓喜を示す。

 

「ぃやったーーーー!これでテンペスト共和国も皆も安泰だー!!」

 

((((かわいい…))))

 

「では、カルデアに滞在し個人的な要望として、物資と特産品のリストを提出していただけますか。それが有益であるならば、ギルガメッシュ王の心証は更に良くなります」

 

「それはもうお任せください!ポーションなんかは、最前線で戦うカルデアのマスターなんかには持って来いな筈です!それではどうぞ、よろしくお願いいたします!」

 

「こちらこそ。では端末を渡しますので、カルデアを自由に散策なさってください」

 

端末を受け取り、足取り軽く管制室を出ていくリムル。文字通り嵐のようなネゴシエーションが終わり脱力する一同。

 

「なんだか不思議な子でしたねぇ。かなりの手練れなのは見て取れましたが…」

 

「あぁ。王を名乗るに相応しい実力を有しているのは間違いない。あっさり決めて良かったのかい?愛弟子?」

 

「問題ありません。信じるべきか疑うべきか。迷った際には信じたほうがいい結果に転がります」

 

(リムル・テンペスト…リッカなら何か、知っているかしら)

 

謎多きスライム、リムル・テンペスト。その在り方はカルデアと交わり、とある道を示される事となる。

 

そう──魔王。最高最善の魔王の道である。その運命を、まだ彼は知らぬのであった。

 




リムル(話の分かる人達で本当に良かったなぁ。健全な理念は健全な組織に宿るんだな!Fateのサーヴァント達はその一人一人が一騎当千!力を貸してもらえるなんて夢みたいだ!)

大賢者『忠告。同盟関係ならば、こちらの有用性を示さなくては不成立の危険があります』

リムル(解ってる。カルデアにいるときは本気だ。大賢者、お前もリミッターを解除しておくんだぞ)

大賢者『了解。作戦名、全身全霊』

リムル(じゃあギルガメッシュ王に呼ばれるまで、カルデアを散策するか!というかこんなにカルデアって広かったっけ?)

大賢者『計測不能のエネルギー反応、その数測定不能』

リムル(自分より弱い相手が多かった異世界とはわけが違う。レベル一になったつもりで頑張らなくちゃな!)

リムル「大賢者、早速強いやつの下見に行こう!案内してくれ!」


高天ヶ原

ルゥ『すぴ〜……』
『剥ぎ取らないでください』

リムル「……………なんで……ミラルーツが…気持ちよさそうに…寝てるんですか…?」
大賢者『総エネルギー量、計測不能。解析不能。魔王級を遥かに超えた個体と認識』

リムル(カルデア…魔境すぎる〜〜〜っ!?)

ルゥ『むにゃぁ』

井の中の蛙大海を知らず。なんとなくそれがよぎるリムルであった。

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