人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リムル「友達なんだから、様はいらないよ。代わりにオレもリッカって呼ばせてくれ!」

リッカ「うん、わかった!リムルと友達かぁ…凄く光栄!」

リムル「リアルJKと仲良くできるなんて…これが生前だったら…生前だったらなぁ…!」

リッカ「何言ってるんだか。これからモテモテになれるよ、リムルなら!」

リムル「わ、ワンチャン期待してもいいのかー!?するぞー!やるぞー!」

リッカ「そのために、まずは魔王の在り方を示さなきゃね!」

リムル「よーし!魔王の先輩、出てこいやー!」


魔王の語らい、そして束の間の別れ

【なろう作品の出身と言ったかのう?わし読まないのよね、アレ。玉石混交過ぎてスコッパーが辛いんよ。ソウゴ爺は読むんか?】

 

【老眼でな。細かい文字を読むのは堪えるのだ】

 

【僕は好きだよ!作者より頭のいいキャラは作れないから登場人物皆バカで面白いから!】

 

「う、うぉお…」

 

リムル・テンペスト、圧倒される。魔王相談所と聞いてリッカに斡旋された場所に来てみれば、リムルが知っている魔王と知らない魔王が仲良くカレーを食っていたのだから。

 

一人は、リッカの対等な飲み仲間ポジション。魔王というならこの方織田信長。正確にはゴッドノッブであるが、細かい綴りは本人含め誰も気にしないので魔王の括り。

 

更に一人は皆お馴染み、最高最善最大最強王オーマジオウ…の、変身解除体たる常磐ソウゴ。アンチエイジングにて若返りの姿を取り過ごしている。

 

最後の一人は、エアの推薦でやってきた大魔王、ルシファー。世界で最も有名にして高名な、魔王の中の魔王。紛れもなく地上最大の大魔王である。

 

(メンバーが豪華すぎないかなぁ!?)

 

(きっといいお話をしてくれるからガンバ、リムル!)

 

いい笑みで(≧∇≦)bしてくるリッカと引き換えに、顔面蒼白なリムル。当然だろう、彼が知る魔王、ミリムですら足元にすら及ばない程の力をこの三人はこれでもかと醸し出しているのだから。

 

【では、リッカ先輩の願いに応え享受してやるとするか。そこのスライム。貴様リムルとか言ったな。聞けば魔物どもの国を造ったとか。それ、近いうち滅ぶぞ】

 

「はいその通りテンペスト共和国でうぇえ!?ハイスピード過ぎませんか!?」

 

ノッブ、滅亡太鼓判。彼女ほど滅亡に造詣深い魔王はいないので、彼女は語る。冷静な戦国武将の慧眼をだ。

 

【魑魅魍魎どもが寄せ合った烏合の連合、発足したばかりの弱小国家。練度も国土も脆弱ともなればこんなのカモじゃカモ。わしなら有無を言わさず攻め滅ぼして国土の足しにするわこんなん】

 

「えぇ、あ、いやでも!魔物たちは決して弱いやつらばかりではなく、一人一人は精強で…」

 

【アホか。個人が軍には基本勝てぬのじゃ、三國無双じゃあるまいし。最後に物を言うのは結局は国土、次に兵站、最後に精兵じゃ。一人だけが強くても国盗りは叶わん。葦名は除く】

 

【聞けば、お前の世界にも人間はいると聞く。ならばはっきり言おう。お前達の滅亡は必然だ。人間は、他の種族を滅ぼしながら繁栄してきたのだから】

 

「う、うぅ…でも、そこは育つまでオレがなんとか護って…」

 

【君がいない時間を狙ってあっという間に滅ぼせばいいよね?雑魚の魔物の国を滅ぼせば、晴れて世界の英雄たる名声まで付いてくる!狙わない手はないよね!ありがとう、そんなボーナスステージを作ってくれて!】

 

「ま、魔王の皆さまが全く容赦ない件について…」

 

基本的にリッカ大好きな者らの集いなので、来賓には容赦がない。情け無用とテンペスト共和国侵攻の優位性を喜々として語られ、見る間にしなしなになっていく。

 

「それを回避するには、皆的にはどうしたらいいと思う?」

 

【それは愚問じゃなリッカ先輩。要するに敵なんぞを容認するから戦が起こる。覇を貫くのなら世界を制す!つまるところ、天下統一じゃ!】

 

「お、織田信長っぽい結論になった!」

 

信長の意見は、極めて実測的で実体験でもある。異なる種族と軋轢を許すから争いは起こる。ならば世界を、己の手で統べればいいと。

 

【人間の存在がある時点で、その星のシェアは大体人間が握っとる。他者への迫害と侵略、闘争は人間の右に出る者はおらぬ。そこに魔物を活かしたいのならば、それは自らが政権で魔物を認めるしかあるまい】

 

【そうだ。己が信ずる道を是とし、世界を良くする為に邁進する。それこそが王道。王が果たすべき責務である】

 

【要するに、君が世界を手に入れて好きに世界を作ればいいんだよ。結局一番力を持つ者が世界を手にする。世界を手に入れたら、好きな世界の形にしていく。魔王ってそういうものじゃない?】

 

「オレが…世界を、世界全部を手にする…」

 

つまるところ、魔物の立場が弱いからこそ侵攻と侵略を許すのだ。魔物を率い、人との垣根を破壊し、互いが互いを求める世界を作る。その為には、世界の統一は不可欠だろう。

 

【大体さぁ。君みたいな箸にもかからないザコと、そんな君が集めた一山いくらのザコの群れごときが、楽園と対等になりたいと思うならそれくらいやって当然じゃない?身の程知らずとして、君ごとテンペストなんとかって国、消してあげてもいいんだよ?】

 

「ま、まぁまぁサタン様、抑えて!」

 

【世の理、不変の法と言うものは存在する。世界には確かに、従わなければならぬ律がある。だがそれが到底従えぬものであったと憤りし時、世界に挑み変える資格を有するのもまた、王であるのだ】

 

サタンの殺気と、ソウゴの示唆。それをリムルは静かに受け止める。

 

「…そうだよな。カルデアの皆は、世界を救ってみせた。そんなカルデアと足並みを揃えたいんだったら、それはもう世界をまるまる一つ治められるくらいの結果を出さなきゃ…」

 

【人間に覇権を握らせておくと怖いぞ?断言してもよいが、貴様らの利権を奪わんとする国は現れる。それは、人間が魔物を駆逐する側だからじゃ】

 

ノッブもまた、人間としての業を語る。魔王として、見知った業を。

 

【故に貴様が刻むがよい。魔物は人と並び立ちうる存在であると。それに異を唱える輩を全て踏み潰し、己の理想を真理として世界に掲げよ。魔王の戦いとは、そういうものじゃ】

 

「魔王の皆さん…」

 

【優しい想いや甘い理想を貫きたいなら、まずは文句を言うやつを全員黙らせるところから始めなよ。大丈夫、終わる頃にはちょっとぐらいはマシな王様になれてるはずさ!】

 

魔王達のアドバイスを受け、リムルは深く頷く。それは、確かな答えとなって心に宿る。

 

「あなたたちの言う通りだな。まずは人間や魔王、魔物とかを隔てる全部を取っ払えばいい。そいつら全員が、対等な存在だという世界を示せるように頑張ればいいんだ!」

 

【それが、犠牲を強いぬ魔王への道。必要なのは、屍を踏み越える覚悟のみだ】

 

「…正直、とんでもない道程だけど。オレはやるよ。精一杯やってみる。だって…」

 

リムルはリッカを見やり、頷く。その理想は、間違いなく甘いものだとしても。

 

「半端な理想だって、突き詰めれば立派なものだって教えてもらったからな!」

「うん!その意気だよ、リムル!」

 

【ふふ、それはとても楽しみだね!君達には興味無いけど、楽園にとって素晴らしいなら僕は好きだよ!】

 

【精々頑張るとよいぞ!しがないリーマンには酷な問題かもしれぬが、なぁに!機先は望まぬ内にあちらから来るもの!覚悟を決めるときは今なのじゃ!】

 

【お前の信じる、最善の道を行くがいい。誕生の暁には…祝儀の一つも贈ってやるとしよう】

 

「はい!皆様、ありがとうございました!最高に甘く、最高に愛される魔王を目指して…!精一杯やってみます!」

 

リムルの返答に、魔王達は笑みを浮かべる。それぞれ、新たなる王が生まれるか否かを楽しみにしているのだろう。

 

「よーし!となるとやれることは全部やらなくちゃな!レベリング作業の始まりだー!」

 

「ファイトだよリムル!目指せ、最甘最愛の魔王!」 

 

「若干語呂は悪いけど、おー!!」

 

その道すがら、何が待ち受けているのか。破滅するもよし、大成するもよし。

 

【気が向いたら冷やかしてやるのもよいかもしれんのぅ!】

 

【じゃあ僕、詩人としてテンペスト共和国に潜んでようかな?】

 

【卑劣な侵略には、力を貸してやるとするか】

 

魔王の卵に、思い思いの思慮を向ける魔王先輩達でしたとさ。

 

 

 

 




リムル「まずは一旦、向こうに戻るよ。オレが魔王を目指す事、世界統一を目指すことも含めて皆に伝えなくちゃな」

リッカ「そっか…。一旦、お別れだね」

リムル「そんなに長いお別れにはならないさ。あ、ちょっと提案なんだけど…スキル交換、しないか?」

リッカ「スキル交換?」

リムル「あぁ。お互いのユニークスキルの一部を分け合うんだ。そうすれば、互いが互いを助けられる。別れが、これきりにならないように」

リッカ「リムル…うん!やろう!ていうかできるのそれ!」

リムル「できる!…はずだ!大賢者!」
大賢者『………………………………前向きに検討いたします』

「政治家答弁!?」



『藤丸リッカに『捕食者』『大賢者』のスキルを分割譲渡しました』

リッカ「おぉ!?」

『リムル・テンペストにユニークスキル『単独顕現』『この世すべての悪』のスキルが分割譲渡されました』

リムル「出来ると思わなかったぞ大賢者!?」
大賢者『は?』

「やべっ…。そ、そのスキルはオレたちの強さの根幹だ。君の旅路に、きっと役に立つ筈だ」

リッカ「うん!えっと、そのスキルはどして?」

リムル「単独顕現は、君が困っていたらいつでもサーヴァントとして駆けつけるため。この世すべての悪は、君だけを世界の悪者になんかしない!…っていう、ゲン担ぎだ!」
大賢者『危険度レベルが甚大なので、使用不可能です』

リッカ「リムル…」

リムル「友達として、オレは君を助けるよ。その代わりオレが困っていたら、君の力を貸してくれ!」

リッカ「勿論!それじゃあ、またね!リムル様!」
リムル「うん!必ずまた、会いに来るよ!次は、対等に同盟を組もう!」
大賢者『お元気で。藤丸リッカ』

リッカ「ばいばーい!待ってるからねー!」

…こうして、リムルはギルガメッシュと肩を並べるために自分の世界へと帰っていった。リッカに信頼の証として、自分の力の根源を託して。

アンリマユ【捕食者…こりゃいいや。泥で取り込める範囲が爆上がりだし、取りこんだやつが分かりやすく解析できるぜ】
アジーカ『へい大賢者。明日の天気は』
大賢者『晴れ、時々雨』

また会えるという…願いと共に。

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