ホシノ「先生?…んー、そうだなー。おじさんこういうの恥ずかしくて照れちゃうんだけど〜…」
シロコ「パワフル、アクティブ、ストロング」
ホシノ「ありゃりゃ、言われちゃったな〜」
オルガマリー「…そんなにも力強い人だったの…?」
シロコ「ん。…ここにいるホシノ先輩が、カイザーコーポレーションに一度身柄を引き渡し、対策委員会を退部しようとした事件があった」
セリカ「まぁどう考えても罠だったんだけど!というか罠だったけど!」
ノノミ「その時、先生は私達の為に行動してくれたんです。「『やりたくない』『仕方ない』で生徒を無くしたくはない。私は先生だ。生徒を卒業に導く義務がある…と」
アヤネ「そこからの先生は、私達のホシノさんを取り戻したいという願いのために獅子奮迅の大活躍。具体的には、警備ロボットや兵隊、戦車やヘリを片っ端から生身で叩き落していって…」
ホシノ「いや〜、囚われの身だから見れなかったけど見たかったな〜。おじさんね、アダム先生だけは信じてるんだ。大人としてね。でも、口説き文句はダメダメだよ〜」
オルガマリー「口説き文句」
ホシノ「『すまない、退部届に判を忘れた。押すか?』…押すかじゃないよ〜!おじさんに言わせるなおばか先生〜!」
シロコ「ん…あの人は、カタブツで真面目で、融通の利かない人」
ノノミ「でも、間違いなく私達の先生なんですよー。私達がこうしていられるのも、アダム先生のおかげですからねー」
セリカ「目を離したら開墾ばっかりやってるけど!いつも鍬ばっかり振ってるけど!」
オルガマリー「ふふ、そう。よく分かったわ」
(実直な方なのね、アダムさん。きっとそれなら、異聞帯の世界もいいものだわ)
「それでは改めて、ようこそカルデアへ。私達は人理保障機関として秘密裏に人類を護る仕事をしている組織で、傍ら世界規模の支援活動にも力を入れているわ。歓迎します、対策委員会の皆」
オルガマリーが招いた、客間応接室。5人だけのアビドス高等学校生徒を迎え入れ、自身らの来歴と組織名を明かす。
「おぉ〜。フィクションかと思えば本当にあったんだね〜。そういう謎の秘密結社。おじさん感激〜」
「秘密結社だから、大抵は悪の組織だったりしないの?」
「セリカ、失礼」
「まぁ…今は当たらずも遠からずね。人類をどう定義するかにもよるわ、その答えは。では早速本題に入りましょうか」
オルガマリーは端末を開き、アダムと通信を繋げ情報を提示する。カルデアの力を示す第一歩の布石だ。
「先程、アビドス高等学校の受け持つ負債を全額返済致しました。アダム先生に資金を渡し、カイザーコーポレーション側と話をつけて貰ったところです」
「「「「「はぁ!?」」」」」
『事実だ。受け取ったカードには負債分の資金が入っており、たった今返済取り引きを終わらせたところだ。これで、アビドス高校は自由だ。君達も』
対策委員会、顔を見合わせる。よりにもよって一生かけて返すはずの資金があっという間に消え去ったのだ。夢か奇跡か、そう思ったのか、ホシノとノノミが頬をつねり合う。
「いふぁい〜。現実だこれ〜」
「やりましたね、委員長!」
「ちょ、ちょっと待って!?オルガマリーさん、裏がある!裏があるんでしょう!?」
「裏?」
「私はもう騙されないわ!肩代わりしたから身体で払えとか鉱山で働けとか、学校を寄越せとか!そういうなんていうか!裏取引があるんでしょう!?」
「ありません。裏を用意するのは心身ともに貧しい者の証。カルデアは問題解決を正面から愉快痛快に突破するのがモットーです。これで借金からは自由よ。あなたたちも、アダム先生も」
マイナスからゼロに向かう戦いというのは、当たり前だが何も生まない。それが自業自得ならばいいが、彼女たちは大人のやらかしに苛まれただけの学生だ。示さなければならないのだ、大人は子を害するばかりでは無いことを。
「じゃ、じゃあその…私達は何故呼ばれたのでしょうか…?」
「契約をしたいからです。あなたたちは、カルデアにおける素材調達や、アビドス地区の復興資金の調達の為の労働をカルデアでやってほしい。プラスになる頑張りに取り組んでほしいの」
「宝物庫を襲うとはいったいどういう(ワクワク)」
シロコが煌めく目で見つめるのを確認し、オルガマリーが頷く。結構やばい娘ね彼女、そんな所感と共に説明を続ける。
「まず、宝物庫を襲うというのはそのまま、カルデアスの資金倉庫に貯蔵されてあるクォンタムピース、通称QP生成場所であなた達はこれを採取なさい。一QPはそのまま1円、稼いだ利益はそのまま持っていって結構よ。一度の入場で5分、三百万は稼げるわ」
「5分で三百万!?」
「おじさんまだ夢の中にいるのかな〜」
「同時に、カルデアにおけるシミュレーターテスター職についてもらいます。千変万化の環境下にてあなたたちは戦ってもらい、データを取る。それにもまた給料を支払わせてもらうわ。お金を稼ぐため、真っ当に働いてもらうと言うことね」
QPを彼女らに稼がせ、同時にシミュレーターテスト人員を確保。様々なカルデアクオリティアップを契約条件に提示するオルガマリー。契約書を皆に提示する。
「こちらが契約書よ。文面に書いてあるものが全てで、小さい文字や透かしだなんてものはないわ。安心なさい」
「確認しましたー。今仰ってくださった事、全部記載されてますー」
「誰かの為の戦いでなく、自分達の夢や希望、学校の為に戦いなさい。カルデアがあなたたちに求めるのは、それだけよ」
5人は契約書を確認する。何度確認してもやましい事や怪しい言葉遊びを見つけることはない。当然だが、対等な相手を騙すことなどない。その必要がない。
「ん〜。何から何まで至れり尽くせりだね〜。早速契約したいんだけど、一つ聞いてもいいかな、オルガマリーさん〜」
そんな中、委員長たるホシノはオルガマリーに問う。彼女は聞けば先生以外の大人は信じていないそうだ。オルガマリーも、まだ信じられはしないのだろう。
「あら、何かしら」
「どうしてここまでするのかな?私達ばかり得して、そっちのリターンが少なすぎるよ。そりゃあ、テスターは大事だけどさ。そんなのの為に億円の借金をPONと肩代わりする?」
「リスクとリターンが釣り合わない、甘すぎる話だと言いたいの?」
「悪いけど、アダム先生以外の大人はあんまり信用したくないんだ〜。だから納得させてもらえたら嬉しいよ、オルガマリーさん。凄くいいお話だからね〜」
どうやら、ホシノという生徒はバカのフリをした切れ者らしい。目先の事に食い付かず、冷静にものを見れる智将なようだ。だが、その疑り深さは大人に翻弄され続けたがゆえの不信からくるもので、まだまだ傷は深いのだろう。心の傷が。
「そうね…」
だが、ホシノはまだ甘い。会ったことがないのだろう。『理屈や損得などで動かない、真なる社会的強者に』
「アビドス高等学校は、以前は水と緑に満ち溢れた超巨大マンモス学校で、オアシスなんてものもあったそうじゃない」
「え?う、うん。大分昔の話だけど…」
「見たいのよ、私は。そのアビドスが復活し、巨大な威容を取り戻すところを。せっかく訪れてみたら砂漠だなんてやりきれないわ。理由は単純、あなた達の学校の本当の姿が見てみたい。これは投資なの。あなたたち対策委員会、並びにアビドス全てへの」
「オルガマリーさん…」
「更に言うなら、アダム先生を敵に回したくはないという点かしら。アダム先生はあなたたち生徒の為なら何でもするわ。戦車やヘリを撃墜したなんて可愛いものよ。あなたたちが例えば、神に囚われたのなら…神だって殺して生徒を護るはずよ」
「か、神様より…私達の事を…?」
「…先生♡」
生徒達の顔が紅く染まる。どうやらアダムは生徒たちの心を捉えて離さないようだ。まぁ当然だが。
「そんな彼を敵に回してまで、あなたたちを騙す理由はない。私の目的はアビドス学校の再建、復活。並びにアダム先生への友好。それがこの契約の全てよ、ホシノ委員長」
「…………」
「大人の大半は薄汚いものよ。子供のままでいられるのなら、誰だってそうありたい。でも生きていくためには、汚れなくてはならないのが世界の在り方」
ホシノにオルガマリーは諭す。だが、大人はそれだけではないのだ。
「でもね、それだけではないの。大人として責任と覚悟を果たせる人は確かにいる。アダム先生を始めとして、私達はそうありたいと思っている。困っている子供を導くのは、大人の義務だもの」
「オルガマリー所長…」
「私はアダム先生のような大人でありたい。あなたたちより先に生まれた者として、あなたたちを応援したいの。…信じてほしい理由は、これでわかってもらえたかしら」
「…………」
ホシノの瞳がオルガマリーを見つめる。それを、オルガマリーは逸らさず見つめ返した。長い沈黙が続き、誰も言葉を発さない中…
「…わかったよ、オルガマリー所長。私達は信じる。オルガマリーさんっていう、大人を」
「ホシノ委員長…」
「アダム先生のような大人に、なんて言われたら信じるしかないよね〜。流石、バリバリのビジネスウーマンは違うな〜。皆も、いいよね?」
「うん!先生のような大人なら、信じられる!」
「アビドス学校を好きと言ってくださった事も、嬉しいです!」
「宝物庫、早く襲いたい」
「誠実な方は大歓迎です〜♪よろしくお願いいたしますね、オルガマリーさん!」
「こちらこそ。では、皆でスタンプを──」
…こうして、対策委員会とカルデアは正式な契約を結ぶことになる。
「ひゃっはー!略奪だ〜!」
「数十万単位で落としてくれますねー!ガンガンやっちゃいましょー!」
「やはり襲撃はいい…」
「でも強い!金色の扉強いわよー!」
「「「「ぎゃーー!!」」」」
「みなさーん!?」
こうして対策委員会は、プラスの戦いに身を投じる事となる。
それは──二人の大人に示された、キラキラと煌めく道である。これもまた…
先生が導いた、日常の中の奇跡なのだろう。
柴咲野郎ラーメン屋台
店主「お待ちどうさん」
オルガマリー「いただきます」
アダム「ここのラーメンは美味い。私もハマった味だ。楽園に招きたい」
店主「ありがとさん。最近、アビドス組が楽しそうなのはあんたのお陰なんだろ?サービスするぜ」
オルガマリー「助かります。リッカ達も呼んでみましょうか」
アダム「これで借金は消えた。私もまた、シャーレの業務に戻れる」
オルガマリー「砂漠地帯緑化計画と、正式な取り引きの上に取られた土地も取り返さないとアビドス復活とは言えませんが、御心配なく。そちらはカルデアでなんとかします」
アダム「できるのか?」
オルガマリー「正式な契約ならば破棄してもらうまでですから」
アダム「…頼む」
アロナ『何から何までありがとうございます、オルガマリーさん!』
オルガマリー「いいのよ。ギルにはリゾート開発として話を通したから。こちらにもわくわくざぶーん設立を目指す理由がある。持ちつ持たれつでいきましょう」
アダム「あぁ。これからもよろしく頼む。それでは地脈と水脈探索だが…」
屋台端の席の少女「……あれが教育実習生、オルガマリー・アニムスフィア…」
(…どうやら、アウトロー的に売り込み必須な相手のようね…!)
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