人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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シャーレ・オフィス

ギルガメッシュ「どうやら、我等の決戦は数多の世界を跨いだものに発展する様だ。星の一つで収まるには物足りぬと思った手前、実に丁度よい」

エルキドゥ「色々大変だよね。新情報が出たり、信じていたものが根底から崩されたり」

ギルガメッシュ「それでこそ愉快と言うものよ。何もかもかも思い通りでは張りがない。頭を悩ます難題の一つや二つ、生えて出てこなくては愉快な事にはなるまい。ハプニングイベントというヤツよな」

エルキドゥ「付き合わされる方は大変だろうけど、それはまぁ…一理あるね」

ギルガメッシュ「まずは我等の財の奮闘を見てやろうではないか。これから先、奴等が輝き道を切り拓くのだ。我等の手を離れようとも、全てを覆す程度には強くなって貰わねばな」

エルキドゥ「ふふ、乗り越えられないなんて考えてもいないくせに」

──はい!絶対に大丈夫だからこその、言葉遊びですね!

ギルガメッシュ「フ。──さぁ、まずは獣もどきなどサラリと調伏してみせるがいい!透き通る世界の者共よ!ふふははははは!!」

リン(あの御方が取締役…笑い声が大きいわね…)


透き通る世界に集った縁

「じゃあ先生?私が一人をやるから、他の生徒の皆で一人。あっちのお友達が二人をやるっぽいからそれで指揮をお願いするね?」

 

「…出来るのか?聖園ミカ」

 

「ミカって呼んでほしいなぁ。大丈夫大丈夫!巡行ミサイルを殴り壊したアダム先生程じゃないけど、私だってパワフルだから!」

 

ミカの言葉を受け、アダムはアロナの力を再び変化させる。個人的な戦闘教導でなく、生徒達を指揮する指揮タイプへと。

 

「アロナ、頼むぞ。皆、私に力を貸してくれ」

『はい!アダム先生!』

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

「よ〜し、おじさんいいとこ見せちゃうからね〜」

 

そこからの生徒たちの動きの精細はまさに見違える様に変革していた。まるで訓練を受け鍛え抜かれた軍隊のように、一糸乱れぬ統制の下にビーストY、ビーストHを銃撃やヘリ、戦車の一撃にて滅多打ちに晒していく。

 

「3秒後に全体攻撃が来る。回避した後ホシノとアルは指定ポイントへ。ノノミ、シロコの重兵器部隊はその行軍のカバーを頼む」

 

ホシノやアルといったエースクラスを移動させ、絶え間なく有利な環境を維持し、相手の攻撃の範囲と種類を解析し通達。広い戦場を見下ろす形でタブレットに示し、映された生徒に直接指令を送るアダム。アロナのスペックを使用した、ギルガメッシュやロマニの持つ千里眼と同じ視座を展開させる。それこそが、シッテムの箱の本懐にしてアダムの先生としての力。

 

ビーストYはその完璧な闘争に見舞われ、機銃と戦車砲に打ちのめされ、そしてその隙を晒した瞬間にアルや便利屋メンバー達、ホシノの接近を許し──

 

「くたばれ〜!」

 

「スーパー便利屋、一斉攻撃!これでミッションコンプリートよ!!」

 

大砲撃の波状により、神秘の詰まった一撃を大量に叩き込まれたビーストYは紅蓮の焔に包まれ、大爆破の中へと消えていった。

 

「やっぱり先生がいるといないとじゃ大違いだなー。速く私も、先生と会って一緒に色々話したいなぁ」

 

桃色の髪、金色の瞳に白き羽と装束。まさに天使とも言える少女、神のカードにより召喚された聖園ミカはたった一人でビーストHの前に立つ。

 

「こういう相手と戦うのって、お姫様っぽくないかな?ん〜、できるから一人でやるっていっちゃったけどやっぱりアダム先生と二人でやるって言えば良かったかも…」

 

ビーストHが、手にした剣を振り上げる。それは人など容易く叩き潰せるほどの巨大スケールを有したもの。少女のミカではひとたまりも無いのだが…。

 

「あー、もう!これじゃあまたゴリラと魔女とか言われもないあだ名が増えちゃうじゃん!こーいうとこだよ、私!」

 

だが、ミカはなんとそれを『片手で受け止めた』。剣ではなく最早ビルの倒壊と言っていいそれを、難なく花を摘むかのように。

 

「でも、インパクトって大事だし?アダム先生が『あの可憐なゴリラはいったい…』って私に興味を持ってくれるならまぁ、それはソレでありかも?」

 

ビーストが振り払おうとしても、剣はびくともしない。パワー負けしているのだ。少女の何倍も体躯がありながら、彼女一人のパワーを振り払えない。

 

「あー、やっぱりだめ!こっちの初対面で君のゴリラぶりが忘れられなくて、なんて言われたらすごいショック!だから──」

 

そして刹那──ビーストは、見た。

 

「うん。メルヘンマジカル方面でやっつけちゃうね☆」

 

そして、何が起きたのかも分からずに叩き潰された。空中、いや上空から飛来した『隕石』により、ビーストHは圧殺されたのだ。それは、ミカが呼び寄せた力に他ならない。ビーストを一撃で粉砕せしめる、超質量を彼女は呼び寄せたのである。

 

「はい、おしまーい!ちまちま撃つより早く終わっちゃった!皆はどうかな〜?」

 

爛漫に笑う聖園ミカ。彼女もまた、未来でアダム先生が向き合う生徒の一人に他ならず、先生を心から信じている一人であるのだ。

 

『ハメを外して飲みすぎちゃったわ…やっぱり味噌汁ね…』

 

「愚痴で飲む酒はまずいもんだ。次は節度と楽しい肴で飲むといいぜ?」

 

『そうするわ。さっさと終わらせましょう、グランドバーサーカー』

 

「それは、元な!!」

 

ビーストVの超火力の最中を、温羅は進んでいく。レーザーや大砲、そういった一撃を固めたガードのみで跳ね返していく。彼女は星の最強種であり、世界丸々一つを結集して造られた存在、アルテミット・ワンでもある。肉体の頑強さは、アダムすらも上回る。

 

『跪きなさい。調教してあげるわ』

 

リリスは巨大な鞭を持ち、音速すら越える切っ先でビーストを叩きのめす。振るわれるソニックブームで、ずたずたに引き裂いていくのだ。

 

「いででで、一応アタシにも配慮をだな!」

『あなたなら大丈夫よ』

 

当然近場にいる温羅もソニックブームを受ける羽目になるが、彼女の頑健な肉体はかすり傷一つ負わない、まるで怪獣の様に、着々と歩を進めていく。

 

「殴り飛ばすのはアダムと被るか。じゃあ鬼らしく金棒と行くかねぇ!!」

 

取り出したるは鬼神の金棒、諸事情により作ったレプリカなれど、その威容はなんの引けも取らない鬼の金棒。最早鉄風雷火を真正面からねじ伏せる歩く要塞めいた温羅が、それを振りかぶる。

 

「こいつは汎人類史の皆が作ったモンだ。異聞帯出身のアタシが振るう、人理の鉄槌を受けてみなッ!」

 

【!】

 

「くたばれえぇぇぇぇっ!!!!!」

 

リリスの鞭により体勢がぐらついた瞬間、バット打法の容量で思い切り温羅が振りかぶり、ビーストに向けて金棒の一撃を叩き込む。

 

吹き飛ぶ──などと生易しくはなかった。叩き込まれた部分があまりにも隔絶した力によりもぎ取られ、ダルマ落としのようにビーストが崩れ落ちる。ネガ・ティーチングはアダムや先生たる存在に効くもの。生粋の怪物に位置する鬼神や夜魔、生徒にはなんら意味を成さなかったのだ。

 

『呆れた力ね…大したものです事』

 

「へへ、これが取り柄なんでな!よし、じゃあもう終わりだろ!」

 

温羅はそう言って、リッカらの方を見やる。苦戦などありえない三人は、既に必殺へと映っている。

 

『一分で決めるよ!オルガマリー、マシュ!』

「解ったわ。最高速で決める」

「お任せください!フィニッシュを決めてみせます!」

 

リッカとオルガマリーが、それぞれ雷位とアキレウスのクラスカードにて超絶加速戦闘にてビーストHを徹底的に打ち据える。

 

リッカが切り刻めば、オルガマリーが縦横無尽に蹴り飛ばし。オルガマリーが打ち込めばリッカもまたオルテギュアーを撃ち放つ。戦いの中で完璧な連携を見せる二人は、共に楽園における最高戦力であるのだ。

 

『マシュ!ロードシャングリラ準備!』

 

「やっていますよ先輩!オルテナウスもウズウズしています!」

 

「私もブラックバレルを合わせるわ。リッカ、空中にアレを吹き飛ばせる?」

 

『御任せ!!三人娘のバスター担当の力、見せちゃうからねー!!』

 

オルガマリーがマシュの元へ戻り、オルテナウス・スプリーム・オフェンスモードを展開した彼女の隣で自身の切り札を展開する。

 

「詠唱工程破却。起動コード、Don't Stop」

「せんぱーい!!準備完了ですよー!!」

 

『おぉおぉおぉおりゃあぁあぁあぁあぁッッ!!!』

 

龍体を開放したリッカは、巨大なビーストをジャイアントスイングで振り回し、遥か上空へと吹き飛ばす。宝具の余波で誰も傷つけない為の措置だ。

 

『オルガマリー。3秒後にこのポイントだ』

 

「!アダム先生──マシュ、合わせなさい!三、二、一!」

 

アダムの指揮に合わせ、マシュに合図を送る。そのジャイアントスイングで吹き飛ぶビーストに当てるのは至難の業だとしても──

 

「ブラックバレル──発射!!」

「『今も煌めく、楽園の旅路』───!!!」

 

遥か上空へと吹き飛ばされた獣を、黒き軌跡が一瞬で撃ち貫き、次いで虹色の人理の奔流がチリ一つ残さず獣を蒸発させる。

 

『全ビースト、沈黙!やりました、先生!!』

「戦闘終了。…皆、本当にありがとう」

 

アダムの言葉と同時に──勝利の歓声が響き渡るのであった…──。

 




聖園ミカ「やったね、先生!さすが、私の王子様!」

アダム「…王子様?私がか?」

聖園ミカ「実はそうなの。これから先、先生はすっごいことばかりやっちゃうんだから。キヴォトスの皆、全員先生に夢中だよ?」

アダム「では、その中で君はとびきりのお姫様なのだな。私にとって」

ミカ「あ……そ、そう、だね?そうなっちゃう、かな?」

アダム「ありがとう。いつか王子様として、君を迎えに行く。暫しさらばだ、私の姫」

ミカ「………、〜〜〜……ほんと、ずるい。そんなカッコいい事ばっかり言って、見せて。ホントに…」

アダム「あ、年齢的に王子様は無理があるかもしれない。王様としてでいいか?」

ミカ「どっちでもいい〜!もう、期待してるからね!エデン・アダム先生ミサイル粉砕事件!その時まで元気でね!待ってるから──!」

アダム「………聖園ミカ、か」

鳩『アバンギャルドッポ』

アダム「鳩…」

鳩『先生は天職だったね、アダム。さぁ帰ろう、生徒たちが待っている。そして…』

ホシノ(あの女のコたちドラゴソボールやってるよ〜、こわ〜)

ノノミ「ありがとうございました〜!すごくお強いんですね、皆さん〜!」

リッカ「おっっっっ!!!」

シロコ「その銃、火力を上げればたくさんの銀行を更地にできる」
オルガマリー「…あなたほどのアウトローは見たことないわね…」

温羅「気前のいい社長じゃねぇか、気に入ったぜ!名前は!?」
アル「はひっ!?わた、わたしはですね!」

アダム「祝勝会、だな」
鳩「そゆこと」

広がり始める交流の輪を、昇る朝日が照らしゆくのであった──。


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