人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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英雄王の大改装が大好評でとても嬉しいです!ウルクの民羨ましい!カリスマ溢れる王の下で働きたい!

嘘みたいだろ?オルレアンにすら行っってないんだぜ?やっぱりギルガメッシュ王は最高だぜ!


アラヤ「こちらの仕事もやりがいあるよ!人員募集中!」


勤勉

「ここを第二のウルクとする!」

 

英雄王の宣言を聞いたときには流石に卒倒しそうになった。せめて、せめて今くらいはアニムスフィアの名を冠していてほしいと

 

 

……もう、自分がアニムスフィアかどうかは解らないのだが

 

 

カルデアが大改装を施され、貴族や名家でさえ羨む究極のレジャー天文台と生まれ変わったのはつい最近だ

 

あまりにもあっという間に、あまりにも強引かつ大胆に

 

あの英雄王は、不可能を可能にしてしまった。聞けば、このカルデアを動かす際にはとんでもない裏技を使ったとか、人には言えない手段を使って資金を工面したという話を聞いていたのに

 

あの英雄王はあっさりと、常識を飛び越えてしまったのだ

 

……そして、常識の外と言えば、私自身もそうである

 

 

聖杯と合体、融合した私。

 

死んでいた私を、英雄王が救ってくれた

 

……初めて褒めてくれた王、偉そうなのに、言葉には優しさと思いやりが含まれた王

 

私は彼に、生命を救われた

 

 

その恩義に、報いたいと思う

 

だから、責任から逃げてはいけない

 

レイシフトはできなくても、やれることは沢山ある

 

私は、カルデア所長。オルガマリー・アニムスフィアなのだから

 

 

 

「……今日の講義は終了ね。リッカ、マシュ。お疲れさま」

 

「お疲れさまでした。先輩、大丈夫ですか?」

 

「うう、なんとか……」

 

時計塔の講義室すら上回る規模の勉強室で、三人はマスターとサーヴァントのレクチャーをオルガマリーから受けていた

 

勉強会である。先生はオルガマリー、生徒はマシュと、マスターリッカだ

 

「初歩で伸びていたら後が辛いわよ。自由時間に復習しておくように。テストに出すわよ」

 

「テストぉ!?そんなー、ここまできてテストやるのぉ?」

 

「当たり前じゃない。反復しないで覚えられる頭じゃないでしょう?」

 

「酷い!成績は確かにそんなにだけどさぁ……うぅ、ゲームセンターで遊びたいなぁ・・・」

 

「頑張りましょう、先輩。私もフォローしますから、終わったら温泉で一息入れましょう」

 

「マシュがいうなら……所長、簡単にしてね?」

 

「赤点をとったら、ゲームセンターの出入りは禁止するわよ」

 

「ひどーい!」

 

「……む。呼び出し。マシュ、リッカを頼むわね」

 

「はい、お気をつけて」

 

「いってらっしゃーい……宿題やだー……」

 

 

管制室からの呼び出しに応え、講義を終え管制室に向かう

 

リッカの知識のフォローは大事だ。彼女に何かあった時には世界が終わる未来が確定する時なのだから

 

知識は邪魔にならない武器だ。自分を護るために繋がると、少しでも解ってほしい

 

(やる気があるのか無いのか掴みづらいけれど……取り組みの意思があるだけマシか)

 

 

「シバの観測とカルデアスのメンテナンスは私がやるわ。ロマニ、あなたはシミュレーションの調整をお願い」

 

「いやいや、所長に負担はかけられませんよ。これくらいなら僕一人でできますとも!」

 

「マギ☆マリ、更新されてるわよ」

 

「ううっ!」

 

カルデアスとシバ、カルデアの心臓とも言える最重要機関。そのメンテナンスは自分の手で行いたい

 

「ロマニ、あなたは一時間の休憩を。後は私がやっておくわ」

 

「え、ですが……」

 

「いいから休む!何かあったら呼ぶから、自分を大切にしなさい!顔にスイーツ食べたいって書いてあるじゃないの!」

 

「何だって!?くそぅ、なんでばれるのかなぁ!?」

 

怖いなこの職場!とごねるロマンを追い出し、コンソールパネルを片手で常人の三倍以上の速さで打ち込んでいく

 

「レイシフト、観測共に異常なし……存在証明問題なし、と……」

 

空いた右手でシミュレーションの調整を行う。難易度設定、シャドウサーヴァント、エネミーのデータをインプットする

 

「スパルタモード、ウルクモード……?どっちがどう違うのよこれ?」

 

「なんでも、神の嫌がらせに屈しない兵士の強さ、みたいですよ?ギルガメッシュ様がいってました」

 

「ウルトラハードってことかしら。あの王様はマメね……シミュレーションも弄るなんて」

 

「ギルガメッシュ王は最高だぜ!カルデアを一日で天国に変えちまった!」

 

「あぁ、あの飯を食べたとき俺泣いちまったよ、旨すぎて」

 

「身体が沈むくらいベッドもフカフカでよ、あんなに熟睡したのは生まれて初めてだったよ……!」

 

「俺はカルデアに骨を埋める!家族も呼んじゃダメかなぁ……」

 

口々に喜びの声をあげる職員たち

 

……自分のことばかりの時は気付かなかったけど、彼等も生命を懸けて戦っていたのね。それを省みないなんて。確かにいけない事だったわ

 

「あなたたち、手が止まっているわ。やることをやらない人にあの王様は厳しいわよ?」

 

「ヤバいヤバい!」

 

「あぁ、油断慢心は許しても怠惰は許さないがモットーだしなギルガメッシュ王」

 

「死ぬのは怖くないが、ギルガメッシュ王に見捨てられるのだけは嫌だ!」

 

「その意気よ。……む」

 

「ダ・ヴィンチちゃんから呼び出しですか?行ってきてくださいよ。後は私達が」

 

「いいの?」

 

「もちろん。私達だって足手まといじゃありませんよ」

 

「所長ばっかりいいカッコはさせませんぜ!」

 

「さ、行ってきてください。気を付けて、オルガマリー所長」

 

 

「……ありがとう、頼むわね」

 

 

お言葉に甘えて、管制室を後にする

 

 

 

 

「お待たせー!頼まれてた魔術礼装、戦闘服に制服、アトラス院の礼装のロールアウトが終わったよん」

 

工房に足を運び、礼装を受け取る

 

リッカに使ってもらう魔術礼装の管理をダ・ヴィンチちゃんに頼んでおいたのだ。アニムスフィアの伝手を使い仕入れておいた秘蔵の品だ

 

「ありがとう、師匠」

 

「気にしないでくれ、可愛い教え子の為だとも!サイズは彼女に合わせておいたから安心したまえ」

 

「使いこなせるかしら……彼女」

 

「神のみぞ、ってやつだね。まぁ経験を積めば大丈夫さ!それよりも……さぁ始めよう!万能の人たる私とのマンツーマン授業だ!」

 

「わ、分かったわ。もうそんな時間?」

 

驚くオルガマリー。どうも、この身体になってから感覚がおかしい。最後に寝たのはいつだっけ?食事も睡眠も不要になったからだろうか時差ぼけの感覚に近いかもしれない

 

「いけないなぁ弟子。不要だからって生命活動を蔑ろにしちゃダメだよ?まず精神から疲弊してしまう。精神とは肉体と魂を繋ぐ大事な糸、切れたら人間は自分を定義できない」

 

「プラネタリウムルームでも行ってきなさい。授業はまた今度にしよう?君は働きづめだしさ。幸い息抜き娯楽、そのすべてがカルデアにはあるのだからね!」

 

「ロマニほどじゃないわよ……でも、ありがとう」

 

「細やかな作業と同じさ。心の機微を読み取るのはね。チャオー☆」

 

オルガマリーは礼を言って、工房を後にした

 

 

「うむ、ウルクほどではないがよい彩りだ。やはり神代の輝きを再現できぬのがおしい。ジグラットから眺める星はよきものだった……」

 

プラネタリウムには先客がいた。

 

私の運命を変えた王、このカルデアの最強戦力

 

英雄王ギルガメッシュ……私に聖杯を与えてくれた、命を救ってくれた王

 

「む?なんだマリーではないか。貴様も星読みか?いい趣味だな、乙女というにはちと合わんが」

 

「よ、余計なお世話です!……あの、お邪魔でしたら」

 

「構わん、許す。貴様も知れ、ウルクの星空をな。後は臨場感だな。VR、試すか……」

 

「は、はい」

 

宝具により再現された、満天の星の海。手を伸ばせば届きそうな星天の輝き

 

 

「……綺麗……」

 

「であろう、であろう。貴様も知りおけ、ウルクとはありとあらゆる面で優れた無敵の城塞都市!我が良きものと定めた至高の都市だ!民も、空も、大地も、星も。我が認めし至純の財宝よ!」

 

ふはは、と高らかに笑う英雄王

 

 

……羨ましい。とちょっとだけ感じる

 

 

こんな風に生きられたらどんなにいいだろう。自信たっぷりに生きられたら……

 

弱気になる自分を振り払う。

 

そうじゃない。生き方は自分で決めるのだ

 

死にたくないと願った。生きたいと願った

 

この王に、命を救われた。

 

だから、ちゃんと立たないと。自分の足で

 

星には届かなくても。一生懸命歩いていこう。

 

――少しでも、誰かに誉められるように

 

 

「なんだ?熱っぽく見つめおって。あれか?我の黄金律に参ったか?」

 

「違います!ただ金ぴかでまぶしいだけです!」 

 

「ふはは!当然だ!我はこの星なぞ比較にすらならんほど輝いているからな!やらんぞ?星を、『ほし』いと願ってもな!ははははは!AUOジョークだそら笑え!笑う門には福来るというのはマスターの国の格言であろう?わはははは!」

 

「あ、あはははは……」

 

 

……ジョークセンスは、神様でも与えられなかったらしい

 

 

 

 

「ん。よし」

 

 

存分に息は抜いた。リフレッシュは完了だ。また激務が始まるが、別にあわてふためく事はない

 

自分は、一人じゃないから。やれる精一杯をやっていこう

 

……これからは、なるべく自然体で振る舞おう。

 

それくらい、きっと許してくれるだろう

 

幸い、皆……いい人達だから

 

「フォウ!(やっとマシな顔になったね)」

 

「あら?あなた……マシュのペットじゃない。私の前には出てこなかったのに」

 

「フォーウ!(君の前に出てももう大丈夫みたいだからね。挨拶さ)」

 

「何よ、迷子?仕方無いわね。おいで?」

 

「キャーウ、フォウ、フォウ!(所長に可愛さアピールをしておくのも悪くないかな。リゾートカルデアのマスコットとして名を馳せてやろう!)」

 

「ふふっ、もふもふね、貴方。名前はなんていうのかしら」

 

 

――願わくば

 

 

星の獣が、目を覚ます事のないような善き場所でありますように

 




カジノ、ゲームセンター、レクリエーションルーム、温泉、バッティングセンター、プラネタリウム。図書館、博物館、漫画喫茶


全て完備してあるカルデアはここだけ!君も人理を救うついでにリフレッシュしよう!

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