アダム「順次対応する。既読はまだつけないでくれ」
アロナ『はい!…本当にお疲れさまでした!』
アダム「そちらこそ。アロナがいなければ私は弱小先生だ。これからも、私を支え助けてほしい」
アロナ『はい!喜んで!』
ディーヴァ『あなたがカルデアに加入する新型AI?私はリッカの端末のAI、ディーヴァ。お話しましょ!』
大賢者『アプリ、大賢者。交流を希望』
アロナ『わぁ!』
アダム「ふふ…仲良くするんだぞ、アロナ。…さて」
犬「わん!」ネコ「にゃー」
動物まみれのアダム「祝勝会が始まるな…」
クマ「ウォーッ!」鳥「クェー」
「改めて、皆本当にありがとう。シャーレのオフィスを貸し切った為、簡素ながら祝勝会をやろうと思う。細やかながら用意させてもらった為、楽しんでもらえると嬉しい。それでは」
「「「「かんぱーい!!!」」」」
早朝の大量発生した敵対エネミー討伐。表向きはそうすることにより混乱を抑え、学園生活終了の放課後に集まり細やかなパーティーを開いたアダム。シャーレにて、勝利の美酒に浸るメンバー達の弾む声が響く。
「なんと。カルデアの皆さんも物凄く大変な戦いを乗り越えてきたんですねー。では今日は、その戦いの頑張りも纏めてお祝いしちゃいましょー!私十六夜ノノミのお膝、貸しちゃいますね♪」
「ふぉ…丘で顔が見えない…まさかママンサーヴァントの皆様の他にこれができる子が同年代にいるなんて…ありがとうございます…ありがとう…」
「うぇ〜ん。おじさんの特等席が取られちゃったよ〜。じゃあ交流会ってことで、マシュちゃん膝枕して〜」
「はいっ!私で良ければ!ごめんなさい先輩!私はホシノさんに膝枕致します!」
「声でか〜」
「これが世界で一番優しいごめ先なんだぁ。膝枕交流会ばんじゃ〜い…」
「オルガマリー、宝物庫を襲い切った後は是非一緒に銀行を襲うべき。個人的なアウトローライフワークで銀行強盗は鉄板」
「だそうです、アル社長。必要ならプランを考えますが」
「いいわよしなくて!?自発的に襲わなくてももういいんだから!私達は勝ち組よ!勝ち組!」
「ちなみに先の戦闘の経費ですが、余裕で大赤字からの破産でした」
「なんですって〜〜〜〜〜!?」
「ので、こちらからの資金援助で立て直しておきましたので御安心を」
「なんですって〜〜〜〜!?」
「社長、手玉に取られっぱなし…」
「まぁまぁ、いいじゃない!有能な新米下っ端が来てくれたんだし!」
「シャーレとカルデア兼用だなんて有能過ぎます…入れ替わりで私はいらない子…いらない子なんですね…フフフフフフ…」
「そんなわけ無いでしょう?オルガマリー事務会計プランニング雑用全般新米を手にしたスーパー便利屋68はさらなる飛躍と成長で力を付けていくわ!目指せ一大コンツェルンよ〜!」
「あ、社長。ゲヘナ風紀委員長が『どういう事か説明して』と鬼電来ていますよ」
「なんですって〜〜〜〜〜…?」
「あのエネミー、どう見ても普通じゃありませんでした。怖いような、不気味なような…」
「そうですよね。でも一番凄いのは…」
『あなたね、そうやって息を吐くように誰かが一番欲しい言葉を上げるのやめなさい。刺されるわよ?後ろからグサッと』
「私は先生だ。鍛え抜かれた肉体は刃を通さない」
『いやそういう肉体的なダメージを言うのではなくて』
「もしそうなったとしても、そこまで生徒を思いつめさせたのは私の責任だ。絶対に和解できるまで向き合う。そう決めている」
「ははっ、驚きのカタブツだな!一本取られたな、リリス?」
『〜もう勝手になさいっ。フィジカルモンスター同士仲良く飲んでいればいいわ』
「祝勝会だから私はジュースだ」
「未成年もいるからノンアルコール桃源郷の甘酒だぜ?」
『何よもう!私にもちょうだい!』
「あんなのを一人でボコボコにしてたアダム先生よね…」
「さ、流石は大人…シャーレの法規の象徴…」
思い思いの一時を過ごしながら、細やかなパーティーと交流は続く。アダムの頑固が招いたこの出会いは、今確かな絆となってここに結ばれたのだ。リッカ達も、オルガマリーと共にシャーレ・ビースト対策委員会の所属となった為にキヴォトス学園の生徒ということになる。
「まずは大変お疲れさまでした、オルガマリーさん、マシュ・キリエライトさん、藤丸リッカさん」
「七神リン会長」
「シャーレは提供された情報を下に、正式に皆様をシャーレとして歓迎いたします。そして…アダム先生」
「あぁ。私もカルデアのサーヴァントとして君達と契約を結びたい。空想樹はもう無くなってしまったし、彼女達を見守るために放浪もする事はない」
『カルデアにアロナと先生もお邪魔してもよろしいでしょうか!』
アダムとシャーレの申し出は、交渉として最良のものだった。カルデアにも、シャーレにも活動範囲を広げられ、異聞帯の王としての力を有するアダムが人理保障に力を貸してくれるのだから。
「その寛大な処置に心からの感謝を。アダム先生の目的、全力で支援させていただきます」
「ありがとう。やがて生徒達もエデンに招くつもりだ。そして、君達も」
(エデン!?そ、それって…先生!?)
(まさか、アダムとイヴ…つまり、嫁探しの為にキヴォトスに!?)
(だだだだだ、ダメよ先生!まだ私達は学生よ!?心の準備が!?)
(世界中の銀行とカルデアの宝物庫を襲った後にエデンへ。これなら脚もつかないし、犯罪じゃない(?))
「その日まで、よろしく頼む。命を懸けて、君達を護り導いていこう」
「「「「…………♡♡♡」」」」」
「?」
「もー、アダム先生は自分の魅力にとことん無頓着だね〜。そんなイケメン魂とイケメン面で言われたらもうメロメロだよ〜?」
「ホシノ」
「んふふ、どんな場所なのか楽しみにしてるね。アダム先生」
「あぁ。良いところだ。見上げる程の羊がいる」
「…割と魔境なのかな〜?」
赤面する生徒たちと、アダムに寄りかかるホシノ。そのたらしぶりに呆れ果てるリリスと、笑いを堪える温羅。
「とりあえずお前はカルデア来たら定期検診な〜。心配すんな、スパみたいなもんだぜカルデアはよ〜」
「そしていつでも襲える宝物庫がある」
「楽園の名に偽りなしよ。…まあ、最近バタバタしているけど」
「そしていつでも襲える宝物庫がある」
「シロコ先輩?先輩はアビドス所属では…?」
「心は宝物庫を襲撃している。アダム先生とも襲撃したい。ブインさんから、神の貯金箱も襲撃する事を勧められている」
「あなたは一体どこへ向かっているのかしら…」
「私分かっちゃった!」
「先輩?」
「可愛い皆が織り成すグランド・セフト・オートなんだここ!!」
『ギルガメ君。どうやらカルデアスを巡ってわちゃわちやしているみたいだけど…私はカルデア、カルデアスは素敵なものだと思うよ。何故なら』
「カルデア無くばこの出会いも無かったと宣うのであろう?フッ、世界はあればあるほど開拓と冒険のし甲斐があるというもの。今の我にとって、カルデアは羅針盤であり見つけた世界は宝島よ」
「何事もボジティブに、だよ。大体世界や人類が滅びる事なんて一回や二回じゃない。何度だってある筈さ。ティアマト母さんの大暴れほど肝を冷やす問題もそう無いしね」
『フフ、メソポタミア最強タッグは言うことが違うっポ』
──アダム先生は何を受け持っているのでしょう?是非是非シュメール・メソポタミア文明部門を専攻していただきたいですね!未だ無数の発見がある最高の不明文明を是非是非!
『エアちゃんはメソポタミア文明の事になると早口になるっポ。…では、私からも調査の成果を一つ』
パパポポは微笑ましく見守りながら、鋭く核心に踏み込む。王に齎される情報は、常に値千金の情報だ。
『アダムのスペックは本来なら汎人類史のアダムも同じもの。しかしこちらのアダムはこう、色んな意味でしょうもないッポ』
「ルシファーめから話は聞いている。改悪されたのだったか」
『うん。私の仮説では、あの異聞帯のアダムにボコられた記憶をビーストΩは有するのだろう』
──まさか…!
『そう。初めは異聞帯を自らの千年王国にしようとした。しかしあのアダムに殺された後、汎人類史の神が手掛けたアダムに改悪を仕込み人類を蒙昧とさせたのだ』
「───つまり、ビーストΩとやらは」
『そう。一度あのアダムに殺されており弱体化したのだ。本来ならば、異聞帯と平行世界を有する大いなる神であった。そしてそれは今…カルデアスを求めているのだ』
王と姫は神の掲示を聞く。それは、いずれ楽園が挑む終焉の獣の暗示──。
ゲマトリア
マダム「どういうつもりです?」
黒服【何がですか?】
マダム「とぼけた芝居はいりません。あの獣、わざわざ【複製】してまで何故アダム先生に?」
黒服【あぁ、せっかくなのでご挨拶をと。テンションが上がってしまいましてね】
マダム「…わざわざビーストの名前にあの文字を付け足すことは無かった筈。その意味を理解されたら如何するのです?」
ピーナッツみたいな頭の男【熱が入り、呼称を謳う。その気持ちは理解できるぞ、黒服】
黒服【でしょう?アダム先生の圧倒的能力にテンションが上がって上がって仕方ありませんでした】
「……わざわざビーストなど。カルデアをキヴォトスに招いた事は悪手でしょう」
黒服【だとしても、アダム先生には安らぎが必要です。放浪に報いるための安らぎが】
自画像を持つ男【そういうこった!】
「………分かりました。では、アダム先生はこちらが対処致します」
黒服【おや】
「紛れもなく、アダム先生は我等の敵となる。エデンの王、楽園の証明者。彼はなんとしても、排除しなければ」
【できるのか?あの、人の毅さが形となった男に】
「エデン条約。その際に、彼を抹殺しましょう。そう…彼は生徒達の為なら喜んで命を捨てるでしょうから──」
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