人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
アダム「という訳で、カルデア勤務にも着手することになったアダム・カドモンという者だ。最新の組織ゆえ至らぬ事もあるだろうが、どうかご指導ご鞭撻の程をよろしく頼む」
アロナ『アロナです!アダム先生と、一生懸命頑張ります!』
ルル「まさか異聞帯とはいえ、始まりの人類と顔を合わせる日が来るだなんて。福山ルルです。カルデアのオペレーターを担当しています。こちらはゆかな。僕の相方です。こっちは櫻井朱雀。」
ゆかな「よろしくお願いします、アダム先生。キヴォトスでの活躍、聞き及んでいますよ」
朱雀「よろしくお願いします、アダム先生。榊原先生にも負けない先生と聞き及んでいます」
エル「高橋エルと申します!ロボット全般が大好きです!よろしくお願いします!!こちらは僕の理解者、上田アカネさん!」
アカネ「ど、ども〜。上田アカネです〜」
天空海「雨宮天空海と愉快な仲間たち!以下同文!」
飛鳥「まとめないでくださいよ!私は鈴村飛鳥。こっちは保志大和、石田サラ。三人で色々やってます」
大和「三人の一人です」
サラ「もっときちんと紹介しないか飛鳥!」
飛鳥「本当に色々なんだからしょうがないだろ!」
リッカ「私はリッカ!こちらはさなちゃんです!」
早苗「サナちゃんです!!」
アダム「夏草昇陽学園の生徒達だな。どうかよろしくお願いする。ところで、早速手伝ってほしい事があるのだが」
一同「?」
『できました、アダム先生!シャーレ居住区にある家庭ファームとほぼ同じ規模、機能の再現に成功しましたよ!』
「よし。これも皆のお陰だ。本当に感謝する」
カルデアにやってきた最古の新人教師、アダム・カドモン。そんな彼が皆の手を借り完成させたもの、それは彼が個人で経営、運用しているファームのカルデア版の制作だった。カルデア側に許可を取り、土や天候をコロニー方式で再現することにより、あちらの環境を再現した形になる。
「アダム先生はとても家庭的なのですね!野菜を育てる場所や、動物と触れ合うエリアなどが見受けられました!」
早苗の言うとおり、それは小規模ながら動物と戯れる事ができ、野菜を育てられるのんびりスローライフな個人の時間を取ることの出来る場所として展開されている。激動の社会生活から離れ、静かなる時間を噛みしめる。そう言った印象と雰囲気を懐かせる造りとなっている。
「シャーレに就いた際、個人的な時間を安らぎに充てたいと考えた私は、給与を注ぎ込みシャーレの居住区の一画にこういった場所を設けてな。今もなお運用している。カルデアにおいても、そういった空間を作りたいと思ったのだ」
「完全な趣味における農園なのですか?個人経営の?」
「勿論、生徒達も遊びに来る。のどかな青空や、喧騒から離れ動物と戯れる。そう言ったリラックス空間においては、生徒達も緊張を解し普段は伝え辛い事も相談してくれたりする。一緒に動物を触ったりもする、アニマルセラピーというやつだ」
『先生は動物にもモテモテてで、ぼーっとしていると動物がたくさん寄ってきます。そういう動物達を招き入れるのにも役に立っているんですよ、アダム先生の個人ファームは!』
「にゃ~」
「ワフ!」
『ヘッヘッヘ』
「おおっ、どこからか猫が」
「あまこー!それにブランカも!」
【グルル…ウォンッ】
「狼王ロボさんもいらっしゃいましたね!モフらせてくださーい!」
【(がぶー)】
「あー!」
(狼王に躊躇いなくお願いできるのは東風谷くらいだな…)
「カルデアは室内なので、こういった開放感のある場所は大切ですね。ピザパーティーをしてみたいものです。キヴォトスや、夏草の皆で」
「そう言えば、怪獣ブリーダーやモンスターファームはこういったのどかな場所でやりたいと仰っていましたねアカネさん!」
「うんうん。いつかハイパーゼットンを育て上げるのが夢なんだ…ウルトラマンが束になっても敵わないようなそんなやつ…」
「割と危険人物よね、あんたら…ま、公共施設が増えるのはとってもいいことね。職員やマスター達の息抜きにもってこいじゃない」
「えっ…あのやたらやかましい練習するんですか?ここで?」
「チェスト禁止、猿叫禁止って銘打たなきゃね」
「薩摩藩の皆はどうやら戦の匂いがしなければ真面目な優等生らしい。…レイシフトや特異点は禁止ワードだろうな」
「あぁ。ここは皆で遠慮なく好きに使って構わない。日夜汎人類史を護り続ける君達の、細やかな安らぎの場所を提供したかったのだ」
アダムは彼女ら、彼等の奮闘を極めて高く評価していた。人知れず、称賛なく世界の危機に挑み続けるカルデア。その重責を担う少年少女達の在り方と奮闘をだ。
「人の身で、世界を救いその平和を護ることは並大抵の事ではない。私は、仮にも世界を護らんとした者。その困難は身に沁みているつもりだ」
『アダム先生…』
「私の力が及ばず、我が世界は異聞帯となった。だからこそ、君達の頑張りと決意、手にした成果を私は心から尊敬する。それを成し遂げたのが、君達のような希望と未来に満ち溢れた善なる人間たちであることが我が事のように喜ばしい」
彼の賛辞は嘘偽りのないもので、だからこそ皆はそれを素直に受け止めている。胸を張る者、照れるもの、一層決意を固める者。アダムはエデンの王として、最大限のリスペクトを心がけてくれたのだ。
「辛くなったならばこの場所を思い出し、ふらりと立ち寄って見てほしい。君達には榊原先生という偉大な教師もいるだろうが、私も先生の端くれだ。他人に伝えにくい悩みなども、誠心誠意向き合っていく所存だ」
「い、いいんですか?私達はその、キヴォトス在住では無いのですが…」
「構わない。私は先生、先に生きるものだ。汎人類史であろうと、異聞帯であろうと。後に産まれた命は全て私にとっての生徒なのだから」
『アロナも、愚痴くらいは聞いてあげられると思います!ストレスが溜まったりしたら、是非私にもぶちまけてください!』
「ふふっ…これは下手な真似はできないね、飛鳥?」
「なんで真っ先に私に振るんですか!そんなに溜めませんよ、ストレスなんて!」
「え、でも飛鳥ちゃんサラさんと大和さんに振り回されてばっかりだからストレス溜まってそう…」
「あんたって人はー!!と爆発する前にケアしてくださいね!」
「…わ、割とお世話になるかもしれない…」
「ルル?あんたも積極的に利用しなさいよね〜?うんうん唸って考えてばかりいたらハゲるわよ、将来」
「天空海先輩、俺のは悩みじゃなくて戦術や戦法といったものですから大丈夫ですよ。…大丈夫だよな?」
「さぁな。神の味噌汁といったところか」
「急に魔女モードになるな!あと神のみぞ知る、だ!」
『じゃがいもと豆腐とワカメが最高の組み合わせッポ』
「なんだこの鳩!?」
(ユフィと遊びに来るのもいいかもしれないな…)
「話は聞かせてもらった!うむ、素晴らしき者達に素晴らしき試み!大変結構!」
「愛生ちゃん!」
「親睦を兼ねて、エミヤさんが特上ずしを振る舞ってくれたわ。アダム先生やアロナちゃんも一緒に食べましょう?」
『やったー!回らないお寿司です!アロナはマグロ、エビ、サーモン、イクラ、ブリ、玉子を予約します!』
「メジャーどころ躊躇いなく行くわねこいつ!?ていうか食べられるのAIなのに!?」
『アダム先生と味覚共有すると食べれます!いただきましょう、先生!ね、ね?ね!』
「あぁ。ありがとうございます、榊原先生」
「こちらこそ。始まりの人類たるあなたと同じ教壇に立てるなんて…あ、了子…すみません、少し失礼致します」
「寿司は鉄板ですね!ですのであの、ロボさん!そろそろ離していただけると大変ありがたいのですが!」
【がぶー】
「流石現人神だ。違うなぁ…」
「リッちゃん〜!しみじみ信仰していただけるのはありがたいのだけど今は助けてぇ〜!?」
「よし、では…戴きますをするとしようか」
「「「「おー!!!」」」」
こうして完成したアダムファームこと、『エデン』。キヴォトス、夏草の親睦会とも言えるそれは、和やかな空気の中で幕を開ける。
「やはりものを言うのは粘り強く生徒と向き合う事ですね。力では生徒の心を解きほぐすことはできませんから…」
「成る程…参考になります。力を振るうのは、やはり責任を伴う時のみ、ですね」
「トロ美味しー!ほっぺたとろける~!」
【またふくよかになってしまうねぇ、アカネ君。そろそろ体重計を見るのが怖いのでは?】
「シャラップ!アレクシスシャラップ!」
『っ……!』
「あ。アナーヒターワサビダメな感じ?」
『こ、これがワビサビ。つーんとするのね、不思議な感覚だわ…』
『あはは、可愛いとこあるのね〜。通はこのつーんを楽しむのよ!』
「あんたどこの女神よ…」
『浮気したゼウスの鼻の穴に詰め、目に塗りたくるか』
「気持ちは解るが発想が危険にすぎるぞ、ヘラ…」
『新天地の仲間たちと、キヴォトスの生徒たち!頑張って導いていきましょうね、先生!』
「勿論だ。最善を尽くすと誓おう」
こうして、和やかな空気にて親睦会は続いていく。先生として、アダムはカルデアに関わる決意を固めるのであった。
──そして、アダムは一つの謎を、見出す事となる。
アダム「藤丸リッカ、少しいいか?」
リッカ「はい!」
アダム「改めて御礼を。ビーストの戦いの際、よくぞ力を貸してくれた」
リッカ「いえいえ!助けを求められたら助けるのは当たり前ですから!」
アダム「素敵な心根だ。その清廉さに報いるため、頭を撫でさせてもらっていいだろうか」
リッカ「頭をですか!」
アダム「あぁ。キヴォトスで、頑張った生徒にやるコミュニケーションなんだ」
リッカ「そういう事なら…でへへ、お願いします〜」
アダム「ありがとう。では…」
リッカ「───!」
アダム「よし。…ん?どうした?」
リッカ「あ、いえ…アダム先生の撫で方が…昔の、お父さんだった人にそっくりだったんで、つい」
アダム「お父さんだった人…?」
リッカ「私が期待されていた頃、父だった人なんです。最初はたくさん褒めてくれて、こんな風に頭も撫でてくれて…あはは、忘れちゃってたなんて…」
アダム「……撫で方が同じ…。リッカ。少し君のパーソナルデータにアクセスしていいだろうか?」
リッカ「ふぇ?い、いいですよ?見ちゃってください!」
「ありがとう。では、また」
〜カルデア通路
サタン【カルデア探索さいこー!】
アダム「ルシファー」
サタン【…誰?エアやバアル以外で馴れ馴れしく呼ばないでよね】
アダム「すまない。だが、サタンとは呼びたくなくてな」
サタン【あぁ、異聞帯のアダムかぁ。…まぁいいや。どうしたの?】
アダム「質問がある。『アダムとイヴの子は存在するか?』」
サタン【いるよ?カルデアに】
アダム「────────そうか。感謝する」
サタン【…?】
アダム「藤丸夫妻の突然の豹変、リッカの天井知らずの人間力。…そういう事か」
アロナ『せ、先生?』
「…どこまで人を弄べば気が済むのだ、神よ…」