人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ゴルドルフ「カルデア職員が毎朝奇声を発しながら一心不乱に杖を振り回しているのは一体?」
オルガマリー「チェスト人類の脅威らしいです」
ゴルドルフ「???」
ロマン「稽古は稽古です!稽古の意味を考える方は職員になれないんですよ!」
ゴルドルフ「ねぇ智慧の王?」
ロマン「チェストとは『知恵捨て』と心得たり!」
ゴルドルフ「捨てないで???」
シオン「空前のジャパニーズ・バーバリアン・ミームの到来中なんです、深く考えずに」
ゴルドルフ「あぁ、確か薩摩藩…ま、まぁリッカ君は今アビドスに環境保全にイザナミ大御祖母と向かっているから平和であるならそれはそれで」
ダ・ヴィンチ「話の途中だが特異点の発生だ!!」
ゴルドルフ「平穏が崩れるの早い!?」
ムニエル「戦ぞ!!全員準備じゃ!!」
「「「チェスト特異点!!」」」
ロマン「時間5分前だぁ!」
オルガマリー「日本ってすごいわ…リッカは今席を外しているため、グランドマスターズ所属マスターで対応します。要点は?」
ダ・ヴィンチ「それがね…なんだかやたらと広くて街があって…」
オルガマリー「抽象的ね…?」
ムニエル「分からなくて行かないのは女々しい。行ってから走査してみては?」
ロマン「名案だね!」
オルガマリー「………よし!」
ゴルドルフ「よしじゃないが所長!?とりあえず概要をだね!」
「召喚ゲート起動!!」
ゴルドルフ「はっ!?」
?「痛い!!」
ゴルドルフ「誰!?」
健康的な女性「あの直情野郎…いつか頭かち割ってやる…!あ、どうも。はじめまして。セリヌンティウスといいます」
「「「「セリヌンティウス!?」」」」
「メロスは激怒した!!必ずや邪智暴虐のカルデアを正さねばならぬと決意したのだ!!メロスは政治が分からぬが、なんか怪しい組織に世界は任せておけぬ!!」
「実にふわっとした理由でカルデアを批判されてるぞ、オルガマリー…」
『そこにいる職員は善だけど組織そのものは真っ黒だから間違ってはいないのよね…』
リッカを欠いた状態で特異点修復に挑みしカルデアが相対した特異点、それはメロスを名乗るサーヴァントが背負った聖杯にて起こした特異点、なんか悪い組織といった理由をもって義憤を燃やした彼の独壇場ともいうべきものであった。先にセリヌンティウスを名乗る石工の女性が来たことからも確定的である。
『あのバカ、ちょっと色々見えてないのよ。自分がこうと決めたらマジでなんの躊躇いもなくやることをやろうとして…』
「あなたが連鎖召喚されたのもそういう?」
『そうなの。あいつが悪いと、敵と感じた相手に放り出されるサーヴァントなの。私。原作で事後承諾で人質に抜粋されたでしょ?逸話が宝具になってるの。『セリヌンティウスを置いていこう』って。控えめに言ってクソ』
心中お察しします、といった空気が流れる。要するにカルデアの事を聞きつけたメロスがカルデアを敵と認識し、そうしたことによってセリヌンティウスが召喚されたという事になる。灰色の長髪を後ろにまとめ、大切な秘部だけを布で隠せししなやかな身体を有す石工の彼女は、成る程幻霊に近しい霊基を保っている。
「その声はセリヌンティウス!セリヌンティウスだな!今助けるぞ、メロスは友情を裏切らぬ!」
『テメーが敵に身柄引き渡してんだよボケ!さっさとくたばって退去させろや!!』
怒りを剥き出しにキレ散らかすセリヌンティウス、そしてメロスは意に介さず英雄の在り方に酔い痴れているようで、その言葉は届きそうにない。
『間違いなくあのアホが悪いので、適当にブチのめしてやってください。そんなに強くないはずなんで大丈夫ですから』
『だそうよ、カドック。斥候とは言ったけどあなたなら単独で行けるんじゃないかしら』
「色々フワッとしてるな…じゃあ、慢心にならない程度に自然体で挑ませてもらうよ」
カドックは魔術回路を励起させ、契約サーヴァント、アタランテ・オルタに魔力を回す。彼のサーヴァントたる彼女は、常にカドックの傍にある。
「頼むぞアタランテ。君なら大丈夫な相手の筈だ」
「うむ。任せておけ。見る限り戦闘に長けている訳でもなさそうだ」
…その予測と、セリヌンティウスの言葉通り。アタランテ・オルタは全く苦戦することもなく、メロスを散々に叩きのめすことに成功する。
「ぐわぁアァアァァァ!!ばかな、この正義と義憤のメロスが何故!?」
『アホか。テメーは原典でも速攻で王様に捕まってたろうが。身の程知れやボケ』
「本当にたいしたこと…いや、違うな。僕のアタランテが強いんだ」
「ふふ、そうだ。フランドールも交えアップルパイパーティだな」
「腕によりをかけるよ。さぁ、聖杯を渡せ。特異点は見逃しておけない」
(サブリーダーとしての風格が出てきたわね、カドック。オルガマリー嬉しいわ)
『大変御迷惑をおかけしました。そいつにトドメを刺して聖杯を回収してください。迷惑料という事で献上致します』
セリヌンティウスはメロスの暴走に辟易しているタイプのようで、その水色の瞳と落ち着いた風貌を怒りに歪めている。原典で事後承諾人質案件された件はかなり思うところがあったのだろうか。
「そうさせてもらう。さ、聖杯を…」
「させぬ、させぬぞ…カルデアは悪の組織!人類をこのメロスは護るのだ!」
「生まれは悪の組織かもしれないが、組織改革はとっくに起こっている。情報が古いぞ。ほら──」
「メロスこそが人類の希望!!ここで負けるわけにはいかない!南無三、メロスはやり遂げるのだ!!」
「マスター、下がれ。こいつ、何かをする気だ…!」
アタランテの言葉通り、メロスから魔力の高まりが感知される。それは超魔力、まさに聖杯なら発せられる程の。
「こいつ、聖杯を起動させたのか…!」
『お前なにやってんだ!聖杯はどこにあんだよ!?』
「金色のコップなら飲み込んだ!」
『頭おかしい事やってるんじゃねー!!はた迷惑にも程があんだろテメェ!』
「うぉおお高まる!メロスに漲る勇気の心、溢れる正義に燃える心が立ち昇る!」
「くっ、暴走の危険があるんじゃないのかこれは…!所長、どうする!?」
『やむを得ないわ。メロスを討伐し取り出しましょう!万が一にはロマニが強制退去させるわ、カドック、頼むわね!』
「了解…!アタランテ、令呪を託す!宝具発動だ!」
「解った。だが令呪は要らん。勅令脱出に温存しておけ」
アタランテはタウロポスを構え、メロスに構える。それは霊核を貫く必殺の一射。
「うぉおぉぉお!!セリヌンティウス!私はお前を必ずや助け間に合い、真の友情を証明する!!」
「何…!?」
「宝具発動!!『走れメロス!矢のように、沈む夕陽よりも速く』!!!」
聖杯というリソースを使用したため、魔力使用のラグもなくメロスは自身の宝具を発動したのだ。それはアタランテの宝具発動を遥か上回る速さ、優先を見せる。
「な────」
カドックにはそれが見えなかった。アタランテも、カルデアのオペレーター達も、そのメロスの疾走が見えなかった。
『め、メロスの反応…消失しました…!』
『消失しただと!?退去したのか!?』
『いえ、特異点は健在です!これは、メロス自身はまだ顕在であり、仕切り直しと自己保存、逸話昇華型宝具により敏捷値EXと化したことによる離脱現象と推測されます!』
『あのバカ…自分が特異点で人類に仇なしてるってのが、わかってねぇんだよなこりゃあ…!』
『め、メロスの反応、ロスト。特異点の反応はありますが、カドックのいる特異点は消失します…!』
「……支離滅裂すぎる…」
『あ、言い忘れてましたがメロスのクラスはバーサーカーです』
『でしょうね!!』
聖杯を有し、圧倒的敏捷でカルデアの前から離脱したメロス。
…その後、メロスは出現と接敵を繰り返し、その度に宝具発動と離脱を繰り返した。
半刻過ぎてリッカがカルデアに帰還。アキレウス+雷位開帳というメタ戦法を摂りながらも離脱を許す異常事態。逸話昇華型宝具によるため、単純な速度では捕らえられないとロマンは推測。
…ここに、『強くはないのに突破できない』という問題が発生。楽園カルデアは頭を抱えることになる──。
リッカ「速い、速いよ!メロスさん速い!」
セリヌンティウス『本当にすみません、ウチの連れが本当に…!』
リッカ「おっ!!」
キリシュタリア「ゼウスライトニングの、ゼらへんで逃げられてしまったよ。ははは無念だ!」
デイビッド「先回りしても即座にルートを変えられた。宝具は無効化できそうにないな」
ベリル「人類最速でもだめなら駄目だわなぁ」
チルノ「くそー!ヒキョウモノめー!」
ロマン「別アプローチを考えなきゃだめだね。そうだなぁ。彼は走れメロスの主役、走ることにおいてはあらゆる優先権を持つだろう。それには、逸話の一端では勝てないんだ」
オルガマリー「アキレウスは最速の英雄ではあれど、走るために産まれた英雄ではない…ということね」
アキレウス「くそー、概念優先は反則じゃねえのか?」
マシュ「となると『走るために産まれた英霊』でないとメロスさんを捕らえられない…?」
ぐっちゃん「そんな品種改良モノがいるわけ…いや赤兎馬とかならイケないかしら…」
ギル「なんだ、それならば心当たりがあるぞ?走るために産まれた英霊、次のコラボ相手だ!」
リッカ「ギル!」
オルガマリー「ギル、それは?」
ギル「そう、駿馬、俊足の英霊…!その名も!『ウマ娘』よ!!連絡はつけてある、さぁ向かうがいい!トレセン学園へとな!!」
はた迷惑な英雄を捕まえるため、リッカたちは名門、トレセン学園へと進路を取る──!!