人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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チルノ「………」

たづなさん「あら?あなたはカルデアのマスターさん、ですか?」

チルノ「…………」

たづなさん「グランドウマ娘の選抜は順調ですか?どの娘も素晴らしい方なので、じっくり見つけ出してあげてくださいね!」

チルノ「……だろ」

たづなさん「え?」

チルノ「おまえウマ娘だろ!!」

「えぇえぇ〜〜〜〜っ!?」




追いかけろ!幻のウマ娘!?

「くそー、あいつはどこにいった!間違いなくあいつがサイキョーのウマ娘なんだ!」

 

「…与太話にしか聞こえないけど、確かなんでしょうね?妖精のあんたの直感、無視できないものがあるのは解るけど」

 

緑服の美女、たづなさんを追い求め鼻息荒く捜索中なのはチルノ、ぐっちゃんコンビ。精霊と妖精は、一人の存在に凄まじきパワーと直感を感じていたのである。

 

「あいつが走ってウマ娘に追いつくのをあたいはこの目で見たんだ!すげぇ走りだった!あいつこそ、この学校でサイキョーのウマ娘に間違いないんだ!」

 

そう、チルノがマスターとしてウマ娘を探していたところ、ダッシュでウマ娘を捕獲していたたづなの姿を一目目の辺りにしていたのである。ウマ娘は最高速度時速60を越える生命体、一般人が追いつける存在ではあり得ない。

 

「確かにそれが真実なら、普通の人間としては考えられないわね。リッカやオルガマリーじゃあるまいし…ウマ娘ね」

 

「そうだろ!あいつはグランドウマ娘だ、あたいは確信している!絶対に捕まえてお願いするぞ!ついてこい!ぐっち!」

 

「誰がハッチポッチステーションか!えぇい、面倒な相手とコンビを組んでしまった…!」

 

そうボヤくも、なんだかんだで付き合うノリの良いぐっちゃん先輩。赤兎馬や絶影くらいしかわからないので、指標があるのは彼女としてもありがたいのだ。

 

「うぉー、待てー!!ねんぐをおさめろー!!」

 

「ご、誤解ですよ〜!私はウマ娘じゃありませ〜ん!」

 

早速判明した所在めがけて走り抜けるチルノとたづな。緑服の会社員制服でありながら、チルノとの差は全く埋まらない。

 

「あの俊足──チルノの言葉と予想は正しかったようね!」

 

ぐっちゃんも目の当たりにする、その美しいフォームと速度。走る衣装に適していないながら、その速度はまさに常軌を逸している。

 

「最強のグランドウマ娘がまさかオペレーターだったとは…!少なめの脳みそでよくぞ真理に辿り着いた、チルノ!待ちなさいコラァー!!」

 

「ひぃ〜!?」

 

しばらく、虞美人とチルノ手動の追いかけっこは白熱を極めた。たづな一人を追いかけ回す二人のマスターの光景は極めてシュールであるが、それが全力のスカウトなのは疑う余地はない。

 

しかし、それでもたづなは捕まらなかった。コーナリング、カーブ、直線。ありとあらゆるコースを完璧に走り抜けるその姿は、まさに人間離れした走力にほかならない。精霊の虞美人、妖精のチルノすら寄せ付けない圧倒的走力はまさに、怪物クラスの脚質だ。

 

「ひぃ、ひぃ、ひぃ…もうだめだ〜…!」

「とんでもないやつね…影も踏めないだなんて、初めてよ…」

 

虞美人、チルノ共に音を上げへたり込み、ようやくたづなが二人へと近付き声をかける。

 

「おわかりいただけましたか?私はウマ娘ではない、普通の人間なんです。ましてやグランドウマ娘だなんて…」

 

「どこを見れば、あんたを一般人だなんて言えるのよ…」

 

「おまえ、サイキョーのウマ娘だって…あたいは、知ってるんだぞ…」

 

「もう、しょうがないですね…では、じっくりとお話いたしましょう?お二人には付き合ってもらいますからね?」

 

そうしてたづなは、二人を抱きかかえ歩き出す。その彼女が向かった先とは──。

 

 

「ラーメンだ!ぎょうざもある!うめぇ!うめぇ!!」

 

「今日は私が奢らせていただきますので、たくさん食べてくださいね。お気に入りのお店なんです、ここ♪」

 

彼女行きつけのラーメン屋であった。夜のラーメンとぎょうざは、走り回った身体に犯罪的な満腹感を与える。チルノはひたすらに飯をくらい、ぐっちゃんはビールをあおっている。

 

「いいですか?ウマはラーメンやビールを飲みませんし食べませんね?ですが私は食べます。では私はウマ娘でしょうか?」

 

「違うな!あたいがまちがってた!」

 

「ふふ、わかってくださって嬉しいです。チャーハンもどうぞ♪」

 

「アダムとかいうのも真っ青な大人のゴリ押しね…まぁ、あんたが違うっていうんならそれを尊重してあげるわ。ここの奢りに免じてね」

 

「ありがとうございます、虞美人さん。私はどこまで行っても、一人のサポーターでありますから。枝豆もどうぞ!」

 

ぐっちゃん、チルノとラーメンを食べながら、彼女は胸中を語る。ウマ娘とカルデアの交流の是非を。

 

「ウマ娘は疾走るために生まれてきた者たち。学園の仲間でありながら、本質的にナンバーワンを競い合うライバルです。誰かが笑い、誰かが泣く。そういったシビアな世界に皆生きています」

 

「まぁ、そうよね。こっちの競馬は金がかかってるから入れ込みが段違いだって聞いてるけど」

 

「そんな中、ギルガメッシュトレーナーとシンボリルドルフさんが頂点に立ち、あまつさえグランドウマ娘としてチームを組むその様子を私は感動しながら見させていただきました。仲間として、チームとして、ウマ娘が人間と世界を救う!こんな素晴らしい機会は逃せませんよね!」

 

興奮気味に話すたづな。やはり彼女も、ウマ娘を近くで見てきた者であるが故に目の当たりにしたのだろう。栄冠と挫折、苦悩と葛藤を。

 

「ですから、マスターの皆様におかれましてはたくさんのウマ娘に触れていただき、より多くのウマ娘の皆様を輝かせてもらいたいのです。二人にも素敵なウマ娘が待っていると思えば、私が邪魔などできませんから」

 

「そうかぁ?おまえ、あれだけ速いんだからサイキョーなんじゃないのか?」

 

「私はほんのちょっぴり足が速いだけですよ。ほら、藤丸リッカさんも一般人としてはとても速かったり強かったりするとギルガメッシュトレーナーから聞き及んでいます。それと同じです♪」

 

(リッカクラスとか人類最高峰って言ってるのと同じよコイツ…あっちもあっちで人間強度がバグレベルだし…)

 

「わかった!おまえはウマ娘だけど、他のウマ娘を見てほしいんだな!」

 

チルノがぎょうざを感触しながら、大きく頷く。彼女は強引だが、無理強いはしないよい妖精だ。

 

「ならおまえをソンチョーしてやる!おまえの望み通り、あたいはウマ娘を探してみるぞ!」

 

「チルノさん…」

 

「ただし!!またちょくちょくラーメンやぎょうざを食べさせてくれ!うまいからな!」

 

「それはもちろん!虞美人さんも、よろしいですか?」

 

「…ふん。もともと、リッカ達が不甲斐なくなければ私が出るまでもない事よ。グランドウマ娘も見つかってるみたいだし、今回は高みの見物と洒落込むわ」

 

「ありがとうございます!それでは皆様の頑張りに乾杯いたしましょう!かんぱーい!」

 

「乾杯!!ぎょうざうめぇ!ぎょうざうめぇ!!」

 

「まぁ、走り回るよりは楽でいいわね。こういうオチも」

 

謎多き女性、たづなさんにラーメンとぎょうざを振る舞われ、チルノと虞美人はその正体の追求を完了させる。

 

「それでは、お気をつけてお帰りくださいねー!」

 

「ありがとなー!美味しかったぞー!たづなはウマ娘かどうかはきけなかったが、いいやつだったな!」

 

「そうね。少なくとも、いいグルメスポットは紹介されたわ」

 

彼女達の直感は正しかったのか。彼女は本来はどのような存在であり、本当にウマ娘であったのか?

 

「ふふ…こうしてウマ娘の皆さんの活躍の場が増えるのは素晴らしい事です♪」

 

それは、彼女と星空…そして、三女神のみが知っている。

 

「発見!たづな、何故私も呼ばなかったのかッ!」

 

「あっ、理事長!ではこのまま二次会と参りましょう!」

 

「では我も混ぜるがよい。庶民の味、ゴージャス漫遊と行こうではないか!」

──zzz…←早寝

 

「ギルガメッシュトレーナー!はい、では更に穴場の穴場をご紹介します!」

 

否、理事長とギルガメッシュも多分、知っている。




たづな(…お二人には申し訳ないのですが…)

『ウマ大令呪』

(やはり、チャンスは未来ある皆様にあるべきなので♪)

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