アイリ「困ったわ…私達も急がなくてはならないのだけれど、お目当てというかどういった基準でウマ娘に声をかけるべきかが見えていないのよね…」
マスターアルトリア「なんだか割とフィーリングで選んで決まっているような、いないような…そんな感じなので、気楽に行ってみたほうがいいかもですね」
アイリ「そ、そういうもの?よーし、じゃあやってみようかしら!」
(リッカさんはお友達皆で盛り上がっていたなぁ…誰を選ぶのかな、あの人は)
「そこのあなた!そう、そこの金髪のあなたです!!あなたは今、グランドウマ娘を選抜中のマスターさんではないでしょうか!」
「えっ?」
選抜も大詰めの最中、そのように声をかけてきたウマ娘にマスターアルトリアは振り返る。カルデアのマスターならば必ずや巡り会う。そういった目標を掲げた矢先の出来事であった。
「そう、中々目当てのウマ娘が見つからないそんなあなたに!この私、委員長たるサクラバクシンオーがお声を掛けさせていただいた次第です!解りますか?わかりますね!?」
「は、はぁ…」
短髪の端正な顔立ち、桜の虹彩が特徴的な自称委員長、サクラバクシンオー。マスターアルトリアはウマ娘の事をさっぱり知らないが、彼女に対する評価はそれほど悪くはない。
(王ってついてるし、強いのかな?なら選抜も視野に入るけど…)
「失礼!先に今スカウトしているウマ娘の皆様を教えていただいてもよろしいでしょうかっ!」
(お、押し強いなぁ…ウマ娘ってみんなこうなのかな?)
言われるままに名簿を見せると、フムフムと頷きながらそれを確認するサクラバクシンオー。彼女なりに分析し、答えを出すと声を上げる。
「名だたるウマ娘のみなさんが集まりましたが、短距離やマイル適性にやや難が見受けられます。委員長的にその偏りは良くないかとバクシン的に感じるわけです、はい!」
「バクシン的に…?」
「そんな見えた課題と問題点を一挙解決する都合のいいバクシンこと委員長、サクラバクシンオーがこちらとなります!まぁ具体的には私の事なのですが!どうやらあなたはまだ未選抜の御方!どうでしょう、短距離無敵のウマ娘、サクラバクシンオーをスカウトする気にはなりませんか!?」
めちゃくちゃ押しが強いことしか分からないアルトリアに猛アピールするサクラバクシンオー。彼女は本気で今のグランドウマ娘の層を埋めようと立候補しているのは、アルトリアの直感で感じられる。
「えーと…とは言っても、私はあなたの事は全然分からないし…ウマ娘というものもいまいちよく…」
「むむ、なるほど。走りを見なければウマ娘はわからない!至極当然、真っ当なご意見です!ではどうすればいいのか!おわかりですね!?」
「え、えーと…」
「今から模範的委員長たる私のバクシンを御覧に入れましょう!!ジャージに着替えてきますのでしばしお待ちを!グラウンドにて集合です!バクシンバクシンバクシーン!!!」
大丈夫なのだろうかこの娘…知らないながらもこのウマ娘に不安を覚えずにはいられない彼女は、しかしその心配が杞憂である事を思い知らされることとなる…──。
〜
「バクシンバクシンバクシーン!!!」
「お、おぉ…──」
速かった。あまりにも速すぎた。短距離走に位置されるそのコースを、サクラバクシンオーたる彼女は圧倒的脚力で捻じ伏せるかのように駆け抜けた。
その走りは、何も知らないアルトリアに『王の走り』とはなんなのかを的確に、端的に叩き込む走りであった。影も踏ませぬ、何者も寄せ付けない圧倒的カリスマ。驀進という言葉を体現する不動の王座。そんな一瞬を、アルトリアにその走りで刻み込むほどの俊足をまざまざと魅せつけたのだ。
「ふぅ、いかがでしょうか!委員長の模範的バクシン!味わってもらえたでしょうか!」
「す、すごい…!凄すぎて、凄いという事しか分からなかった…!」
アルトリアの言葉は真実だ。短距離走という点でなら、彼女に勝てるウマ娘など存在しない。風すら切って景色すら置き去りにするような単純なスピードにおいて、アルトリアにウマ娘という概念を刻み込むには十分すぎたのだ。
「ふふふ、それだけ理解していただけたのならば十分です!本来ならば私は、委員長の威厳を示すたび全コースを走り、全員G1を制覇しなくてはならない存在なのですが…」
「できるんだ、そんなこと!?」
「できますとも!ですがその前に、世界に危機が迫ると言うなら見過ごせません!私も何か力になりたいと考えた矢先の、はい!あなたです!」
バクシンオーは単純な善意と、データ把握により彼女に話しかけたのだ。心の底から、自分が役に立てると。力になりたいと考えての立候補であった。
「右も左も、前も後ろもわからないあなた!そんなあなたが迷わないよう、私が全力で走ってみせましょう!世界を救うために、バクシンバクシンバクシーン!です!!」
「こ、これは確かに大切かつ貴重な人材!尖った才能っぽいのも説得感しか感じられない…!」
アルトリアは純粋に、彼女の素養に感動していた。そう、彼女こそ、自分がスカウトするべきとすら考えていた。
あの、音すら置き去るような圧倒的俊足。誰も追いつけないとすら言えるような快速は、速いウマ娘という単純な指針において最適解とすら思えたからだ。
「よ、宜しくお願いしても大丈夫ですか!初心者トレーナー、マスター?ですが、あなたは絶対に必要な人材だと直感しました!」
「そうでしょうそうでしょう、そうでしょうとも!では正式に、カルデアに委員長ウマ娘としてこのサクラバクシンオーがお力添えをさせていただきます!これは勝ったも同然ですね!!」
「では、サクラバクシンオーさん!宜しくお願いします!…ところで、ウマ令呪はありますか?グランドウマ娘としての証なんですが…」
「はい!ありません!!」
「ないぃ!?」
「まぁですが、そのうちフワッと浮かび上がるでしょう!私が資格がないというのは私が委員長でないくらいにありえないことなので!それでは第二回バクシンに参りましょう!!さぁ、あなたも一緒に!バクシンバクシンバクシーン!!」
「ちょっとぉー!?」
全部がノリと勢いで突き進む系ウマ娘、サクラバクシンオー。アルトリアが見出したウマ娘は、彼女という短距離走の王であった。
…このあと、夕方まで走り続けたサクラバクシンオーがヘトヘトになった際、無事にウマ令呪が見出され彼女はグランドウマ娘の資格を手にする。
それに付き合わされたアルトリアもヘトヘトになりながら、こうして無事にカルデアに短距離のウマ娘が追加されたのであった。
アイリ「うーん、うーん。素敵なウマ娘はどこかしら…」
?「すまない、そこの方」
アイリ「あら?」
芦毛髪色のウマ娘「カルデアから来た、マスターを探しているんだが…心当たりはないだろうか」
「あなたは…」
「私はオグリキャップ。オグリキャップという者だ。何か力になりたくてな…良かったら、カルデアのマスターが誰かを教えてほしい」
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