人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ぐっちゃん「無限ガッツとかウザっ!?」
メロス「このメロスには追いつけまい!ではさらば!宝具発動!!」
チルノ「あー、くそ!また逃げられた〜!!」
シオン『やはり撃破は無理、ですか。ですがカルデアには敵対の意志がある以上雲隠れはしなさそうですね!このまま時間稼ぎ頑張りましょう!』
ぐっちゃん「グランドウマ娘を探さなくていいのはまぁ良かったけど、徒労感凄いわね…」
チルノ「次は捕まえてやるー!!」
ぐっちゃん「あんたのそういう負けん気、今は救いだわ…」
マルゼンスキー・ペペロンチーノコンビ
「ん〜、残念でもあるわね〜。ウマ娘だから当然走るんだけれど、レースでないならタッちゃんで駆け抜けるのもアリアリのアリだと思ったのに」
引き続き、始まるウマ娘との特訓…というより、思い思いの過ごし方。こちらはペペロンチーノとマルゼンスキーコンビ。愛車のスーパーカー、タッちゃんを整備しながらマルゼンスキーは一人ため息を漏らす。
「あら、それは確かにそうね。でも私は逆によかったと感じているわ」
「あら、どうしてアロちゃん?」
「この車はあなたの相棒で、パートナーでもあるのだもの。万が一、傷つけたり傷つけられたりでもしたらあなたもアタシも曇っちゃうと思わない?」
マルゼンスキーにとってこのタッちゃんはかけがえのないものであることをとうにペペロンチーノは見抜いている。離れているだけでやる気が下がってしまうレベルの愛着を、決して鉄火場などに持ち出してはいけないと彼は説く。
「流石にタッちゃんを護り切るのは大変だけど、マルちゃんだったなら大丈夫、アタシは必ず守り抜いてみせるわ。だからこの子の戦場はアタシたちのウイニングライブにしてあげましょ?その時はまた、助手席に乗せてちょうだいね?」
「アロちゃん…!ヒデキカンゲキよ、私!モチのロンでオッケーに決まってるじゃない!なら私、絶対に最高の走りをしてみせるわ!」
「頼もしいわァ。信じてるわよ、アタシのグランドウマ娘ちゃん♪」
(マルちゃんに足りない箇所なんて見当たらない以上、アタシがやるべきは彼女をしっかり絶好調に導いてあげること。彼女が彼女らしい走りさえできれば、それが勝利の方程式よネ♪)
ペペロンチーノはマルゼンスキーのコンディションを丹念に丁寧に盛り上げる事を選択したのである。そしてそれは正解となるであろう事を、彼はご機嫌なマルゼンスキーを見ながら確信するのであった。
オグリキャップ・アイリスフィールコンビ
「どう?オグリキャップ。あなたの為にカルデアの皆が全力で作り上げてくれたシューズと新調した勝負服は」
そして、ペペロンチーノと似た結論に至ったアイリスフィールはそのパートナーたるオグリキャップにプレゼントを行っていた。カルデア技術部と裁縫部が結託し作り上げた、オグリキャップにピッタリと噛み合う最高強度のシューズに衣装。彼女の破壊的な走りを完璧に支える周辺要素の完調であった。
「これは…凄いな。履いているという実感が薄いくらいにしっくりくるし、まるで重さを感じない。こんなに素晴らしいものを、本当に貰って大丈夫なのか?」
「勿論だとも、オグリキャップ。君は君の最高の走りを見せてくれればいい。アイリスフィール女史もそういった気持ちで、これらを仕立ててほしいと依頼したのだから」
カルデア料理部にも裁縫部にも技術部にも参加できる器用万能赤マントの監修により、完璧なるものが出来上がった実感をもたらす。彼にとっては憧れのウマ娘の晴れ舞台。憧れは止められなかったのだろう。
「こんなに良くしてもらえるなんて…笠松の皆にも、カルデアの皆を自信を持って紹介できるよ」
「私は日本生まれでなくて、まだ日本の事は夏草と冬木くらいしか詳しくないけれど。あなたという素晴らしいウマ娘を生み出した笠松にはいつかきっと行ってみたいわ!」
「岐阜県笠松町。あぁ、きっと行けるはずだアイリスフィール女史。この厄介な特異点を攻略できればね」
「ふふ、責任重大だ。だがやってみせる。私はそのために、グランドウマ娘になったのだから。…御礼といってはなんなのだが…」
「あら?」
「感謝の笠松音頭を見てほしい」
「笠松音頭…」
…戦勝のライブのためにとっておいたとされる、オグリキャップの笠松音頭を、アイリスフィールとエミヤはその目に焼き付ける事となる。そして、そのオグリキャップの雄姿を見届けたエミヤが感嘆と共に漏らしたセリフがこちら。
「逞しい…」
鍛え抜かれた脚、背中、腕。それらが見え隠れする渾身の地元産戦勝の舞に、エミヤは感極まり嘆息と共に呟いたとされる。
なお、疾走自体は彼女たちのコンビのみ高天ヶ原、霊亀の領域で行われていたという。あまりの踏み込みの強度に、人間を想定した地盤では踏み砕かれてしまうが故の措置であった。
リッカ・ダイワスカーレットコンビ
「よし、今日のメニュー終了!お疲れ様、スカーレット!」
「はぁ、はぁ、はぁ…お疲れ、様でし、た…」
ダイワスカーレットはリッカを尊敬しており、当然リッカの強さや一番の秘密を知ろうと彼女の特訓メニューの同行を申し出た。当然自身のメニューをクリアした上で。
戦闘訓練、座学、極限環境適応訓練、戦術教導、フォーメーション確認、武装の手入れ、サーヴァント達との交流、お昼寝からのケイローン教室での組手。それらを午前中のみで終わらせるリッカに付いていった結果、人目を憚らず大の字になるほどスカーレットは消耗してしまっていた。
「大丈夫!?午後はしっかり休もうね?」
「は、はい…これが、ナンバーワンマスターのやる特訓…!」
特に疲労など感じていないリッカを目の当たりにし、ダイワスカーレットは頂点ゆえの努力の質量を知る。一般人が一週間かけてこなすようなタスクを、要点と効率と最適化を重ね半日で終わらせる様はまさにカルデア産の最強マスターたる所以だ。
「励みになります…!アタシは本当に、一番のマスターとコンビを組めているんだって…!」
「その根性と向上心、イエスだね!はなまる一番あげちゃうし、もっと一番になれるコツを教えたげちゃうねっ」
倒れるダスカに、リッカは説く。一番、最高の立場にいる人間が抱く所感を。
「一人で一番になれる人なんていないよ。一番凄いっていう人は、自身を取り巻く環境すべてを力にできる人の事なんだよ」
「一人で、一番にはなれない…すべてを力にできる、ですか?」
「そ。最初私は、自分はそんなに凄くないとか、可愛くないとか思ってた時期があったんだよね。でもそれを、凄くやさしくて凄く素敵な人たちが変えてくれた。支えてくれたんだよ、変わることを。そういう凄い人が支えてくれた事を解った時、一番への自負が生まれるんだって私は知ってる」
そう。今ではリッカは自分は凄い人間だと思えているし、可愛いと思えているし、素晴らしい人間であると思えている。
それは、たくさんの凄い人間が支えてくれて、たくさんの可愛いを教えてくれて、皆が自分を素晴らしい人間だよと後押ししてくれたからだと語る。
「自分は凄い人間なんだ!だって、沢山の凄い人が私達を支えてくれたんだからすごくない訳がない!…っていう気持ちが、スカーレットの目に映る私を一番にしてくれてるんだと思うな」
「リッカさん…」
「だから私も、あなたに贈るね。あなたは一番のウマ娘だよ。だってカルデアで一番のマスターのウマ娘なんだから!スカーレットが一番でない訳ない!ね?」
リッカの言葉に、スカーレットは力強く頷く。
リッカがダイワスカーレットにしたように/たくさんの人がリッカにそうしてくれたように。彼女は誰かを、力強く信じ肯定する事を全力で行えるにまで至ったのだ。
「はい!アタシ…頑張るわ!その期待は、この作戦を成功に導く事で報いてみせる!」
「その意気だよスカーレット!一緒に頑張ろう!ところで、そのティアラ綺麗だよね!」
「あ、解ってくれますか!?実はこれ、ママからの贈り物でずっと大切にしていて…」
対等なパートナーでもあり、高校生と中学生の先輩後輩めいた関係でもある二人。
結論から言えば、気難しさを取り払った人懐っこい後輩の世話を焼くリアル先輩ムーブなリッカなのであった。
(スカーレットさん…後輩の先輩の私を頼ってもいいんですよ…)
(意味不明すぎない…?)
脇で後輩と魔女が見守っているのは別のお話。
ゴルシ・キリシコンビ
ゴルシ「辺鄙なとこに来たなー。どしたよオイ?」
キリシ「ここはリッカ君の親友がいた場所付近なんだ。カルデアスにおける彼は、いったいどうなっているのか知りたくてね」
ゼウス『私のクリロノミアと魂があるからなんとかなったものの、君とゴルシ以外のカルデアスの接触は厳禁だよ?』
キリシュタリア(君がいてくれて本当に助かったよありがとうゼウス!)
ゼウス(全能神にして、天空神だからね(ドヤヤ))
ゴルシ「お宝探検か!なら当然アタシも行くぜ!」
ゼウス(なぜ彼女は無事なんだい?)
キリシュタリア(ゴルシだからね。さて、もうつくはずだ、が───)
ゴルシ「おん?なんだここ、火事か?」
キリシュタリア「──────馬鹿な」
【焼け落ちた家屋】
ゴルシ「ここが目当ての場所か〜?」
キリシュタリア「これは──どういう事なんだ…?」