人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ウマ娘との共同作戦が発令してから、数日が経過した。

マスターは三女神に見出されたグランドウマ娘と過ごし、共にある時間を育む事により作戦の成功率を高めていた。

まぁ、とあるペアは勢い余ってカルデアスに接触してしまったペアも存在したが、それはそれとして。

いよいよ準備は整い、傍迷惑極まるメロスを止める作戦が決行される。

そう──作戦名、グランドリレー。世界を救う人とウマ娘の共同作戦が始まろうとしていた!


開幕!止まれメロス、グランドリレー!

「皆、存分に担当ウマ娘との絆は育むことが出来たと思う。大丈夫、その面持ちを見れば言わなくたってわかるのさ」

 

管制室、集められたマスター達とウマ娘に向けてロマニが言葉をかける。ウマ娘という来賓を招いている結果か、普段より口調が気持ち真面目だ。

 

「本人の強さはそんなにでもなくても、宝具の強さや神秘でそれは容易く覆される。ある意味で、これはサーヴァントの奥深さと厄介さを存分に見せつけるケースであった事は間違いないね」

 

「チルノさんとぐっちゃん先輩で、何度も追い詰めてはいるのですが…あと一歩のところで惜しくも、といった状態がかれこれ十を越えてしまい…」

 

「あたいアイツ嫌い!!!」

 

「クソゲーにも程があるわ!準備は整ったんでしょ!?帰る!寝る!!」

 

倒せる相手なのに倒せない、必ず逃げられるという相手はとにかくストレスが溜まるのだろう。引き継ぎをブリュンヒルデと蘭陵王に任せ、二人は部屋に戻っていく。その奮闘のお陰で、聖杯リソースを特異点拡大にしか使われなかった事からファインプレーと言えるだろう。

 

「本当にお疲れ様、二人とも。たくさん挑発を交えてくれたから、メロスも意固地になってカルデアと徹底抗戦の構えをとっている。次に接敵するまで逃げはしないだろう。今がチャンスだ!」

 

「本当にご迷惑をおかけしました…捕まえたらガチめにブチのめさせていただきますのでもう少しだけお付き合いください…」

 

セリヌンティウスも何度も説得を試みはしたが、そこは流石のバーサーカー、敵に囚われしセリヌンティウスをなんとしても取り戻す!と精神的スーパーアーマー状態に拍車をかけるというなんというか敵で出たらうざい敵の状態を完全網羅しているのだ。辟易するのも無理はなかろう。言葉は通じるが会話はできないタイプなのだから。

 

「でもよー、今更だけどウマ令呪ってどうやって使うんだ?ノリで刻まれた訳じゃねーよな?」

 

ゴールドシップの言葉に、シオンが補足を行う。

 

「ようするに、その令呪を使って宝具使用中のメロスの聖杯にアクセスして、宝具をブーストしている聖杯に過剰負荷をかけるんです。聖杯が生み出す膨大な魔力を、ウマ娘達の存在をぶつけて消費させていく…」

 

「それはウマ娘自身が走る『コース』としてこちらがイメージ、補正して君達をサポートさせてもらう事になる。つまり、ウマ娘一人一人の適正距離を無事走り抜けて貰えれば、ノルマクリアという訳だ」

 

ウマ娘にとっては競う相手のいない、そして周りに誰もいない走りとなるという事だ。マスターとの念話だけが頼りであり、絆を結ぶべきだったのはそういう事なのである。

 

「ただ問題として、ウマ娘自身もレイシフトを行い特異点に行ってもらわないといけない。存在そのものを特異点、聖杯へのアンカーにする事によってボクがラインを繋げるためだ。ウマ娘を戦わせるのは絶対にNGと理事長、たづなさんから言われているので、ここはマスター達の出番だね」

 

マスター達が一緒にレイシフトしたウマ娘を護り、メロスを弱らせ宝具発動に踏み切る。その為、コンビネーションもマスター自身の練度も問われるハイレベルな作戦となっているのだ。

 

「何度も繰り返すけれど、メロス単体はそれほど脅威でないのに尋常でない大規模作戦ね…」

 

「往々にしてカタログスペックで人やウマ娘は語れない。異なる変数や計算式で、同じ実験がいくつも違う結果を生み出すようにね」

 

アグネスタキオンはうんうんと頷き、カルデア職員アドバイザーとしての立場で言葉を告げている。グランドウマ娘でなくても、さほど気にしてはいないようだ。

 

「英霊の魂を中身として行う儀式を、ウマソウルに置換して行う術式に改竄するようなものだ。そう何度もできることではないし、走り抜けなかった場合のリスクや弊害はどうなるかは想像もつかない。万全は期すが、絶対は存在しないのが世の道理だ。最悪、次元の間に囚われてそのまま…なんて事にもなるかもしれない。辞退するのなら今のうちだよ?」

 

タキオンは客観的な事実を統計を以て告げる。ここに来て退くものはいはしないだろう、という確信ありきの勧告であることは明白であり、それに報いるように辞退を願い出る者はいない。

 

「うん。自信を持って挑むことはとても大事だと私は思う。カルデアで有意義な時間を過ごせたようで大変喜ばしいね!」

 

 

三女神もお喜びだろう!と笑いながら引っ込むタキオンに変わり、オルガマリーが総括する。

 

「変則的な作戦ではありますが、やるべきことと成すべきことは変わらないわ。負けられない戦いに、当然のように勝つ。一見どんなに容易でも、勝利なくば勝ち取った平和は揺らいでしまう」

 

「「「「「………」」」」」

 

「ウマ娘の皆には肩の凝る話かもしれないけれど、そう難しく考えることはないわ。あなた達がレースに全身全霊をかけるように、その使命と情熱を私達と共に表してくれれば、いいだけの話。あなた達がいつも行っている事よ、何も困難ではない筈」

 

オルガマリーは一呼吸ついた後、纏めとなる号令を行う。

 

「特異点が人理を揺らがせる時間もそう遠くないわ。ここですべての決着を付けます。まず始まりはマスターアルトリア、バクシンオーコンビ!スプリンターの王の力、見せて頂戴!」

 

「お任せください!委員長として、皆さんの先駆けとなり模範的なスタートダッシュを切ってみせましょう!!」

「こんな感じなんで緊張とは無縁です。やってやります!バクシン的に!」

 

「頼むわね。後は所定通りに!走れメロスのアンチテーゼ、止まれメロス!グランドリレーを開始します!総員の奮起を期待するわ!」

 

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

「ウイニングライブと授賞式を迎えるためにも、この戦い…勝つわよ!!」

 

「「「「「おーっ!!!」」」」」

 

ウマ娘たちとマスターが語り合いながら解散し、コフィンの位置に付くさまを見下ろすペアが一組。

 

「意気軒昂、気焔万丈。皆、最適な準備が出来たようだ」

 

「どうだ?ルドルフ。皇帝の手本を示したくなったか?」

 

「ふふ、その心配はなさそうだ。彼女たちはやり遂げる。ウマ娘の全霊…ご覧にいれよう」

 

──始まりますね…!とても派手ですがたった一人を物理的に止める戦いが!

 

(とにかくめんどくさい相手としてカルデアに刻まれるよ多分!)

 

「よし、ではゲートならぬコフィンに入れ者共!その奮闘で、万馬券を作り上げてみせよ!!」

 

王と皇帝、姫と獣が見守る中作戦の幕が上がる。

 

 

カルデア杯、グランドリレー…いよいよ、それが行われるのだ!




メロス「ぐわぁあぁっ!!!」

マスターアルトリア「うわ、ホントだ。あんまり大したことないんだ本人は」

バクシンオー「マスターとは飛べるのですね!改めて驚きです!!」

メロス「ぐ、何度来ようとこのメロスは挫けぬ!悪のカルデアに抗うのだ!宝具発動!!」

マスターアルトリア「来た!バクシンオー、頼むね!」

バクシンオー「お任せください!ご覧ください、これが委員長の必殺先駆けダッシュです──!!!」

(メッセージは明日返信します)

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