メイ「ローマ杯もできたし、君はカルデアの一員だ。いつでも遊びにおいで」
アグネスタキオン「うんうん。では、また会おう!親愛なる仲間たち!」
ベリル「……………」
ニャル【おい】
「!!」
(やべぇ…これ、グランドウマ娘見つけられなかったの詰められるんじゃねぇか…?)
【頑張ったな、ベリル】
「す、すまねぇ旦那!脳摘出は…は?」
【いつもありがとうな、ベリル】
「は?????」
【今回はお前という使えるモルモットがいてくれたお陰で、とてもスムーズにウマ娘とマスター達の情報共有がうまくいった。パートナーは見つけられなかったかもしれないが、これは紛れもないお前の功績だぞ、ベリル】
「は、はぁ…ありがとうございます…」
思わず敬語をかましてしまうくらい、ニャルの不気味な労りにひきつりを隠せないベリル。ここから無言の圧か実験が始まるかと思っていたからだ。逆に褒められるなど思ってもいなかったからだ。
【忘れてはいないか?お前だって立派なグランドマスターズの一員なんだ。そんなお前が恥じ入ることや落ち込む事などないし、もっと自信を持っていいんだぞ】
「だ、旦那…どうした?エキドナさんと喧嘩でもしたかい?」
【ハァ?】
「すみません、愛妻家のアンタにかぎってあるわけ無いですよねすみません」
基本的に神なので怒りや不興のラインはまるでわからない相手なニャルである。それに輪にかけての邪神とくれば、言葉尻を捕らえて即死なんてことは非常によくあるデッドエンドだ。
【まぁそれはともかく、ケイオスカルデア所属の新鮮な生体素材としてとてもよく頑張ってくれているなお前は。普段は言わないが、お前には感謝しているんだぞ?とてもな】
「……………」
【なんだその沈黙は】
「いや、その。なんか俺死ぬのかなって思って。旦那、マジで大丈夫か?頭でも打ったのか?」
【ベリル…ヒトの好意を素直に受け取れないくらいに荒んでしまっているのか…酷い。このカルデアにいながらなんでそんな事に…】
そりゃあケイオスカルデアにいりゃあな…。ベリルは内心ひとりごつ。魔術師やマッドサイエンティストを鼻で笑えるような悪逆無道眼中無人の所業を日々担当するのがここだ。楽園の東、蛇が蠢く死角であるここは、常人では2分と保たず精神を病む。それ故に、ここには楽園の最重要機密を扱う確かなる秘密結社でもある。ここに基本、よろこびはない。
【休暇をやる】
故に、そこの主たる邪神の啓示は全く予想外となるものだった。
「は?」
【休暇をやるといったんだ。少し、いやかなりお前は疲れているんだ。少しは何もかもを忘れてスッキリしてこい】
「…………」
【いちいちレスポンスの悪い奴だな。次は何が気がかりなんだ】
「俺、いよいよ御役御免なのかい?」
ニャルの休暇、イコール廃棄処分としか受け取れなかったベリルは恐る恐る尋ねる。
【お前な、私をなんだと思ってるんだ?】
「身内にしか甘くないこの世で一番恐ろしい関わっちゃならない神様。ちなみにそん中に俺は入ってない」
【よく分かってるじゃないか…】
全く否定しないのひでぇ…そう思いながらも、ニャルの語るままに任せるベリル。ふとした拍子にコマギレにするくらい、目の前の神様はやってのける。
【なに、お前を雑にイジメるのはよくないとの意見が飛んできたのでな。私は身内相手にはとても素直なきれいなニャル。その意見を反映し、目覚ましい進化を遂げたカドック君みたいになってほしいと考えたんだよね】
「あ、それは確かに。一皮剥けたよなぁアイツ」
【だからそんなお前を主役に添えて、コラボをやろうと考えてな。2000話記念が終わったらもうガッツリ本筋だ。お前に当てるスポットライトなんてないからゆっくりしておけ】
それは刺々しいが、彼なりの本気の労りだ。それなりに愛着は湧いていたらしい。神ならではの、体のいい玩具や頑丈なモルモットに向ける感情だとしても。
【そこはご飯食べ放題、何をしなくても飯を食い、好きな時に寝れる場所だ。やるべきことはなにもない、ただ生きていくにはなんの不自由もない場所。自由気ままに過ごせる場所だぞ。そこの管理人にも話はつけてある】
「マジか。そんな夢みたいな場所があるってのかよ?」
【勿論だ。創造神がそうあれと願ったのだからそうなるのは必然だ。そこに好きなだけいさせてやる。私なりの感謝だ。ついでに土地調査くらいはしてもらうが…まぁ、実に簡単な依頼しかやらせんよ。あくまでもお前の慰安だからな】
願ったり叶ったりな要望に、ベリルは初めて喜びを見せる。実験や解剖や痛覚実験、拷問器具や薬物投与のメニューや治験もないのならそこはもう天国だ。人類と楽園の発展にやるべきことをやり尽くされているのでちょうど一息入れたかったところであるのだから。
【はいかいいえで答えろ。行きたいか?】
「あぁ、行ってみたいねぇ。いいとこなら是非のんびりしたいもんだ」
【じゃあ行くな?そこに行くという事でいいんだな?】
「おうとも。是非とも行かせてくれよ、ニャルの旦那!」
【よし、じゃあ支度しろ。とびきりのヴァカンスへお前を連れて行く。今から王様に外出遠征許可を取ってくるから、戻って来るまでに準備を終わらせていなかったら殺す】
「こわっ!そういう所は全然変わってないよな旦那…」
【いや、変わってるさ。直接殺すと脅すなんて私も随分優しくなった…。これもカルデアや家族達の影響だよ…】
いい変化なのかよそれは…。だが、ベリルの心は湧き立っていた。
(まさかまさかのコラボでオレが主役かよ!こりゃあ前々から俺を労ってくれた物好きさんに感謝しなくっちゃな。さて、新しい恋でも見つけますかねぇ?)
どんな理屈であれ、どんな理由であれ、自分にスポットライトが当たると思っていなかったからだ。そのチャンスを、決して逃したくないとベリルは笑う。
…しかし、ベリルは失念していた。ある程度、ニャルの事を理解していながら。ニャルの本質を失念していた。
そんな夢のような世界なら、なぜわざわざベリルだけにそれを伝えるのか?
なぜ家族にも、リッカ達にも伝えずベリルだけを招くような真似をしたのか?
そう、そこは確かに何もしなくても生きていける場所。
生きていくだけならできる場所。
その世界における、ベリルに期待する役割とはなんなのか?
ニャルが鼻歌混じりに推し進めるそのコラボの本当の意味を…
ベリルはまだ、理解しきれずにいた。
鎧さん【ありがとうございます。お預かりします】
なんかおそろしくてこわいニャル【よろしくお願い致しますね】
めがねスーツ『わァ……ァ…なんだこれ……』
そう、ヴァカンスなる場所。
それは──ちいかわワールドだった。
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