ニャル【貴様…何をアホ面晒している!惚けてる暇があったら戦え!】
ベリル「ファ〜〜〜〜〜」
ニャル【チィ、ここに来てリラックスするとは間の悪い奴め…】
象「にらめっこ」
【バカめ…精神崩壊させて何がにらめっこだと】
瞬間、象の脇から二本の腕が伸びベリルを無理やり笑わせる。
ベリル「ぎゃはははははははは!!!」
ニャル【何だと…!?】
象「負 け」
ベリル「はっ……!?」
ニャル【ちょっと待て、お前実力行使は反則じゃないのか!スマートさに欠けるぞスマートさに!】
象「バイバーイ」
ニャル【こ、虚仮にしやがって…殺してやる、殺してやるぞベリルガット…】
ベリル「なんで俺!?」
ニャル(ベリルが死ぬのはどうでもいいが、嘗められたままではカルデアの沽券にかかわる。貴様だけは何としても…)
ガシャッ、ジャコッ、ガシュッ
ニャル【ん?なんの音だ?まるでボウガンとショットガンをリロードしたかのような…】
だいじょうぶちゃん「だ い じ ょ う ぶ ?」
ニャル&ベリル「【わァ……ァ…………】」
「オーッ。お仲間?怖い顔〜」
「だいじょうぶ〜?だいじょうぶ?だいじょうぶ?」
ベリルの前に歩み出、悪夢の象と相対するは、ボウガンとショットガンを装備した戦闘態勢のだいじょうぶちゃん。ベリルの無事を確認し、まっすぐ向き直る。
「き、気をつけろよだいじょうぶちゃん。そいつなんかしてくるぜ…!」
「だいじょうぶ〜」
(あぶないやつ相手の戦闘…どのようなものだ…というよりちいかわ族にあるまじきこの頼もしさは一体…)
ジリジリと距離を取る象とだいじょうぶちゃん。それは絵柄がかわいいだけの熟練の戦士たちの戦いの間合いの測りであった。
(両腕に銃器って変態型だぜ旦那よぉ…)
(黙っていろ。彼女がどのように戦うのか、一端が知りたいんだ私は)
怪異に即落ちした役立たずは置いておき、だいじょうぶちゃんに注視するニャル。その戦いは、まさに極限のサバイバルであった。
「に〜らめっこしーましょ、わーらうとまいにち…」
【何ッ…術式開示による効果上昇だと…!】
笑うと毎日悪夢。つまりこれに負ければ不眠症からの衰弱死は免れない呪いの発露。簡単に即死クラスの攻撃をする世界の殺意、計算と常識の通じないちいかわワールドにニャルはもっぱらリアクション芸人と化す。
「あ・く──」
「気をつけろだいじょうぶちゃんよ!そいつは目を見たらトバしてく──」
象が喋る前、ベリルが叫ぶのを──夜の闇を切り裂く、銃撃音が遮った。
「ノーーーッ!!ノノノ、ノノノ、ノーッ!!」
瞬間、凄まじい勢いで地面をのたうち回る悪夢のゾウ。見ればだいじょうぶちゃんのショットガンから煙が上がっている。
「だいじょうぶじゃない〜」
【そうか…!術式展開に付き合わず先手必勝で会心の一打を食らわせる…!ちいかわワールドにあるまじき警戒心の強さと度胸が為せる初見殺しの対処法…!】
「だ、旦那?」
「ノーッノーッ…!直接、直接攻撃はアウツ、アウツ…!」
そう苦し紛れに呟いたゾウから両腕が脇から伸びる。にらめっこといいながら相手を無理やり笑わせる隠し腕。ヤツははじめからフェアな戦いをするつもりなどないのだ。
「何が直接攻撃はアウツだテメー!!」
【逃げるんだだいじょうぶ、ちゃ】
ベリルを囮にしてでも、そう言わんとしたニャルはだいじょうぶちゃんの隔絶した討伐スキルを垣間見る事となる。
「だいじょうぶ〜♪だいじょうぶ〜♪だいじょうぶ〜♪」
なんと、迫りくる両腕を改造バレルショットガンを片手でクルクルと回しながら連続発泡。拡散弾の特製を活かし、銃撃パリィの要領で即座に叩き落し続けているのだ。回転リロードと反動の受け止め、正確な射撃センス。それらがこの神業を生み出していた。
「…ターミネーターかよ……」
「ノーッ!!ノーッ!!ノーッ!!」
そして同時に、片手のボウガンを本体の悪夢ゾウに正確に射撃しながら歩み寄っていく。ゾウは悶え苦しみ、肉の溶ける匂いが辺りに充満する。
【これは酸と、毒か…!?草むしりで抜き取った有害な草を調合し矢に塗り使っているのか…!】
まさに怪異、でかいやつを殺すための入念な細工に他ならない武装セット。ニャルはその戦闘技能に感動すら覚えてしまう。
(似ている…彼女は似ている…我が娘ナイアに…)
「ノーッ…!!ノ、ノーッ…!!」
ガシャッ、と無感動な音がなり排莢が成される。改造式ショットガンにトドメの弾が装填されたのだ。満身創痍のゾウに、ゆっくりと銃が向けられる。
「だいじょうぶじゃない〜」
あわや決着か。そう二人が確信したその時だった。まだゾウは死んでいなかったのだ。
「ノノノ、ノーッ!!」
顔面に備わっていた鼻を真っ直ぐに伸ばし、だいじょうぶちゃんの心臓を真っ直ぐに狙い逆転を図るゾウ。ショットガンが、手から弾き飛ばされ離される。
「【だいじょうぶちゃん!?】」
あわや万事窮すかと思いきや──だいじょうぶちゃんはさらなる神業を魅せ、窮地をチャンスに変えたのだ。
「だいじょうぶ〜〜〜」
ふわり、と弾き飛ばされた勢いに逆らわずに空中をクルクルと舞いながら、バックラーを装着する。
「あくむッ!!」
さらなるトドメをささんと、ゾウは鼻を伸ばし突き刺してくる。その瞬間──
「だい、じょう〜〜〜〜」
【「何ぃ!?」】
伸ばした鼻をコロコロと転がり、なんとそのまま本体へと猛接近を敢行したのである!これにはゾウすらも予想外であり、完全に動きが停止してしまう。
そしてそれが、致命の隙に直結する。バックラーに力を込め…
「ぶッ!!!」
「グェ〜〜ッ!!」
力の限りに側頭部を殴りつけ、ゾウを一撃で昏倒させる。仰向けに倒れたゾウの足の裏を、だいじょうぶちゃんは速やかにくすぐり始める。
「コチョコチョ」
「あ……あ………」
仕向けられたのは笑ったら負けというルール。どんな手段であれ、笑ってしまえば…
「ブワハハハハハハハ!!足の裏は弱い──」
最後の言葉を残し、ゾウは爆散する。初邂逅でありながら、だいじょうぶちゃんはその怪異を完全に処理してみせたのだ。
「だいじょうぶ〜?」
ガチャリ、とボウガンとショットガンをリロードし、ベリルに歩み寄るだいじょうぶちゃん。愛くるしい顔は、先に見せた鋭い眼光はもはや感じられない。
「おう、ホント助けられてばっかだな…マジでサンキュー…ちょっと生き方見直さなきゃな…」
「だいじょうぶ〜!」
無事を確認し、無邪気に跳ねるだいじょうぶちゃんを見ながら、ニャルは冷静に分析する。
(あの手腕、戦法、紛れもない狩人のものだ。基本頭のおめでたいちいかわ族ではあり得ない程の技術…)
そしてそれを生み出す源泉をニャルは見計らう。だいじょうぶちゃんの戦い方は、生きるための戦いでありその根源にあるものを彼は見た。
(間違いない、あの子の戦いを支えているものは殺意だ…。ちいかわワールドに相応しくない剥き出しの殺意が、警戒心の高さと戦闘能力の高さを両立させている…)
なぜ、彼女だけがこんなにも殺意の高い狩りを行うのか?なぜこれほどの戦闘能力が必要になるのか?まだまだ未確定ながら、ニャルは彼女に興味津々であった。
(回転ショットガンパリィにグレイズ…これってアレじゃん!娘が覚えたら絶対カッコいいやつじゃん!)
「今日はオレに奢らせてくれや。もうアンタに足向けて寝られないぜ…」
「わーい!だいじょうぶ〜!」
【ベリル。休みの間は死にものぐるいで彼女に付いていけ。勝手に死ぬのは許さんぞ】
「な、なんだよ急に…」
【あの戦闘技術を是非参考にしたい…ちいかわワールドに現れた殺意のちいかわ族…!これだから探求は辞められん…!】
久しぶりに嫌がらせ以外でイキイキしてんな旦那…ベリルは何が何やら良く分からないまま、目を輝かせているニャルに頷くのであった…
翌日
ラッコ「また怪異を倒したなッ」←上位ランカーの同僚
だいじょうぶちゃん「だいじょうぶ〜!」
ベリル「まさかこんなもんまであるのかよ…」
ニャル【じゃんぬ氏スイーツ程じゃないが、中々…】
だいじょうぶちゃんはランカー仲間のラッコを誘い、ベリルと一緒にスイーツを食べるのであった。
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