人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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なのは「じゃあリッカちゃん、改めて紹介をするね!」

黒神「その心配は無用です。お互い熱い挨拶を交わしましたので」

なのは「もう?ティアナもスバルも積極的だね!」

ティアナ「改めまして、握手でもしましょ?リッカちゃん」
スバル「今日はよろしくお願いいたします!」

リッカ「右手と左で握手するの交互に握手するの初めてだぁ〜」

なのは「ティアナちゃんにスバルちゃんは時空管理局でも絶賛活動中の私の教え子なの。人助けや内政で大活躍の自慢の弟子なんだよ!」

リッカ「なるほど、道理で只者じゃない感じがヒシヒシしてくるわけですね!目の前にいるなら尚更!」

なのは「そんな三人には実践試合方式で、お互いの力量を見極めつつ戦ってもらおうと思います!交流会も兼ねてね!でもただ戦うのもなんだから…愛生ちゃん!」

愛生「こちらになのは教官が用意したお題がある。それらに則った形式で互いに戦ってもらいたいらしい。勿論、想定されたお題は終了まで非公開とするのがルールだ」

なのは「もしかしたら共同作戦でチームを組むかもしれないから、ここで互いを深く知るきっかけを作ろう!じゃ、準備してくれるかな!」

〜ティアナ・スバルサイド

ティアナ「魔法を使えるわけでもない一般枠の人間を教導して、あまつさえ一番弟子かも?だなんて…なのはさんは何を考えて…」

スバル「うぇえ!?こ、これ…いいのかな…?」

ティアナ「……ふーん。丁度いいじゃない。なのはさんからのお墨付きって事で良いのよね?」

スバル「えぇえ…?大丈夫なのかな…」

『Sランク想定の敵対魔導師を想定したタッグ戦闘』

(突然生えてきた一番弟子なんて認めない!ボコボコにしてやるわっ!)



【カルデアの支援と通信が遮断された状態でのレイシフト攻略を想定した単独戦闘能力の活用】

黒神「…それは一級魔術師ですら死刑宣告になり得る環境では無いのだろうか」

リッカ「でもなのは教官は無茶振りはやらない人だよ。多分、神速戦法をやってみろってお達しだと思う!」

黒神「そ、そういうものか。ならば見届けよう!行って来い、リッカ!」

リッカ「了解!!」



対決!なのはの弟子対弟子!〜スバル編〜

「それでは、よろしくお願いいたしますリッカさん!互いを知るため、全身全霊をぶつけ合いましょう!!」

 

「ちょっと、二対一じゃない。なんのつもり?」

 

戦闘態勢に入り、ローラーブレードと篭手型のデバイスを纏ったスバルと、双銃を手にしたティアナと向かい合うリッカ。鎧は纏っているので表情を見せないリッカが、その言葉に対応する。

 

『お題に関わる事なのでお気になさらず!二人共、どうぞ遠慮なくかかってきてください!』

 

「ふーん…まぁいいわ。負けた時の言い訳に精々活用する事ね!」

「これぞ強者の余裕!では全力で胸をお借りします!!」

 

その言葉を皮切りに、教導戦闘訓練が幕を開ける。ティアナがふわりと浮き上がり、スバルが高機動状態で展開された道を辿り一直線に突進を敢行してくる。

 

「だぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

『!』

 

次の瞬間、空中にて凄まじい激突が起こる。受け止めんと翼を展開したリッカに、スバルの鉄拳が高速にて叩き込まれた。それはトラックの衝突もかくやの衝撃を空中にて撒き散らすが…

 

「おおっ!」

『いい意味でシンプルで凄く分かりやすい…!物凄く好みなタイプだよ、スバル!』

 

リッカは真正面からそれを受け止めることに成功する。先にいた位置から数メートル後退を余儀なくされたが、バリアジャケット代わりの龍鎧を砕くには至らず傷ひとつない。

 

「ありがとうございます!ぶつかり合って伝わります。リッカさんは実直で骨太な、鍛え抜かれた鋼のような強さを持っていると!」

『ありがと!それが私の魅力の一つだからね!』

 

真っ直ぐで裏表がないリッカとスバルの相性は非常にいい。拳の応酬になればなるほど、互いへ懐く所感は好転していく。

 

「これはどうですか!?リボルバー、シュート!!」

『ぐぅっ!?』

 

瞬間、数歩バックステップを刻んだスバルの両手から凄まじい衝撃波が放たれリッカを貫く、ガードは間に合ったが、抉るような衝撃にリッカの身体は硬直を晒す。

 

「更に!ディバイィィン!バスターーーッ!!!」

 

『なのは教官の技…!』

 

射程は短いが、近接戦用にアレンジされた威力も遜色無いスバルの放ったディバインバスターに、リッカは素早く防御を固める。その技は、彼女がなのはの教え子であることを如実に証明している。

 

「プロテクション全開!!突撃ィィィィィィ!!!」

『ぐぅっ…!』

 

そのまま強固なバリアを展開し、再びの全力の突撃を敢行するスバル。火力と牽制をこなす中距離射撃からの近接戦のペースの掌握。シンプル故に強固なコンセプトは対するものを横綱相撲のように追い詰めていくものだ。

 

そのまま、リッカは押し込まれ吹き飛んでいく。機先は完全に、スバルが掌握した形となった。

 

「ほう……リッカを面食らわせる突貫力を持ち合わせているか。大したものだ」

 

様子を見に来たヘラクレスが称えるように、近接戦において触れたら必ず壊すパンクラチオンを学んだリッカから一本取るということは称賛に値する機動力と腕力を有している証だ。彼女が一級の存在であることは疑いようのない事実である。

 

「リッカの気質とよく似ている。仲良くなるのも当然だな。さて、どう彼女は対処するか…」

 

ヘラクレスの憂慮は、機動力に翻弄されてしまいペースを取り返せない事であったが…彼女の頑強さと対応力は、スバルの初手の吶喊で崩し切れるほど容易なものではなかった。

 

『───────』

「ッ…!?」

 

そう、リッカの積み重ねた人理における旅路は死地に次ぐ死地の戦いであり、その全てが負ければ次はないものだ。

 

当然、そうなる以上は戦いを必要以上に長引かせる事は悪手。お題は単独による特異点攻略。それ故、過度な戦闘行為は推奨されないとリッカは判断した。それが、次なるスバルへかける技へと繋がる事となる。充溢するリッカの闘気を感じ、離脱しようとしたスバルであるがそれは叶わない。

 

(腕、掴まれ…!)

 

凄まじい力で腕を握られたスバルはそれを振りほどけない。驚異的な握力と腕力で、リッカはスバルを捉えたのだ。スバルとリッカの得意な距離は似ている。

 

一つ違うことは…スバルにとっては『戦闘レンジ』であるそこは、リッカにとっては【必殺の間合い】という事であるという事実である。

 

『ナインライブズ、アナザーラストワン…!』

「えっ、あ───ぐっ!?」

 

なのはの弟子であるのなら、同門として情けない姿は見せられない。そう判断したリッカは自身の技のカードを切る。リッカはスバルを背後から羽交い締めにしつつ、自らの両膝を彼女の両脚に絡ませて、凄まじい力で締め上げる。

 

『超人圧搾機ーーッ!!』

「うぐぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」

 

全身を軋み潰されるような苦痛にスバルの絶叫が木霊する。本来ならば急所を封じた全身を一気に潰す技であるのだが、スバルの機動力を鑑み一度離れられたら、警戒されたら捉えれないと判断した事による短縮版全身破壊技を選択したのだ。

 

「うぐ、ああっ…!!ぐぅうぅぅぅっ…!!!」

 

渾身の力を込めてもリッカは微塵も揺らがない。スバルの誤算、戦術のミスを指摘するならば、初手で最大限の火力を有しリッカを気絶ないし負傷に追い込むことをしなかった事だろう。刹那の間合いさえ、瞬間の間隙さえあれば彼女は敵対者など軽く十は屠る。

 

「うん、あれは決まったね。お題に書いてあったことの意味、あんまり考えなかったのかなぁ…」

 

残念そうになのはが呟く。書かれていたのはSランク相当の魔導師との戦闘。それを鑑みれば、初見殺しなどはあって当たり前。生半可な攻撃は容易く死を招く事態に成りうる。

 

「あちらはコンビネーションを組むため二人で強敵に挑む心構えであったろうが、リッカのお題からしてなんとしてもカルデアに連絡を取り、合流しなければならん。スバルを強敵と認めた以上、こうなるは必然だ」

 

黒神の言葉通り、なのはのお題への真摯さが明暗を分けたと言えるだろう。…フォローを入れるなら、極限状態を指定したなのはと仕留められる内に仕留めるとスイッチの切り替えが早すぎるリッカに非はあるのだが。

 

『スバルちゃんの拳はとても速くて痛いって解ったから、このまま落とす!パーはグーより強いからね!』

「抜け、れない…!!お見事です、リッカ、さん…!!」

 

『ありがと!さぁ、数的不利をチャラにするからね…!!』

 

こんな状況ながらも、互いにリスペクトが芽生えているため出てくる言葉は互いへの称賛。故の全力が、彼女達のぶつかり合いを稽古以上に高めている。

 

「ぐぅうぅぅぅっ…!!こう、なったらぁっ…!!」

 

ミシミシと危険な音を立てるスバルの五体。だがスバルにはここから逆転…仕切り直しにできる切り札が存在する。このまま無様に敗退するよりはとそれを使う決心を固める彼女の眼が、金色に輝き始める。

 

『!』

 

「おぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおッ!!!」

 

そのまま彼女の全力全開──『戦闘機人形態』へと移行する合図の咆哮が放たれる。爆発的な戦闘意志の高まりに、危機を察したリッカが素早く対応しようとした…その瞬間。

 

「──バレットシュート!!」

 

『!!』

 

瞬間、リッカとスバルを分けるように弾幕が撃ち放たれる。それは見かねたティアナ・ランスターの救援の助け舟の弾丸であり、スバルは乗じて素早く離脱する。

 

「勝手に突っ込んでなに負けそうになってるのよ。相変わらず邪魔で目障りなのは変わらないわね」

 

「げほっ、げほ…!ごめん、ティア…」

 

「引っ込んでなさい。あの礼儀知らずは、私が仕留めるわ」

 

ティアナが決意と共に、視線と銃口を向ける。

 

「覚悟なさい、藤丸リッカ。一番弟子を名乗った思い上がりごと撃ち抜いてやるわ!」

 

『…………』

 

その向こうには、静かに佇むリッカが介していた。

 

 




リッカ『ティアナちゃん。スバルちゃんを助けるならもっと速くしてあげた方が良かったと思うよ』

ティアナ「はぁ?間に合ったんだから結果オーライよ。大体勝手にピンチになったのはあっちよ、あっち」

スバル「しゅん…」

リッカ『んー、ティアナちゃんって好意を素直に示せないタイプ?』

ティアナ「そ、それが何よ!?」

リッカ『その悪い癖、ここで治していくといいよ。言葉は簡単に大切なものを壊しちゃうってこと、教えてあげる』

ティアナ「馬鹿にして…なのはさんじゃないアンタに教わることなんてないわよ!」

二人は向かい合う。訓練はまだ、始まったばかりだ。
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