人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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お待たせしました!アメリカ編です!

ゆるくおたのしみください!


『ひとふりー、ふたふりー、みふりー』
シャッ、シャッ
――むにゃ、んぅ?

『四ふりー、ごふりー』
シャッ、シャッ
――何事・・・?

『一本足りない・・・それは』

――だれ――

『あなただー!』
 
――うひゃあぁ!?

「わぁ!?」

『うふふ、お早う。いい朝ね』

「し、式ちゃん・・・?」

『怪談風起こしよ。ビックリした?さぁ、戦いが始まるみたいよ』

「あ・・・起こしてくれたんだ・・・ありがとう!」

『うふふ、他者との触れあいはお互い不馴れだものね。これから仲良くしましょう?積もる話は、そのあとで。留守は任せて、さ、行ってらっしゃい』

「はい!フォウ、フォウ!おーきーてー!」

(エアの、エビフ山・・・むにゃむにゃ)


第五研鑽終了 北米兄貴大戦 兄貴はやっぱりカッコいい!
生誕!光の御子!


「そらそら!もっと腰を入れな!」

 

 

 

トレーニングルーム、朝の時間帯にて飛び交う怒号

 

 

 

「力で突くな、身体で突け!最高の呼吸と打点をもって、敵を穿ち貫け!」

 

 

「応ッ!!」

 

 

・・・藤丸リッカに槍の極意を教え、訓練をつけているのは青き槍兵、クー・フーリンだ

 

 

スポーツブラ、スパッツの姿で、槍を扱う姿勢を徹底的にたたきこまれている

 

 

「一連の流れはしっかり考えとけよ!どう殺すか、どう穿つかはオマエの頭に思い描け!」

 

「応っ!!」

 

「こまけぇ事はぶっ殺してから考えろ!さぁ、脇が空いたぜ!!」

 

あえてクー・フーリンが隙を作る

 

 

「――っあぁっ!!!」

 

呼吸を整え、意識を集中し一直線に叩き込む――!

 

 

「――よぉし、上出来だ!へへっ、やるじゃねえか!」

 

指二本で槍の穂先を掴み、クー・フーリンが笑う

 

 

「兄貴の教え方凄い上手い!」

 

「だろ?ケルトの特訓はバカしかやらねぇから教えるのは気が引けてたが・・・アレだ、俺が解りやすいように教えてやればいいだけだったわ!少なくとも師匠やフェルグスよりかは一般人向けに教えてやれるからな、俺」

 

「私も兄貴から槍を教えて貰えて嬉しい!でも、なんで今?」

 

「ん?あぁ、お前さんもバッチリ連中に仕込まれて下地ができてるからな、基礎くらいなら教えても問題ねぇと踏んだのと・・・ちっと悔しいのがあってな」

 

「悔しい?何が?」

 

「お前さん、刀、拳、弓は修めてはいるが槍は誰も教えてねぇなと思ってよ。ちっと地味だが槍は確かに有効かついい武器だ。覚えてないのはともかく・・・『槍を使わなくても別に問題ねぇ』と思われちまうのがちょいと悔しくてよ。槍はいいんだぜ?槍は。サクッと突けてサクッと殺せる。まぁ大抵投げちまうから帰ってこねぇんだけどな!まぁそんときゃ拾って投げちまえ!ハハハハ!」

 

快活に笑うクー・フーリン。バスタオルで顔をごしごししつつ伸びをする

 

 

「槍といったら兄貴、兄貴と言ったら槍だもんね!ゲイ・ボルクなんて皆知ってるよ!」

 

 

「まぁ滅茶苦茶有名だわな。俺が必殺を誓うのはそれが理由だ。一発で素性が割れちまうからよ、必ず殺すようにしてる。敵は勿論――何かの間違いで紛れ込んで覗いてたガキでもな」

 

ペットボトルを開けて水を頭から被る

 

「シビア・・・」

 

「戦働きってのはそーいうもんだ。好き嫌いで人は殺せねぇ。親友だろうが敵なら殺す。親の仇だろうが味方なら護る。それが俺の駆け抜けた時代のルールってやつだ」

 

「・・・そう言えば兄貴、ゲッシュで、息子さんを・・・」

 

「――あぁ。殺しちまった」

 

「・・・ごめん」

 

「事実だからな。構いやしねぇ。ただまあ、ゲッシュってのは十の祝福に百の厄介ごとを持ち込む呪いみてぇなもんだ。戦士として背負うのは当然だが・・・そいつは死ぬより重ぇ、コンラの奴もそうだった。名乗らねえゲッシュを誓って、師匠のヤツに使いに出され俺が殺した。――何も知らねぇガキだったってのによ」

 

ぼんやりと空を眺める

 

「もし会ったなら、お前さんとも仲良くできるかもな。可愛いやつだぜ?」

 

「うん!会ったら仲良くなりたい!」

 

 

「ハハッ、まぁ俺がキャスターなら召喚出来ないこともないんだが・・・」

 

 

何となしに呟く

 

 

「ここにいたか狗!リッカ!何をじゃれついているか!」

 

現れたのは楽園の守護者、人類最古の英雄王、ギルガメッシュ。

 

その顔に悪戯好きの子供のような笑みを浮かべ二人にヤジを飛ばす

 

「獣臭いじゃれあいはそこまでだ!管制室に来るがよい!特異点攻略のブリーフィングを始めるぞ!」

 

「お、もうそんな時間かい。長々と付き合わせちまって悪かったな。頑張れよリッカ。用があったら――」

 

「何を呆けている!今回は貴様も参ずるのだ狗!いや、クー・フーリン!」

 

「・・・は?」

 

 

「いいからついてこい!口約束とはいえ約束は約束!華を持たせてやるのだ、泣いて喜べ!ふはは!尻尾を振るのも構わぬぞ?可愛がってやろうではないか!」

 

「テメェケルトの犬嘗めんなよ?」

 

 

「兄貴、とにかく行ってみようよ!」

 

「お、おう!――しかし、約束だ・・・?ケルトが特異点にでもなったか?」

 

 

疑問を抱きながら、リッカとクー・フーリンは王に連れられ管制室に向かった・・・

 

 

 

 

「集まったな!全員いるな!よし!概要を説明するぞ!心して聞くがよい!」

 

管制室にはすでに一同が介していた。オルガマリーをはじめとしたいつもの面子だ

 

 

――王、その姿は・・・?

 

目覚めた時、大層驚いた。今の王は、上半身に鎧を纏っておらず、また髪も下ろしている、かつての全力の姿を取っているのだ

 

《これか?これは我が死を知らず、野生のまま生き、友と覇を競いし我が正装。お前を救うために開帳した姿、油断も慢心も捨てた我が全霊の装いよ》

 

――それほどまでに強敵なのですね、彼は

 

《フッ、たわけ。狗などに本気など出すものか。これは我が姫、我が魂を庇護するために肉体と精神を最上の状態にしているまでのこと》

 

 

――・・・

 

《我に宿っておきながらお前が怖い、などと宣うのでな。更に気合いを入れて庇護してやらねばなるまいと尚本気を出すまでのことよ。お前に恐怖など似合わぬ。雑念と苦難は総て我が砕く。お前は我が無二の姫として、愉悦と喜びに目を輝かせ世界を眺め、敬意と憧憬の眼差しで我を見上げていればそれでよい》

 

 

・・・本当に、ずるい・・・

 

――ありがとうございます・・・え、英雄王・・・

 

《――む。どうもしっくり来ぬな》

 

・・・?

 

 

《ここまでの付き合いだ、いつまでも王ではつまらぬな。・・・よし》

 

ニヤリと笑う英雄王

 

《我と対話する際、愛称を呼ぶことを許す。遠慮なく、ギルと呼ぶがよい》

 

 

――ええっ!?

 

《ふはは、お前にだけ特別だぞ?歓喜せよ?賛美せよ。敬意と感謝は受け取った。あとは親しみのみよ。兄や父を呼ぶような感じで、甘ったるく呼ぶがいい》

 

――お、お、おそっ、畏れ多いですが・・・そ、それが王の裁定ならば・・・

 

《あ、マイルーム以外では呼ぶな。頬が緩み戦い処では無くなるからな》

 

は、はいっ!ギル!――あ、王!

 

《フッ、やはりお前はからかい甲斐がある、まこと傍に置くに相応しい魂よ》

 

――も、弄ばれている・・・うぅ

 

 

《話が脱線したな。財の選別は終わっているな?》

 

 

――はい。クー・フーリンが手に取った武器の原点を総て用意しました

 

彼の武具は本当に多彩で逆に楽だった

 

目をこらしつかみとれば、必ずあると言っていいくらいに

 

 

 

「へー、次はアメリカなんだ!」

 

「魔術的には大したことないんだけど、世界から見れば間違いなく重要なターニングポイントだ。アメリカのない世界なんて僕たちの歴史じゃなくなるくらいにはね」

 

ソロモンの姿を取るロマン。衣装はエルサレムの王のものだ

 

「・・・というか、あなたはその格好なのね、ロマニ」

 

「もう隠す必要はないからね。僕も、皆のために覚悟を決めるよ」

 

「ジード、いいよね!」

 

「いい・・・」

 

ちなみにライブラリには平行世界の最新の歴史の放送した映像までが貯蓄される。ネットの応用で観測しているのだ。滅びた先の未来の映像も知っているのはこのためである

 

《救った先の褒美を知れば生物は効率を跳ね上げる》とは王の言葉だ。・・・その通りだと思う

 

「はーい♥魔神たちからの覗き見の対策はお任せでーす♥」

 

カルデア職員の服装に身を包み、ロマンの席の隣に作った席につくミドラーシュのキャスター

 

 

「魔神のあしらい方にはなれてまーす♪ロマン様のプライバシーはお任せくださーい♥」

 

「・・・と、言うことだから・・・僕も、なるべく頑張るよ!」

 

「なるべく、じゃなく、ベストを!」

 

「はい!所長!」

 

 

後にダビデは語る。『アビシャグにヘコヘコするソロモン面白すぎない?』と

 

あぁ、彼はやっぱり、ロマンなんだなぁ・・・

 

 

「行く場所などが何処かなどどうでもよい!所詮は特異点、踏み潰す事に代わりはない!それよりもその先にある宝や敵に注目せよ!ダンジョンの作りに注視するは芸術家の仕事なのだからな!」

 

「つまり私さ!なんだよー、思わせ振りな壁画とか皆好きだろー?」

 

「ミミックは赦さぬからな!ミミックは赦さぬからな!!夏場の黒いアレより赦せぬわ!ようやく踏破したどり着き、期待に胸を膨らませ宝箱をあけた我に襲いかかる牙!食らわれもがき苦しむ我を尻目に『僕は分かってたけど、君は分からなかったの?』などと涼やかにほざく友――ッッ!!一ミミック一エア開封でもなお飽き足らぬわ!!」

 

――王の無念が伝わってくる!そして脱線しています!王!

 

《そうであった・・・あの友の苦笑いは忘れられぬ!何故教えぬのだ!全く助ける気がなく傍観していたのもちょっとどうかと思う!友として!》

 

 

「や、テメェの間抜けさなんか知らねぇけどよ、俺に何の関係があんだよ」

 

 

「決まっていよう!アメリカに、聖杯にて狂わされた貴様がいるからだ!」

 

「――――――――は?」

 

キョトンとするクー・フーリン

 

「今なんつった?」

 

「耳掃除をせよ狗!何処ぞの馬鹿者が貴様を手にいれるために使ったのだ!我が財をなんだと心得る!フリスビーか何かと同列に語るな!フリスビーが欲しければくれてやるというのだ!」

 

「――――スカサハ師匠な訳ねぇよな。エメル、はそんな馬鹿な真似考えもつかねぇ。オイフェは現れることがありえねぇ・・・――――っあ~~~~~~!!!」

 

 

頭を抱える兄貴

 

「『女王メイヴ(あのバカ女)』かぁ!!だよなあ!ぜってぇやるわ!アイツならやるわ!うわぁお前らすまん!マジすまん!ほんっとわりぃ!アルスターサイクルの恥さらしだわマジで!」

 

 

「そんなにヤバイの?逢ってみたいなぁ!」

 

「マスターとは仲良くなれるかもな!こう、血で血を洗う的なアレで」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやいや!!クー・フーリンが聖杯で強化されただって!?」

 

(・・・くらっ)

 

眩暈をおこしマリーがぐらつく

 

「所長!?」

 

 

「まずい!非常にまずいぞ!クー・フーリンは余りに多才にすぎてクラス分けが徹底してしまい側面が区切られる程の大英雄!カルデアでは再現できていない能力が山とあるくらいなんだ!それが強化されただって!?聖杯で!?」

 

ロマンが狼狽する

 

「兄貴は最強なんだ!!」

 

「少なくとも、戦場じゃ負けねぇよ?」

 

リッカの頭をわしわしと撫でるクー・フーリン

 

 

「・・・ギルが敵にいるというよりはましだけど・・・すさまじい絶望だわ・・・その事実だけで、今までの特異点は比べ物にならないくらい・・・」

 

「そ、そこまでですか・・・」

 

 

《クー・フーリン伝説にいわく、《足を運ばれた国が泣いて謝り、姫は滅亡を危惧した》とあったな》

 

――す、すっごーい・・・

 

《奴等の国ではあまりに激しい殺戮を『クー・フーリンの結婚』と言うようだぞ?》

 

――あ、兄貴は・・・伝説を打ち立てるのが得意なフレンズなんだね・・・

 

(エアがドン引きしてる・・・)

 

「話は分かった。ソイツを俺が殺れって話だろ?任せとけ、いくら俺だろうが・・・」

 

 

「これを見てもそのような戯れ事をほざけるか狗!!」

 

 

パチン、と指をならし何処からかディスプレイが現れる

 

そこには――

 

 

 

『令呪をもって命ずる。自害せよランサー』

 

令呪に従い自害する兄貴

 

 

『ランサーが死んだ!』

『この人でなし!!』

あらゆる手段で死ぬ兄貴

 

『オマエノ 負ケ』

 

謎のアサシンに心臓を潰される兄貴

 

 

ありとあらゆるクー・フーリン死亡シーンが流される・・・

 

 

 

「この始末!この顛末!砂虫にすら後れをとるこの体たらく!!もう一度言うぞ!まだそのような大言壮語を吐く気か狗ゥ!!」

 

「異世界ネタを引っ張ってくるんじゃねぇ!!テメェだって人間の小僧や泥にアッサリ行かれんだろうが!!」

 

――人間ってすごい!(エア並感)

 

(あっ(風化))

 

「これが幸運Eかぁ・・・僕は恵まれていたんだなぁ・・・」

 

しみじみと呟くロマン

 

 

「ゲイボル、カー?」

 

困惑するマリー

 

「兄貴が死んだ!」

 

「この人でなし!」

 

掛け合うリッカとマシュ

 

 

「ゴージャスたる我には関係のないことよ。記憶にないわ。アーチャーたる我の無様よ」

 

ハン、と胸を張る御機嫌王

 

《我が醜態、見たければ見せてやるぞエア。酒の肴に最適だ》

 

――ひ、人の醜態でお酒は美味しくなるのですか・・・?

 

「テメェホンッッッ――――」

 

槍を構えだした兄貴をリッカが抑える

 

「兄貴!兄貴カッコいいから!兄貴は死んでもカッコいいから!!」

 

「離せリッカ!マジでアイツは痛い目見せてやんなきゃ気が済まねぇ!」

 

「案ずるな!そんな噛ませ犬の貴様を、伝承通りの狂犬にしてやろうと言うのだ!英雄プロデューサーたるこの我がな!」

 

波紋を展開し、様々な武具と手頃な聖杯を取りだし並べる

 

 

「盟約は覚えているな!オケアノスの折の話よ!貴様にカルデアの電力の一割を使い、生前に限り無く近い貴様として新生させてくれる!!」

 

「――マジかよ」

 

「我に二言と不可能はない!マリー!メディアを呼べ!ロマン!レイシフトを興せ!直ぐに終わる!リッカ!聖杯を持て!こやつの全力、受け止める気概はあろうな!!」

 

「や、待て待て!アレは言葉のあやってんで、他の奴等を差し置いて俺が抜け駆けするわけにゃ」

 

「応ッ!!兄貴の本気、見たい!!」

 

キラキラと輝きクー・フーリンを見つめるリッカ

 

 

「・・・・・・あ~・・・口は災いのなんたらってやつか」

 

――彼の全力は未知数だ。どれ程のものなんだろう・・・?

 

 

 

「いい、リッカ。ヘラクレスと大体は同じだけど、令呪を三画使い、クー・フーリンに『誓約』をかけなさい」

 

魔方陣を書き上げ、メディアがリッカに説明する

 

 

「できれば無茶なものがいいわ。ケルトの戦士は誓いが重ければ重いほど力を増すの。それと聖杯を霊基の核にするわ」

 

「遠慮なく無理難題を吹っ掛けるがいい。ゲッシュは他人にかけられるのも有効なものであるからな。猪に殺された馬鹿者もそれが死因よ」

 

 

「誓い、かぁ・・・」

 

むむ、と頭を悩ませる

 

 

「難しく考えなさんな。気軽に死ぬまで戦え、でも構いやしないぜ。今更だしな」

 

「そういうわけにもいかないよ。うむむむ――あ!そうだ!これにしよう!じゃ兄貴、行くよ!」

 

高々と聖杯を掲げる

 

「クー・フーリンに誓約を!『世界を救うまで、誰にも負けない戦士であって』!」

 

令呪を三画使い、クー・フーリンにゲッシュを誓わせる

 

 

――誰にも、負けない・・・!

 

「ふははははははははは!!戦士冥利に尽きるではないかクー・フーリン!!当然――」

 

「――応ッッ!!アルスターのクー・フーリンの名に懸けて!その誓いを受けるッ!!やぁ、お前さんホンット――」

 

 

魔力が猛る。用意し、仕入れた素材の総てを取り込み、聖杯が輝きクー・フーリンと融け合う

 

 

「良い女だぜ!!マスター!!」

 

カルデアの電力の一割すら使い

 

「くぅうぅうっ!!」

 

 

 

現れたのは――

 

 

「――ちょいと装いが変わっちまったが、紛れもねぇ俺だぜ、マスター」

 

 

頭髪はいつものヘアースタイル。しかし頭髪の色は三色に分けられている。頭皮に近い箇所は青、中程は赤、先は黄色に。襟足で髪は纏められている。王者の眼差しを宿したその瞳は、七色の輝きに煌めいている。いつものタイツではなく、威風堂々とした軽鎧を纏う王者の装束に、胸の中央には金色のブローチ、白銀の籠手、肩当て。そして原初のルーンを刻み込んだリネンローブ、ルーンを刻んだ外套を羽織る。左手に槍を持ち、右手に光剣を握り、背中に杖を背負うアルスターサイクルの大英雄の正装を取った男が現れる

 

 

「改めて――クランの猛犬クー・フーリン!ここに参上ってな!嬢ちゃんの無理難題を果たすんだ。俺も本気の本気で行かなきゃな!」

 

「わぁあ・・・!カッコいいっ!!兄貴カッコいい!!」

 

まるでテレビの中から出てきたヒーローを目の当たりにしたようにハシャグリッカ

 

「ふははははははははは!!色男になったではないか!流石はアルスターを代表する男よ!」

 

「なんだこれ!?ステータスおかしいよ!?宝具何個あるのこれ!?」

 

「・・・そういえば、私達がギルの次に会ったのは、彼だったわね・・・」

 

「はい!懐かしいです!」

 

 

――なんて、覇気・・・!近づくだけで、魂がピリピリする・・・!

 

(あれが最強の犬かぁ・・・)

 

「舞台は整った!さあ出立だ!!ふははははははははは!!楽しい旅になりそうではないか!」

 

 

「おー!!」

 

 

レイシフトの準備にかかろうとしたリッカを

 

「嬢ちゃん嬢ちゃん、ちょいといいかい?」

 

クー・フーリンが呼び止める

 

「ん?なぁ――んむっ!?」

 

――はいっ!?

 

《ほう・・・?》

 

 

「は、えぇ・・・っ!?」

 

「はいいっ!?」

 

驚く一同。無理もない

 

突如クー・フーリンが、リッカを抱きしめ――情熱的に、唇を奪ったのだ!

 

 

「んちゅ、んむっ・・・――!ん、むぅ、んっ――!」

 

唇を抉じ開けられ、舌を濃密に絡められ、口の粘膜を余さず舐めとられる

 

「んっ、んっ・・・!んむぅ、んんっ・・・!」

 

甘く、力強く、優しく、徹底的に口を犯されぬくリッカ

 

離れれば吸い寄せられ、吸い寄せられれば離れられる

 

手練手管のその技に、ただただ翻弄されるリッカ

 

 

――凄い!あの体さばき、抱きしめかた、テクニック・・・!彼はやり手だ!ぷれいぼぉいだ!って、マスター!?

 

(ケルトはこれだから・・・)

 

 

「んんっ・・・んむぅ・・・っ、ぷぁはぁ・・・」

 

数分にわたり繰り広げられた口腔蹂躙に、肩で息をするリッカ

 

「だ、大丈夫?リッカ・・・」

 

「・・・す」

 

「す?」

 

「凄かった!!なんというかこう!濃密だった!マリーの回路移植の優しい感じとは違う!濃密なやつ!!」

 

龍心、色欲に揺らがず。鼻息荒く興奮するリッカ

 

「お、大きい声で言わないで!」

 

 

「俺なりの感謝と宣誓ってヤツだ。いい女には目がなくてね。さっきの誓いで惚れちまったぜ。気に入ってくれたかい?」

 

「ありがとうございました!!!」

 

力強く一礼するリッカ

 

「身に余る光栄です!なんか、こう、ぶっとびました!!」

 

「そりゃ良かった!さあ行こうぜ!いい女にいい主人!いい戦場があるんだ!俺ぁ負けねぇよ!!見とけよ、テメェの財に恥じねぇ活躍してやるからな!」

 

 

「ふはははははははははは!!!当然だ!精々駆け回るがいい!『猛犬』――!!」

 

 

「ロマン様・・・♥♥」

 

「待って!レイシフト始まるから!レイシフト始まるから――!!」

 

――濃密でしたね・・・英雄のスキンシップは凄い・・・!

 

《お前にも接吻をくれてやってもよいぞ?王の寵愛をくれてやる》

 

――いいえ、王。既に寵愛なら、この身に、この魂に余るほどいただいています。これ以上を望むは、不敬になりましょう

 

――どうか、あなたの想いは。騎士王にお捧げください

 

《――今のお前の在り方を損なわず、我が思う存分に愛でられる方法を、模索しておかねばな》

 

――?

 

(英雄王が相手かぁ。つがいとしては最上だけど・・・こいつ飽きやすいからなぁ・・・あ、僕はいつまでもペットとして置いてね!)

 

――ペットじゃなくて、親友!

 

「あっ(ゲル化)」

 

《こちらの話よ。いつかお前の顔が悦びに染まる日が来るのを、至上の愉しみにしておこうではないか》

 

――さぁ、行きましょう!!

 

「オルタ!私の部屋、よろしくね!」

 

『綺麗にしておきますから安心して。何かあったら駆け付けますから』

 

「うん!いってきまーす!!」

 

『さぁ、メインサーヴァントとして頑張りなさい、マシュ。あなたの踏ん張りどころよ』

 

「もちろんです!オルタさんと私のダブルヒロインを目指します!」

 

大英雄を得たカルデア一行は、華やかにアメリカに向かう――!!




クー・フーリン(アルスターサイクル)

クラス クー・フーリン

ステータス

筋力 B+++ 耐久A+ 敏捷A+++ 魔力A ++ 幸運C 宝具 A+++

「あ、これは聖杯ブーストありな」

保有スキル

戦闘続行A

「悪いが殺したって死なねぇぜ?」

仕切り直し A

「一人で大軍相手するにゃぁ必須だったな」


矢避けの加護 A

「俺に飛び道具は効かねぇ。金ぴかの頭のわりぃ癖なんざ全部避けてやるよ」


原初のルーン

「まぁ色々できる。肉体強化、探知、攻撃・・・まぁ色々だ。ちなみにこいつでオレ所縁の英霊を呼び出せる。四人か三人だな」

クランの猛犬 EX

「特に意味はねぇ。俺が俺の伝説を振るい、嬢ちゃんの願いに応えるって意思表明だ」

四肢の浅瀬 A

「常時発動の覚悟だ。オレの前にたったやつからオレの意志で背は向けねぇ」

鮭跳びの極意 A+

「俺が身に付けてた跳躍法、ま、無限ジャンプだわな。空気の壁も踏める、単純に瞬間移動の真似事もできる。本来なら戦士が生涯かける奥義だが・・・サクッと身に付いてたわ」


クー・フーリンの結婚 A

「エメルの姫さんもらうときにやらかしてな。大軍を殲滅するときにボーナスなんだとさ」

神性 B

「親父が神様なんでよ」

不眠の加護 A

「眠らされるこたねえって話だわな」

精霊の狂騒 C

「オレの叫びで叩き起こされた精霊どもが騒ぎだす。てんやわんやでやべぇことになるぜ?身の毛もよだつ、足がすくむってわけだ」


宝具 「ランク?レンジ?あー・・・めんどくせぇからパスで頼むわ」

砕き裂く光輝の剣(クルージーン・カサド・ヒャン)

「結界ブッ壊すのに向いた剣だ。オレがセイバーで呼ばれるのなら持つのはこいつだな。翡翠色のレーザーブレードで、解放すれば丘だろうがなんだろうがぶったぎるぜ?」

砕き回る古の光霓(カラドボルグ)

「フェルグスから譲り受けた伝承でこいつも持ってたか。こっちは砕いて回る剣だ。・・・まぁ、普通の剣とはまるで違う訳のわからん腕前が必要なんで、オレには使いこなせなかったが。ったく、剣才能がないだ?これドリルじゃねぇか!」

投げ放つ御子の一投(デル・フリス)

「オレは様々なもんを投げて敵を殺す事がしょっちゅうでよ。その逸話が宝具になりやがった。オレが手にとって投げたもんは、あらゆるもんを砕く必殺の一射になるんだとさ。石ころひとつありゃあ、サーヴァントは仕留められるくらいにはな」

突き砕く不壊の槍(ドゥ・バッハ)

「壊れねぇと触れ込みの槍だ。呪いはかかっちゃいねぇが、変わりに穂先で触れたモノを必ず砕く。この槍が壊れねえっつぅ矛盾を、触れたやつを壊すってんで釣り合わせるのさ。それと、こいつは必ず俺の手に戻る。・・・ゲイ・ボルクと被ってんな!ハハハ!」

蹴り鏖す死棘の槍(ゲイ・ボルク)

「今さら説明はいらねぇだろ?穿つは心臓謳うは必中。一刺一殺の呪いの朱槍だ。違うとするなら・・・そうだな。今のオレは必ず『脚』で投げる。脚で刺す。それだけのこった」

裂き駆ける鏖殺戦車(ロイグ・マハ・セングレン)

「御者のロイグが引くマハとセングレンの鎌戦車だ。天駆ける何者より速いって触れ込みで辺り一体を走りながら切り裂き踏み潰すって訳よ。ロイグのヤツ、オレの召喚にしか応じねぇって聞かねぇんだよな・・・後で呼んでやるかね!」

焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)

「腹に贄がいない藁人形だ。こいつは贄を求めて暴れ狂う。辺り一帯を焼き付くす傍迷惑な人形って訳さ。まぁ、上手く使えたら万々歳ってやつだ」

投げ落とす圧壊の城(キャッスル・スロウ)

「城が出る。そんだけだ。防御に使える。そんだけだ。オレはこいつをぶん投げる。そんだけだ。・・・なんだその顔。マジだからな!」

大神刻印(オホド・デウグ・オーディン)
「原初のルーン、マトリクスオーダイン!・・・ああ、やっぱねぇわ。師匠の奥の手『門』を再現するアレンジ技だ。師匠はパクリっつって殺しに来るけどよ。リスペクトっていえや!」

見初め殺す邪神の魔眼(バロール)

「目の前にいる奴等全員の『死の運命』が見える。そこを突くなり斬るなりすりゃあ死ぬ。そんだけだ。大軍連中にも使える。そんだけだ」

捻れ狂うおぞましき狂獣(クー・フーリン)
「この世で一番ろくでもねぇモンが産まれる。オレがおしえてやれんのはそんだけだ。・・・あんまり嬢ちゃんの前では使いたくねぇ禁じ手だ」

噛み砕く死牙の獣(クリード・コインヘン)

「ゲイ・ボルクの材料だったバケモンの骨を纏う。まぁコスプレだ。こいつは師匠から受け継いだ技じゃねぇ。――だから、こいつを見せるときは、あの女に引導を渡してやるときだ」

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