人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「――――――(コロンビア)」


「ムニエル?どうしたの、ムニエル?」


「待ちに待ってた男の娘が来たんで歓喜してるらしいですよ、そっとしといてやってください所長」

「さっきまでうるさかったんですから。コンラちゃんホアァーッ!ホアァーッ!て。クー・フーリンさんに頭かち割られてしまえばいいと思います」

「そ、そう・・・ムニエル、休暇届けを出しなさい・・・一日フリーでいいわよ・・・」

「デオンくんちゃんに次ぐ俺得サーヴァント来ましたぁあぁん!!ヒューッ!!」


「ロマン様、男の子と女の子。どちらがよろしいでしょうか♥?」

「そ、そ、そう、だなぁ・・・き、きっと、君に似てくれたらどっちも可愛いと僕は思うな・・・あ、あははは・・・」

「私は貴方に似て、賢く、聡明であってほしいと願っております♥」

「そ、そう!?それは、その、嬉しいな、あははは・・・うぅ、感情がある女性付き合いって凄く緊張するんだなぁ・・・」

「一応、私も女性よ?」

「マリーは妹みたいなものだから!全然女の子としては見ていないから大丈夫!」

「ロマニ、聞いてなかったかしら?私、打撃に関してはリッカより上を行くのよ?」

「ひっ!?」


黄金跳躍、猛犬疾走

アメリカ、遥か広がる大地

 

 

 

見渡すことすら困難、踏破など望むべくもないその広大なる大地を――人理を救う勇者たちは駆け抜ける――!

 

 

 

「ヴィマーナの速度ならば一瞬ではあるが、これ程広い大地だ、瞬間に蹂躙するも無粋であろう。しばらくは空の旅を楽しもうではないか」

 

それでも300㎞はオーバーする速度で天空を駆け抜けるギルガメッシュ操るヴィマーナ

 

 

「マハ、セングレン!頑張って!」

 

「ブルルァウ!!(おう!!)」

 

「ヒィーン(セタンタを見失わないようにしなきゃね~)」

 

御者ロイグが操る戦車も唸りを上げ、アメリカの大地を蹂躙しながら駆け抜けていく

 

 

「すごーい!」

 

ヴィマーナにて感嘆の声を上げるリッカ

 

「は、はい・・・!」

 

マシュも同様だ

 

 

何に驚嘆しているのかと言うと――

 

 

 

「どうしたお前ら!さっさとしねぇと置いてくぜ!」

 

 

マハとセングレンの戦車の先に、駆け抜けているクー・フーリンの存在に驚いているのだ

 

 

戦車の速度はヴィマーナとほぼ互角300㎞は出している。それより速く、尚速くその身ひとつで後塵を拝させているのだ

 

 

天駆ける玉座、地を駆ける戦車より尚速い、クー・フーリンの疾走がアメリカの大地を蹂躙する・・・!

 

 

「ふははははは!良い健脚だ!狗を名乗るだけはあるな!」

 

「ヴィマーナより速いとかすごすぎぃ!兄貴って何でもできるんだね!」

 

――まさか、英雄の逸話を再現するとこのような事が現実に起こるなんて・・・!

 

 

《事実は小説より奇なり、か。うむ。先人の言葉はそれなりの蘊蓄を含む言葉ばかりよな》

 

「やはりお前はそうでなくてはな、セタンタ」

 

寡黙な表情に笑みを浮かべ、親友の健脚を称えるロイグ

 

「御者の台詞かよ!根性見せろやマハ!セングレン!」

 

「はははははははは!馬より速い猛犬はこの世でお前だけだ!クー・フーリン!」

 

膝を叩いて大笑いするフェルディア。彼は知っているのだ。親友の出鱈目さを

 

「マスター!英雄王ー!マシュさーん!これが、私のお父様ですよー!」

 

どうだー!と拳を突き上げるコンラ

 

 

――本当に凄いです・・・!クー・フーリン、アルスターサイクルを代表せし、大英雄・・・!

 

 

《――む。速度比べなどどうでもよいが、お前の関心が我以外に向くのは些か癪に触るな。――よし》

 

「ふははははは!!良き父を持った!それは認めてやるぞコンラ!だが甘いわ!我に張り合い、覇を競う愚かさを知れ!」

 

玉座から立ち上がり、ギラリと瞳を輝かす王

 

 

「え、何やるの!?」

 

「位置は把握し、そこにたどり着くのが行軍!そこにたどり着くのが覇者ならば!それは我以外に有り得まい!」

 

天を震わす怒号と共に。地上を走るクー・フーリン、戦車の者達に王の言葉を叩き付ける

 

《そして一つ教授してやろう。始まりの地点をAとし、終わりの地点をBとする。これをより速く、より迅速に、より最短に駆け抜け走破するには如何なる手段を取るべきか、解るか?エア》

 

――えっと・・・最高速の速さでAからBを駆け抜ける・・・でしょうか?

 

《ふはは、と思うであろう?だが違うのだ。丁度よい。この競走にて最短の理をお前に教えよう。――この解答はこうだ!》

 

「しかと見よ!そして我が貴様らと一線を画する真なる英雄の中の英雄王である事実に頭を垂れるがいい!!リッカ、マシュ!目を閉じよ!」

 

「う、うん!」

 

「先輩、手を・・・!」

 

「さあ垣間見よ!森羅万象何事も!我に並ぶものは無いと言う真理をな!!」

 

「テメェ、何を――」

 

クー・フーリンが言葉を漏らすが速いか――

 

 

「A・U・O!!跳躍(ワープ)!!」

 

パチンと指を鳴らした瞬間、ヴィマーナが固体から光状となり、あらゆる世界の総てを撥ね飛ばし目的地へ転移するー!

 

 

――ワープーーー!?

 

《ふははははははははははははははははははははは!!答えはこうだ!『始まりと終わりの地点を結びつける』!距離など知ったことか!『たどり着けばそれでよい』!どうだエア!この我の偉大さ、思い知ったか!ふははははははははははははは!!』》

 

――凄いです!でもでも、凄い大人気ないのでは無いでしょうか英雄王~!!

 

《ワープも出来ん者が我と張り合うなと言うのだ!最低限光の速さを身に付けてから出直すのだな!さぁエア!賛美せよ!賛美せよ!ふははははは!!》

 

 

「なんと!?英雄王の船が消えてしまったぞ!?はははははははは!なんと奇怪な目に遭うものだ!これはたまげた!まさか光の神がごとき業を持つ船があろうとはなぁ!これはやられたなクー・フーリン!」

 

荷台でおおらかに笑うフェルディア。未知には笑い、戦場で笑う。それこそがケルトの基本骨子だ

 

「そんな――――!ず、ずるい!ずるいずるい!お父様に脚で勝てないからって、船で鮭跳びの極意をするなんて!ずるい――!!」

 

「ごほぉっ――!!」

 

ぶんぶんと駄々をこねて振り回したコンラの拳が、フェルディアの腹筋を貫く

 

クー・フーリンと互角、いやそれを上回る才を誇るコンラの拳は、並みの兵士100人力のスーパーパンチだ。フェルディアの鍛え抜かれた身体でなくば拳が貫通していただろう

 

 

「ブルルーァウ!!(あれっ!?船はどこ行った!?)」

 

「ヒィーン(まさか、もう行っちゃったの~?はやぁい)」

 

「・・・落ち着け」

 

 

動揺をなだめ、勢いを保たせるロイグ

 

「ったく。速さ競うってのに跳ね躍るヤツがあるか。負けず嫌いな野郎だな――いつぞやの釣りみたいによ!!」

 

一、二、三歩を力強く踏み締める。踏みしめた大地がクッキーやビスケットの如くひび割れ、粉々に砕かれる

 

「小言や皮肉をほざかれんのもしゃらくせぇ!アイツが着いてから一秒以内に辿りついてやらぁ!遅れんじゃねぇぞ!」

 

その勢いで数10メートル上空まで跳躍し

 

「先に行ってるからよ!!」

 

 

鮭跳びの極意にて空中の空気の壁を踏みつけ、音速を越えた速度で、彗星のごとくクー・フーリンは空を駆ける――!

 

「・・・まさか、セタンタと拮抗する英雄がいるとはな。解らぬものだ」

 

クックッ、と笑うロイグ

 

 

「マハー!セングレンー!速く速く!もっと速くー!」

 

 

「ブルルルルルルァ――――ウ!!(で、あの船はどこに行ったんだ!?)」

 

「ヒィイィーン!!(休憩したらブラッシングしてもらおー)」

 

「ぐぉお・・・乙女となってもクー・フーリンの息子・・・その才翳りは無い、か・・・」

 

のたうち回るフェルディア。ボディダウンは地獄の苦しみである

 

 

「あ、フェルディアさん、大丈夫ですか!?あの、腹痛ですか?オムツ、いります?」

 

「はははははははは・・・大丈夫、大丈夫だとも・・・!タイツにオムツの挟まる余地は無い!」

 

 

「マハ、セングレン。逸るな。脚を痛める。この速度を保て。奴等に合わせていたら身が保たん。この大地に脚をならすことを第一にしろ。いいな」

 

「「(応!!)」」

 

アメリカの大地を抉り取りながら、マハとセングレン率いるロイグの戦車は駆け抜ける

 

 

「・・・ククッ。世界の危機も悪くない。こうして新たな第二の生で、存分にヤツの御者として腕を振るえるのだからな」

 

ロイグは今まで一度も召喚に応じた事はない。クー・フーリンの縁による召喚にしか応じる気はないからだ

 

それがこうして、共に在り、共に戦い、ヤツの息子・・・いや、娘だったかを台に乗せ駆け抜けているのだ

 

 

・・・中々、得難い経験だと。ロイグは一人思い耽る

 

 

「もうこうなったら私もダッシュで!」

 

「待て待て待て!よい子の皆と人類はクー・フーリンを真似してはいかん!命がいくつあっても足らんぞ!」

 

「私はクー・フーリンの息子だぁ――!」

 

「・・・マハ、セングレン。速度を上げろ。コンラに自殺をされては困る」

 

 

ピシリ、と強く二頭を鞭でうつ

 

 

二頭の巨大な馬に率いられし巨大戦車は、嘶きを上げながら北米大陸を一瞬で駆け抜けた――




キャンプ


「ふはは!やはり我が最速と言うことだな!」

――成る程・・・ワープとは、入り口と出口を繋げる技術・・・勉強になりました

「目を開けたらキャンプにいた!?超スピード!?」

「もっと恐ろしい片鱗を味わった気がします・・・!」

「――よっと。待たせたかい?」

――速い!?ワープしたこちらにこんなにも速く追い付いたと!?

「大人気ねぇ真似しやがって。覚えとけよマジで」

「フン。ワープも出来ぬ貴様の実力不足よ。瞬間移動も使わなければウルクアーツに対応も出来ぬと言うことを覚えておくのだな。戦車はどうした」

 
「その内来んだろ。・・・で、なんでここに来たんだ?なんかあんのか?」

「は、はい。『天使』がいると・・・」

「天使ぃ?」

「うーん。私が知ってる天使なら美声と銃声が響くはずなんだけど・・・」

『吐瀉物を吐かせる治療、亜鉛を飲ませる療法と私の銃、どちらが最新ですか?何度も言わせないでください』

「銃声!ビンゴ!行ってみようマシュ、ギル!兄貴たちはちょっと待ってて、私じゃなきゃ多分話にならないから!」

「お、おう・・・?」

――難民キャンプに銃声を轟かせる天使・・・

(あー、何となく解った気がするぞぅ、ボク)

――看護師なら知っているけど・・・銃持つ天使は解らないなぁ・・・

(あ、ちなみにボクもワープみたいな事は出来るよ。エアのプレシャスパワーを使えば、ほら(量子化))

――フォウ!?

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