人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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オベロン「おいおい、せっかく手に入れた救いをみすみす撃ち殺す気かよ?そこまで憎いか妖精が。いや…憎いか」
『チチチ…!』

ギルガメッシュ「いや、ヤツが見ているものは悪妖精のみなのだ。あの善妖精どもはそもそも目にすら入っていまい」

オベロン「あ〜…成る程ね。ライネックはたった今許された。もう、視界にすら映っていないわけか…」

──では、あの憎しみの光は、あの恐ろしき妖精を討ち果たすためだけに…!

ギルガメッシュ「然り。奴等は巻き添えを食う羽目となるであろうな」

ブライド『はじきかえして、もとを絶ちますか?できます』

──(発想が)獅子っ!

ギルガメッシュ「その必要はあるまい。奴等が奴等であるならば切り抜けよう。そう、我が財──グランドマスターズであるならばな!」

──どうかご無事で!皆様!





冠位の奮闘、紅き竜炎

『超々高エネルギー体、接近!エネルギー総量、獅子王のロンゴミニアドに匹敵します!こ、これは…!!』

 

『ブラックバレル!!オルガマリー所長のブラックバレルの一撃です!み、皆の場所に撃ち放たれました!着弾まで数十秒!逃げてくれー!!』

 

職員達の悲鳴にも近い報告。そう、遥か彼方の大穴より放たれた漆黒の怨嗟の一撃。それはブラックバレル、寿命を削り取る概念の一撃に酷似していた。当たれば無論即死は免れない。銃火器の規模とはまるで桁の違う規模の攻撃が、戦略的規模でグランドマスターズへと迫りくる。

 

『移動して逃れられる規模じゃない!僕が皆を転移させる!モルガン陛下、力を貸してくれ!』

『いいでしょう。これは特例です。悪魔を討った勇者への報奨としましょう』

 

ロマニ、モルガンが急速に転移の準備を開始する。移動さえすれば、切り抜けられるだろう。妖精の死骸たるブリテンは壊滅的な被害を被るが──

 

「いや、駄目だロマニ!ここは北の地の境だ、逃げ出したらライネック卿が護っていたものが無駄になる!」

 

『!』

 

「北の地に被害が出てしまって、贖罪の旅を台無しにしてしまっては意味がない。ここは──私が食い止めよう!」

 

何をバカな、とゴルドルフが声を上げようとする。即死、寿命の概念を削り取るブラックバレルの一撃が、神の裁きクラスの規模で放たれたのだ。人の身で、どうにかできる領域には最早無いのだと。

 

「ゼウス!天空をギリシャ神代にテラフォーミングできるね!」

『それが天空であるならばね。だって私、ゼウスだぜ?』

 

「三十秒だ。三十秒あれば俺達は生命を拾う」

 

「ありがとう、デイビット。では文字通り、死ぬ気でなんとかしてみせよう!!」

 

キリシュタリアは前へ躍り出、上着を脱ぎ捨てる。杖を高々と掲げ、空に魔法陣を出現させる。

 

「ブリテンの神秘よ、ギリシャの神秘よ。今ここに我が理想魔術の顕現を。この一撃を以て、遥かな巡礼の道を切り拓かん!!」

 

迫る、漆黒の銃撃。妖精を滅ぼしうる厄災の一撃が、目視できるほどに迫る。

 

「来たれ!『惑星轟』!!冠位指定(グランドオーダー)/人理保障天球(アニマ・アニムスフィア)────!!!」

 

キリシュタリア渾身の理想魔術にして、アニムスフィアの最終奥義。無数の惑星隕石がブラックバレルの一撃に大殺到し、その莫大なる質量弾幕となって、決死の拮抗を見せる──!

 

「ぬぅっ…ぐうぅぅぅっ…!!」

 

その一撃は、まさにブリテン中の憎しみと怨みを詰め込んだと錯覚する程にあまりにも重厚かつ凶悪だった。隕石を放つ度に砕かれ、破壊され、妖精どもを駆逐せんと赤黒く発光する。

 

『黄金の旅団よ!どうか妖精の死骸達を保護してほしい!この地にはあるのだ、トネリコが見出し仕掛けた、死骸を礎とする術式が!』

 

『なんだって!?それは調査結果が出ていた、海岸付近で見つかった魔術式のコンセプトの…この!?』

 

『詳しくは後で包み隠さず話すことを約束しよう!どうか重ねて願う!あの破滅を、凌いでくれ!』

 

「了解、した!私の脱落で、リッカ君を哀しませるわけにはいかないのだからね!」

『可哀想自体は愛でられないからね。必然だね。──さぁ、さらなる神秘を糧とするのだキリシュタリア!』

 

言われずとも!そうキリシュタリアは一層の気合と魔力を絞り出し、ブラックバレルの一撃をなんとしてでも押し留め、それは皆の未来と生命を守護しきらんと決意した理想魔術。

 

「皆!礼装と魔術の支援をありったけキリシュタリアに使うんだ!少しでも力を分けるしか生き延びる術はない!!」

 

カドックの言葉に、即座に反応し魔術を託すグランドマスターズ。最早秘匿など意味がない。彼らは全て仲間であるのだから。

 

「負けないでキリシュタリア!アタシ達が付いてるわ!」

 

「隙だらけな背中だねぇ。だがだからこそ、誠心誠意支えてやらぁ」

 

「しゃきっとしなさい!あんたは2番目に強いマスターでしょうが!」

 

「残り17秒だ、キリシュタリア」

 

「半ばで倒れるわけにはいかないわよ、キリシュタリア!リッカと合流するのだから!」

 

「えっと、ファイトです!」

 

「結界は展開しているわ、もう一踏ん張り頑張って!」

 

「皆…任せたまえ!今の私は、カオスすら凌駕する存在だ!!」

『それはちょっと盛り過ぎかもだが、ゼウスとしてそれくらいはしてあげなくては。愛すべき人間達の為に』

 

魔法陣の輝きがますますと輝き、無数の隕石が勢いと力を更に増し、いよいよもって間断のない隕石の大放出がブラックバレルに叩き込まれる。

 

『凄い、凄いぞキリシュタリア!勢いが減衰している!これなら、きっと…!』

『〜。マリスビリー直伝なのは伊達じゃないわね』

 

ロマニとオルガマリーの緊急回線の叱咤を受けながら、仲間を、トネリコの遺産を護り抜く為に必殺の手段を注ぎ込む。一瞬か、永劫かの拮抗。それらが無数に繰り返される刹那の攻防。やがてその拮抗は、破られる。

 

少しずつ、少しずつブラックバレルの勢いが減速収縮していく。隕石に呑み込まれるかのような様相を見せ、いよいよその瞬間が訪れた。

 

『エネルギー、霧散確認!凄いぞキリシュタリア!あの破滅の光線を凌ぎきったんだ!』

 

『うおおおお!流石はヴォーダイムの君主!ミソッカス魔術師が束になっても勝てない天才だよキミィ!!』

 

全力でそれを凌いだキリシュタリアに、仲間たちからの万雷の喝采が浴びせられる。そう、彼は護りきったのだ。贖罪の巡礼にあるべき、全てを。

 

「ふふ…役に立てて光栄だよ、ぐっ…!」

「キリシュタリア!」

 

キリシュタリアを、カドックとオフェリアが受け止める。思えばゼウスの雷霆、スカイフォーミング、並びに惑星轟という弩級戦術を一気に送り込んだのだ。生成する魔力は無限でも、枯渇を免れることは叶わない。

 

「あはは、少し無茶をし過ぎでしまったかな?だが、これで…!」

 

『──おい、嘘だろ。ちょっと待ってくれ!そんなのありかよ!』

 

ムニエルの絶望すら孕んだ声が木霊する。そして衝撃の事実が、告げられる。

 

『エネルギー反応再度膨張増大!臨界反応!だ、だい…第二射が来ます!!』

 

 

 

【一発二発防いだ程度の何が嬉しい……!!】

 

弾丸は消え去らない。妖精國に蔓延る怨嗟と憎悪こそ、火薬であり弾薬でありガンパウダーであるのだから。

 

【貴様らが死ぬまで、何発でも撃ち放ってやるんだわ…!貴様ら一匹たりとも、ブリテンの外には出しはしない…!!】

 

第二射、ソレが今、放たれる。

 

 

「どうやら、また、来るようだね…ならば…!」

 

キリシュタリアが、その悲報を聞き立ち上がる。魔力を絞り出しながら、惑星轟の準備を始める。

 

「止めておけ、キリシュタリア。死ぬことになる」

 

「しかしだねデイビット、ここで私がやらなければ皆死んでしまうだろう…!?」

 

「そうだな。残り12秒。生き延びるにはこれを乗り越えねばならない。生死の瀬戸際は今ここだ」

 

瞬間、迫りくる超巨大光線の光。先程と遜色ない一撃が、今度こそ妖精国の罪を粉砕するために猛飛来を開始しているのだ。

 

「くっ───!!なんとしても…!!」

 

キリシュタリアが立ち上がろうと空を見上げた瞬間──それは、そこにいた。

 

【■■■■■■■■!!!!】

 

空を疾走する、赤き竜。ライネックが変容変質していた獣の厄災と対を成す空の厄災が、猛烈な速度で飛来し互いの間に割って入る。

 

 

【炎の厄災】

 

 

【PENDRAGON】

 

 

 

『あれは、炎の厄災!?何を──!?』

 

ゴルドルフの困惑を他所に、炎の厄災は自身の推力を完全に前方に回し、咆哮と共にブラックバレルへと向ける。

 

そして──

 

【■■■■■■■■────!!!!】

 

天空を揺るがす、竜の炉心から放たれる最高純度の真エーテルをビームとして撃ち放つ。先のブラックバレルに一切劣らぬ、極大の真紅の光線を、渾身の火焔として叩きつけた。

 

『あの火焔、炎の色───』

 

【■■■■■■■■!!!!】

 

『──お前、なのか…!?ウーサー…!!』

 

…その焔は、地表にいる者等を護り抜くように放たれ、やがて霧散し。

 

【…■■■■■■■■!!】

 

高機動形態に変化し、咆哮と共に飛び去った。

 

…ライネックに、一つの気付きをもたらして。




【なん、だって…!?二発目も防ぎきったのか!?あんなゴミみたいな妖精ごときが!】

【どうやって…!うっ、しまった、魔力を使いすぎて…眠気が…くそっ、ボクは、必ず、妖精どもを…】

【……zzz……】


大穴に蠢く厄災は、限界を迎えしばしの眠りにつくのであった…

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