人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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クー・フーリン伝説


「ちっと隣の国に相談すっか。手を組むにしろ何にしろ礼は尽くさねぇとな」


「クー・フーリン!?おぉなんと言うことだ!我らが繁栄はここに潰えた!」

「もはやこれまで・・・!我等は最後の最期まで、この国と命運を共にする!」

「クー・フーリン!何故だ!何故今なのだ!何故我らを滅ぼすのだ!」


「いやちげぇよ!?姫さんからも何か言ってやってくれや!」

「我が国は、滅亡します!」

「違うっつってんだろ!?」

国に相談しただけで国全体が激震し泣いて謝った。姫は滅亡を危惧

「せいそーのおにいさーん。ごみー」

「あぁ、偉いぞ」

「お兄さん、肩車をしてほしいのだわ!」

「承知した」

「カルナ、すみません。シミュレーションの精度のチェックを・・・」

「任せるがいい」



「あ、あの、あの、女王!」


「はい?なんでしょうか♥?」

「も、も、もし、もし、もしよかったら・・・」

「・・・♥」

「ぼ、僕と・・・そ、その、しょくどっ、しょくどうで・・・きゅうっ、きゅうけっ、しません、か!」

「ふふふ♥はーい♥」

「や、やった!やったよマギ☆マリ!僕はやったんだ――!!」

『いつまでも女の子は、男の意気地無しを待ってはくれないよ?勇気を出して!貴方ならできる!』


「やれやれ、全く世話が焼けるんだから。私としてはさっさと一線越えていいと思うんだけどね?子供が出来たら逃げられないだろうし。サーヴァントが妊娠するかはそこはそれ、設定次第だけどさ」


「・・・君の第二の生に寄り添う大切な伴侶だ。キミに与えられた自由、取り零すんじゃないよ、ロマニ・アーキマン」←ロマニがあたふたするのを楽しんでいるだけ


英雄姫の選別――完全無欠の勝利を求めて

ジェロニモ・・・アパッチの精霊使い、先住民の英霊

 

 

彼はレジスタンスをまとめあげ、結成し、土地を荒らすもの達に抵抗しているらしい

 

 

「君達の事は精霊から聞いていてね。是非とも、私達に力を貸してほしいと動向を追っていた。・・・のだが、余りにも君達の進軍が速すぎるものでね、とてもじゃないが追い付けないと踏んだ私は、友より姿を隠蔽する宝具を借り受け、プレジデントハウスにて君達を待っていたんだ」

 

 

遥か地平線まで続く果てしない広い大地を疾走するヴィマーナ、マハとセングレン率いる鏖殺戦車

 

 

「英雄王、さらに輝ける光の御子とその仲間達を率いながら、傲りなく自らの道を行くその真っ直ぐさ、誠実さ。・・・是非とも、私達の戦いに力を貸してほしい。正しきアメリカを、この手に掴むためにも。どうかこの通り、よろしくお願いする」

 

誠実に、深々と礼儀正しく礼節を尽くすジェロニモ

 

 

「欠伸をするもの、であったか。貴様がアメリカを護るために戦うとはなんの皮肉だ?」

 

太陽がやや傾き、時刻は午後二時を回るアメリカ。ヴィマーナの玉座にて王が問う

 

「総てを灰塵に帰すのなら納得が行くが、血塗れの悪魔とまで呼ばれた貴様が白人なんぞの為に戦うとは道理が見えぬ。どんな心積もりにてお前はゲリラなどに精を出しているのだ?」

 

その意見は尤もだ、と言うようにジェロニモは笑う

 

「何、アメリカの連中に恩を売るのも悪くはないと思った迄の事さ。例えそれが、消えてなくなる奮闘だとしてもな」

 

「健気なことよ。何処ぞの騎士王のようにやり直しを求めはせぬのか?」

 

ゆっくりと首を振る

 

 

「無かったことにするのは誰でもできる。それが自分に不都合なことなら尚更な。だがそこをグッと我慢するのが戦士というもの。ただ帳消しにするのは小狡いコヨーテだ」

 

 

――その言葉だけで、理解が及ぶ

 

彼は人間としても、戦士としても気高く、高潔な英雄なのだと。あらゆる勢力に屈せず、戦い抜く道を選ぶも道理だろう

 

「うむ、聞いているかアルトリア。貴様は小狡いコヨーテらしいぞアルトリア」

 

『私はセイバーですー!コヨーテじゃありませんセイバーですー!』

 

『私は、やり直しなど求めません。滅びも、確かな絆も私の総てですから』

 

「・・・うむ。分かたれた可能性の方が、物分かりがよいとは中々に皮肉が利いているな。セイバーめももう少し頭を軟らかくすればよいものを。まぁだからこそ、ヤツは尊いのだが」

 

ふはははは!と愉快げに漏らす王

 

――アルトリアって、凄い可能性を含んでいる凄い人なんだねぇ

 

(アルトリアだけで会話できるからね。アルトリアから別れて反転したアルトリア、そこからライダーになるアルトリア、サンタになるアルトリア、槍を持つアルトリア、反転したアルトリア、水鉄砲で遊ぶアルトリア、暗殺アルトリアとそのアンチアルトリア。パーティー組むとき誰が誰だよってなるのさ。タケウチいい加減にしろ)

 

???

 

フォウの呪文めいた言葉に困惑してしまうエア

 

 

「まぁそれは良い。貴様らの戦う動機なんぞさしたる興味はない。それより今後の動向よ。今我らを何処に向かわせているのだ?」

 

酒を飲みながら英雄王は問い質す。彼にとって興味を成すのはカルデアの者達の奮闘のみ

 

「西側のとある小さな街だ。そこはケルトの猛攻にて破棄された場所、レジスタンスの拠点に相応しい場所でね。そこで――彼女の力を借りたい」

 

そう言って、彼はナイチンゲールに視線を送る

 

「私に?」

 

「あぁ。あの街に一人、甚大な怪我を負ってしまっている少年がいる。負傷さえなければ彼はカルナにもけして劣らぬ武勇を誇る大英雄だ。是非とも、その力を貸してほしい」

 

「ドクター、宜しいですね。怪我人、負傷者が待っているというのなら私達が赴くべきでしょう。貴女の世界の救済の術式に添って、取り組むべき問題であると提言します」

 

「オッケー!行こう!ナイチンゲール!」

 

「感謝します」

 

即断即決。二人にとって敵を蹴散らす事と、負傷者を癒すことは道理なのだ

 

「・・・ふむ。雑種を踏み潰すわけでも無し、雁首揃えて瀕死の者の見舞いなど時間と戦力の無駄であろう」

 

つまらなそうにグラスをしまう。基本的に、彼はカルデア以外の戦力は踏み潰すか、手を組むかしか無い。一人の瀕死の英雄になど興味は湧かないのだ。医療は王の仕事では無いと定めているがゆえに

 

「あ、じゃあギルと兄貴別行動してる?方針決めとかは私達でやるからさ」

 

リッカの提案に、ニヤリと笑うギルガメッシュ

 

「――その言葉を待っていたぞ」

 

《エア。その戦術眼を活かす時が再びめぐってきたぞ》

 

――はい。最小戦力に与する以上、迅速な行動は避けられぬと覚悟はしていました

 

アメリカにも与さぬ、ケルトは倒す、その為にレジスタンスに力を貸す

 

 

ここに来て、メイヴの暗殺が失敗したことが功を奏した。次なる手を、肉体と叡智を賜りし英雄姫は、魂を定義したエアは即座に掴みとる

 

――いずれワタシ達はアメリカ・・・つまりカルナさんとエレナ、エジソンと手を組み、ケルトに挑む

という未来が予測されます。つまり、ワタシ達が臨むべき戦いとは『総力戦』。ケルトが侵略者、アメリカがその行動の是非はどうあれ防衛者なのですから、この図式は動かないでしょう

 

《お前も先見の明が存分に磨かれてきたな、エア》

 

――光栄です!あ、・・・コホン。エジソンは言っていました『召喚されたサーヴァントは他にもいるが、アメリカに与する様子を見せない』と。・・・ならばアメリカと一旦袂を分かち、レジスタンスを行うワタシ達ならば召集は可能なのではないでしょうか?

 

《ほう・・・つまりお前は各地に散らばるはぐれどもを纏め上げ、この大地の戦力総てを結集し戦うべきだと睨んでいるわけか。その為に――》

 

――はい。彼女たちが拠点にいる間、王とワタシ達の機動力を生かし、中立を保つサーヴァントを可能な限りこちらの陣営に招き入れる事を提案致します、王よ。王のスキル『単独行動』それに加え、このヴィマーナの機動力を以てすれば充分に可能かと思われます

 

 

そう。必ず、エジソン陣営と協力する時期はやってくる

 

何故なら、過程はともかく、『ケルトを打倒し未来をこの手に掴む』という観点は一致している

 

 

ならばその未来に備え、ただ目の前の敵を倒すだけではない備えを行う事こそが『王』の戦いであると、自分は信じる

 

・・・敵は強大な一つ。対してこちらは小さな二つ。

 

力を合わせねば、けして望む未来を掴むことは叶わぬのだから

 

(英雄系女子を探しに行くんだね?)

 

――フォウ?

 

(そういう事ならボクも力を貸そう。エアに引っ付いて消滅しているばかりじゃないと言うところをたまには見せなくちゃね)

 

フフン、と自慢気に胸を張る獣

 

《何か策があるのか?獣》

 

(策というよりは特技だね。ボクは『人類史から生まれた霊長の存在』に対して絶対特効を持つ。その一環として、英雄の存在の位置を正確に感知できるんだ。今までやれなかったけどね。気配察知(人類)EXってやつ?だからボクが位置を把握しナビしてあげるから、ヴィマーナのワープを活かして瞬時にサーヴァントを拾うといいよ)

 

《ほう・・・解りきっていた事だが、貴様はやはり只の獣では無かったようだな》

 

――凄い!フォウは可愛くてキュートなだけじゃない、素敵な獣だったんだね!

 

(ふふっ、これはキミのお陰でもあるんだよ、エア)

 

――ワタシの?

 

(キミがボクを倒し続けてくれたお陰で、いや・・・キミに出逢えたお陰で、ボクはキミの、キミ達の為に力を振るえる。ボクの『理』を、キミが討ち果たしてくれたからね。比較なんて関係無い。唯一無二のキミの為にボクも戦おう。キミから貰ったプレシャスパワーの一端を振るうときだ)

 

 

――フォウ・・・!

 

親友の、かけがえのない大切な親友の決意に胸がいっぱいになる

 

・・・ありがとう、フォウ。ワタシ・・・キミに出逢えて、本当に良かった・・・

 

((虹色の炎に焼かれ灰になり崩れ落ちながら即座復活)ボクは人類なんかどうでもいい。キミとの未来の為に戦うのさ。――一緒に、絶対ツーリングしようね、エア)

 

――うん!

 

《細やかな座標を把握したならばワープを駆使し即座に回収に迎えよう。手柄だぞ獣。飴を食うか?ん?くれてやるぞ?》

 

(マイルームでくれよマイルームで)

 

 

《では、早速赴くとするか!》

 

――あ!王!一つだけ宜しいでしょうか!

 

《ん?なんだ?苦しゅうない。申してみよ》

 

――ゲリラ、レジスタンス活動というならば・・・彼の他にも戦っているサーヴァントが、レジスタンスを行っている街が在る筈です。王の眼で捉えることは出来ますか?

 

《・・・――うむ。確かにいるな。アーチャーが二匹、街に立て籠り空しい抵抗をしている。これは・・・なんだ、顔見知りのネズミがいるではないか》

 

ビンゴだ。やはり王の慧眼は凄まじい。戦場の把握が叶うなら、手段の『選別』は如何様にも取れる!

 

――その援軍に、クー・フーリンを初めとしたケルト戦力を援軍に向かわせるのは如何でしょう。彼等ならば、ケルトの兵が何千、何万いようと物の数ではない筈です。2騎のサーヴァントを失わないための、確実な一手を打つべきだと進言いたします

 

《ふむ、つまり『王』たる我等は戦力を拡張し、『指揮官』たるマスター達は拠点にて方針を定め『戦士』たるクー・フーリンどもには暴れさせてやる、と言うことか》

 

――はい。どうでしょうか?拙い戦術ですが、御一考をお願いできれば・・・

 

(ボクの姫がガチプレイ過ぎる件について)

 

《ふはは!一考など必要あるまい!戦力を最大限に活用する最適解だ!見事だエアよ!四つの特異点にて研鑽された魂、伊達ではないな!》

 

王の称賛に、フォウと顔を見合わせ、ブイサインを交わし合う

 

《ならば迅速に取りかかるとするか!兵は拙速を尊ぶ!時は金より重いのだからな!》

 

 

・・・その後、王はワタシの作戦を余すことなく伝えてくれた

 

 

「総力戦の為、散らばったサーヴァントを集める・・・願ってもいない申し出だ。ギルガメッシュ、クー・フーリン。それに我等4騎のサーヴァントに、更に散らばったサーヴァントも加わるとならば、なんの憂いもない」

 

ジェロニモは即座に快諾する

 

「治療は私とドクターにお任せください」

 

「気を付けてね、ギル!」

 

「ご武運を!」

 

「うむ。つまらぬ雑事はこちらに任せ、存分に羽根を休めるがいい。・・・クー・フーリン!コンラ!」

 

王の号令に、先頭を走っていたクー・フーリン、台にいたコンラが即座にヴィマーナに跳躍してくる

 

・・・300㎞オーバーの乗り物に即座に降り立てる辺り、やはりケルトすごい

 

 

「我はこれより凡英雄どもの回収に向かう。お前達はジェロニモより、レジスタンス活動を続けている輩の位置を聞き、援軍に向かえ」

 

 

「おう、そりゃあ解りやすくていいが・・・大丈夫かお前、スカウトなんか出来んのかよ」

 

「出来る。ゴージャスたる我ならな。此度の我等が目指すは『総力戦』。一欠片の目零しも赦されぬ。お前たちも戦士として本懐を果たせ。気が乗らぬであろうが、雑兵を蹂躙してくるがよい。その果てに勝利はあろうよ」

 

「???・・・つ、つまり・・・」

 

「好きに暴れろってこった。話が解るじゃねぇか金ぴか!」

 

「ふはははは!!ゴージャスたる御機嫌王の我を甘く見るな!マスター達を抱えよ!我は早速赴く!再び合流した際は、ゴージャス戦力の完成を見ようさ!ふはははは!!」

 

「あいよ。じゃあコンラはマシュとマスターの嬢ちゃんを頼むわ。俺はでかいのを担ぐ」

 

「はい!ギル様、お気を付けて!」

 

 

「うむ!適当に蹂躙せよ!さぁ行くぞ!A・U・O!!ワープ!!」

 

フォウのナビに従い、サーヴァントの下へワープして翔ぶヴィマーナ

 

(この匂いからして・・・反英雄二人か。まずはランサーからだね。行こう!エア!)

 

――うん!ワタシの親友は、とっても凄いんだ!

 

(あっ)

 

虹色の輪を頭に浮かび上がらせ消滅するフォウ

 

フォウ――!?

 

《・・・身体に真エーテルを溜め込むのは構わぬが、あまりに身体を張りすぎではないか?》

 

 

完全無欠の勝利を求めて

 

 

今、天駆ける玉座は空間を越えて飛翔する!

 




「・・・・・・・・・・・・・・・」

「クーちゃん!クーちゃん起きて!ドラゴン系女子を殺しに行くんでしょー!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「ははは、こうなれば梃子でもこやつは目覚めんぞ?よほど兵士を入念に潰したと見える。さて、では代わりにサーヴァントを」

「フェルグスも一緒に起こして!はやく!今すぐ!クーちゃんがいればはぐれなんて一捻りなんだから!」

「・・・うぅむ、確実に始末したほうが早いのだが・・・メイヴの嘆願とあらば仕方あるまい!よい女のワガママは聞いてやるものだ!身体だけで他は最悪だがな!はっはっはっは!」

「クーちゃん!起きて――!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「彼処がサーヴァントがいるとかいう拠点か。街をまるごとぐるっと囲まれてるじゃねぇか」

「このエグさは間違いなくメイヴちゃんだな、間違いない。・・・さて、クー・フーリンよ!一暴れするか!」

「応!真正面は俺とフェルディアがやる!コンラとロイグは街を囲む奴等をぶっ潰せ!」

「はい!お父様!行こう!マハ!セングレン!」

「ブルルルァアウ!!(任せろ!!入念に轢き潰す!!ところで、にゅーねんってなんだ?)」
「ヒヒィイィインッ!!(ニンジンじゃないかな~?よーし、鏖すぞ~)」

「――行くか。真名解放『裂き駆ける鏖殺戦馬(ロイグ・マハ・セングレン)』」


「行くぜてめぇら!!一匹も残すんじゃねぇ!!!」


「「「応!!!」」」


「やったよグリーン!えんぐ・・・――ねぇグリーン、ジェロニモって、見上げるぐらい大きい馬二頭に率いられたでかい戦車で大地を引き裂きなかがら暴れまわったり、その戦車に乗ってレーザーバスバス撃ちまくる少女だったり、剣で竜巻起こしたり、クー・フーリンだったりしないよね?」


「は?・・・は?」


「ていうかクー・フーリンがいる――――!!!??」

「はぁぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!?」



NEWクー・フーリン伝説

片手間に後書きで虐殺。街を取り囲むケルト兵を四人で虐殺


クー・フーリンにとって後書きの虐殺は描写するまでもない戦闘のなり損ない

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
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