人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
チルノ「ホープ?」
ホープ「どうか、あの方を…妖精騎士トトロット様を。そして、ライネック様が気付かれた炎の厄災たるウーサー様を助けるお力を貸してください!」
ライネック「それは…!」
ホープ「私達はいいんです!どこまでいっても自業自得、罪からは逃れられない、逃れるつもりもない。でも、トトロット様が、救世主の仲間たちがこんなにも苦しまなくてはいけないなんて、あんな哀しい決意をしなくてはならないなんておかしいんです!」
騎士王「…確かに。トネリコ自身も、あまりにも自身を蔑ろにし過ぎてしまっていたが故にこの悲劇はある側面もあるでしょう」
ビリィ「…そうだ。僕達はもう、自分たちの救いなんて求める資格は無いのかも知れない。だけど、罪の重さを少しでもできた僕達は出来るはずだ。『他者の痛みを知ること』を。旅の意味があるのなら、そこにこそきっと意味があるんだ」
バーヴァンシー「自分がやられて嫌な事は他人にやるな。その逆で、自分がしてほしいことは他人にまずやってやれ。妖精がしてほしいことは一つ。罪の許しだよな」
ホープ「もうこれ以上、私達の罪で誰も傷ついてほしくない!誰もが許されないのなら、せめて私達が………」
リッカ「…誰かの許しに、なってあげたい?」
ルイノス「──できます。あなたたちならできます!あなた達は、他ならぬケルヌンノス様の赦しを得た方々ではありませんか!」
ウーサー「慈悲と、優しさをもって。他者の事を受け入れる。それを、君達は望むのか」
ホープ「もう自分の事が一番大事な妖精でいるのはうんざりなんです!ケルヌンノス様が赦しをくださったのなら、私は、私はそれを広めていきたい!正しき方に、正しき赦しが満ちるように分け与えて、皆で素敵な未来を作りたい!」
オルガマリー『………ホープ…』
ホープ「お願いします!私は、私達は!自分より…誰かの救いでありたいんです!!」
ビリィ「イエス!」
バーヴァンシー「いいね、最高だぜホープ。私達、ってとこが特にな!」
騎士王「……私には、妖精が救いのない生き物とは思えせん。この少なく煌めく輝きは、数多の害悪よりもなお尊い」
リッカ「うん!元々、私達は呪いや地獄に光る宝物を見つける旅をしてきたからね!」
ロマニ『〜自分ではなく、他者を許せる、か。…どうかな、マリー?』
オルガマリー『愚問ね。…引き続き、作戦を続行するわ』
オーディン「うむ」
『ケルヌンノス神に償い、トネリコの描いた異聞世界を完成させる!地獄であろうと、全てを照らす財として!カルデア一同、奮起なさい!妖精国の僅かな至宝を、なんとしても汎人類史に持ち帰るわよ!』
一行『『『『了解!!』』』』
チルノ「それがお前らの『ごめんなさい』なんだな」
ホープ「はい…!オヤブン、どうか力を貸してください!」
チルノ「勿論だ!あたいはずっと、一緒だぞ!」
ビリィ「ナイスでーす!」
ライネック(悪妖精が、反省を促したか。皮肉なものだ。…だが、見ているかトネリコよ)
希望は未だ、星のように輝いているぞ…。
『では改めて、この妖精国にてやるべきことを簡潔に整理するわ。ケルヌンノス神への贖罪、巫女の尊厳回復、聖剣の製造、トネリコの目指した異聞世界への善妖精達の移住。そして呪いを取り除き、カース・ロンギヌスを無力化する。邪悪極まる魔物達の悪意により気後れしてしまったけれど、ここからは私達の反撃よ。救いようのない連中と分かればいくらでもやりようはあるわ』
「ご丁寧に、ウェールズの皆や大妖精ブライドはあいつらが殺しやがったからな。もう、逃げ遅れた善妖精なんざいねぇからガッカリしろよ。ついでに追悼もしてやってくれ」
「…ブライド様。ウェールズの虫の皆…」
思い返せば感傷と悔恨しか産まない妖精国の思い出を捨て置き、新しき世界に至らなくてはならぬ時はすぐそこまで来ている。この地獄を乗り越えねば、未来はないのだ。
「時にカルデアの皆様の言うカース・ロンギヌスとは一体?この国未満の地獄に来た理由なのだから重要なものではあるのでしょうが…」
「実はね、溜まりに溜まった呪いを利用して、私達の世界を壊そうとしてるんだ。このままじゃ、ブリテンの呪いが星を覆うくらいに拡散しちゃうの」
「ええっ!?」
「心配するな!そうしないためにあたいらがいるんだからな!」
「…なら、これはもう妖精の行く末の話じゃありません。皆様の、黄金の旅団の帰る場所を守る戦いです!」
ホープは見違えるように決意を示す。悪意と同じ様に、決意も進化する。妖精達の希望は、潰えていない。
「お願いがあります。あと2匹いる厄災…私達妖精に倒させてくれませんか」
『はじまりの厄災の事かい!?あっさり倒されてるイメージがあるが、間違い無くトップサーヴァントクラスの実力はある。いくら何でも無茶だ…!』
「もう、言い訳を並べるのは沢山なんです。妖精の罪のはじまりは、せめて妖精が終わらせなくちゃ。そうしなきゃ、償いに中身が伴わない!」
ビリィ、バーヴァンシーは力強く、また静かに頷いた。ホープは、その強さを示していく。
「チルノオヤブン!お願いがあります!はじまりの妖精の首謀格は、風の妖精ウィンダとビリィが調べました!どうかウィンダを、やっつけてはくれませんか!」
「…いいのか?」
「あんなやつが、オヤブンと一緒の立場なんて嫌なんです!オヤブンとしてあいつを倒して、あんなやつとオヤブンは違うって思い知らせてほしいんです!翅の妖精は、私達が絶対にやっつけますから!」
ホープの言葉に、チルノは即座に頷く。オヤブンとして、最早愚問だったからだ。
「任せろ!オヤブン対決、引き受けた!!」
「ありがとうございます!ビリィ、バーヴァンシー!ライネック様!私達もやりましょう!」
「排熱大公として、守護は任せておけ!穢らわしい罪共を断罪する戦いだ、本気で挑む!」
「では、オレは六妖精の魂を一気に目覚めさせ、償いの鐘に偉大なる力を目指す試みを行おう」
「トネリコ様が繋いでくれた、巫女の身体の位置を繋ぐ魔術…それを辿れば、一気に設置場所は割り出せます!」
「ではこのキュート・キャスター・アルトリアがその式を辿りワープ兼ビルディングを残り五つ一気に解決しましょう!もはやチンタラ向き合ってやる必要もなさそうですし!」
「じゃあ、アルトリア・キャスターの私はロンゴミニアドを起動します。そうすれば、ブリテン全域に援護射撃ができそうですから」
『グランドマスターズ達の強い要望から、炎の厄災への対処はこちらが受け持つ方が良さそうだ。…最早炎の厄災を、敵とは見れなくなり始めている部分もあるしな』
『ならば、妖精国に満ち溢れるモース達の封殺も含め、カルデアの戦力を注ぎ込んではじまりの厄災と贖罪の対処を行いましょう。リッカ達もこちらに…』
「待たれよ、所長。リッカ達にはこのブリテンのどこかにいる『嫉む者』たる偽神の使徒をこの異聞帯から弾き出す役目を担わせるべきだ」
『偽神、デミウルゴス。妖精を悪妖精に変質させたビーストΩ…』
「気付いているかは知らんが、海岸付近に白き影がある。私がリッカのサーヴァントとなり、この使徒を討ち果たそう」
「いいんですか!?オーディン様!?」
「私には許せぬものがある。それは知恵を歪め葬るものだ。この妖精国は、きっとホープやビリィ達のような妖精がもっといただろう。ヤツはそこから生まれる叡智を諸共に破壊した。私は私の智慧を歪めるものを断じて許さん」
「おぉ…!心強いです!」
「待て自殺じじい!あたいのブリはどうしたんだ!姿が見えないぞ!」
「それは主たるお主の為、氷のルーンを極めているが故だ。暫し待て、ニブルヘイムの妖精よ」
「ニブチンヘルム?喧嘩売ってるのか!!」
「マスター…ニブルヘイム、です…」
『最早我の激すら要せず立ち直ったか。まこと、人の成長は侮れぬものよ。嬉しくもあり、眩しくもあるがな』
「ギル!今もどこかで見てるの?」
『貴様らから目を離した瞬間なぞない。片時もな。その奮起に免じ、聖剣の製作は我等が受け持とう。善妖精どもよ、貴様らが自らの原罪を討ち果たした際に救世主の遺体もろとも影へ飛ぶ。救世主の故郷、アヴァロンへとな』
「アヴァロン…!」
『罪を克己し、罪なき事を示すがいい。貴様らの奮起と双肩にあらゆる未来が乗せられていると心得よ。そして生まれた聖剣を振るい、贖罪を成すはお前だ、騎士王』
「ケルヌンノス神を鎮め、妖精騎士トトロットを開放し、罪業のブリテンを終わらせる。…あらゆる意味で、この世界の聖剣の担い手には適任でしょう。どうか、お任せを」
『…アルトリア』
「モルガン。大丈夫ですか?」
『平静とは言い難い。……世界は違えど、彼女は…トトロットは我が騎士だ。我が理解者、我が友。ヴォーティガーンにくれてやるなど、あり得ない』
「ええ、解っています」
『…この場のみの頼みだ。どうか彼女を救ってくれ。彼女が愛してくれたトネリコ…その希望を他ならぬ彼女が、何もかも壊してしまう前に。ブリテンの王たるお前しか、聖剣と救いはもたらせぬだろう』
「──無論です。生前は大いなる確執に追われ、互いに姉妹と認識する瞬間すら無かった。そんな哀しき必然を…今こそ、共に乗り越えましょう」
『…感謝する。支援と後援に、手段は選ぶまい』
『ポヨ!』
『カービィもやる気に満ちている。どうか私の妖精騎士ウーサーを戦いに参列させてやって欲しい』
「それは頼もしい。万の騎士に匹敵するカービィが参加するのなら百人力です」
『ポヨ!』
【なら、ゴミ掃除の作戦は我々ケイオス・カルデアにお任せだ。ここの連中の悪意は何もかもがお粗末すぎる。本物の邪悪がどんなものか、骨の髄まで思い知らせてやろう】
(出た〜、悪意の化身!妖精眼で見たらカルデアと家族以外は暇潰しのオモチャとしか見てない人!)
(家族に優しいいい父ちゃんだ!あたいにはそうとしか見えん!)
【死骸が生み出すモースをまるごとリソースに変える。カービィ、君の力が必要だ。頼めるか?】
『ポヨイ!』
真なる邪悪を前にし、いがみあうものや不倶戴天の者等が手を取り合っていく。真なる意味での贖罪の旅は…
否。贖罪の為の旅、理想郷へと至る『戦い』は、今始まろうとしていた。
「今このブリテンで、心から幸せだなんて思える人はきっといないと思う。誰も彼もが責任を負わなかったからブリテンは滅んで、死ぬことすらブリテンは許されなかった」
リッカは告げる。それは、新たなる未来と恐ろしき過去への訣別。
「私達で、この地獄を終わらせよう。ブリテンを看取って、終わらない罰を終わらせる。そして皆が夢見た理想郷へ、皆で一緒に向かおうよ」
それは、許されぬ罪への反逆。終わり無き罰への反骨。
「私達皆の力で…このブリテンの物語を、とびきりハッピーにしてみせよう!!」
高々と上がる歓声。もはや迷いはない。
屍を踏み進む贖罪ではなく。
許しを勝ち取る戦いに挑む。
その力と意思は既に、
「「「「「「おーーっ!!!!」」」」」」
──カルデアは、楽園は手にしているのだから。
リッカ「マシュ、ちょっと席を外すね」
マシュ「は、はい!留守はお任せください!このマシュ・キリエライト、先輩の前線基地を完璧に」
〜カルデア
モルガン「……」
リッカ「モルガン」
モルガン「我が妻…?どうしたのです。戦いは最早すぐにでも…あっ」
リッカは何も言わず、モルガンを抱き寄せた。彼女を、労るように
モルガン「な、何の真似ですか、これは…」
リッカ「私、モルガンの妻なんでしょ?」
モルガン「!」
リッカ「旦那さんが辛い時には、励ましてあげたいなって。これは、妻の務めってやつ?」
モルガン「…そんなことの為に、わざわざここへ…?」
リッカ「大事なことだよ。トトロットのためにもね」
モルガン「…あなたは、なんという」
なんという、罪作りな妻なのか。
カービィ『ポヨイ…』
カービィと、リッカに寄り添われたモルガンは、何も口にすることなく。
ただ、目を閉じ。妻と騎士に抱かれながら身を預けるのだった。