人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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クー・フーリン伝説


「セタンタ、母はドラゴンの心臓が食べたい」

「何いってんだお袋」


「母の願いを叶えてはくれんかセタンタ」

「・・・まぁ親孝行くらいはしなくちゃな」


『何用だ小僧。この竜たる我に』

「お袋が心臓喰らいたいんだとよ。いっちょ狩られろや」

『愚かな――』

「あっちぃっ!いてぇじゃねぇか!いきなりブレス吐きやがって、死にてぇってことでいいんだな!」

『な――』



「じゃ、心臓は貰ってくぜ」

『』

一人でドラゴンを退治。ドラゴンブレスを受けるも無傷。ノーダメージで瞬殺

眼と、翼を潰すサービスつき

「・・・でかすぎて持ち帰れねぇわ」




「おう、お前らがレジスタンスのガキどもかい?オレはクー・フーリン。ま、気楽にやろうや」


(ねぇ、なんで僕たちの目の前にアルスターの大英雄、それも敵のラスボスがいるのさ!?)
(知らねぇですよワケわかんねーよ!敵のボスが援軍に来るとか!フランクに挨拶してくるとか!意味わからなすぎて頭がおかしくなるっつーの!)


「こら!二人とも!」

「「!」」

「お父様が誇りある名を名乗ったのです!あなたたちも英雄ならば、誇りある名を、名乗るべきではないですか!」


「お、おぉ・・・?嬢ちゃん、年いくつ?」

「かわいいなぁ!僕より小さいんじゃない?」 

「ぁ・・・わ、私は、その・・・」

「こいつはコンラ。俺の息子だ」


「俺の!?」

「息子ぉ!?」

「今は娘だけどな」

「今は!?」

「娘ぇ!?」


ゴージャス・プロデュース・ネゴシエーション 前編

《ワープを駆使しているとはいえ、時間が惜しい。はぐれサーヴァントどもを手に入れられ不都合になるは奴等も同じ、恐らく敵に渡らぬよう、始末せんと刺客、あるいはクー・フーリンめ

が直々に始末しに向かってこよう》

 

 

ワープアウトし、街の上空にヴィマーナを停泊停滞させ、王が腕を組む

 

 

――最悪、鉢合わせの危険性があると

 

 

《然り。我等が負ける筈が無いにせよ、聖杯にて歪められた以上は並のサーヴァントとは一線を画す実力を誇ることは容易く読み取れよう。――これは時間との勝負だ》

 

剣を執る時と遜色ない真剣さで王が頷く

 

 

《一人辺りに使用できる時間は一分、遅くて三分。サーヴァントどもがごねるようならば拉致、処断も検討する。――交渉は我が行う。エア、お前は常に辺りに気を配れ。何かが迫ってくるようならばすぐに撤退するぞ。これはあくまで勧誘。生死を懸ける場ではないのだからな》

 

――解りました。クー・フーリンと思わしき反応あらば即座にお伝えします

 

 

・・・王とワタシ、全身全霊を尽くして尚、クー・フーリンという存在はあまりに強大かつ厄介、手を焼く存在だ

 

そしてそれが狂王、無慈悲にて冷酷。禍々しき存在なら尚更――

 

 

・・・これはけして、容易な戦いではない。最悪、即座に特異点の行方を懸けた戦いが始まるやも知れぬのだ。気を引き締めなくては

 

 

(そういう事ならはやくはやく!オマエがくたばるのはエアの消滅なんだから!ボクはそんなの許さないぞ!)

 

キャウキャウ、と器を叩きフォウが急かす

 

 

《分かっている。そうじゃれるな。――さて、では王の戦いを始めるとするか!》

 

ヴィマーナの縁から飛び立つ、原初の王

 

 

――さぁ、迅速にして的確な戦術拡張を始めよう!

 

 

そうして、王が飛び立ち、降り立った先にいたサーヴァントというのは・・・

 

 

 

「ハァトがチクチク 箱入りロマン♪それは乙女のアイアンメイデン 愛しいあなたを閉じ込めて 串刺し血まみれキスの嵐と洒落込むの 浮気はダメよ、マジ恋ダメよ アタシが傍にいるんだからね?」

 

一つ一つの美麗な音を重ね合わせミキサーにかけ出来上がった汚泥を辺り一面にぶちまけるような歌声を無人の街に披露する、目の毒になりそうなドギツイ衣装に身を包むトカゲが一匹

 

――オルレアンで見ましたね、あんなデスメタラー・・・

 

 

《獣、話がある》

 

(ボクには無い。さっさと交渉してこいよ。ホラ時間が押してるぞ)

 

《我はサーヴァントを探しに来たのだ!あのような雷鳴轟く山に設置されし生体音響兵器などに用は無いわ!》

 

(知ったことか!サーヴァントとは言ったがあんな厄ネタだなんて誰が思うか!ボクは嫌だよ近寄るの!エアのふわふわボイスに聞きなれたボクの耳が腐る!)

 

音を認識できてしまう不幸を噛み締め二秒で仲間割れが始まる王陣営

 

――お、王!その、なんというか、彼女は紛れもなくはぐれサーヴァント!大軍をその咆哮で一網打尽にするにはうってつけかと!

 

 

《うむ!要は捉えようか!早速我等が行き先に暗雲立ち込めたような気がするが・・・運命、宿命と受け止めるとしよう!》 

 

(御託は良いからさっさと行けよ!ボクとエアの耳がかかってるんだからな!凄いとこ見せろよ!)

 

《黙ってみているがいい!我とエアに麻婆以外に恐れるモノなど無いわ!》

 

 

意を決し、王は破滅の雷鳴を撒き散らす彼女に話し掛ける

 

 

「・・・よもやこの我がこの言葉を口にしようとはな・・・」

 

 

「――ゴージャス!?アンタ、ゴージャスよね!?うそ、なんでここにいるの!?秘密の練習場!アタシのシークレット練習会場を・・・まさか!おっかけ!?ファンになったの貴方!?」

 

「我が贈る言葉は一つよ。――何度も顔を出し恥ずかしくは無いのか貴様は」

 

唾を吐き捨て、苦虫を100匹程噛み潰し、じっくり咀嚼したような声音と表情で呻くように呟く王

 

 

「いきなり誹謗中傷とか相変わらずね!いいえ!それより何の用!アタシは見ての通り練習で忙しいの!自分磨きで忙しいの!用がないなら帰って!」

 

「はぁ――・・・では単刀直入に言うぞ。・・・・・・・・・・・・この我がプロデューサーとなり、貴様のライブをセッティングしてやろう」

 

死んだ眼と声音で抑揚なく告げる

 

 

「この特異点を修復した後、貴様専用のステージ、ライブ、衣装、スケジュールを担当し貴様の活動を後押ししてやる。故に、我に協力せよ」

 

「で――デジマ!?」

 

目の毒になりそうなフリフリの衣装を振るわせ、帽子がずり落ちながらエリザベートが叫ぶ

 

 

「マジ!?マジよね!?嘘じゃないわよね!?」

 

「うむ。我に二言はない。貴様の活動、万全に支援してくれよう。我に協力するなら・・・であるがな」

 

「する!するわ!!アタシ、ずっと探してたの!アタシに!投資し!輝かせる!スポンサーにして!プロデューサー!!」

 

やっぱり大事よね!SSR待ったなし!と見果てぬ夢を思い描くエリザベートを確認すると、さっさと跳躍しヴィマーナに戻るギルガメッシュ

 

《次に行くぞ。言質を取ったならば契約は成立だ。時間が惜しい》

 

流れるようにコンソールを操作し、ワープ機能をオンにし真下にいるエリザベートにエーテルアンカーを巻き付ける

 

 

「VIP待遇だ。ありがたく思えよ」

 

 

「VIP!?なんか命綱にしか見えないのが一本身体に巻き付いているだけなんですけど!?」

 

「ヴィマーナ、発進!」

 

制動していたヴィマーナの炉心に火が灯り、遥か下にいるエリザベートを絶叫アトラクションめいて振り回しながら加速していく

 

「ぎゃわ――――――――――!!!かーーそーーくーーーすーーーーるーーーーー!!!」

 

顔面を見せられないよテロップで覆い隠さなければならない程に歪ませながら振り回されるバラドル

 

「次だ。・・・うむ。ある意味では容易な相手であったな。うむ」

 

――・・・特異点を修復した際には、界聖杯があるとは言え、はぐれサーヴァントが退去するのは避けられないと思います。ライブ環境を整えている暇はないと思うのですが・・・?

 

《エアよ。お前は耳聡いな。お前の聡さが、あの駄竜にあれば幸いしたのだが》

 

はぁ、と頭を振る王

 

(うんうん。気づかない方が悪いのさ。サーヴァントたる自分の身分を失念していたエリザベートが悪い。エアも気を付けるんだよ?契約内容は、きっちり事前に確認するようにね)

 

――これが、ネゴシエーション・・・!弱味を見せたものが損をする大人の世界・・・!

 

ワープするヴィマーナ、王の器の中で、エアはちょっとだけ駆け引きの奥深さを知った・・・

 

 

 

――場所を変え、エリザベートを拾った街より離れた街

 

 

(ここにセイバーがいる。うん、セイバーがいるよ。ボクは嘘は言わないからね。エアに誓って嘘は言わない)

 

スンスン、とフォウが鼻をならす。確かに、真下にサーヴァントの反応を強く感じる

 

《その物言い・・・また何か変わり種のようだな、獣》

 

王の追求に、プイ、とそっぽを向く

 

(質なんか知らないよ。活かし方はオマエ次第さ。さぁ、迅速に的確に落としてきなよ、カリスマA+を見せてくれ、英雄王)

 

《ははは、こやつめははは。・・・気を入れるか、エア》

 

――反英雄ですから、最悪話も通じない場合も考えておきましょうか

 

《うむ。まこと惜しいが、始末するしかあるまい

 

 

決意を固めながら、意を決して下界に飛び降りる黄金の王

 

 

完全なる勝利を目指し、散らばる星を集めるために脚を伸ばした王を待ち受けていたのは・・・

 

「ふんふんふーん♪よし、これで土台はできたな。現状の町並みでは残念なことにウェスタンしか撮影できないが・・・なに、余の類い稀なる名演技をもってすれば、西部劇とてアカデミックな賞ゲットであろう!」

 

 

鼻唄混じりにキュートな声音でステージを手掛ける、純白の皇帝。ネロ・クラウディウスであった

 

 

《はぁあぁあぁあぁあ・・・・・・》

 

深淵に届かん勢いで溜め息をつく王

 

 

《ヤツの顔など見飽きている・・・何度安眠を妨害され、何度寝台に潜り込まれたことか・・・》

 

――アメリカは、ローマだったんだ・・・

 

(エア、エア違うよ。そのロムルスミームは危険だから)

 

《・・・時間が惜しい。さっさと招き入れるぞ》

 

 

呆れ果てながらも王が声をかける。裁定者はけして、自らの所感で裁定を下してはならないのだ

 

 

「・・・それで?資本、機材、人材は何処より調達するつもりなのだ、皇帝」

 

むむ!と声をかけてきた存在に華やかに自らを誇示する皇帝

 

「無論!ぷろでゅーさー、でぃれくたー、脚本、音楽、主演は余が兼任するとして・・・いかん!カメラマンがいないではないかー!」

 

大袈裟に頭を抱えながら、ちらちらと此方を見やる皇帝ネロ

 

《・・・もはや言葉を交わすも面倒だ。一息に決めるとするか》

 

うんざりげに溜め息をつきながら、王は契約を叩きつける

 

(裁定者は大変だねー)

 

――お、王よ!ワタシも傍にいますから!

 

《うむ、我をいい感じに励ますがよい》

 

――王!ワタシは貴方が大好きです!

 

 

(ボクにも!)

 

――フォウ!いっぱいすき!

 

(あっ――)

 

砂になり、形を崩し消え去るフォウ

 

フォウ!?

 

「単刀直入に言う。撮影機材一式を用意してやる故、我に助力せよ。事が終わったのち、望むままに銀幕を賑わすがよい!」

 

「まことかっ!流石は金ぴか!その見た目に違わず豪気よな!うむうむ!余も丁度スポンサーがほしいな~と考えていた所なのだ!」

 

「ならば利害は一致したな。さぁヴィマーナに乗り込め。黄金Pとして、貴様の類友であるエリザベートも確保している」

 

 

「なんと!?――これはまさか、まさか・・・いかん!」

 

喜色満面の笑みを浮かべる皇帝

 

 

「黄金劇場と、鮮血魔嬢の革命的ドッキングコラボが、実現してしまうのか――!?」

 

(なんでこいつら積極的にこの世の地獄を作り出そうとしてるの?芸術舐めてんの?)

 

――でも、綺麗じゃないかな?黄金劇場・・・鮮血は、その・・・トマトジュースくらいの感じがいいなぁ・・・

 

(例えが可愛いなぁ、エアは・・・)

 

 

「うむ。ケルトがアメリカを蹂躙した際に時代ごと道連れにするに最適よな――はっ!もしや、貴様らの召喚はその為だったのか!?」

 

 

「何をごちゃごちゃ話しておる!赴くのならば早く余を船にのせぬか!エリザベートはいるの――どうした我がライバルよ――!?」

 

ヴィマーナのアンカー代わりにぶら下がっている、ぐったりとしたエリザベートを見て愕然とするネロ

 

「気にするな。ヴィマーナの魔除けのようなモノだ。雷鳴のごとき絶叫でワイバーンやドラゴンから身を護る優れものよ」

 

「な、なんと――!?エリザベート・・・!反英雄たる自らの宿命を乗り越え、とうとう何かを守護せし竜になったのだな・・・!!余は、余は嬉しい・・・!」

 

感極まり、涙を流すネロ

 

(あんなのが守護竜とか幻想の裏側にいる竜たちからクレーム待ったなしなんだよなぁ・・・)

 

――友達の為に涙を流せる・・・あぁ、尊いってこういうことなんだね、フォウ・・・

 

(一番尊いのは・・・物事をまっすぐ受け止められるキミだよ、エア・・・)

 

涙ぐむエアを見定め、鏡と一体化し、静かに砕け散るフォウ

 

フォウ・・・!?も、物凄いバリエーション豊かだね!?

 

(視覚的に飽きさせないように、死亡シーンだって多彩にするとも。ボクのエンターテインメント的なこだわりさ)

 

《死亡芸とは変わった芸風よな、獣》

 

(いや、本当はエアから貰うプレシャスパワーが凄まじすぎるから、何かしら現象に変えないと破裂しかバリエーション無くなっちゃうからやってるんだけどね。いずれは世界にあるあらゆる消滅の仕方をマスターしたいなぁと)

 

――復活できるからって

 

ヒョイ、と王の身体を借り、持ち上げる

 

――フォウがいなくなったら、胸にぽっかり穴が空いちゃう、寂しがりな姫がいること・・・忘れないでね・・・?

 

((幽体離脱)勿論だよ、エア。ボクはキミを、一人になんかしないから)

 

《魂の尾を巻き戻せ。肉体を置き去りにするな》

 

(肉体なんて只の器にすぎない。いや、肉体があるからやれるのかな?)

 

――なんでもいいからはやく戻って!はーやーくー!

 

フォウの魂を慌てて巻き戻す

 

 

(ありがとう、エア。いけないいけない。気を付けなきゃね)

 

「ん~?なんだ?動物と対話か~?可愛いところもあるのだな、金ぴかよ!隅に置けぬな~?だが、余はもっと可愛いぞ!」

 

ドヤッ!と胸を張るネロ

 

「そうか。それは良き事だ。我も安心している。貴様が臓器を余すことなく抉り壊される未来を避けることが叶い大変安堵しているぞ?」

 

「よ、よ、余がそのような惨い死に様を赦されるものか!全国のローマ市民が放っておかぬ筈だ!」

 

「ケルトにローマの理なんぞ通じるものか。――まぁそれはよい。枝葉の話だ。さて、さっさと次にいくぞ。ナビせよ、獣」

 

(はいはい。――次もセイバーとランサー!?おいおい、どっちもアルトリアとかいう落ちは止めてよ!?・・・あれ、セイバーだよね。刀持ってるし。・・・うん。人間で刀ならセイバーでいいや)

 

 

「――一縷の望みを懸けるとするか!さぁ、次なるサーヴァントを拾うとするぞ!」

 

 

「気になる!気になるぞ金ぴか!余の、余の身に何が起こったのだ――!?」

 

――二人、心強いサーヴァントは仲間にできた!

 

さぁ、次の出逢いを探しにいこう!




「噂に違わぬ腕前よ、宮本武蔵。・・・性別に驚かされたが、その天眼の華、まこと鮮やかなりし剣の腕。疑うべくもあるまいよ」



「それはどうも。二の打ち要らずの李書文殿。神槍を名乗りし好好爺と聞いていたけど、餓えた狼、猛る虎みたいな方なのね。意外だったわ」


「呵呵呵!儂も全く同感よ!枯れた気概に、若き肉体――故に、この活が儂にも抑えは容易ではない!強きもの、死合う他に語るべくもなし!!」

「――っ」

「さぁ構えよ!!東洋、中華どちらの武合が勝りし武芸か、北の大地に打ち立てん!!」


(ひぇ~!!むりむりむり!!一度突いたら必殺なんてインチキにも程があるでしょ!!空にも達せず討ち死になんて真っ平!気運、風水気勢!なんでもいい!私を助けてこの状況を何とかして~!!)


「いざ――む?」


「な、はい!?」




「――その勝負!我が預かる!!武器を収め、王の言葉を拝聴せよ!!」


「む――」

(助け船来た――――!!え!?あれ秀吉!?めっちゃ黄金キラキラしてる――!!ていうかなんで上半身裸――!?)


「我は英雄王ギルガメッシュ!!貴様らを戦力として仕官させに君臨した王である!!」


「し、仕官――!!?雇っていただけるの!?マジで――!?」
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