人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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死ぬことは怖くない。だが、自分が死ねば背後にいる仲間たちを、愛するシータも総て失う

傷付くことは、怖くない。だけど、仲間や皆がその命を投げ出すことが、心の底から恐ろしい

だが、僕は屈しない。逃げない

傷付くことも、殺すことも、傷つけられることも、殺されることも――総て受け入れ、戦いに挑む!


それが、それこそが英雄たる素質!

恐怖を感じろ、前に踏み込め!

そして愛するものの名を、高らかに叫べ!


そして、今度こそ――

彼女の総てを、この手に掴め――!!


ゴージャスギルガメシュ叙事詩――ラーマーヤナ、純愛の章――

大監獄、アルカトラズ

 

 

 

四方を海に囲まれ、ワイバーン、ドラゴンが跳梁跋扈し、けして脱出すること叶わぬこの世の地獄

 

 

 

辺りにはワイバーンが忙しなく飛び回り、ドラゴンの禍々しき咆哮が響き渡る

 

 

「――チ。失敗したな。マスターにジークフリートを借り受けるべきであったか」

 

 

――そこに囚われし、生涯の姫を救うため

 

 

 

「大丈夫だ、英雄王。大英雄の助勢があれば尚磐石ではあったが・・・」

 

不敵に笑う黄金の王、そしてインドが誇る無双の大英雄が――

 

 

「余と、そなた!負ける理由は何処にも見当たらぬ!!」

 

今!その総てを蹂躙する!

 

 

(ヴィマーナの制御はボクに任せろ!さぁ、行っておいで!)

 

――うん!必ず戻ってくるからね!

 

親友と挨拶を交わし

 

 

「では、開幕と行くか!水先案内は任せるがよい!」

 

「――あぁ!行くぞっ!!」

 

 

地上数百メートルの高みより、二人の王が飛び立つ――!

 

 

 

 

――ワイバーン、数を把握!前方数1856体、ラーマくんの方角に1759体!

 

 

アルカトラズ全体の勢力と地理を把握し、王にそれのみを伝える

 

《竜殺しの武具の選定は終わっているな!》

 

――冬木の頃よりもう既に!

 

《ふはは!そういえばそうであったな!》

 

「ラーマ!そちらは任せる!花道を害する輩、遠慮なく皆殺しにするがいい!」

 

言うが早いか、王の周囲と、ワイバーンの首と翼に展開される、黄金の波紋。敵対者を断罪する王威の発射台――

 

「言われずともだ!余の前に立ちはだかる愚行!その身を以て味わえ!」

 

左手に握りし、投擲用の円刃。神威をそのまま形にし、刃と成した神造兵器を具現させ、力の限り投げ放つ!

 

 

「失せよ!!『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』――!!」

 

「切り裂かれよ!!『投げ飛来する円盤(ラーマーヤナ・チャクラム)』!!」

 

背中合わせに、渾身の宝具を撃ち放つ!

 

 

――総てのワイバーンの急所、肉体の脆弱な部分に狙いを定め撃ち放つ!ラーマくんの邪魔をするな!!

 

魂を滾らせたエアの情け無用、無慈悲な照準がワイバーンを穿ち抉る

 

眼、翼、喉、心臓。急所『しか』狙わぬその容赦を見せぬ射撃に浚われ、次々と堕ちていく竜達

 

 

「失せよ!!」

 

 

ラーマの投げたチャクラムは瞬間速度マッハ10となり、その勢いにて空間をまるごと切り裂き、引き裂き、音速の壁を引き裂いた衝撃波で雑竜を一網打尽にする

 

 

・・・その身から呪いを取り除かれたことにより、ラーマは新たなる宝具を開帳、解放することが可能となった

 

 

偉大なる者の腕(ヴィシュヌ・パーシュー)』。生前にて聖人、ヴィシュヴァーミトラよりあらゆる神魔に対抗するために授けられた武器の数々を使用する権利

 

円盤刃チャクラ、投槍シューラヴァタ、棍棒モータギー、シカリ。そして――破壊神シヴァが所持する三又槍トリシューラ

 

それらをヴィシュヌの祝福を受けたる武芸にて自在に操るラーマは、セイバーでありながらアーチャー・ランサーとしてもその名を轟かせる事の出来る屈指の大英雄なのである――!

 

 

――その武、ラーマが如し

 

 

インドにて武勇を馳せる代名詞たるラーマの本領が、此処に完全解放されていた――

 

「シータ――!!」

 

その全ては、愛する者を救わんが為に――!

 

 

「さぁ大地に降り立つぞ!一息に駆ける!覚悟はよいな!」

 

パチン、と王が指を鳴らし波紋を展開する

 

「あぁ、もちろんだ!余を導いてくれ!シータの下へ!――道は、余が切り拓く!」

 

《エア!》

 

――はい!射出!『栄華極めし王の鉄馬(ギルギルマシン)』!!

 

 

王の呼び声に応え、エアの最も頼みにするバイク、ギルギルマシンに腰を下ろすギルガメッシュ

 

「わ、わぁっ――!」

 

背後にいるラーマを鎖にて座席に置き

 

「ふはははははははは!!では行くぞ!!推進材起爆!唸りをあげろギルギルマシン!!獅子の如く!!」

 

空中にて背部ブースターを展開起動させ、最高速にて着地し大地を疾走する――!

 

「こ、これがバイクか!うむ!まさに暴れ馬だ――!!」

 

眼を回しかけながらラーマが困惑を口にするが、それはグッと我慢してほしい

 

《この道に相違はないな、エア!》

 

――はい!そのまま真っ直ぐ!何があろうと真っ直ぐです!

 

 

島の最端より、二人の王が爆進する――!

 

 

 

「あぁ、あぁ・・・!」

 

 

牢獄の一室にて、華奢な少女が涙を流す

 

 

「解る、解る――ラーマさまがいる。大きな存在・・・ブラフマー様と共に、ラーマさまがこちらに来る・・・!」

 

 

少女・・・シータは涙を流し、膝をつき両手を重ね合わせる

 

「あぁ――ラーマさまの傍にありしブラフマーさま、どうか、どうか・・・」

 

あふれでる涙を拭いもせず、シータはひたすらに祈った

 

「――ラーマさまを、護って――!」

 

愛する者の、無事と健在を

 

己が再会ではなく。自らのために傷付くことを選んだ、かけがえのない伴侶の壮健と息災を――

 

 

 

「ガァアァアァアァアァア!!!!」

 

「グォアァアァアァアァア!!」

 

「ガァアァアァアァアァア!!!」

 

森林地帯に侵入した事で、防衛の強固さは更に増していく

 

辺りには巨大なキメラが大量に現れ取り囲む。数は群れを為す、15体

 

そして――目の前に見えるは幻想種最大の種――ドラゴンが道を阻まんとその威容を際立たせる――!

 

《ハッ!よいぞ!試練や苦難が多いほど、果てに掴む財の期待は高まると言うものだ!》

 

――財の選別は――!

 

《よい!本領を放つ!往くぞ!『エア』!》

 

その号令にて総てを察する

 

――はい!『ギル』!

 

 

左手のみでバイクのハンドルを握り、アクセルを強く強く踏み込む!

 

「このまま突っ切る気か、英雄王!」

 

ラーマが声を張り上げる

 

「ハッ、怖じ気づいたか!」

 

ギルガメッシュが鼻を鳴らす

 

「いや――大歓迎だ!」

 

ラーマの言葉と共に、左手と右手に二本の槍が握られる

 

「余が辺りを一掃する!そしてドラゴンを共に倒すぞ!」

 

「良かろう!我に合わせよ、ラーマ!」

 

 

「「「グォアァアァアァアァアァアァア!!!」」」

 

大量のキメラが飛びかかり、バイクを破壊せんと迫り来る

 

それを意に介さず、二人の王は渾身の一打を放つ!

 

「唸れ乖離剣!我等が疾走を阻む狼藉者を肉片たりとも残すなよ!!」

 

右手に唸る乖離の剣、至宝たるエアが王の一声にて眼を醒ます

 

――お願い!王の道を切り開いて!

 

更に同じ銘を持つ『エア』の魂に共鳴、同調し、本来ならば展開に隙がある筈の乖離剣の駆動を何倍にも早める

 

即座に臨界へと達する乖離剣、その圧縮されせめぎあう暴風、真紅なる真理たる渾身の一撃がドラゴンに向けられる――!

 

「ヴィシュヌと双璧を為す破壊の神、シヴァよ!汝の神威を以て、貴様らの生命を此処で穿つ!」

 

左手に宿る破壊神シヴァの持つ三又槍、黒と金に虎柄の布が巻かれた槍を高々と掲げる

 

 

同時にアルカトラズの周辺が『雷雲』に包まれ、雷と暴風荒れ狂う神域に変ずる!

 

「穿て――!」

 

同時に右手に所持する投げ槍ヴィシュヴァーミトラを、目の前のドラゴンに投げ放つ!

 

 

――そして、シヴァの神威がアルカトラズに叩き落ち、世界を裂く開闢が言祝がれる――!

 

 

 

「『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』――!!」

「『世界を砕く神威(トリシューラ・シヴァ)』!!」

 

 

ドラゴンは喉を穿たれし続く刹那、地を謳う理の暴風に肉体を呑み込まれ塵と化し

 

トリシューラの雷雲よりシヴァの神威が叩き落ち、ギルガメッシュとラーマを除くあらゆる総てに雷撃が放たれる

 

前方の竜は消し飛び

 

辺りの森は更地となり

 

キメラはシヴァの怒りに触れ灰塵と化し、同時に解脱。輪廻転生の輪より切り離される

 

 

「ふはははははははは!!やるでは無いかラーマ!やはりインドは別格であるな!誇大広告の金字塔は伊達ではないわ!」

 

「うむ!やりすぎな気はするが是非もない!そんな気遣いは要らぬからな!」

 

――前には開闢の理、背後には破壊神の神威・・・

 

 

伝えるね、フォウ!この『この人達が味方で良かった』っていう安心を!

 

心から敬服し、胸を撫で下ろすエア

 

 

 

 

(うわぁ――!!これだからインドは!これだからインドは――!!)

 

同時刻、突如発生したシヴァの雷雲に浚われ、てんやわんやするヴィマーナを必死に制御するフォウが叫ぶ

 

 

(だが嘗めるなよ!ボクはエア以外には決して倒せない!シヴァだろうがなんだろうがボクを尊さ以外で倒せると思わないことだね――!!)

 

玉座にしがみつきながらフォウは決意を顕にする

 

 

(エア!無事でいてね!君の帰る脚と場所は、ボクが必ず護るから――!)

 

ただ一人の為に奮闘する獣が、愛する姫の為に命を懸けてシヴァの神威に抗っていた――

 

 

 

「見えた!アルカトラズだ!!」

 

 

最高速にて加速し続け、ついに二人の眼が監獄を捉える

 

「翔ぶぞ!ラーマ!!」

 

「あぁ!やってくれ!!」

 

短く言葉を交わし、更に加速を高めるギルギルマシン

 

《エア!ギルギルマシンのリミットを外せ!いよいよ殴り込むぞ!!》

 

――はい!で、でも――!

 

《何事か!?》

 

 

王の提案に即決を返せぬことに歯噛みしながら、進言する

 

 

――正門前にサーヴァントがいます!数は一騎!これでは危険が――!

 

《構わぬ!》

 

――良いのですね!

 

《フッ、そうだ!寧ろ誂え向きよ!ギルギルマシンつまり鉄馬!その手の虫を轢き潰すのに最適よ!》

 

――解りました!ギルギルマシン!全リミッター解除!

 

 

排出するエーテルの量が数十倍以上となり、記録するスピードは1200㎞に達する

 

周囲と前方に波動防壁を展開し、脅威と衝撃から搭乗者を守護する結界を産み出す!

 

「いよいよ邂逅の時だ、ラーマよ!!」

 

「――っっ!まさか、このまま行くのか!?」

 

「無論だ!!――覚悟はよいな!ラーマ!!」

 

王の問い掛けに

 

 

「――そんなもの、とうの昔に決まっている!!ラーヴァナと戦い、シータを取り戻すと決めたその日から!」

 

落ちぬようにギルガメッシュに強くしがみつき、ラーマは決意を顕にする

 

「――行け!!最高最古の英雄王!!」

 

「良かろう!!――人の恋路を邪魔する輩は――!!」

 

 

アクセルを限界にまで吹かし

 

「鉄馬に蹴られ冥府に落ちよ――!!」

 

サーヴァント目掛け、その質量を叩き付ける――!!

 

 

 

「ラーマさま、ラーマさま・・・!」

 

 

涙を溢れさせ、シータはただ祈り続ける

 

「けがをしないで、無事でいて・・・!私はいいの、それだけでいいの・・・!」

 

――彼女の願いは、確かに届いていたのだ

 

神ではない

 

 

天にではない

 

二人の再会を心から願いし、数多の人の心に

 

そして――二人の再会は叶うのだ

 

 

それを為さんとした、二人の王と

 

 

――ラーマくんの邪魔をするな――!!! 

 

「え・・・?」

 

燃えたぎる、姫の魂によって――!

 

 

「がふぁ――――っ!!」

 

 

正門前に立っていた監獄長、ベオウルフにギルギルマシン渾身の激突がぶちかまされる

 

 

質量と速度を兼ね備えたゴージャスブレイクを受けたベオウルフの全身は余すことなく打ち砕かれ、消滅を決定的なものとする

 

 

「――あんたらが、暴れてた、連中かい・・・」

 

大量の黒い血を吐きながら、ベオウルフは問いかける

 

「我はギルガメッシュ。王の中の王。中の宝に用があってな。貴様を潰し、貰っていくぞ」

 

「問答無用ってわけか――こうもあっさり、殺されるのは・・・はじめてだぜ・・・」

 

おかしそうに、どこか晴れやかに笑うベオウルフ

 

「人の恋路を阻む役回りに配置した者を恨むのだな。得意の拳を振るうことなく、戦いに血を滾らせる事なく。――野蛮な簒奪者に堕した身を呪うがいい」

 

――ラーマくんと、シータさんの・・・

 

何より、王の道を阻む者はワタシが砕く!

 

決意と裁定を顕す王の姿に、ラーマの胸は充たされる

 

「ギルガメッシュ・・・そなたは、そこまで・・・」

 

「――あぁ、あの女はあんたらの・・・そりゃあ、このザマも、納得だわな・・・」

 

自嘲しながら、そして割に合わぬ仕事の解放を喜びながら

 

「行けよ、色男。――手の一つも、出しちゃあいねぇからよ。・・・もう二度と、テメェの嫁さんの潔白を疑うんじゃあ、ねぇぞ・・・」

 

稀代の善王にて、拳の英雄。ベオウルフは消滅し、座に送還されていった――

 

 

「・・・ではな、拳を振るう竜殺し。次なる生、僅かなりとも仕える主を厳選するがいい」

 

 

「――・・・」

 

ゆっくりと、ラーマがバイクより降りる

 

「・・・さぁ、後は宝を手にするのみだ」

 

 

ギルギルマシンを回収し、静かに呟く

 

「無粋や出歯亀はせぬ。我は此処で――」

 

ゆっくりと、ラーマが首を振る

 

「そなたも来てくれ、ギルガメッシュ。・・・余は、シータにそなたを紹介したい」

 

――ラーマくん・・・

 

 

「余の願いを、全力で聞き入れてくれた・・・我が生涯、最高の協力者にして、仲間であるそなたを」

 

ラーマの瞳は揺るぎない。ラーヴァナに挑むと決意した時の眼差しと、なんら遜色ない

 

「――これでは断る方が面倒ではないか」

 

困ったように、笑みをこぼす英雄王

 

《・・・もとよりそのつもりでもあったのだがな》

 

パチン、とヴィマーナを引き寄せる

 

(ぶるるるるっ!終わったかい?)

 

――フォウ!お帰り!

 

《脅威は去った。では――締めを飾るとしようか》

 

――はい!行こう!フォウ!王!

 

(うん!)

 

 

 

「ラーマさま・・・!!」

 

 

シータは駆けていた、駆け出していた。ベオウルフの計らいによって、牢に鍵はかかっていなかったのだ

 

「ラーマさま!ラーマさま・・・!」

 

裸足のまま、懸命に駆けた。はしたなかろうが、脚の痛みも気にかからなかった

 

ラーマさまがそこにいる。ラーマさまがすぐそばにいる

 

「ラーマさま・・・!!」

 

 

あぁ、夢なら醒めないで

 

このまま、最後の最期まで見続けさせて

 

一言、ただ一言でいい

 

ただ、あの人に伝えられれば、それでいいから――

 

 

「シータ!シータ!!シータぁっ!!」

 

少年は駆けた。ただひたすらに駆け続けた

 

 

喉が嗄れ、涙を流しながら彼は叫び、愛するものの名を呼び続けた

 

疑ってしまった

 

突き放してしまった

 

愛していながら、彼女の手を振り払ってしまった

 

嫌だ、嫌だ。もう二度と、そんな離別はしたくない

 

 

君だけがいてくれればいい

 

富も、祝福も、力も、武芸も、王位も、何もかも必要ない

 

君こそが我が総て、君こそが我が運命(さだめ)

 

一万年と二千年でも遠かった

 

一億と、二千年後でも遠かった

 

君を知ったその日から、僕の気持ちは永遠に君のものだった

 

離さない。もう二度と離さない

 

忘れるものか、この一分一秒を――!

 

 

神よ、どうかこの瞬間だけは

 

ラーマに、余に、僕に――

 

「シータぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあっ!!!」

 

 

僕と彼女だけの願いを、果たさせてほしい――!!

 

 

 

・・・――――そして

 

 

「ぁ――」

 

 

「あ――・・・!」

 

幾星霜、遥か彼方より時刻と、時空を越え

 

 

愛を越え、離別すらも超越し

 

「――ラーマ、さま・・・!!」

 

「――シータ、シータぁあっ!」

 

 

――その日、二人は――

 

 

「――ラーマぁぁあっ――!!」

「シータぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあっ!!うわぁあぁあぁあぁあぁあぁあ――っっっっっ!!!」

 

 

――宿命すら越えた、運命に出逢う――

 

「逢いたかった!逢いたかった――!!ずっとこうやって――君を抱きしめたかった――!!」

「うん、うん・・・!私も、私もよ・・・ラーマ・・・!」

 

力強く抱きしめあい、お互いを確かめ合う

 

「離さない、もう二度と!君の事が、大好きだ!シータ!!」

「わたしも・・・!ほんとうに、ほんとうに・・・愛しているの――!」

 

涙を流し、それでも笑顔を浮かべながら

 

「――シータ・・・んっ・・・」

「ラー、ま・・・んちゅ・・・」

 

二人は、熱く、優しい口付けを交わしたのだった――

 

 

「――フッ・・・」

 

ゆっくりと無音の写真の原典を使い、『その瞬間』を永遠のものとする英雄王

 

《我が蔵に飾るに相応しき写真よな。酒が甘ったるくなるのが難点だが・・・》

 

(・・・ザ・ハッピーエンド・・・ってね)

 

フォウ、と声をあげる、至尊の獣

 

(どうだい?エア。キミの望んだものは見れたかい?)

 

――うん!!

 

力強く返答する

 

 

――ワタシは。王が、フォウが・・・――こんな素敵な想いと結末に溢れる世界の総てが――

 

世界にて愉悦を懐く英雄姫は高らかに

 

 

――心の底から、大好きです――!!

 

大輪の華のような、輝ける太陽のような至上の笑みを、満面に浮かべ上げ・・・世界の総てを祝福したのだった――




ヴィマーナ、帰路



《終わってみればあっという間であったな。まぁ、王が二人本気を出せばこんなものか》

――ワタシの英雄王は凄いのです!

《フッ。お前の、か?》

――はい!ワタシの英雄王です!えへん!でも・・・ラーマ君の頑張りも、凄く、凄かったです!

《いずれお前も振るう力だ。よく噛み締め、蓄えておけよ?》

――はい!英雄王!

「ラーマ・・・」
「むにゃ、シータぁ・・・」

――泣きつかれて、寝ちゃいましたね

《しばらく放っておけ。玉座にて眠る無礼を一度にて赦す》

――王の外套も貸してあげましたから、風邪を引きませんね!

《うむ。――さて》


(あ~~~~~~っ!!!)

――ど、どうしたのフォウ!?

(さっきの笑顔で100回くらい倒されて、今復活したら・・・!)

『フォウガイアメモリ』
『ギル・エア・フォウコアメダル』
『フォウスイッチ』
『プレシャスリング』
『フォウロックシード』
『プレシャス・フォウシフトカー』
『フォウ眼魂』
『プレシャス・ゴージャスグランドオーダーガシャット』
『エア・フォウフルボトル』
『ビーストフォウゼリー』


(いつの間にかコンプリートしてたぁ!あっという間だぁ!)

――これで死ななくて済むね!良かった!

(いや、まだまだ!あらゆる死にかたを究めるまで、ボクを倒してね!エア!)


――だから死なないでってばぁ!


《ふはははははははは!!貴様は一体何処を目指しているのだ、獣畜生が――!》



『――我が叙事詩に、涙と嘆きは不要である――』

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