人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「・・・・・・・・・」

【無言の魔力泥還元】


「・・・・・・・・・」

(無言で銃の手入れ)


「先輩、ナイチンゲールさん。これから、何を・・・」

「「治療」」

「――・・・は、はい・・・」



「やっばぁー!出遅れたし!ネイルエステサロンJK研きスズカーミラ、開店しなきゃやばいし!」

「・・・何故、私もなの・・・?」

「美しくなりたいんでしょ?マジテンアゲで二人でやるしかないっしょ!」

「はぁ・・・そのうちね・・・」


徹底治療!

「・・・来たか」

 

 

 

プレジデントハウスの入り口にて立ち尽くすカルナの眼が、遥か先より来るバイクを認める

 

 

それらはすぐに、カルナの目の前にて停車する

 

 

 

「こんにちは!カルナ!」

 

朗らかに挨拶を返すは人類最後のマスター、龍を宿せし者、リッカ

 

 

「お疲れ様です、施しの英雄カルナさん」

 

「貴方も病を患っています」

 

マシュ、ナイチンゲールもそれに続く

 

「・・・そうだな。オレも忠実であれという病を患っている。見たものの病巣を瞬時に見抜くのは看護師という生来の気質ゆえか」

 

「いえ、貴方が解りやすいだけです」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか」

 

 

傍目からも解るレベルで落ち込み果てるカルナ。その輝きが、どこか物悲しい

 

 

(気にしてたんだね・・・)

(物凄くしなだれてるね・・・)

 

 

「・・・・・・そうだな。オレの病は生来のもの。治るかどうかは解らんが、奮闘してみよう。それより・・・」

 

気を取り直し、カルナが向き直る

 

「掴んだのだな。この大陸に満ちる光、1%の閃きを」

 

「うん!後はエジソンが積み重ねてきた99%の努力を合わせるだけだよ!」

 

その言葉を聞いたカルナは小さく、確かに笑みを浮かべながら

 

「――そうか。ならば我等の道は今こそ重なる。玉座に案内しよう。お前の痛烈な投薬にて、エジソンは瀕死になっているからな。・・・奴の病は、死にかけねば治るまい」

 

「ありがとう!・・・あれ?カルナさんはそう言えばなんでエジソンに協力してるの?」

 

リッカの問いに背中を向けながら

 

 

「先に頼まれたからだ。オレのような益体のない男に、ヤツが膝を折ってな。手を貸す理由はそれだけでいい」

 

「――うん!手を貸す理由は、それだけでいいよね!」

 

カルナの問いにリッカも深く頷く

 

 

彼女もまた、頼まれた、頼られたならば。全霊で応える事を信条としていたが故に

 

 

「さぁ、――覚悟はいいか。今こそ、この国が正しい意味で一つとなるときだ」

 

 

『大丈夫?リッカ・・・勝算はあるかしら?』

 

「ある!意志があるなら必ず私が勝つ!ね?マシュ、ナイチンゲール!」

 

リッカの笑顔に、二人は頷く

 

「はい!」

 

「ドクター、行きましょう。患者を今、救うときです」

 

 

「・・・ね?」

 

『――ふふ。聞いた私がバカだったわ』

 

『強行手段に出たら、私を呼びなさいね。プレジデントハウスをキャンプファイヤーしてやります』

 

けらけらと笑うジャンヌ・オルタ。これは彼女なりの励ましだ

 

『失敗しても私がいる。思いきりやれ』という、彼女なりの、アヴェンジャーとして、彼女の誇りとしての

 

「ありがとう!マリー、オルタ!」

 

「・・・早計な策に出ないよう、オレも目を光らせよう」

 

 

思い思いの所感を抱き、一同はプレジデントハウスの玉座へと向かった・・・

 

 

 

 

「ほら、エジソン。彼女たちが来たわよ!しゃんとしなさい!」

 

玉座につくと、そこには本を抱えた少女、エレナ・ヴラヴァツキーが

 

「う、うむ。・・・来たか・・・」

 

玉座に体育座りをし、縮こまるライオンを励ましている光景が広がっていた

 

 

『うわぁ、効いてる・・・物凄く効いてるぞリッカ君の投薬・・・』

 

エジソンの顔は見るからに生気がない。――無理もない。自らの言葉、伝記を目の当たりにした子供に『カッコ悪い』と突き付けられたのだ。英雄としては致死に至るより痛烈な薬だろう

 

「ドクターリッカ。ここで彼を治療します。よろしいですね」

 

「うん!・・・エジソン!立って!」

 

よろよろと立ち上がるエジソン

 

 

「・・・私は悲しい。これ程悲しいのは失業率が三割を越えたとき以来だ」

 

声にもあからさまに張りがない。獅子どころか猫にも劣る有り様だ

 

 

「君達が協力してくれなかった事か?違う。君達がレジスタンスに与した事か?――違う。・・・君の言葉の真意に気づけない自分がだ」

 

うつむくエジソン。沈痛なる雰囲気は間違いない、偽りなきものだ

 

彼は嘆いているのだ。一人の少女を失望させてしまったこと

 

何より――それに気がつくことができない自分自身に

 

「この強靭な四肢、はち切れんばかりの健康、研ぎ澄まされた知性。――その総てを以てしても、私は解らなかった。私の何が、君を。伝記を読み、私を愛してくれた後世の子供達を失望させてしまったのかが・・・」

 

エジソンは頭を抱える

 

「それが解らなければ、プレジデントなどを名乗っている場合ではない!発明王、トーマス・アルバ・エジソンという英雄の名折れである!」

 

――病巣はつまびらかにされている。後は、それを突き付け、摘出するまで

 

 

「教えてくれ、リッカ・・・!ドラゴンスピリットガールよ!アメリカを護り、立ち上がった私の何が『カッコ悪い』と言うのだ――!?」

 

『リッカ、言ってやりなさい。死にかけてるなら、いっそ殺して生まれ変わらせた方が慈悲というものです』

 

ジャンヌ・オルタがリッカの言霊を信じ、促す

 

「うん!――あなたがカッコ悪いのは『アメリカ』しか護ろうとしていないからだよ、エジソン!」

 

今、対話の龍が牙を剥く。あらゆる欺瞞と煩悶を皆殺し、本当の真実を爪弾かんが為に

 

「な、なに――?」

 

 

「貴方は絶望に膝を折って、アメリカだけをなんとかしようとしてる!『もうどうにもならないから、せめてアメリカだけでも』って!――エジソンの癖に、真っ先に諦めてる!!だから貴方はカッコ悪いの!!」

 

 

「――――!!そ、それは・・・!」

 

「私の知ってるエジソンは、どんなに難しいことにも諦めなかった!99回失敗したら100回目で成功を掴む!999回失敗したら1000回目で何とかする!そうやって、あなたは諦めないで――沢山の発明を作り上げてきた!!そしてそれは、世界に生きる総ての人々の生活を助けてる!『世界の総てを救ってる』んだよ!あなたがいなかったら、私の知ってる生活の殆どがない!それが私の知ってるエジソン!それが私の大好きな『発明王』!」

 

「エジソン、発明王――・・・」

 

「それが私の目の前にいるエジソンは真っ先に諦めてる!未来がない絶望に、どうしようもない現実に『もうだめだ』って一番楽な方法を取って『私はよくやっている』『私は大統王』だ何て言って自分を誤魔化して嘘ついて、胸を張ってる!そんなの――カッコ悪すぎだよ!!」

 

 

「ぐふ――っっっっ!!」

 

麻酔抜きで患部を切り開かれ、苦悶を溢すエジソン

 

(これは効くわね・・・何より未来の人間に『お前はなにをやっているんだ』なんて言われたらそりゃあね・・・)

 

(・・・容赦がないな・・・まさに、龍の逆鱗に触れるというものか・・・)

 

エレナ、カルナが静かに頷く

 

そしてリッカが、決定的な一撃を叩き込む――!

 

「貴方なんか、私の知ってるエジソンじゃない!!私の知ってるカッコいいエジソンを返して!このライオンもどき!!!!!!」

 

「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

 

大気を震わし、断末魔の咆哮を上げるエジソン

 

「ら、ライオンもどき・・・エジソンですらないライオンもどき・・・」

 

ぶつぶつと呟き続けるエジソ、ライオンもどき

 

「あちゃぁ~・・・」

 

「・・・傷は深いぞ、ガッカリしろ、エジソン・・・」

 

沈痛に俯く。リッカのあまりに痛烈な批判にかけてやる言葉が見つからない

 

 

「よし!言いたいことは言った!ナイチンゲール!タッチ!」

 

「了解しました。切開し、露出した患部を摘出します」

 

ハイタッチし、がっくりとうずくまるエジソンに歩みより

 

「へぶぁっ!!!」

 

まずは気付けの一発を叩き込むナイチンゲール

 

 

「立ちなさい、まだ言いたい事は、摘出は終わっていません」

 

 

『まだ終わってないのかい!?』

 

『・・・私が言われたら、ヒステリー所じゃないわ・・・鬱病一直線よ・・・』

 

外野の意見に耳を貸さず、胸ぐらをつかみ震えるライオンにガンを飛ばすクリミアの天使

 

「な、ナイチンゲール女史――」

 

「貴方の不合理を糺します」

 

「ふ、不合理・・・?」

 

「はい。貴方のやり方では、ケルトには勝てません」

 

バッサリと、彼女は事実を口にした

 

彼が目をそらし続けた、いや、『彼等』が目をそらし続けたその事実を

 

 

「彼等ケルトは、生きて死ぬまで戦いに明け暮れた怪物です。頂点足るクー・フーリンを見て解るように、この時代の人間はスタート地点から引き離されている。まして彼らが敬う女王メイヴは聖杯を所持し、無限に戦士を産み出している。だから勝てない、勝てるはずがない」

 

『――かれらの増殖には聖杯以外の資源が必要とされない。そうか。気付いてみれば簡単な話だ。数で勝負する、という発想が、既に・・・』

 

ロマンが気付いたように呟く

 

『材料を仕入れず製作費用もかからず大量生産・・・うぅん。商人の商売が成り立ちませんねぇ・・・市場なめてんのかの一言ですわ』

 

笑いながら、ミドラーシュキャスターが怒りを顕にする

 

「ですが貴方はそれを譲らなかった。いえ、その仕組みにおいて負けたくなかった。何故なら――『大量に生産する、より安価でよいものを作る』それが貴方の、トーマス・エジソンが誇る天才性だから。そして貴方のその美学が、貴方から本来の知性を奪っていた。『自分のホームグラウンドで負けてなるものか』と無意識のうちにムキになってしまっていた。そんな風に愚図愚図と考えていたから、病に汚染され、ドクターを失望させてしまったのです」

 

「な――――し、しかし――な、なんということか――否定、できぬ・・・」

 

愕然とエジソンが宣う

 

 

「確かに私は、生産力に拘っていた。資源も尽きると言うのに、最終的には勝つから良いのだ、などと・・・」

 

「全くです。生産力だけ勝ってどうするのです。そ!し!て!」

 

ビシリ、と指を突きつける

 

「最大の過ちが貴方の肉体です!エジソンが獅子の頭を持っていたなどという記録は存在しません。ましてこれほどまでに強力な力など持っているはずもない。ならば、貴方には貴方以外の力がある。貴方を「王」たらしめんとする欲望(ユメ)。」

 

「それは、聖杯では?」

 

マシュの問いに首を振る

 

「いいえ。聖杯は「願いを叶えるもの」であって「願いを産み出すもの」ではない。エジソン、貴方の願いは貴方から産み出されたものではない」

 

「・・・そうだ。私の名はトーマス・アルバ・エジソン。そしてこのアメリカの大統王。過去、現在、そして未来。この国の大統領より力を与えられしもの。何故なら、それが合理的だからだ」

 

エジソンは話す。自らの違和感、肉体の真実を

 

「彼等は自分達が総てサーヴァントとして召喚されたとしてもケルトに敗北するという結論に達した。ならば一人に力を集積すればいい。世界的な知名度を誇る英雄に。――彼等は、アメリカという、未来を――」

 

 

「――貴方についていたのは、『力』じゃない。『そうであれ』っていう、『傲慢』だよ」

 

ゆっくりと、リッカは呟いた

 

 

――その在り方が、誰よりも理解できるがゆえに

 

 

「それが病です。この世界を癒さなければ、救済せねばならない使命がある。・・・イ・プルーリバス・ウナム。多数の民族から成立した国家である貴方は、あらゆる国家の子供に等しい。ならば貴殿方には、世界を救う義務がある。そこから目を逸らして、自分の国を救おうとするから――エジソンは苦しむのです」

 

「ぬ、ぐ――」

 

ナイチンゲールは抉り出す

 

 

「そして、そんなだから――」

 

最後の一刀を、今、振るい上げる――

 

 

「あなたに憧れた子供であるドクターを失望させ、同じ天才発明家として、ニコラ・テスラに敗北するのです。貴方は」

 

「GAOHOOOOO――――!!!!???」

 

 

積もり積もった術式を叩き付けられ、エジソンはバタリと倒れ伏した――

 

「――施術、完了です。ドクター」

 

「ナイス!ナイチンゲール!」

 

『マシュ、エジソンの脈を』

 

「・・・生きてます!生存確認!」

 

ビクン、ビクンと痙攣するエジソン。――生きては、いる

 

 

「命に別状はありません。――さぁ、ドクター」

 

「うん!エジソン」

 

リッカは問い掛ける。『トーマス・アルバ・エジソン』に

 

「あなたは、どうしたいの?」

 

「ぐ・・・む・・・」

 

ゆっくりと、立ち上がる

 

 

「――そうだな。君たちの言う通りだ。私は歴代のキングから力を託され、それでも合理的に勝利できないと言う事実を導きだし。自らの道をちょっとだけ踏み間違えた・・・」

 

【ちょっと?】

 

沸き立つ混沌の覇気にエジソンが言い直す

 

「大いに!踏み間違えた・・・愚かな思考の迷路をさ迷っていたようだ・・・」

 

「迷っていたとしても構いません。貴方は今、スタート地点に立ったのですから」

 

ナイチンゲールの言葉に、深く俯く

 

「・・・ここまで市民たちに犠牲を強いて起きながら、やっとスタート地点とは・・・これは厳しいな、厳しい・・・私はこれからどうすればいいのか・・・」

 

「決まってるよ」

 

リッカが、獅子に手を差し出す

 

「私達と一緒に『挑戦』しよう!」

 

「挑戦・・・」

 

「そうよ、エジソン。何度失敗してもへこたれず、まわりに苦労させておいて自分だけはちゃっかり立ち上がる。それがあなたの人生じゃない。ね、トーマス・アルバ・エジソン」

 

柔かに、暖かく知己は彼を肯定する

 

「ブラヴァツキー・・・ほめられているようにもけなされているようにも聞こえるが・・・ありがとう。君はやはり私の友人だ。最終的に上回ればいい。それが私の人生(結論)だった。しかし――私は負け猫だ。臆病者だ。告訴王だ。もう一度この国を導くなど、とても・・・」

 

「それは違う。お前の奮闘は、失敗は、ただ『間が悪かった』だけの事だ、エジソン」

 

エジソンを再び照らすのは、暖かい太陽の輝きでもあった

 

「お前は道に迷ったが、お前が目指していた場所は正しいものだ。だからこそ、彼女たちは再びここに来た。名も知らぬ者を救うことも、闇の世界で光を照らそうとするのも、自信をもっていい願望だと、オレは断言する。どれ程自らに負い目があり、屈折した自己嫌悪があり、時に小心から悪事を成すことがあったとしても。――お前の発明は、誰かを照らし、救ってきた」

 

「カルナ君・・・」

 

「お前の99%の努力は今、報われる時だ。今こそ、目の前の1%の閃きを掴みとれ。――完全無欠の結末には、今こそお前の力が必要だ」

 

フッ、とカルナが笑う

 

「――『行くがいい。必ず誰かが、誰でもないお前を待っている』」

 

彼は、そう口にした

 

醜く、浅ましく、堕肉で、怠惰で、豚肉で、愚かしく、惨めで

 

 

それでも――かけがえのない人間だった彼女を庇護し、破滅へ飛び立った、あの時のように

 

 

「――そうか。君がそう言ってくれるのか。発明など無縁だった世界の君が・・・」

 

『ますたー、ますたー。わたしにも、いわせてください』

 

 

管制室に、バベッジと絆を育んだ『娘』、フランが現れる

 

 

「いいよ!言っちゃえ!」

 

『ありがとー。こほん。はじめまして、えじそん。あなたに、バベッジせんせーのことばをつたえます』

 

「き、君はバベッジ君のかけがえのない愛娘!?モールス信号で最低12時間は講義し、論文120枚を書き上げさせたかの、フランケンシュタインの――」

 

 

『いかにも。よくききなさい、らいおん』

 

すう、と息を吸い

 

『はさんするまでは、まけじゃない!』

 

 

バベッジの人生観を告げる

 

それが、契機であった

 

 

「――であれば、そう!であればッ!大統王は死なぬ、何度でも立ち上がらねば!!」

 

立ち上がる。彼は、人間として

 

「繁栄の世界の夢!ここに復活!!カルナ君、ブラヴァツキー嬢!迷惑をかけたな!!」

 

「いいのよ、友達でしょ?」

 

「・・・さしでがましいが、友人だな。ここまで来ると」

 

二人のかけがえのない財産が、優しく笑う

 

 

「――ふ。私はいつも、いい友人に恵まれる。こればかりは、あのすっとんきょうも及ぶまい!私だけの財産だ!!」

 

「うんうん!友達一人いれば、世界が救われるんだもん!二人いれば、何でもできるよ!ね、ジャンヌ!マリー!」

 

『・・・そうね。えぇ。その通りです』

 

『――ええ。私が、保証します。友人さえいれば、なんでもできるのよ』

ジャンヌ・オルタ、そしてマリーが、深く深く、その言葉を噛み締める

 

『そこに愛も、追加してほしいですねぇ♥』

『ひ、ひ、否定は、しないよ!うん!』

 

微笑ましくじゃれあう二人

 

 

「そうだ。・・・君を失望させた私の不甲斐なさに謝罪し、また、そんな私を見捨てず付き合ってくれた君に感謝する、レディ・リッカ」

 

「いいよ!さぁ、一緒に手に入れよう!これは、私達が特許申請を下ろしてる私たちだけの大事なもの!『世界の未来』だよ!」

 

朗らかに笑い、リッカはエジソンの手を握る

 

「行こう!私たち皆で、100%の天才になろう!私達なら『世界を救う』大発明を作れるよ!」

 

 

「――ありがたい。そして頼もしい。そうだ。私はたいへんな忘れ物をしていた」

 

ゆっくりと手を引かれ立ち上がる

 

「大統領の傍らには常に副大統領がいるものだ。時に、大統領自身よりも有能な、ね」

 

「エジソン氏、では!」

 

マシュの感嘆に咆哮で答える

 

 

「私はトーマス・アルバ・エジソン!今こそ努力と閃きを重ね、世界を救う大発明を成し遂げたい!!無論、ドラゴンスピリットレディ・リッカ!君のサーヴァントとしてだ!」

 

「こちらこそ!!――うん!やっと私の知ってるエジソンが戻ってきた!」

 

にっこりと、リッカが笑う

 

 

「私の国では、皆知ってる常識だよ!『エジソンは偉い人』ってね!!」

 

「ありがとう。本当に・・・共に、世界を救おう!我がマスターよ!!」

 

「うんっ!!」

 

 

――ここに治療は果たされ、西部アメリカは一つとなったのだった!




「ものわかり良くてよかったぁ。もし暴れたりしたら【地獄の九所封じ(ナインライブズ)】が炸裂するところだったよ」


「えっ」

「私もホッとしています。貴方を殺さず、救うことができて。流石はドクター・リッカ。適切な術式でした」

「ナイチンゲールもナイスだよ!」

「・・・命拾いしたのね、エジソン」

「う、うむ・・・良かった・・・」




「――あちらのオレは随分と力になっているらしい」


「――ならば、彼を殺させるわけにはいかんな。・・・英雄王は、オレに財を貸してくれるだろうか・・・」

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