人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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なんだか無性にリッカの内面描写が書きたくなりました


ちょっとしか話動かないですが、キャラの愛と言うことで一つおめこぼしを・・・

そして

何がなんでも俺はエタらねぇからよ・・・!

だからよ・・・

見捨てんじゃねぇぞ・・・(所長並感)




「・・・先輩、起きていますか?」


「起きてるよ」


「あの、もし、良かったら・・・」


「なあに?」


「・・・い、いえ、何でもないです!起こしてすみません!お休みなさい!」


「・・・ははぁん、寝られないんだなぁ?私も目が冴えちゃったし


・・・うん。身体、動かそうかな」

『槍』


「中庭、空いてるかなあ・・・」


人理を臨みし龍心

「ふん!はっ!せえい!!」

 

夜のプレジデントハウス、中庭にて、人類最後のマスター、リッカが紅き槍を縦横無尽に振るい、舞うように演舞する

 

 

「ぜええっ!やあっ!!」

 

スカサハより賜ったその練習用の槍を使い、空を切り、大地を蹴り、槍の感覚を自分に馴染ませていく

 

 

・・・リッカの魂が告げている。リッカ自身がそれを感じ取っているのだ

 

 

決戦は、死闘になると。おそらく自分も、無事であるかは解らない決戦になると

 

 

・・・自らの生死はまあともかくとして、自分の行く末には私自身の願いが懸っている

 

 

世界を救う、世界の未来をこの手につかむ。奪われた皆の未来を、必ず取り戻す

 

その願いがあるからこそ、私は闘うし、戦える

 

それが私が私たる理由

 

それこそが―――

 

 

「はあぁあああああっ!!!」

 

 

泥を魔力に還元噴射し体中を一個の邪龍と化し、槍を巨大な尾が如く直立させ、地面に渾身の力で叩き付ける

 

人間の力では叶わぬ剛力にて地面は抉れ、吹き飛び、深々と破壊の爪痕を大地に刻み付ける

 

「アルトリアがやってた、パワー不足を魔力放出で補う槍の振るい方・・・大型エネミーをぶっ飛ばすときに最適だね!うん!」

 

手応えを確かに感じ、リッカは汗を拭う。上はスポーツブラ、下はスパッツの訓練仕様だ

 

「サーヴァントにおんぶにだっこじゃマスター失格!私も、マシュを助けてあげるようにならなくちゃね!」

 

槍を抱え、リッカは朗らかに笑う

 

・・・リッカは気づいていたのだ。マシュの強さと脆さを

 

彼女は、戦いを怖がっている。勇敢に盾を振るいながらも、その心はけして誰かを傷付けることを望んではいない

 

弱さ、ではない。それは当たり前なのだ

 

暴力が怖いのは当たり前で、傷付くことは恐ろしい。それは当たり前で、当然の事だ

 

それでも、マシュは私のために、サーヴァントとして奮い立ち、恐怖を押し殺して戦っている

 

・・・それは、素晴らしく。また、儚い在り方だ

 

彼女は誰かを支える事はできる。守ることはできる

 

けれど・・・その護る、護りたい皆に「自分」は入っていないんだ

 

「・・・それじゃ、辛いよ。マシュ」

 

誰かを護るだけじゃ、貴女を誰も護ってくれない

 

全ての敵を退けた後に、貴女はきっとそこにはいない

 

そんなの、認めない。認めたくない

 

貴女は私と違う「普通の女の子」なんだから

 

私が護り、取り戻した世界に、必ず貴女がいてほしい

 

護って守って、戦い抜いた果ての未来の皆に、貴女がいてほしい

 

―――貴女の心と身体は、私が護る。世界は救って、貴女は護る

 

マシュだけじゃない。皆を必ず、必ず護る

 

―――私たちが救う世界に、あなた達の居場所は必ずあるから

 

だから、私は強くなる

 

強くなる、強く、強く。人類を救える強さになるまで、どこまでも

 

それが、私の戦う理由

 

「ふう・・・」

 

 

――――世界を、皆で手に入れて、みんなの未来を掴むために

 

私は力を、暴力を振るうことを、立ち塞がる全てを砕くことを躊躇わない

 

最低で、独善的で、愚かで、野蛮だ。性別リッカと呼ばれるのも妥当だろう

 

人でなしだろうし、世界を救うと言っておきながら暴力を良しとする偽善者と言われるかもしれない

 

―――それでいい

 

私は偽善者、破壊者だ。暴力を振るって、力ずくで未来を奪い返す、全てを救う事を選んだ化け物だ

 

それでいい。それがいい

 

矛盾だらけの人間でいい。おぞましい人類悪で構わない

 

罵倒も、失望も、一生分受けた。なら、私はもう大丈夫

 

―――世界のどこにも、私の居場所はなくても構わない

 

むしろ、無くていい。どんな理由があれ、強い力で誰かの願いを砕く事は紛れもない「悪」だ

 

―――だから、私は願わずにはいられない

 

「ふう―――」

 

どうか、暴力を振るって、誰かの力を我が物顔で振るう人でなしが、私で最後であります様に

 

私達の救った世界には、どんなに苦難が待っていようとも、互いを尊重しあい、優しさと愛が満たされた世界にたどり着けます様に

 

暴力を、独善を掲げる存在が、邪悪が。どうか私で最後になりますように

 

そして、いつか、いつの日か

 

 

 

――――誰も、『人類悪』なんていうものを背負うことのない、尊さと優しさに満ちた世界が訪れますように

 

それまで、私は拳を、剣を、弓を、泥を振るうことを躊躇わない

 

誰に何を言われようとも、私は必ず世界を救って見せる

 

―――私を責める人達も、私が救いたい世界に息づく、大切な生命達だから

 

 

――――だからこそ、私は赦さない

 

みんなの世界を、未来を、理不尽に奪った存在を、絶対に許さない

 

・・・みんなには、謝らなくちゃいけない

 

私の、この事件の黒幕を倒したい理由は、義務とか、使命とかじゃない。いや、それはあるけどそれだけじゃない

 

―――私が、腹立たしいからだ

 

どうしようもなく許せないから。怒りが収まらないから

 

この怒りをぶつけるために―――私自身の想いの為に

 

どうしようもなく。ゲーティアをぶっ飛ばしたくてたまらないのだ

 

・・・だからこそ、私は立ち止まらない

 

この決意が、心を満たす限り

 

この怒りが、魂を燃やす限り

 

 

この気持ちを抱いて、私はいつかこの旅の果てにたどり着こう

 

いつか・・・私の気持ちを、叩き付けてやるために

 

 

・・・グドーシが生き抜きたくて、生きたくて、それでも叶わなかったこの世界を焼き尽くした、その元凶に、私の総てを叩き付けるその日まで

 

私は自分を磨こう、磨き続けよう

 

 

私を受け入れてくれた、カルデアのみんなに、胸を張って笑っていられるように

 

 

出来ることは何でもやろう

 

命など、いくらでも懸けよう、どんな困難にも立ち向かおう

 

英雄の皆が紡いでくれた過去を今へ

 

私たちが生きている今を、未来へ繋ぐその為に

 

・・・私は人類悪、アジ=ダハーカになった、人の形をした人類の癌細胞

 

なら、私に寄り添う人は、きっといてはいけない

 

泥まみれの龍に、好き好んで近くにいさせるわけにはいかない

 

・・・本当は、本当は!彼氏は欲しいけど、欲しいけど!

 

きっと、私を受け入れるような隙間は、世界にはないことも何となく解ってる

 

だからいい。恋も、愛も、私自身に欲しいとは思わない事にした

 

 

愛は、世界にあればそれでいい

 

恋は、マシュやマリーがいつかしてくれたならそれでいい

 

世界にその二つが『在る』のなら、私はそれで救われる

 

・・・独り身は辛いだろうけど、きっとなんとかなるよね

 

 

世界を救った女!っていう自信と誇りは、きっと私を奮い立たせてくれる

 

だから、私はただ進もう

 

私の唯一つの居場所、カルデアの皆の想いを背負って

 

 

私は、決意と覚悟を以て、世界を救おう

 

 

―――龍、って言うんだから、さくっと世界を救うぐらいはやって見せなきゃ!

 

だからこそ・・・私は戦う

 

その道に何が待っていようとも

 

その果てに、何が立ち塞がろうとも!

 

私はリッカ、藤丸リッカ

 

 

私の願いのために戦うスーパーマスターなんだから!

 

「よーし!世界救うぞー!手始めにアメリカ救うぞー!」

 

 

その為なら、私に休む時間はない!

 

 

世界中が私を待っているんだから!

 

戦い、挑み、その先に皆で行くために!

 

 

私は、その先頭に立っているんだから!

 

―――夜闇に、一人の少女が武芸を磨く

 

 

その心と決意に揺るぎ無く

 

 

あらゆる恐怖と苦難を受け止め、決意を固めた彼女の武器捌きは

 

―――一つの刃、龍の胎動となって、静かに研ぎ澄まされ、磨き上げられていくのであった

 

 

―――あ、でも

 

 

ふと、手を止め、空を見上げる

 

 

「・・・うっかり『そっち』に逝っちゃったら、笑って許してね。何事も絶対はないから!」

 

笑いながら、拳を突き上げる

 

「お土産話、沢山持っていくからね!グドーシ!」

 

満点の星空、浮かぶ月

 

 

「・・・ん?」

 

その夜闇を、暗中に鋭利に煌めく黄金の如き輝きが

 

 

「・・・カルナさん?」

 

 

灼熱と真紅の軌跡を描き、遥か彼方へ疾走していく様を

 

 

リッカは、ただ見つめていた・・・―――




――如何なる理由があっても、暴力は独善的でいけないこと


なら、それを行う人間が私で最後でありますように


そしていつか


私のような独善的な人間が、必要ない世界になりますように――

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