人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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再上映も始まったことですし…

やるか!死んだほうがいい世界!!




少女「シャンクスーーーーーッ!!置いてかないでェーーーッ!!」

壮年の男「ウタ…!すまない、すまない……!」



あたし、赤髪海賊団の音楽家だもん!

これからも、ずっと!



少女「なんで…なんで…!」



おぉ、そうだな!なら、明日にはこの島を出よう。



少女「なんでだよぉーーーーッ!!!シャンクスゥウゥウーーーッ!!!」


ワンピースコラボレーション〜光輝の明星と歌姫と楽譜〜
記念イベント・一〜魔王の楽譜を求めて〜


【おい!カルデアの旅路がなんとまた節目を迎えたようだぞ!】

 

【おぉ、そりゃあいいな!だからこんなに地獄が騒がしいってわけか!】

 

【よっしゃ!最強の好敵手の良き節目に俺たちも御祝していくとしようぜ!!良かったなカルデア!ばんざーい!ばんざーい!!】

 

サタンの領域、再現された心象風景における地獄。来るものは全ての希望を捨てねばならないとするこの世の底にも、今ばかりは風情に溢れた姿となる。カルデアの節目を、地獄総出で祝っているから、

 

【サタン様…♡是非とも私と濃厚な…食べさせっこしましょう…!】

 

【いいなぁ、カルデア…私ももっと、光に当たる場所にいたいっていうか…】

 

【( ˘ω˘)スヤァ】

 

【落ち着け、お前達。サタン様は今、カルデアに贈るプレゼントを考案している。魔王達は邪魔をしないように】

 

アスモデウス、レヴィアタン、ベルフェゴールをバアルが制する。マモンは買い出し、サタンとルシファーは同一人物な為に欠席中だ。理由は当然、カルデアに渡すためのプレゼントの考案中だからだ。

 

【残念…是非とも私、サタン様と一時を過ごしたかったのに…】

 

【いいなぁ、カルデア…サタン様を夢中にさせて…羨ましい…】

 

【( ˘ω˘)スヤァ】

 

【お前達の希望は伝えておく。今だけは各自で一時を過ごせ。この時間は…必要なものだからな】

 

そう伝えると、素直に魔王達は退いていく。バアル…ベルゼブブはルシファーの腹心、No.2の存在でもある。自由奔放を極め尽くす彼の代わりに統率を取る為、その勅令は遵守されるものだからだ。

 

【…ルシファー様、魔王の皆もカルデアへの祝辞を送らんとしており、喜びを貴方と共有したいと願っております】

 

【そう…】

 

最下層のコキュートス、ルシファーの領域にて…バアル手作りのケーキをつまみながら、ハープを鳴らしルシファーは気のない返事を返す。

 

【バアル、僕は哀しいよ。エアや皆に渡せるプレゼントに、翅以外の何かを考えたんだ。僕に備わったダンテの霊基に纏わる…音楽に関わるものをね】

 

【素晴らしい事です、ルシファー様】

 

【ありがとう。でも…普段の曲や演奏は贈る気になれないんだ。以前なら自分だけが良かったから、他人がどう思うかなんて関係なかったからさ。でも…】

 

今は違う。ルシファーはそう告げた。以前の、ただの憧れや自分本位の歓楽や悦楽のままにカルデアに関わっていた頃とは明らかな変化が起きていることを、彼自身が自覚していたからだ。以前の様な、自分だけが楽しいだけのものをプレゼントしようとはもう、今の彼は考えられなかった。

 

【シャムシードにも酷いことしたし、ザッハークとも組んだし…今更仲間面をするのも無理だってことも百も承知さ。何故悪いことをしてはいけないか解ったよ。悪い事をしたずっと未来で、何倍にも重い罰になって返ってくるからかなんだね】

 

寂しげに呟くルシファー。…彼は討ち滅ぼされる悪だ。それはもう、彼が弄んだ全ての命がそう告げている。

 

【…ですが、プレゼントを渡すくらいの事は許されましょう。いや、あなたが許しを請うなどらしくもない。己がしたいと思うことをすればよいのです】

 

だが、バアルはルシファーを肯定した。変化する前なら考えられなかった、彼の逡巡も一緒に。

 

【あなたの友人…エア姫もきっとあなたの贈り物を受け取ってくださる。あなたを友と呼んだ彼女なら。あなたが友と信じた彼女なら】

 

【…そうかな】

 

【そうです。今のあなたの琴の音色は…以前よりもずっと繊細になられた。それは、彼女やカルデアとの触れ合いあっての事でしょうから】

 

 

あなたをきっと待っている。あなたのプレゼントを受け取ってくださる。バアルなりの肯定と応援を、今のルシファーは静かに受け止めた。

 

【そうか…なら、少し頑張ってみようかな。ありがとう、バアル】

 

【畏れ入ります】

 

【実は、エア達に向けるプレゼントは目星を付けているんだ。…君は知っているかい?【魔王の楽譜】を】

 

ルシファーは翅を展開し、世界をまたぎとある壁画を映した。それは、とある世界…大海賊時代と呼ばれる世界に伝わる楽譜の存在を示唆するもの。

 

【魔王を封じた楽譜…トットムジカと呼ばれるこれは、この世界の音楽の都『エレジア』に用意されてるって調べをつけた。…この楽譜を演奏や歌にすれば、きっと彼等の御祝に相応しいものとなってくれる筈だと思ってさ】

 

【成る程…確かにそれは素晴らしい考えかと思われます。音楽の都というならば、サタン様の本懐である芸能や音楽の探究や修行も並行して行えるやもしれません】

 

【だろう?彼等に捧げるものなんだ。世界を滅ぼす魔王くらいは用意しないと嘘だよってものさ】

 

ルシファーの意見を肯定しつつ、バアルは世界の詳細を見やる。そこは…決して気楽に訪れて良い場所ではないことを看破する。

 

【しかし…トットムジカが存在する世界は厄介です。大海賊時代と呼ばれる、無法者の跋扈する世界。そして天竜人と呼ばれる超特権階級が世界を牛耳り、その飼い犬としての海軍が世界を席巻する動乱の極みと言うべき世界。些か危険かと…】

 

【天竜人…?よく解らないけど、独裁者なら皆殺しにすればスッキリしそうじゃない?】

 

【そうですね。トットムジカ探索の障害になるのなら、秩序ごと一掃するも手かもしれません。…赴く際には、くれぐれもご注意を】

 

行かない、という選択肢が無いことをバアルは重々承知している。本来ならば、彼は他人の意見や言葉で自分を曲げる事など決してあり得ない。傲慢とはそういう、己を至上とする大罪であるからだ。

 

【ありがとう。必要になったら地獄の軍勢に声をかける。実権は任せるよ、バアル】

 

だが、今の彼は多少なりともカルデアの触れ合いにて制御不能の大罪そのものから変化を見せていた。少なくとも、ありがとうなど…他人を認めるような発言はあり得なかったからだ。

 

【音楽の都、エレジアは一つの島を全て音楽関連にしたものと聞いています。立派な観光地でもあるでしょう。どうぞ、有意義な御時間をお過ごしください】

 

【うん。じゃあ行ってくるね!】

 

サタンは翼を開き、並行世界と並行次元の境目を破壊し大海賊時代の時空へとゲートを開く。彼は悪魔の王として、この世の理を歪める側の存在…。6枚に半減しようとも、神が如き力は減衰などあり得ない。

 

【お気を付けて。あなたの芸能に、光輝が宿らんことを】

 

飛び込むサタンを、バアルは見送る。彼の行動を縛ることは、決してできない。出来ることは彼の赴くままの感情を汲み取る事のみだ。

 

 

『ここが、エレジア…?』

 

降り立ちしルシファー。翼を畳み見やるは、辺りを海に囲まれた孤島。音楽の都…そう称された島。

 

【バアルは立派な国だって言ってたのに…】

 

そこには民もない。建物も活気もない。まるで何者かに破壊し尽くされたかのように無惨な痕跡を残すのみ。少なくとも…音楽を奏でるような土地にはとても見えない。

 

【戦争で滅びたのかな…?なんてもったいない…】

 

これでは、音楽も芸能も探究するどころではないだろう。だが、カルデアへの贈り物を目当てにやってきた彼に諦めるという選択肢はあり得なかった。

 

【とりあえず、島を歩いてみよう。なにか見つかるかもしれない】

 

そうして、彼は島を歩き出す。どこまでも行っても、活気などないエレジアの残骸を。

 

【……一体、何があったんだろう…?】

 

徹底的に破壊され尽くした都市を見るたびに、その痕跡に思いを巡らせるルシファー。

 

一周歩いてみたところで、その疑惑は確信に変わる。

 

エレジア。音楽の都は既に…

 

──何者かの手により、滅んでいたのだ。




そんな中、彼の耳に届く──絶世の歌声。

ルシファー【…!!】


心を突き動かす、至高の歌声。彼が至れぬ領域の音域に音階。
 
【……君は……!】

吸い寄せられるように浜辺に歩みを進めれば、歌の主にはすぐ出逢った。
 
「えっ…人…?」
 
歌声の持ち主、それは9歳程の年頃の少女。目に全く光のない、紅白の髪を持つ女の子。彼女が歌を紡いでいたのだ。

「あなた、誰?どうして…」

ルシファー【…ファンだ】

「え…?」

【僕は…君のファンだ…!】

カルデアに捧げる歌。それは、この領域しかない。

【僕はルシファー!僕はきっと、君に会うためにここに来たんだ!名前を教えて欲しい!】

「え?あたし…」

【うんうん!】

「…ウタ。ウタっていうの。よろしくね…ルシファー、さん?」

…これは、死んだほうがいい世界とまで言われし片隅で出会った、魔王の出逢い──

 
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