人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ「オルガマリー!トットムジカの事、話をつけてきたよ!」

オルガマリー「リッカ!本当?危険な存在だったかしら…」

リッカ「そこは報告書書いたからそれで見てくれると助かるよ!あとトットムジカをマシュとコンラに渡して、ウタに伝えたいことを伝えさせて!私はちょっといってくるから!後トットムジカのシミュレーションも皆でやっておいて!」

オルガマリー「げ、激動ね…!?あなたはどこに行くつもり!?」

リッカ「麦わら海賊団のとこ!」

「!?」

「クラバウターマンと一緒に!!」

「!?」


寂しがり屋な魔王へ

「慰霊碑に手をついてお祈りするの、一体何回目になるんだろうね。ウタ」

 

「解んない。数えてないから。でも……弔うって何回やればいいかなんて決まってないし」

 

ルシファーと共に、ウタはエレジアの犠牲者を悼む慰霊碑に手を合わせる。あの日奪ってしまった国民達。その犠牲者をはからずも生み出してしまった自分なりの償いに、ウタは従事していた。

 

「ウタ…何度でも言うが、君が望んでやった事ではない。私がトットムジカを処分できずに起きた悲劇だ。君が気に病むことでは…」

 

「ありがとう、ゴードンさん。でも…これは私が引き起こした事だから」

 

ウタは知性をつけ、世界を知り、道理を学んだ。それ故の責任感は、彼女に目を逸らすことをさせない。引き金を引いたのは自分だからと、手を合わせ悼む。

 

「ウタ……」

 

その姿に、ルシファーは何もしてやれない事を感じていた。今のウタには、何をしてやればいいか解らない。彼女の気持ちには、彼女自身が答えを出すしか無い。世界を変えても、人の心は変えられない。

 

「自分にやれること…もっと探さなくちゃ」

 

そう強く言葉にするウタに、二人の存在が声を掛ける。

 

「おーい!ウタさーん!」

「お久しぶりです〜!」

 

「!マシュに、コンラ!?うたうちゃんはいないけど…なんで!?」

 

かつて知り合った二人の友人。マシュとコンラがエレジアにやってきた。手にするのは、古びた楽譜。

 

(ルシファー君…)

 

(信じよう。カルデアと一緒に、ウタが答えを出すことを)

 

ゴードン、そしてルシファーは三人の再会を静かに見守る。当人同士しか答えを出せないことに、決着を付けられると信じて…。

 

 

「トットムジカの事…解ったの!?」

 

ウタが聞き及んだ衝撃の情報。それはトットムジカとの対応を終え、その意志の一端に触れることが出来た事だった。制御不能の怪物であったとばかり思っていた観点が、真っ向から覆される。

 

「はい!私の先輩は、そう言った事も容易くこなせる素晴らしい先輩なのです!トットムジカさんの本質に、触れることができました!」

 

「凄い…一流のメンタリストって事…!?」

 

「私のお父様イチオシの女性勇士ですので当然です!トットムジカさんは、悪意を押し付けられた音楽と仰っていました。楽譜や音楽自体に、罪は無いのだと…!」

 

リッカの意志を、マシュとコンラは伝える。そこには、祀り上げられた絶対悪しかいなかったのだと。彼女に示した。

 

「ウタさんのやるべきことは悲劇を悼む事、そして悲劇の再来を未然に防ぐことです。であればやることは一つしかありません!」

 

「トットムジカの…そこに宿った恨みや憎しみを、なんとかする…?」

 

「はい!トットムジカに宿る憎しみや悪い気持ちを、カルデアの皆さん総出でやっつけます!そうすれば、トットムジカは急に暴れ出すことは無くなり安全安心となります!名案です!」

 

ふんす、とコンラが胸を張る。歌ってバトれる系幼女アイドルの気骨は一切争いや戦いに躊躇がない。

 

「そしてここからが先輩の真骨頂なのですが!ウタさん、あなたとトットムジカのとびきりの贖罪プランが提示されました!」

 

「ど、どゆこと?」

 

「ウタさんとトットムジカ…!二人が力を合わせて新生エレジアの『象徴』と『抑止力』になるのです!悲劇を知るからこそ、起こる悲劇を阻み止める為に全力になる!ウタさんにはそうなってほしいと先輩は仰っていました!」

 

「あたしと、トットムジカが!?そんな…無理だよ!」

 

ウタは告げる。彼女からしてみれば、元凶ともども極刑にされるべき存在だ。それがどの面を並べてトットムジカを使役し国の代表を名乗れるのか。あまりにも無理筋だったのだ。

 

「あたしのせいでトットムジカは出てきて、トットムジカのせいでエレジアは滅んだ!そんなあたしたちが象徴?ましてやエレジアを護る?そんなの…悪趣味過ぎてジョークにもなってない!」

 

「ウタさん…」

 

「そんな恥知らずな真似、どうやって出来るっていうの…!?ゴードンさんがどんな気持ちになるか考えたら、そんなの絶対、無理だよ…!」

 

ウタはそれきり俯く。ともすればそれは、ゴードンへの冒涜にすら通ずるとウタは断じた。魔王の楽譜と自分が代表であるなどできない。そう思案できる思考は、既に有されていたのだ。

 

「お気持ちは…御察しします。先輩も、とても辛く困難な道のりだと仰っていましたから」

 

「そうだよ、だったらなんで…!」

 

「ですが、辛く苦しくない楽な償いなどこの世に果たしてあるのでしょうか?私達はとある国を旅しました。思い返すだけで罪に身を焼かれるような罪を懐き、それでも贖罪に挑んだ妖精達とその国を」

 

マシュはウタに真っ直ぐと告げる。リッカへの大き過ぎる忠義を前に出さなくば、彼女もまた理知的で聡明な元Aチーム首席なのだ。

 

「自らの罪の証であるトットムジカ、その楽譜。その見るのも辛いであろう存在と真に向き合い、そして壊してしまったかつての国を守護して生きていく。それは、慰霊碑でただひたすらに手を合わせる行為以上に護れるであろうものを見いだせるのではありませんか?」

 

「マシュ……」

 

「コンラ、難しいことはよくわかりません。でも、トットムジカも寂しがっていたのだとしたら。それはきっと、ウタさんだけが癒せる寂しさではないでしょうか?だって、あなただけがトットムジカを歌で目覚めさせる事ができたのですから!」

 

「コンラ…」

 

「コンラは考えます!不倶戴天の敵とも仲良くなれる。仲良くなれるまでの時間は果てしなく遠いでしょう。でもその道のりは贖罪の道標となり、心が通じ未来の平和を護れるようになったのなら…!それは過去の清算に繋がるのではないでしょうか?」

 

「……!!」

 

「トットムジカだけが、音楽の都で知らんぷりを受けていたとリッカさんは言っていました!ウタさんがきっと、その孤独や寂しさを受け止められるのではないかとコンラ、考えます!」

 

「寂しい相手を放ったままでは、またきっといつかエレジアの悲劇が起きてしまう。本当の意味で、トットムジカの寂しさを癒せるのは…ウタさん、きっとあなただけなのです」

 

マシュとコンラ、出来た友達の言葉と視線を受け止める。

 

「そっか、トットムジカ……」

 

恐ろしい魔王とばかり思っていた。忌まわしい記憶と、誰もの敵だと考えていた。

 

でも、その接触と邂逅が、悪意では無かったのだとしたら。そこにキチンと意思があり、大切なキーワードがあったとしたら。

 

それを気付けるのが、自分だけだとしたら。

 

「あんたも──寂しかったんだ」

 

自分に見つけてもらいたかった。自分も仲間に入れてほしかった。

 

たくさんの音楽が満ちる場所で、自分だけ暗いところに押し込められているのはあまりにも寂しかったんだと、ウタは素直に受け止められた。

 

「なら…そっか。それなら…」

 

ならばこそ、自分ができることは。償いとして、出来ることは。

 

その孤独や哀しみと向き合い、トットムジカを鎮め、悲劇が二度と起きないようにする。ただ倒し、排除するだけでは意味がない。

 

魔王と蔑まれ、罵られようとも…自身が彼を受け止めてやるべきなのだと彼女は決断した。

 

誰もが目を逸らしたトットムジカと向き合う。 

それこそが、自分が成すべき償いの全てだと。

 

「…ありがとう、マシュ、コンラ」

 

ウタは頷き、二人の手をそっと握る。

 

「あたし、やる。エレジアを護るために…トットムジカと向き合ってみせる!」

 

「はい!フォローはお任せください!」

 

「ウタさんは一人ではありません!リッカさんやカルデアの皆さん、地獄の皆さん、何よりマシュ★コンがついています!ばっちり償ってみせましょう!」

 

「ありがとう!うたうちゃんにも──よろしくね!」

 

こうして、ウタは向き合い岐路に立つ。

 

魔王に呑まれるか、魔王を受け入れるか。

 

その戦いは困難なれど──

 

確かに希望を、宿していた。




召喚室

リッカ「理論が正しかったら、必ず来てくれる。来てくれる筈…!」

?『…………』

リッカ「来た!!あなたは…!」

『…クラバウターマン。メリー・クラバウターマン』

リッカ「来てくれた…………!!私に力を貸して!」

メリー『行きたい場所が、あるの?』
リッカ「うん!──会わせたい人達も!!」

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