人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
エア「ありがとう、ギル君!魔法少女の皆はお変わりない?」
小ギル「勿論です。今の時期は魔法少女サンタキャンペーンなんていうのもやってるんですよ。是非見に来てくださいね」
エア「うん!…あ、せっかく来てくれたんだもの、すぐお別れなんて味気ないよね?」
小ギル「えっ?それは、僕としてはエアさんとはずっと一緒にいたいですが…」
エア「今日、一緒に寝かせてもらっていいかな?同じベッドで!」
小ギル「い、いいんですか?」
エア「勿論!ギル君に話したいこと、たくさんあるから!」
小ギル「で、では喜んで!……」
エア「よーし!23時までに布団にいてね!それまでにはお開きになるから!」
小ギル(あぁ…やっぱり眩しくて、素敵だなぁ…)
「と、言うわけで!エア、アルク!お誕生日おめでとーう!」
「わーい。いとクリスマス〜。おめでとう、二人共」
「はい、クリスマスプレゼントもあるわよ、シャナ。アルク」
ロイヤルズ、秘密の集まりアーネンエルベ。楽園で巡り合うのが極めてレアかつ高貴な身分の五人が、お偲びでひっそりと誕生日を祝う秘密の会合。そう…クリスマスであり、今日はエアとアルクェイドの誕生日という2大イベントなのだ。エアはマリーに貰った鼻メガネと帽子、アルクェイドは両儀式に着せられたトナカイ衣装での御祝である。
「部員の皆様の時間軸に合わせて、だけど…またこうして皆と一緒にこの日を迎えられて本当に嬉しい!マリー、ネフェル、式!ありがとう!」
《我の命名日を誕生日と同格に扱うとは実に解っているではないか。まぁそれだけに格の高い名前であることは一目瞭然、火を見るよりも明らかというものだが》
(このタンドリーチキンが…!このタンドリーチキンがボクを一時荒々しいビーストへと変える!美味しいからチクショウ!)
《幻滅されぬよう取り繕えよ、珍獣。それと近付くな。血が飛ぶであろう》
(エルキドゥと子ギルも後で声掛けようよ。皆で祝おう!)
「むぅ…エアよ。いささか私は不満だぞ。何故私が不満か、びしっと当ててみよ」
「えっ?……幸せすぎて返しきれないから…?」
「ぬぅ、根っからの奉仕好きめ。日にちを見よ。クリスマスに誕生日…私達だけ御祝の回数が低いではないか。一緒くただぞ!一緒くた!」
納得いかぬ!と七面鳥をむしゃりと頬張るアルクェイド。彼女は真祖ではあるが、ここでお祝いされるのは悪い気はしないらしい。普段の言動からは想像できぬほどに、無邪気であった。
「逆に考えようよ、アルク。皆に二倍…二倍も御祝してもらえる!二倍だよ!?いつもの倍!凄く得してるよ!」
「これが全肯定系姫君か…箱入り過ぎて心配になるぞ、我が私的な友人…」
〈言えた立場ですか〉
「そうよ。確かに回数は少し減ってしまうかもしれないけれど、その分だけ私達は手間暇をかけてお祝いの準備をしているの!ご覧になって、二人とも!」
マリーの言葉と共に差し出されたのは、開くと飛び出す仕組みのクリスマスカード。両儀式が根源の力で作り上げた逸品である。むくれっ面のアルクェイド、満面の笑みのエア、ニコニコのマリー、微笑みのネフェルタリ、柔和な両儀式が記された一品だ。
「おぉ〜!見てアルク!飛び出してる!皆が飛び出してる!かわいい〜!すごーい!わぁーい!」
「ほう……どういう仕組みなのだ?魔術か?」
「ちょっとだけ力を使って、私の空の境界でチョキチョキしたの。気に入って貰えたかしら?」
「は…?」
「ありがとう!このクリスマスカード、宝物にするね!」
「いや突っ込め、突っ込めエア。こやつ根源を乱用したと抜かしたぞ?」
「ふっふっふっ…にやり」
「あら、エアが悪い微笑みを浮かべているわ!ゴージャス様が知ったら大変よ!?」
「このギルガシャナ・ギルガメシア・エア・レメゲトン…いつまでも皆からプレゼントを貰うだけの存在ではないということをこの場で宣言します!(ピシッ)」
「エア?エア?」
「実は私も!日頃の感謝を形にすることで皆にプレゼントを返すという掟破りの逆プレゼントを計画していました!フォウ、お願い!」
(平伏せ鳥類!ボクこそがエアの犬っぽい何かだー!!)
「星の獣?止めぬのか星の獣?」
なんやかんやで話が進んでいく状況に困惑するアルクェイド、鼻息荒くフォウが出した袋をまさぐるエア。金髪赤目は同じながら、活発さと行動傾向は真逆である。フォウと、後方腕組み王面で見守るギルガメッシュがそののびのびさを育てているのだ。暖かい話である。
「じゃーん!フォウの抜け毛を束ねたマフラーにミトン、そしてラマッス仮面マスクレプリカ!全部つけるととても暖かく、メソポタミアの大地の雄大さを感じられるよ…温もりもあるよ…」
「まぁ。エ…こほん。バビロニアご当地ヒーロー、ラマッス仮面様の仮面ね!素敵なプレゼントのお返しね、エア!」
「あっ…驚きの軽さなのね?」
「実はそれ、最新複合金属で作ったんだぁ。付けてるのを忘れるくらいの軽さを誇るすぐれもの!強度も凄いの!ウガルの牙も通さない!」
「いつの間にそんなもの…え?人数分あるのか?本当に?エアそなた本気と書いてマジと読むタイプだったか?」
「アルクも、マリーも、ネフェルタリも、式も…ワタシを友達として受け入れてくれて本当にありがとう。皆の気持ち、これからも大切に…絶対に裏切らないように日々を過ごしていくね!これはその、決意表明でもあるんだ!」
「エア…(スチャッ)」
「大切なもの、受け取ってしまったわね(スチャッ)」
「これは付けないのが無礼ね。そうでしょう?アルク?(スチャッ)」
「…そうかなぁ…(スチャッ)」
「ワタシたちの繋がりは、このラマッスマスクよりも固くあることを願って!通称ロイヤルズ!ファイ!オー!」
「「「「おー!(お、お〜…)」」」」
某メタルマンめいたヘルメットを着用した貴き立場の五人のハンドサインがアーネンエルベに響き渡る。
(そうか……ツッコミ少ないなこの集まり…)
アルクェイドは静かにマスクから天を見上げ悟る。こういった弛んだ気質では、あれよあれよと言う間に話が流れていく事を自覚せずにはいられなかった。
「プリンセス。誕生日おめでとうございます。騎士達を代表し、御祝に…おや、ラマッスマスク」
「こんばんはCCAと春の女王もセットで誰です!?」
「何かの儀式ですか?魔術的な…」
『ブライドお母様。お父様の紹介した場所はここですね?』
『えぇ。あら…皆、なかよしの兜を被っているのね?』
ロイヤルズは勢力拡大も視野に入れられていたりもしたりしなかったり。エア達を祝わんとするたくさんの者達を代表し、新たなるロイヤル候補達が顔を合わせにやってきたのだ。
「ようこそ皆様!祝い祝われの素敵な時間に致しましょう!皆でレッツ、ラマッスマスク!」
「ふふ、モルガン、CCA。素晴らしいデザインでしょう?ラマッスマスクの基になったデザインは、なんと私の兜なのです(得意げ)」
「自慢の兜量産ラインに乗ってますが大丈夫なんです?…アヴァロンの妖精達のお土産にしようかな…」
「やるな、騎士王。しかし私の手にかかれば…さらなる高みに行けるかもしれんぞ?」
「はい、ブライド達もどうぞ!御祝にされるもするもあんまり関係ないんだよ!」
『おぉー。なくもないのですね。ありがたくキュポッします』
『ふふふ…オベロンの分もくださるかしら?』
「勿論!ラマッスマスクの貯蔵は十分です!」
ますます活気付いてきたアーネンエルベ。この調子であれば、カルデアにおける特級の存在は即座にエアと仲良くなるであろう。
「……もう突っ込む気力も失せたわ…たまの無礼講と割り切る事とする」
「そうよ、アルクェイド。1年に一度のお祝いにやり過ぎなんてことは何処にもないの。あなたもエアのように、無邪気にはしゃいでみたらどう?」
「それは私の役目ではない。無垢な笑顔はヤツの領分だ。それに…」
「今日はありがとうございます!ラマッスマスク、ラマッスマスク、もう一つマスク!はい、どうぞ!マフラーやミトンも是非!」
『わぁーい!』
「ありがとうございます!あなたが噂のギルの守護背後霊…!握手してください!」
「…あの笑顔は、真似して真似れる代物ではなかろう」
「ふふっ、そうね。皆を尊び、慈しむ笑顔は…ね」
クリスマス、そして誕生日。その喧騒は収まる事なく続くのであった──
オジマンディアス「ふ、黄金の。…愉快であるな」
ギルガメッシュ《うむ。たまにはこういった緩い会合も必要となろう》
モーセ「チリソースいっぱいかけてロシアンルーレットやる?」
エルキドゥ「いいねー」
フォウ(待って!今日は勘弁して!?)