人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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「ここが楽園か~!先に来ちゃったみたいだし、先んじて行ってるわね!皆様、宜しくお願いします!――うは~!城とか目じゃないわ~!美少年!美少年とかいないの!?美少年――!!」


「あれが宮本武蔵・・・あぁ、剪定事象だっけ?俗だなぁ・・・え、生身!?」


「・・・・・・」

「オルガマリーさん?」


(――伝えなくちゃいけないわね。いつか・・・いえ、すぐ。マシュの身体の事、リッカに・・・)

「オルガマリーさーん?帰ってきますよー?」


「あ、あぁごめんなさい!さぁ、迎える準備よ!」

「・・・オルガ・・・」


エピローグ2/2 万全期せずして何が王か!!

――光が収まり、目を開く

 

 

 

「あ、帰ってきた!お帰りなさい、皆!」

 

 

そこは、見慣れた風景の管制室

 

 

(お帰りなさい、エア。よく頑張ったね)

 

 

親友の声に意識を覚醒させる

 

 

――頑張ったのは、皆同じだよ。フォウもお疲れ様!

 

お互い挨拶を交わすと、右手には聖杯が握られていることに気づく

 

 

界聖杯――特異点の総てを汲み取り、形にしたモノ。『世界総て』を顕す、特異点の結晶

 

 

《これで五つ目・・・『天地引き裂けし黄金の巨神(マルドゥーク)』は問題なく武装、運用が可能となったな。本領たる機能の解放にはあと一ついるが・・・航行と自衛に問題はあるまい》

 

その界聖杯には、少年と少女が抱き合い、笑っている意匠が施されている

 

お互いがお互いを求めていた二人の少年と少女は――こういった形で、永遠となったのだ

 

――これは、ワタシ達の大切な旅の証でもあります。ずっとずっと大切にしていきたいですね

 

大切に握りしめる。暖かい波動が、伝わってくるようだ

 

《フッ、直ぐにマルドゥークの炉に使うのだ。埃を被るなどあり得ぬぞ?・・・まぁ、召喚の触媒にはするやもしれんがな》

 

――召喚の?

 

 

《その話はまた日を改めよう。そら、今日はさっさと休息するぞ。お前も乖離剣も、疲れを癒してやらねばならぬからな》

 

――はい!久しぶりの楽園のような気がしますね!

 

(アメリカは徒歩で横断していない筈なのに横断したマスター以上に身体を張ったマスターがいるらしい)

 

 

安堵と安らぎのまま、三人は気安く言葉を交わす

 

 

「楽園よ!私は帰ってきたーっ!!」

 

元気よく声をあげ、コフィンから飛び出すリッカ

 

「お帰りなさきゃあっ!」

 

「マリー寂しくさせてごめんね!帰ってきたよ!お疲れ様!固有結界ありがとう!」

 

オルガマリーを抱きしめながら、まず労る

 

・・・彼女は影の功労者だ。彼女の心象が無ければアメリカは皆の本領に堪えられず、砕け散っていただろう

 

 

「うむ。間違いなく最大の働きをしたな。まこと魔神ども最大の誤算よ。そして節穴よな。お前を魔神にしていれば、我等の旅路の被害は何十倍にもなり、困難を極めていたであろうに」

 

「・・・ありがとうございます、ギル」

 

「うむ。大儀であった。流石は我の財を率いる楽園の長よ」

 

仲間に労られ、王に褒められ。オルガマリーは笑顔を浮かべる

 

「――皆、無事でよかった・・・」

 

そして、噛み締める

 

再会の慶びを

 

そして――皆の奮闘の重さを――

 

 

「ゲーティアの奴等、いつまで楽観視してるのかなぁ?妨害の一つもしてこないなんて」

 

首を捻るロマンに

 

「案外困っているんじゃないですかねぇ?大見得を切った以上、今更顔を赤くして妨害するなんてみっともないですし?」

 

一銭にもならないプライドですが。と笑うミドラーシュのキャスター

 

 

「うぅん。この面倒臭さ・・・自分の使い魔ながら頭が痛いなぁ・・・」

 

「貴様がサーヴァントどもに酷評されるのは本能的に諸悪の根源であると察しているからであろうよ」

 

ギルの指摘に青くなるロマン

 

「一発で納得できた!そっかぁ!そうだったのかぁ!ごめんなさい!でもどうしようもない!せめて頑張って世界救うぞぉ!」

 

「そうね。どんな謝罪よりも何より、まずは未来を取り戻さなきゃ」

 

「ファイトです、ドクター!ですが睡眠、休息はしっかりと!」

 

暖かい励ましに、歓喜と罪悪感の混ざった笑顔を浮かべるロマン

 

「・・・うん。ありがとう!」

 

「適度な休息・・・私もそれに助力しなくてはいけませんねぇ♥」

 

するりとロマンに寄り添うミドラーシュのキャスター。どうやらすっかり、仲良しになったようだ。見ていて微笑ましい

 

「失礼します。大変お疲れ様でした、皆さん」

 

一声をかけ一礼し、カルデアを守護せしランサー・アルトリアが入室する

 

「手筈は整っているな」

 

王の言葉に、規律正しく頷くアルトリア

 

 

「はい。マスター、マシュ、各員にはこれよりダ・ヴィンチ監修の下快復治癒カプセルに入り、一日休息に入ってもらいます。特にマシュ・キリエライトは重点的に」

 

そう、休息と戦いは既に始まっているのだ

 

・・・何度も報告があった、次なる特異点『キャメロット』

 

余りにも強大かつ困難な作戦が予測される。万に一つのヒューマンエラーも、けして許されはしない大事な作戦だ

 

――だからこそ、大きな戦いを終えた直後に休息を取り次に備える

 

 

総ては、完全無欠の結末のために

 

 

「はーい!よぉし、休むぞー!」

 

「マシュ、窮屈ではあろうが堪えよ。お前の肉体を神代の域にまで高める儀式と思え」

 

「・・・はい!不満などありません。宜しくお願いします!」

 

「僕は・・・え?僕も?あははは、いや僕は」

 

「当然貴方もです。ドクター・ロマン。万全を期すのですから、貴方もいなければ話になりません」

 

アルトリアのビシリと突き付ける視線に縮こまり、すごすごと歩きだす

 

 

「一日マギ☆マリに触れないのかぁ・・・」

 

「雑務は此方でやっておきますから、ごゆるりと~♥」

 

 

「じゃあマリー!マシュ!行こっか!」

 

二人の手を引き、部屋を出ていくリッカ

 

 

「ギル!いつもありがとう!また明日ね!」

 

「貴方がいてこそ、私達は戦える。――英雄王の威光、けして忘れません」

 

「・・・英雄王・・・また、召喚の儀にて!」

 

「うむ。敢闘、奮闘。大儀であった」

 

手をひらひらと振り、背中を見送る英雄王

 

――皆、ごゆっくり。本当にお疲れ様でした

 

 

どうか、よい夢を・・・この世界の最先端を走る。可憐な少女達

 

 

(――次からは気合いを入れなくちゃなぁ・・・)

 

フォウは静かに、闘志を燃やしていた。感じているのだ。これからの戦いは、更に激化、凄まじくなっていく事を

 

――大丈夫だよ。フォウ

 

魂だけながら、そっと頭を撫でる

 

――皆が一つになれば、どんな苦難だって乗り越えられる。今までもそうだったように、これからもそうするだけだよ

 

(エア・・・)

 

――大丈夫!ワタシだけじゃ頼りないけど、ワタシ達には、ゴージャス☆英雄王がついてるんだから!

 

――・・・そうだ。これは油断でも、慢心でもない。『事実』であり『確信』だ

 

 

自分達が全身全霊を懸け、物事に、困難に挑む限り、英雄王は必ずもたらすべき結果をもたらしてくれる。必ず、ワタシ達をその威光で照らしてくれる

 

そう信じるから戦える。そう確信があるから、どこまでも自分を信じられる

 

ワタシ達を庇護し、見守り、導いてくれているのはそういった存在だ

 

裁定者にして絶対者。――だからこそ、信じられるのだ

 

『奮闘と努力に似遣わぬ、見合わぬ結末』など――当たり前の結末など。この王が、必ず吹き飛ばしてくれるという確信があるからこそ

 

ワタシは――自信を持って戦えるのだ

 

何度でも言う――

 

――英雄王は、凄いのだ!

 

 

《――フッ。相も変わらず無垢な瞳と敬意で見つめおって。万に一つの失敗も赦さぬという点で言えば、お前の厳しさはシドゥリ以上よ》

 

 

(エアの期待は重いぞ?なんたって『世界すべてで愉悦する英雄姫』なんだからね!)

 

そしてボクの姫さ!と胸を張るフォウ

 

――他ならぬ貴方だから、ワタシは卑屈にならず物事を受け止められるのです。だからこそ――どうか、ワタシの期待を受け止めてほしい

 

そして、貴方に願うことを赦してほしい

 

――一緒に歩み、完全無欠のハッピーエンドを掴みとることを!

 

姫の真っ直ぐな思いを、揺るぎなく受け止めるギルガメッシュ

 

《――そこまで言うのなら仕方あるまい。今日一日の休日は返上してもらうことになるが、構わぬか?》

 

――もちろん!王のみに働かせる姫などいません!全霊を以てサポートさせていただきます! 

 

(無理せずにだよ、エア)

 

――全霊で程々に頑張ります!

 

《――よく言った。ならば我も、更に気合いを入れて臨むとしよう!》

 

「――ふははははははは!!!」

 

魂の覚悟を受け取り、高らかに笑う英雄王ギルガメッシュ

 

「――上機嫌ですね」

 

キョトンとするアルトリアに、笑いながら応える

 

「当然よ!――知っているかアルトリア。このカルデアに来てからというもの、『雑種』『下郎』の単語を口走った数は両手で足りるのだぞ?」

 

「――本当ですか」

 

――言われてみれば!

 

(どれだけ楽しんでるんだこの王様)

 

そう、ついでに言えば彼は不機嫌になった回数も二回ほどである

 

マイルームの狭苦しさと、ロンドン探索の時である。――彼は本当に、天下泰平御機嫌王と言うことである

 

「それほど我は上機嫌という証よな。フッ。此度の旅路は我を愉しませる要素が目白押しよ!日夜全く趣向が違う国を挙げての饗宴が開かれている、と言えば分かりやすいか?」

 

「――それは、楽しいですね。――えぇ、とても」

 

「フハハ、であろう?饗宴に参じているならば、我の財布の紐も弛むというもの――というわけでだ」

 

心から愉快げに、彼は波紋に手を伸ばし、一つの財を掴みとる

 

「アーサーめは迂闊に手を出すのは憚れ、何かの間違いのアルトリアは外付けの覚醒など望むまい。いや、望んだならそれはそれでまた強化してやれば良いだけなのだが・・・心技体、あらゆる面においてお前は最適よ」

 

「何を、っ――?」

 

 

投げ渡されたのは『界聖杯』。中身は空なれど、『願望機』として働かせれば真なる『聖杯(ホーリーグレイル)』にすら比肩し『祝福』すらも与えられる存在に霊基を引き上げる事すら叶うやもしれぬ最上級の聖杯

 

特異点そのものを汲み取らせるモノを――彼は、アルトリアに託した

 

 

「お前を『界聖杯』の受け皿にする。お前が次なる特異点より生還すればその聖杯は充たされよう。序でにお前の本領、全力も解放することになり、報告のあった『裁き』『祝福』に対する対抗手段と為す」

 

王は告げる。次なる特異点の行く末は、お前にかかっていると

 

《エア、疲労しているゆえ仕事はさっさと済ませるぞ。第六特異点にて報告された情報、纏めておけ》

 

――はい!よぉし!もう一頑張り!

 

 

即座に提出された報告書と、新たなる財の選別に取りかかるエア

 

(ボクにも何か、手伝えることは無いかな?)

 

ピョコンと飛び映るフォウに、簡潔に応える

 

――傍にいてほしいな!フォウがいれば頑張れる!後でお風呂に一緒に入ろうね!

 

(あっ――)

 

白百合に抱かれ、安らかに散るフォウ

 

フォウ――!?

 

《あまり無理はするなよ。完全休眠に陥るのは寝床に入るときでよい》

 

笑いながら、王は告げる

 

「あらゆる騎士の頂点に立つ『騎士王』よ。お前は次なる特異点にて、同胞たる者共と剣を交える事となろう。狂い果てた円卓も、報告に上がっているのでな。無論、アルトリアとアーサー、ついでにトレイターめも戦力に数えはするがな」

 

「――私に、それを斬れ、と」

 

「当然だ。嘗ての臣下を諌めるのもまた、王の勤め。これ以上ない適任だと我は思うがな」

 

笑いながらも、王の言葉に遊びはない

 

「知己の狼藉を、我等の旅路の妨げとして叩き斬る覚悟を以て、その聖杯を預けてやろう。――どうだ?貴様にその覚悟はあるか?」

 

「――愚問ですね、英雄王」

 

静かに、騎士王は笑う

 

「感傷にて刃は鈍らない。我等が歩みを阻むのならば、私は総てを断ち切りましょう。感傷も、邪悪も――神をも」

 

 

騎士の礼を取り、声をあげる

 

「アルトリア・ペンドラゴンの名に懸けて。私は人理の為に総てを捧げると誓いましょう」

 

聖杯を握りしめ、槍を持つアルトリアは、静かに決意を露にする

 

「その為に――私は、楽園に招かれたのだから」

 

その決意に、満足げに笑う英雄王

 

「――その言葉の真意、ゆるりと確かめるとしよう。目の当たりにしてはおらぬが、『獅子王』とやら・・・生半可では無いようなのでな――」

 

 

 

――狂い果てた円卓、善を無慈悲に守護たらんとせし王の祝福を受けし騎士を打倒するために

 

 

真なる騎士道を、示さんが為に

 

 

――顕れし最果ての守護者は、真なる騎士の王の姿を取り戻すことを受け入れる

 

王は笑い、姫は傲りなく奮闘する

 

――総ては

 

完全無欠たる叙事詩の、完遂を目指して――




これにてアメリカ編は終了となります!皆様、本当にありがとうございました!


兄貴の活躍、如何でしたか?今回は何時にも増して、オリジナルかつ攻めた内容だったと自負しております

兄貴を始め、フェルディア、ロイグ、コンラ・・・こんなにもオリジナル要素を詰め込んで大丈夫かよ・・・と思ったりしていました

でも心の何処かで『必ず皆さんなら受け止めてくれる』と確固たる確信と信頼が在りました

だって、今の今まで自分のような素人の作品を受け止めてくださった、善き読者の皆様なのですから!本当に、本当にありがとうございます!

何故、こんなに兄貴をピックアップしたかというと。発端は、HFの映画でした

詳細は伏せますが、アサシンVS兄貴の結末、最期の佇む兄貴があまりにも衝撃的で、深く心に深い傷跡を残したのが切っ掛けです


なんで兄貴だけ理不尽に死ぬんじゃ!!たまにはすっぱり勝たせてもいいやろがぁ!!とブチキレて筆を走らせまくった次第です

兄貴大好きなんです!あのかっこよさ、奔放さ、男前さ・・・大好きなんです!

いいじゃない!兄貴が無双する作品があったって!兄貴は強いんだから!カッコいいんだから!!

・・・と、パッションのまま筆を走らせて兄貴を暴れさせた結果アメリカが大変なことに

犠牲になったのだ・・・パーフェクト兄貴の犠牲にな・・・


そして、兄貴の仲間たちも好評で大変嬉しかったです!

オリジナル要素は受け入れられてこそ!フェルディア、ロイグ、そしてコンラをうけいれていただき、本当にありがとうございます!

フェルディアは中村悠一氏、ロイグは寺島氏のイメージで見てみたら、なんかいい感じかも・・・?

そしてコンラが予想以上に大反響を得られて本当に嬉しいです!実はコンラのキャラクターは、とある部員様のアイディアを元に肉付けしたキャラクターでもありますので二重の意味で安心しました!

そして、嬉しかったのはもう一つ。皆様、リッカを本気で叱っていただきありがとうございます!


彼女の心理は救世者としては的確ですがおおよそ人間の心構えではありません。このまま歪みを抱えるか?としたところを皆様が糺してくれました

本当に本当に、ありがとうございます!主人公がこんなにも愛されて、愛していただけて感謝の念に絶えません!この物語は、皆様あってこそと再認識致しました!

ますます強くなっていくリッカを、どうぞ見守ってくだされば幸いです!何せラスボスが主役やっているようなものですからね!


・・・そしていよいよ、自分の筆はキャメロット、バビロニアに赴かんとしています


素人筆で紡ぐには余りにも壮大かつ、巨大な物語

けれど、きっと大丈夫。自分は一人ではなく、沢山の読者の皆様に支えられているのですから!

一生懸命頑張ります!だからどうか、最後まで支えていただければ幸いです!

キャメロット、バビロニアの先へ――第一部のグランドゴージャスフィナーレを目指して!


これからも、どうかよろしくお願いいたします!皆様に、ゴージャス英雄王の威光


そして――自分の人生の中で産み出すことが出来た、最も尊い宝物『英雄姫』の加護が、尊さが。いつまでも皆様に降り注ぎますように――!
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