――とある、戦いがあった
滅びを迎え、いや『迎えた』特異点にて、純白の聖都を守護せんとした獅子の王がいた
彼女は善き魂を守護し、永遠に残し、また、後に繋げようとした
それだけなら凡百の敵で在ったかもしれない。だが彼女は己の使命を果たさんと、『カルデア』にまで手を伸ばさんとした
それを阻まんとした騎士王。だが女神は余りにも強大で、騎士王一人では抑止は敵わぬほどに絶対だった
あわや膝を屈さんとしたとき、本来ならけして有り得ぬ援軍達がいた
そう『愉悦部員』である。『部員ネット』にて観測したその外なる戦いを目の当たりにした部員達は一人、また一人と騎士王の戦いに参じた
あらゆる次元の力を結集させ、そして、彼等の活躍により獅子王は退き、カルデアは善なる獅子の手よりの救済より阻まれた
そしてその戦いは特異点にもつれこみ、王達が来るまでの敢闘にもつれ込んだ
難民を保護し、騎士と戦い、キャンプを囲い、共に笑いあった
ファラオもまたそんな彼等を見守り、庇護し、その戦いを見守り、また自らも立ち上がった
獅子の王もまた、己が身分を隠し善き魂の集いを見守り、また見定めた
ライブ、料理の振るまい、ラジオ体操。――其処には確かな絆と、交流があった
確かに存在した戦い、確かに存在した絆
――その戦いは本来なら有り得ぬ死闘、有り得ぬ交流
王と姫の戦いが近付くに連れ、自らの使命を終え、消え去っていく部員達
それが当然、彼等は端役。それが自然、彼等は脇役
本来なら起こりうるべくもない、陽炎のような輝き、幻の様な戦い
だが、消え去ろうとも『無かった事』にはけしてならない
彼は刻み付けた、有り得ぬ奮闘と輝きを
彼は忘れぬと誓った。神にすら挑んだ勇者達の戦いを
抑止により、誰にも目の当たりにされなかった戦いだとしても
一人のファラオには、『見た』だけで充分だった
・・・そして、ファラオは玉座より起つ
彼等との絆に報いるために
たとえ、有り得ぬ戦いであっても。それを目の当たりにしたものの生き証人として
たとえ、誰も語らぬ戦いだとしても
例え、誰の目より失せようと――
太陽の輝きは確かに『彼等』を照らしたのだと――
太陽は潰えず、輝きは喪われず
地上の楽園、人理保証リゾートカルデア
其処にはあらゆるものが集い、あらゆる悦楽が赦される地上の楽園
「うむ、今宵も我が楽園に翳り、死角はないな!まさに人類最後の砦、第二のウルクよ!ふははははははは!!」
――もうすぐマスターや皆も目を覚ますし、誰が来るか楽しみだね、フォウ
(尊いサーヴァントが来てくれたらいいなぁ。マーリンはポイーで)
そんな穏やかな歓談が、緩やかに交わされる
「・・・まさかとは思うが、贋作者のご飯などにうつつを抜かし、我が楽園への参列を蹴っているのではあるまいな・・・?ヤツめに胃袋のアプローチはまさに最適解だったか・・・ブリテンは雑、そして雑とアルトリアめも言っていたからな」
――王の手料理を振る舞っては如何でしょう!きっと気に入ってくださるはずです!
《ふむ、妙案よな。・・・どうやって口に運ばせるのだ?》
――・・・あっ・・・!
(不可能、という点に目を瞑れば妙案だった!惜しい、エア!)
――ふぁ、ファイトです!運命を感じましょう!
《やはり土蔵か・・・》
そんな所感を洩らす王、姫、獣
・・・その平穏を
『エマージェンシー!エマージェンシー!ギルくん!今すぐ召喚室に来てくれ!緊急事態だ!』
ダ・ヴィンチちゃんのコールが響き渡る――!
《なんだ、またパンデミックか?パラケルススめ、冷凍庫では足りぬらしい》
――と、とにかく行きましょう!マスター、マシュ、ドクターもいない今、ワタシ達が対応しなくては!
(死角あるじゃん!)
《何処にも例外はあると言うことよな。――では、見に行くとするか》
ゆっくりと、風呂より立ち上がり王は召喚室に急ぐ――
「何事か――む」
王が扉を開けると、其処には光が満ちていた
黄金と、虹色の輝き――見るものを畏怖させる凄まじき輝き――
「ダ・ヴィンチ!シバ!何故召喚が始まっている!」
王の追求に手を上げる二人
「突然始まったのさ!本当に突然にね!観測してたらいきなりさ!全く、英雄というのはこれだから――!」
――フォウ!ワタシの傍に!
(うん!)
素早くフォウを庇う
「よもや賊と言うわけでもあるまい。あまりに大仰に過ぎよう。――姿を現せ!何者か!」
召喚サークルを破壊せんほどの輝きが満ち、やがて全てを飲み込み――
「――地上に在ってファラオに不可能無し!万物万象!我が手中にあり!!!」
黄金の瞳を持ち、覇気みなぎらせ輝く、光輝なりし太陽王――
「――我が名はオジマンディアス!!王の中の王!!貴様らならぬ者達の奮闘にて紡がれし縁により、楽園に馳せ参じしファラオである!!」
オジマンディアスが、楽園に顕現したのであった――
――ふぁ、ファラオ・オジマンディアス・・・!?
(凄いビッグネームが来たなぁ!)
この風格、この威圧、この輝き・・・!
間違いない!英雄王に全く引けをとらない・・・或いは同格に値する、王の資格を持つ英雄だ・・・!
目映く輝く、ファラオの中のファラオ。オジマンディアス
「――随分と早急な参列だな。この場の誰も、貴様と縁は繋がれてはおらぬ筈だが?」
王の言葉に険悪さは見られない。むしろ――とても愉しげだ
自らの予想を超えた参列に、心から、愉快げなのだ。この英雄王は
「確かにな!本来なら我が威光は第六の特異点を越えねばくれてやる道理はなく、そして軽々と余が玉座より腰をあげてやる義理も道理もない!」
高らかに叫ぶファラオ・オジマンディアス
「だが!!――貴様の預かり知らぬ、余と、ホルスの化身のみが目の当たりにした、『
その立居振るまいと言葉には、確信が満ちている
『我が身を動かすに相応しき活躍』とファラオは謳う
「貴様らの戦いにより、奴等は総て退去を果たしたが・・・余は誓った!貴様等の戦いを、輝きを忘れぬと!丁度霊基も綻びが酷かったのでな!一度退去し、座に経験をくれてやり、再顕現を果たしたまで!」
――す、凄い!凄いことを!凄い滅茶苦茶な理屈でやってる――!?
(この人史実英雄なんだよなぁ・・・訳がわからないよ・・・)
驚嘆、呆然とするエア、フォウ
「つまるところ貴様は我等ではなく・・・『部員』どもの活躍の生き証人として我が楽園に参じたと?」
「然り!!例え奴等が余さず消え失せようとも!余が!!この、ファラオ・オジマンディアスが有る限り!奴等の健闘を、足跡を、栄誉を、光輝を刻み、背負い、照らし!立ち上がり!そして輝こう!!」
高らかに、高らかにオジマンディアスは笑う
「我が身と部員の絆、何者にも消滅されること能わじ!!歓喜するがよい、黄金の!!貴様の部員が一丸となって紡いだ縁が、余を此処に招いた事実を!!フハッ、フハハハハハハハハハ!!!」
心から楽しげに、愉快げに、誇らしげに。ファラオ・オジマンディアスは召喚室を後にする
「ニトクリスが在ろう!其奴が作らせた居住に余は腰を下ろすとしよう!構うな、許す!余は泰然自若に振る舞うまでよ!そして――」
ニヤリ、とオジマンディアスは笑みを溢す
「貴様の黄金戦艦、専売特許と思わぬことだ!余に、後塵を拝すという言葉は無い!貴様が行いし所業、余もまた容易く行おう!!」
「フッ、我等が楽園に尽力するのならばそれでよい。努、我が財を畏怖させ過ぎるなよ?」
「フハハ!それは貴様の研磨次第よ!どれ、余はこの眼にて!貴様の楽園を見定めるとしよう!ニトクリス!ニトクリスはあるか!!」
上機嫌に笑いながら、太陽王は歩を進めていった・・・
――す、凄いファラオでしたね・・・
《ヤツの行動指針は大抵が気分よ。余程の事なくば自発的になど動くまい。ならば、ヤツを動かした勇者ども、というのは・・・》
――本当に、気に入ってくださったんですね。『部員』の皆様を
・・・その事を知ってか知らずか、王の顔は穏やかで、愉しげで
「フッ、全く・・・王というのは、自らの理が第一ゆえに読めんな」
誇らしげに、笑みを溢していた――
「ギルくーん。笑ってないで手伝ってほしいんだけどナー」
――と、とりあえず・・・ぐちゃぐちゃになったお部屋の片付けをしましょうか・・・
《――全く、暴れるだけ暴れ、伝えるだけ伝え去るとは。傍迷惑な暴君もいたものよな。フハハハハハハハハハ!!》
(エア、鏡ある?)
――はい。・・・うん!今日もフォウは素敵だね!
(あっ――――)
虹色のガラスの馬に蹴飛ばされ爆発四散するフォウ
フォウ――――!?
・・・王達すら預かり知らぬ、勇者達の奮闘
消され、消え去り、退去が為されようとも、残るものは確かに此処に
「ファラオ!来ていただけるなら先んじて・・・」
「――・・・・・・」
「――・・・ファラオ?」
・・・奮闘と、縁は確かに此処に
「――よい、『らいぶ』。・・・よい『宴』で在った」
絆となりて、確かに楽園に繋がれたのである――
――貴様等の輝き、けして忘れぬ。余はそう言ったな
空を仰げ、手を伸ばせ。お前達が見上げ、お前達を照らした太陽の輝きが余である
――余はけして忘れぬ。故に、お前達も忘れるな
貴様等の戦いは――こうして、確かに報われたのだと言う事実をな――
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