人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アスモデウス【さ、サタン様】

サタン【なにー?】

アスモデウス【あの、る…る…】

サタン【る?】

アスモデウス【る…い、いえ!なんでもありませーん!!】

サタン【…何アレ?】

ベルゼブブ【…。彼女には足りないのですよ。勇気が】

サタン【……?】


強さは彼等に意味を成さず

【さて、幸先良く破壊神のお嫁さんに協力を取り付けた事だし、この調子でガンガン抑止力を用意していきたいよね!気合入れていこう!】

 

玉座にてウキウキと召喚を心待ちにするサタン。自ら達の抑止力となる存在を幅広く募集する…言うなれば【セーフティ召喚】とも言うべき行事を彼は気に入ったようだ。心は既にさらなる出会い、新たなサーヴァントである。

 

【やはり令呪は用意していたほうが良いかと思われます。先の様に御身の固有結界を害されては大事かと】

 

【そうだねぇ…じゃあ、次のサーヴァントもクセのある子だったら作ることにするよ!まさか2回連続で怖いのが来るとは限らないじゃない?】

 

【サタン様がそう仰せられるのであれば…】

 

【うう…インド神話の神格とはこう、本能に訴える鮮烈さがありましたわ…】

 

【お疲れ、アスモデウス。アダムっぽかったよ】

 

【キャラ被りとか思わないでいただきたいところですわね…!同じ徒手空拳でも私はテクニカル!アダムはスピード!温羅はパワーといった棲み分けをしています!】

 

【テクニカル(意味深)】

 

【オレ様は生きている!!フッハッハッハ!殺したくらいで死んでいては魔王なぞやっておれぬのでな!!】

 

カーリーを鎮圧したアスモデウスは若干インドがトラウマとなっていた。美少女が舌を出しながら狂乱の剣舞をしてくるところが恐ろしかったという。

 

【気を引き締めろ。先の通り、世界が我等を排斥しに来る事を理解しただろう。来る英霊は生半可な格ではないぞ】

 

【ベルフェゴールは暫くカーリーの管理下だろうし、次はもっと話の解る相手を所望したいね〜】

 

【先のカーリーのクラスはアーチャー…バーサーカーでなくて幸いでした。全面戦争も辞さない事態となっていたでしょう】

 

所感も交々に、召喚サークルは再び回される。地響きに赤雷、まさに地獄の門が開く有り様といった風貌を魔王達は感慨げに見やる。

 

【楽園の召喚には通常の英霊召喚、アルトリア・ペンドラゴンを呼び寄せるための専用召喚、異世界の縁から呼び寄せるOk召喚というものがあるそうです、サタン様】

 

【OK召喚……全能の聖杯が励起したことと、集合無意識にギルガメッシュがアクセスした事による並行世界観測と世界線混線が起きたことによる例外召喚って事だね】

 

【通常の英霊召喚ではほぼほぼ制御不能な輩が来る事を考えれば、こちらのほうが未だ話の通じる輩が現れる可能性は大きいかと…】

 

【マモン…万魔殿に触媒とか入っていたりしないの?】

 

【知らんな!オレは生まれてこの方、サタン様以外の何かを頼ろうとした事が無いからだ!!】

 

【有名な英霊の触媒は、それだけで戦争の要因に成る程に人間は重宝するそうよ。マントの切れ端とか、血塗れの菩提樹の葉とか】

 

【怖…私の鱗とか…高値、つくかな】

 

【えぇ。レヴィアタンの身体の一部だなんて最高の触媒になること間違いなしよ!】

 

【まぁ…喚ばれても行ったりしないけど…】

 

【契約だからな!結ばれなければ無意味よ!フッハッハッハ!!】

 

彼等魔王は、使い魔を厳選するという真似はそもそも必要ないためにこういった行事は新鮮さを以て迎え入れている。

 

【楽園の皆はこうやって人類の歴史を束ねて戦ってきたのかぁ…所詮ぼくらのは真似事だけど、彼等の強さの源泉を知れたのは喜ばしいね!】

 

(自身よりも美しいと認めた相手には、相変わらずどこまでも誠実で献身的な一面を見せる…)

 

【さぁて次は何が来るのかな〜♪】

 

(或いはそれこそが、大天使とは違い偽神に鋳造されしこの御方の神への叛逆の意思なのやもしれんな)

 

ベルゼブブの思惑と同時に、一際まがまがしく召喚サークルが輝く。それは、意志に応えしものが現れた証だ。

 

【さぁいらっしゃい!次は誰かな〜?】

 

玉座にて待ち望むサタンの眼の前に現れしは──。幸か不幸か、彼等に見合う力を所持するもの。

 

 

【ブモオオオオオオオオオオオオ!!!!】

 

【わぁ…牛が出てきた】

 

【これは……サタン様、奴は戦闘の神にして魔王、蚩尤です】

 

 

蚩尤。獣身で銅の頭に鉄の額を持ち、また四目六臂で人の身体に牛の頭と鳥の蹄を持った、頭に角を有する緑肌の魔王。

その凶暴、貪欲さはフクロウにたとえられて「鴟義」(しぎ)と表現されたりしており、「反乱」というものをはじめて行った存在として挙げられている程の高位の存在たる神霊。かつて応龍と黄帝が力を合わせ、真っ二つにして封印したとされる程の力を持つ存在であり、兵器の神とも呼ばれる側面を持つ存在であるが…

 

【クラスは…バーサーカー。初めから理性を保たぬ現界の様です。交渉の余地はないかと思われます】

 

【そっかぁ…サーヴァントって本人がそのまま直接来るんじゃないんだよね、確か…】

 

狂乱を極め、武具を振り回せし蚩尤のクラスはバーサーカー。初めより対話の意思は奪われており、本来の勇敢で忍耐強い性格は失われてしまっていることをベルゼブブが指摘した。

 

【ブモオオオオオオオオオオオオオオ!!!】

 

【こういった不測の事態に備えて、令呪という物質が作られたのだと思われます。第一次、第二次聖杯戦争はそれらのルールの裁定が甘く───】

 

ベルゼブブの言葉を遮るように、蚩尤が狂乱のままに武器を振り下ろす。多腕にて振り下ろされるその一撃は、大地を割り運河を破壊する程の驚異的な力と覇気を用いた熾烈極まるもの。ソレが一息にサタンに叩き込まれんとしたのは、生来の反骨心の現れであろうか。

 

【………】

 

だが、その一撃がサタンに降りかかる事は無かった。サタンが大魔王であるならば、それらに劣るとはいえ残り5大魔王もまた超抜級の力を有する者達である。

 

【無礼者めが!!】

 

アスモデウスが靭やかな足刀により、蚩尤の多腕を全て切り落とし。

 

【躾けがなっておらぬ牛には鞭をくれてやらねばな!フッハッハッハ!!】

 

マモンの万魔殿より、黄金の鞭が無数に蚩尤に向けて叩きつけられる。それらは並のサーヴァントならば塵も残らぬ程の苛烈なもの。

 

【ブモオオオオオオオオ!?】

 

【サタン様に手を出した…殺す…】

 

レヴィアタンが半神半蛇の姿となり、数十メートルはあろう蚩尤をその身一つで締め上げる。

 

【ぶ、ブモオオ、オオ………】

 

渾身の力を有するも、微塵も解く事のできぬままに蚩尤は締め上げられ続け、そして──

 

【ブモオオオオオオオオオオオオ…………!!】

 

五体四散し、辺りに凄惨なる肉片と血飛沫が飛び散る。逸話では上下に分かたれ封印された蚩尤が、此度はバラバラとなって討伐されたのだ。一重に理性の無く、対話の余地のないバーサーカーで喚ばれてしまったが故の弊害と言えよう。

 

更に言えば、先のカーリーもある意味では運が良かった。マモンを始末し、勝利の舞踏を踊ったが故にサタンに害意を向ける事がなかった故だ。蚩尤の様に、サタンを狙われていればマモンらも此度のように何ら躊躇いなく始末しに向かったであろう。

 

【ちょっとー。君達趣旨解ってるー?バラバラにしちゃったら抑止力にならないじゃん。召喚した意味ないでしょー?】

 

【も、申し訳ありませんサタン様!】

【でも…サタン様直々に殺すだなんて名誉を与えるのは…】

【許してくれ、サタン様!お詫びに次は触媒を提供しよう!!】

 

【〜。忠誠より行った蛮行です。どうか慈悲を】

 

【うん、次からは気を付けてね。解った?】

 

【【【はい!!】】】

 

【あーあ…。…ん、確か戦闘神で兵器神なんだっけ、彼?】

 

バラバラになった蚩尤を拾い集めながら、サタンは一人顔を上げる。

 

【彼の遺体、エレジアの防衛兵器にしてみない?きっと頼もしいよ!】

 

【……………流石はサタン様、賢明ですな……】

 

…結果的に。抑止力を呼ぶことは叶わなかったが…

 

エレジアの各地の防衛兵器は、飛躍的な進化を遂げたという。




サタン【こういう時に令呪っているんだね。勉強になったよ】


ベルゼブブ【何よりです。では、マモンの触媒ですが…】

マモン【見てくれサタン様!これだ!!】

『毒液を溜め続けた形跡のある壺』


サタン&ベルゼブブ【【……………??】】

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