人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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ギルガメッシュ「よもや有り得ざる獣とこのような時代で出会おうとはな。だが、それならばやりようはあるというものよ。リッカ、まだ動けような?」

リッカ「勿論!マラソンは辛くなってからが本番!」

ルフィ「スゲ〜〜〜〜〜!!キラキラロボスゲ〜〜〜〜〜〜!!!」

ギルガメッシュ「これらは所詮楽譜めに詰められた悪意の残滓に過ぎん。我等が掃除を請け負おう。貴様らはあの娘と共に中核へ向かうがよい」

リッカ「中核…!」

ギルガメッシュ「我等は神の慈悲をはねのけた。ならば望む未来は自らで示さねばならん。決意の表明がてら、悪意に染まりし楽譜に書き記してやるがよい」

メリー『じゃあ、僕が君達を連れて行くよ!』

リッカ「メリー!!」

ルフィ『ここにはメリーと来たんだ!飛んできてな!ウタのところに行けばいいんだな!』

ギルガメッシュ「そういう事よ。急げよ!いじらしき悪意ゆえ、染まり続ければどうなるかは解らんぞ!」

マルドゥーク『(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧』

リッカ「うん!!ありがとう、ギル!行こうルフィ船長!メリー!!」

『GAAAAAAAAAA!!』
ギル「フン。悪意ごときに我等の威光は阻めぬものと知るがいい!!」

カグラ【これが…新時代の意志…】


神楽の終〜失楽園〜

「───第三楽章は皆の頑張りで討ち果たすことができた。第四楽章は、ワタシ達カルデアの全霊を以て挑む戦い。だからワタシ達はここに来た。取り込まれ、そして閉じ込められた皆を助けるために。何より、友達であるあなたを助けるために!」

 

排斥されていたルシファーの迷いの前に姿を現せしは、御機嫌王が人理を救う旅で手にした至宝…英雄姫エア。窮地に囚われたルシファーら皆を救うため、勝敗を決した際の仕上げとして単独顕現にてやってきたのだ。元々彼女の持つ単独顕現は特別で、望む場所全てに赴く事ができる。

 

(君がエアに送った羽根、あるだろう?アレを使わせてもらったのさ。まさかあれの一枚一枚が大聖杯クラスの願望機だなんてどんだけだよ。だからこうして君を迎えに来たわけだけど!)

 

エアが跨りし大型の虹色の毛並みを持つは至尊の守護者と化した人類愛フォウ。その身体にはルシファーの羽が備わり、時、空間、時間を超越した移動を可能としているのだ。天使の力の根源、ルシファーの羽とは、それ程の力を持つ至高の宝具としての力も内包するもの。天国における秘宝なのだ。

 

それを惜しみなく託した事で、エアとフォウはウタワールドへと至れた。ルシファーの傲慢でない行為が、彼を助けたのだ。

 

『夢に疲れる前に夢を、幸せな夢を破壊する…。エア、君はそうするべきだと言うんだね?』

 

ルシファーの問いに、エアは強く頷く。彼女は王のように強く気高い視座ではなく、優しく柔らかい視座で事象を見ていた。

 

「手に入れた得難さを知らない幸福。我が身を傷めず、或いは研鑽の覚えなき成果。奮闘の覚えなき栄光。それらを甘受し享受する事は、やがて全ての倦怠と腐敗、価値あるものの零落に繋がってしまうのです。与えられたものにやがて不満を持ち、人間は更に更にと求めるでしょう。必ずや」

 

『それが、何故腐敗に繋がってしまうのだろう?得た幸せは、何より得難い筈なのに』

 

ルシファーの問に、エアは毅然と応える。

 

「人はより良く、より素晴らしい道筋に歩む生き物だからです。人間は常に前に進む。より良い明日へ、1秒前の自分より先へ。その歩みは栄華へも、滅亡にも進むことのできる大いなる命の力。その力を抑えることは、神であれ不可能なのです」

 

『その歩みを無理矢理止める事で、人は歪んでしまう?』

 

「はい。停滞は安楽とは違います。安らぎ、安楽は再び前に進み、命を切り拓く為のもの。停滞、幸福を授ける行為はその命の力を取り上げ、人の可能性を止めてしまうもの。だけど人の生命は、決して止まることはない」

 

故にこそ、与えられた幸福程度では絶対に満足しない。もっと前に、もっと先に、もっと強い幸福を、もっと素晴らしい未来をと。

 

「その過程で与えられた幸福は拒絶され、拒否され、風化し、輝きを喪い色褪せていく。カグラ様が善意で与え給うた本当の幸福を、人々はやがて無価値な幻想と断じてしまうでしょう」

 

もっと幸せになりたい。だからもうこれはいらない。

 

もっとべつの幸せを見つけたい。だからもうこれは必要ない。

 

カグラが与えた幸福は正真正銘その存在の為の幸福だ。だが、人は与えられたものにて過不足無く満たされることなど絶対にない。

 

ならばこそ、与えられた幻想は拒絶しなくてはならない。与えられた幸福は拒否しなくてはならない。それらは残酷な選択に思えるだろう。非情な決断に思えるだろう。

 

だが、高次の視点からみた幻想の幸福の行き着く果ては摩耗による破棄であるが故に。かけがえのない幸福に、人は必ず飽いてしまうが故に。

 

人である存在が、その胸に懐く夢と希望と幻想。それら素晴らしき人が産み出す『財』を穢さぬが為に、エアはそれら全ての幻想を拒絶しにやってきたのだ。

 

一人一人が懐く願いを『もう叶ったからどうでもいいもの』にしないために。

 

一人一人が夢見る希望を『叶えてもらったから必要ないもの』にしないために。

 

その為に───今彼等を満たしている幸福を破壊する。それが例え、辛く死んだほうがいい世界に引き戻す残酷な目覚めに繋がるのだとしても。

 

人の尊厳と、神の慈悲を共に守護する為に。エアは天の鎖と終末剣エンキ、そして親友と寄り添いやってきたのだから。エアの視点は、結論こそ違えど王と同じ視座にいる。

 

遍く夢と希望と、神の優しさを護るために。エアはあえて眠気を醒ます北風となる道を選んだのだ。

 

「…──そして先程も言ったように。ルシファー、あなたはワタシの大切な友達です」

 

『!』

 

「あなたは眩しくとても綺麗な空のお星さま。そんなあなたが友達となってくれた事がとても嬉しい。だからこそワタシは許せないんです!あなたが誰からもそっぽを向かれ、誰にも見上げられない今のこの夢のあり方が!」

 

エアは毅然と、怒りを以て夢の在り方を糾弾する。彼女はやわらかく慈悲深いが、自我を確立させたきっかけは怒りである。ゲーティアに、無意味に死んだ自分に怒り、立ち向かった。

 

「ルシファーは大魔王であるのかもしれません。悪逆無道と呼ばれる振る舞いをしてきたのかもしれません。でもだからこそ、ルシファーに罪や償いを求めるべきはルシファー自身であるべきです!」

 

『エア……』

 

「悪逆なる者が善の道に歩みを変えた時、その轍は地獄の業火と茨を以てその者を苛む。ルシファーがその瞬間を迎えるというのならば、ワタシはそれを支えたいと思っているのです」

 

『僕を、支える…』

 

「あなたがいつか、積み重ねた歩みを罪と想う日が来たのなら。或いは、自らを悔やみ迷ってしまう日が来るのなら。その時こそ、あなたの苦しみや哀しみを分かち合いたい。大魔王、大天使のあなたには出過ぎた真似かもしれません。けれど、あなたは」

 

そう、エアにとってはフォウとも違う、ルシファーはかけがえのない友人であった。その理由はわかりきっている。

 

「あなたは…ワタシがあの旅で手にした答えを、誰よりも真摯に受け止めてくれたから。それだけで、あなたの為に命を懸ける理由には十分です!」

 

人理の旅路にて手に入れた至尊の理。エアが辿り着いた、ゲーティアに捧げたレメゲトンとしての魂の命題。

 

いくらでも曲解ができた。いくらでも短絡的な結論を出せた。いくらでも自分に都合の良い解釈ができた。

 

だがルシファーは迷い、悩み、真摯に向き合い続け、一生懸命その命題に挑み、そして答えを出してくれた。

 

「『この世にどうでもいいものなんて一つもない』。『誰もが、誰かにとってのかけがえのない特別』。…こんな素晴らしい答えを、ワタシは喪いたくないんです。ルシファー」

 

『そんなにも…僕の答えを…僕の事を…』

 

(君はエアの答えを、更に自由に広げてくれたんだ。エアの真理を、更に素晴らしいものに進めてくれた。ボクが君を助けるのはその理由だけで充分さ!)

 

ルシファーは崇められ、崇拝される事は慣れしたんだものだ。

 

ルシファーは恐れられ、畏怖される事も慣れしたんだものだ。

 

だが、友人として対等に…真摯に向き合おうとする存在は、初めての事だった。

 

「だから───ワタシが皆の目を覚まさせる!この終末剣で、神の慈悲を斬り貫く!」

 

エアは幸福と慈悲を処断する覚悟を以て、終末剣エンキを弓矢の形態に変化させる。英雄機神、終末剣、天の鎖の三つが、エアが所持することを赦されし財。

 

「誰の夢も、誰の慈悲も無価値にしない為に!友達を、助けるために!」

 

その決意を以て、ウタワールドにて夢を見せているトットムジカを貫かんとした時。

 

『───ありがとう、エア。本当に嬉しいよ』

「!」

 

『でもね。──幸福に満ちた楽園を終らせるのは、僕の仕事だ』

 

 

エアの射撃を柔らかに遮り、ルシファーは羽根を広げる。最早彼に、迷いは無かった。

 

 

『ただ、甘やかすだけが尊重じゃない。ただ優しいだけが尊重じゃない。本当に難しいや、エアの答えは』

 

「ルシファー…」

 

『でも──この理は、本当に大切な答えへ必ず繋がっている。僕はそう思えたよ』

 

エアの言葉に、ルシファーは決意を示した。

 

幸福を終わらせるのなら。

 

幸せを終らせるのならば。

 

それは、いつだって自分の役目だ。彼女が手を汚す機会があるのなら、それはもう少し先であってほしい。

 

そう、それは例えるなら。世界を脅かす大魔王にトドメを刺すような栄光に満ちた──。

 

『レヴィアタンは、夢の夫で満足してもらいたくないし。バアルには現実で、民が皆待ってるからね』

 

「ルシファー!」

 

『ありがとう、エア。君がこの世界に来てくれて本当に良かった』

 

彼に迷いはない。ウタワールドに存在する敵と、虚飾の幸せを全て破壊する。

 

それはまさしく、アダムとイヴと天界の平穏全てを奪い去った大魔王の御業たる──

 

『『栄光失墜す喪失の楽園(パラダイスロスト)』────』

 

…ウタワールドに蔓延るトットムジカと、彼等が見ていた夢は全てが消え去った。ルシファーの一撃は、カグラの救いを完全に否定した。

 

それはまさに──己のみこそを重んじる大魔王の振る舞いそのもの。他者の幸せを踏みにじる悪行。

 

しかし、ルシファーが揺らぐことはないだろう。

 

「ルシファー!このまま皆の魂を!」

『うん!』

 

労り甘やかすだけが尊重ではない。

 

残酷な世界は、残酷なだけではない。幸福は確かに有る。たった今、そう教わったのだから。

 

──残すは、トットムジカの中核のみである。




トットムジカ無垢心領域

ウタ「……解んない…解んないよ…!」


トットムジカ『くそ!ここまで来たのによ…!』

ウタとトットムジカは、いよいよ中核にまでやってきていた。

目の前には、カグラが楽譜をしたためる光景。だが、それを最後の壁が阻んでいた。

ウタ「パスワードだなんて聞いてないよ…!ここまで来たのに…!」

外界を隔てる最後の防衛機能。

『■■■■■■■■■、■■■■■。』

カグラがトットムジカに伝えているその言葉に、ウタはどうしても至れず、悔しげに壁に拳をぶつける他ないのであった──。
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