人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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お待たせしました、キャメロット編です。ゆるくお楽しみください!


第六研鑽終了 円卓粛清領域キャメロット 聖剣返還
開幕――騎士王・太陽王・英雄王・魔術王――


「総員、集まっているな!」

 

 

英雄王の力強い言霊が管制室に響き渡る

 

 

 

レイシフトメンバー、それに加えオジマンディアス、更に『界聖杯』を宿し、新生したアルトリア・ペンドラゴンが屹立し、王の号令を待ち待機している

 

 

「――うむ。よい顔付きだ。疲労、倦怠は総て取り去ったようだな」

 

ふはは!と満足げに笑う英雄王。フォウも英雄王の肩に乗り、皆を見つめている

 

――いよいよだね、フォウ

 

(うん。――始まるんだ。本当に困難な戦いが)

 

 

決意の表情を見合わせ、頷き合う

 

 

「よし――今更檄など必要あるまい!最早貴様らは五度も世界を救いし星の勇者!尻を叩く必要など何処にもなく、しかと自らの足で立っている!なればこそ――我はただ、開幕を告げるのみだ!吼えろ!我が財達よ!」

 

 

拳を振るい、高らかに声をあげる

 

 

 

「これより第六特異点の攻略、蹂躙を開始する!!魔術王めの絶対の自信、『七つ目』の聖杯に至る道を阻む最後の障害である!――者共!我の流儀は知っているな!」

 

 

英雄王の問い掛けに、レイシフトメンバーは応える

 

 

「「「「「戦闘は効率よく!消費は後腐れ無く!敵は抉り、穿ち!肉の一片に至るまで悉く破砕せよ!!」」」」」

 

 

――英雄王の基本方針!もうすっかりお馴染みだね!

 

(クッソ物騒だけど真理だから仕方無いね!エア、染まらないでね!)

 

――大丈夫!情で選別を鈍らせたりはしないし、対立を選ぶ相手には敬意と誇りを以て、全力で砕くよ!

 

ふんす、と胸を張るエアに笑うフォウ

 

(うん!それでこそ姫だ!覚悟を決めてこそ、染まらずにね!)

 

《我が無慈悲である理由よな。まこと敵が哀れに過ぎるわ。――財の選別、任せるぞ》

 

――お任せを。何憂う事なく、王の威光を示してください!ギル!

 

《うむ、そのつもりよ!》

 

固く頷き合う三人

 

「よし、完膚なきまでに蹂躙するぞ!ロマン!此度の舞台をかいつまみ教授せよ!」

 

「任せてくれ」

 

ロマンは変身し、ソロモンの姿を取っている。此は彼も本気、全力で在ることの証左だ

 

「時代は十三世紀。場所は『聖地』として知られるエルサレムだ。・・・色々と思うことはあるけど今はスルーで行こう。正確な年代は1273年。第9十字軍が終了し、エルサレム王国が地上から姿を消した直後の時期だね」

 

ロマンの説明に合わせ、シバニャンがコンソールを動かし資料を出していく

 

 

「知ってるよ・・・未だにどこの宗教のものか定まってないんだっけ・・・名前を出したらリアルアサシンが来るって言う宗教の人達の・・・」

 

「あぁ。――そして十字遠征軍の終了。つまりエルサレムから西洋諸国撤退したことは現代にまで続く人類史へと多大な影響を与えている」

 

 

――特異点として不足なし、といった所でしょうか

 

《うむ。聖地であるのだからな。そこが脅かされ占拠されたとなれば最早人類の信仰の在り方を崩されるに等しい。人は何かにすがらねば生きていけぬ生き物であるからな。当たり前に踏みしめていた大地が抜けるに等しかろうよ》

 

「だが――」

 

ロマンの言葉をオジマンディアスが遮る

 

 

「特異点は変質した。正しき聖杯の所得を争う戦いは終結し、聖地は占領され。かの特異点に在りし戦いは二つの勢力が睨み合う冷戦の様相をもたらしている!」

 

高々に声を上げる

 

 

「片や!十字軍が欲をかき呼び出したファラオの中のファラオ!勿論余である!片や――」

 

すかさず騎士王が歩み出、告げる

 

「『獅子王』を名乗る王と、それに仕えし誓いを掲げた円卓の騎士達が護る、聖地に築きし『聖都キャメロット』。この二つの勢力がにらみ合い、水面下で火花を散らしている勢力図です」

 

「円卓の、騎士・・・」

 

マシュが呟く

 

「敵対、する可能性が・・・あるのですね」

 

「はい。間違いなく。騎士が掲げた誓いを覆すことはない。彼等が剣を執った以上、対話による解決は有り得ないでしょう」

 

きっぱりと断言する騎士王に、リッカが拳を鳴らす

 

「お互い譲れないものがあるなら、ぶつかり合って砕けなかった方の勝ち!分かりやすいね!」

 

「――・・・」

 

「――マシュ。貴女の決意を確かめます」

 

オルガマリーが、歩み寄りマシュを見据える。瞳に宿す決意に、最早迷いは見られない

 

「貴女は戦えますか?例え、どのような感情を抱こうとも、リッカを守護する盾であると誓えますか?」

 

 

オルガマリーの問いに、リッカとマシュは顔を合わせる

 

「先輩を・・・」

 

「――うん、信じてるよ。マシュの選ぶ答えを」

 

リッカの声を聞いて、マシュは強く頷く

 

「――『護ります』。先輩を、皆さんを、未来を。明日を――それが、私の戦いです!」

 

その力強い宣誓に、アルトリアは笑みを溢す

 

「――はい。貴女ならば、必ずそう言うと信じていました」

 

オルガマリーはその答えを聞き、ロマンと頷き合う

 

「――ならば、カルデアス所長、オルガマリー・アニムスフィアの名において、貴女に宿る英霊の真名を・・・貴女に伝えます」

 

 

「えっ――!?」

 

目を剥くマシュをリッカが抱き止める

 

「貴女の決意、貴女の戦いを貫くためにこれは必要な儀式です。――自ら見つけ出すべき、とも思いましたが・・・真名を知ろうと知るまいと。貴女はけして変わらない。為すべき事を必ず成してくれる。――そうよね?マシュ」

 

オルガマリーの信頼の言葉と

 

「マシュ。――信じてるよ」

 

優しく微笑むリッカの想いに、マシュは強く頷く

 

 

「――教えてください。私を助けてくれた、英雄の名前を・・・」

 

「ええ。――貴女の盾は盾でありながら盾ではなく、それはあらゆる英雄を招く『円卓(ラウンドシールド)』。このカルデアの召喚システムの土台、その基になりし逸話の具現」

 

そして、告げられる

 

 

「・・・彼の者は円卓の騎士の中で最も清き騎士。その在り方を以て、あらゆる災厄を招く席に立った純潔の騎士」

 

騎士王が謳い上げし・・・雪花の守護者の、その真の源泉を――

 

 

「真名『ギャラハッド』。貴女を救い、生命を守護せしめた高潔なる円卓の騎士よ」

 

オルガマリーの言葉と同時に、ぐらり、と傾くマシュ

 

「おっとと、大丈夫?」

 

「は、い――大丈夫、大丈夫です。ただ・・・嬉しくて」

 

リッカの腕の中で、マシュは誇らしげに笑う

 

「私の中の、恩人の名前を知ることができて・・・とても、嬉しくて――」

 

「――白亜の城へ至る道は開かれた。これより貴女は、私と共に、『狂い果てざるを得なかった』騎士達を天に還す戦いに赴く」

 

そっと、手を差し出す騎士王

 

「力を貸してほしい。我が円卓の遺志を継ぐもの、そしてそのマスター。――彼等が築き上げし絶望の都を打ち払い、あまねく生命の未来を勝ち取るために」

 

「――はい!!」

 

その手を強く握り返し、マシュはリッカと騎士王を力強く見つめ返すのであった――

 

 

「だから杞憂と言ったであろうが。今更名前の有無なんぞでマシュが盾を置くものか。為すべき事を為すからこそ英雄。それはデミ・サーヴァントだろうと同じことよ」

 

ハン、と鼻を鳴らすギルに、観念したように笑うロマン

 

「・・・うん、そうだね。僕はどこまでも、チキンだなぁ――」

 

――それが、貴方のかけがえのない美徳ですよ。ドクター、ロマン

 

(うんうん。傲慢よりずっといい!)

 

「今、誉められたような気が!?」

 

キョロキョロと見渡すロマンに、シバニャンが声援を贈る

 

「ロマン様素敵~♥けれど~、そろそろ獣になってくださっても・・・きゃ♥」

 

「あはははは!ロマニがそんな度胸を見せ付ける日なんて来ないさ!鋼の大地が先に来るよ!」

 

顔を赤らめるシバニャン、膝を叩いて笑うダ・ヴィンチちゃん

 

「ふはははははは!!」

 

「フッ――」

 

笑う古代の御機嫌王二人

 

「とと、ともかく!だからといって油断はできない!観測報告によると、円卓の騎士達はなんだか特殊な力を手にしているようなんだ!」

 

「うむ。特異点に先行させていた部員共から話は聞いている。『祝福(ギフト)』とやらか」

 

 

「ギフト?祝福ってこと?」

 

リッカの問いに、頷く騎士王

 

「獅子王より与えられし祝福。同時に永続の誓い。祝福と忠誠を誓い、獅子王の騎士たる身分を確約される・・・円卓の騎士伝説に伝わる聖杯(ホーリーグレイル)より授かりし力です」

 

「部員ネットの皆様より集めた情報を展開、表示します」

 

オルガマリーの手により、ビジョンが表示され表される

 

「『凄烈』『反転』『不夜』『暴走』・・・どれも、一筋縄ではいかない能力ばかりです。出来ればサーヴァント戦闘は避けたいのだけれど――」

 

「そうも言ってられないよ。胸に誓いを掲げた騎士が、戦いを避けるなんてあり得ない」

 

「その通りです。――リッカ、貴女は本当に誇り高い心をお持ちだ」

 

騎士王の称賛にウィンクを返すリッカ

 

「私も同じだしね!まぁ龍だけどさ!」

 

「案ずるな。対策は既に打ってある。――そうだな、アルトリア」

 

英雄王の問いに頷き、聖剣を抜き放ち、掲げる

 

 

「彼等の祝福は私が断ち切ります。世界そのものたる聖杯の加護を得た、今の私ならばそれが叶う。――相対した円卓の騎士は、必ず討ち果たしましょう」

 

「頼もしい――!」

 

リッカに微笑み、英雄王と視線を交わし合う

 

 

「――必ず、期待に応えましょう」

 

「この特異点の主軸は貴様だ。お前の一刀を合図に、アルトリアとトレイターを差し向ける。――仕損じるなよ」

 

「えぇ、必ず」

 

二人の王は、力強く頷き合った。それはこれより行われる、戦いの完遂を誓い、決意を交わす合図でもあったのだ

 

 

「ハハッ!敵を定めたならば、後は準備が必要であろう!お前達!レイシフトとやらを為したならば、まずは余と出逢い、『有り得ざる勇者』の名を出すがいい!それのみで、盟約は果たされよう!」

 

「有り得ざる、勇者・・・」

 

オジマンディアスは謳う。彼だけが、ファラオだけが覚えている戦いにて培われた絆を

 

「それがどのようなものであったかは敢えて語らぬ。だが、確かに――神に挑み、余と笑いあった者達が在り、それを余は刻み付けている。なれば!お前達と手を取り合うに迷いは有るまい!騒がしき兄妹が在った!たおやかにして美しき女が在った!太陽を背負いし我が妹が在った!影を好みながら、けして性根は曲がらぬ者が在った!騎士と戦うもの、戦車を作るもの、難民と語り合うもの!白き――いや。これは語るまい」

 

王は、遠くを眺めていた。此処ではない何処

 

 

最早今は無い。――いや、『特異点』が在ることそのものが彼らの戦いの証、成果となった『有り得ざる戦い』を、金色の瞳は見据えていた

 

 

「――ファラオは既に、お前達を認めている!後は、貴様等が示すのだ!『魔術王』を騙る肉塊を打倒する意志を!」

 

ファラオは道を示した

 

『砂漠を往け』と。――此処に、方針は定まった

 

 

「――よし!では向かうとするか!部員共は確かに『打開』の鍵、足跡を残していった!その足跡を逃さず、拾い集めるが此度の旅の肝要よ!奴等の成果を余さず掴み取れたその時にこそ!我等の完全勝利が確約されるのだ!」

 

――そして、聖都で待つ『獅子王』を穿つ

 

それこそが、今回のオーダー。今回の使命

 

ワタシ達の、旅の目的――

 

「恐れるな!前を見よ!屈するな!天を仰げ!天命、運命、宿命!その総ては手にし、変えるためにある!――この我がいる限り、敗北など万に一つも有り得ぬ!!故に――!」

 

高々と拳を上げる

 

 

「揺るぎなく進め!!我等の往く道こそが!!唯一絶対なりし!人類の未来の路である!!!財よ!!我が背中にて輝くがいい――!!!!」

 

声高に叫ぶ英雄王に呼応し、職員が一丸となり三唱する

 

「「「「「「了解!グランドオーダー、実行します――!!」」」」」」

 

 

――さぁ、行こう!フォウ!

 

(うん!)

 

決意を振るい、姫と獣が覚悟を燃やす!

 

 

「行ってきます、所長!マシュ・キリエライト、守護を為します!」

 

戦闘体勢を取り、コフィンに入るマシュ

 

「藤丸リッカ、行きます!!」

 

童子切安綱を引き抜き、頭上に円を描き、一瞬で鎧を纏う。

 

「私はギルくんがいるから大丈夫かな?行かなくても!というかカルデアを離れるわけには行かないんだよね~。システムダウンしちゃうからさー」

 

ちぇー、と拗ねる。ダ・ヴィンチをオジマンディアスが労る

 

「王には王の、戦士には戦士の使命が在る!泰然自若に有ればよい!貴様の脱落は、万軍の敗走に勝るであろう!そのような愚策は不要なり!」

 

「そう言うことだ。前線は任せておくがいい。セミラミスに連絡をいれておけ!」

 

ゆっくりとコフィンに入る、騎士王アルトリア

 

「行きます」

 

「ギル。――皆をよろしくお願いいたします」

 

深々と頭を下げるマリーの頭を撫でる

 

「任せておけ。お前はコーヒーを嗜みながら、ゆるりと活躍を見ているがいい」

 

何の心配もない、と――ギルは彼女に、そう伝えたのだ

 

「――はい!」

 

「――では、我も漫遊を始めるとしよう!英雄王・ギルガメッシュ!有象無象を蹴散らすぞ――!!」

 

――始まる。ワタシ達の戦いが!

 

始まるレイシフト

 

浮かぶ意識

 

 

第六度目の・・・王の旅路が幕を開ける!




アルトリア・ペンドラゴン

身長 171㎝ 体重 57㎏ クラス『騎士王』

属性 秩序・善

筋力 B+ 耐久A+ 敏捷 A+ 魔力A+ 幸運A
宝具 EX

クラススキル

騎士の王 EX

騎士の頂点に立つもの。永遠の王、理想の王

騎士なるもの、人属性のあらゆる攻撃を無力化し、騎士へのダメージを三倍に高める超特効効果

その輝きは、理想であるがゆえに穢される事はない

騎士王の勅令 EX

人理を守護し、最果てに在らずとも輝ける世界を護ると誓いしアルトリアの精神性がカタチとなったスキル

円卓に対する超特効。界聖杯と共鳴し、剣の一振りに絶対決議の効果を与える

『祝福』と『因果』を断ち切る事が可能となる。但し、斬られたものはあらゆる措置の例外なく、完全に消滅する。復活すら無効

其は、獣と成りし嘗ての同胞への慈悲か、自らでは止められぬ円卓達への介錯か――

スキル

魔力放出A+++

魔力を噴射し、ブーストさせる能力。界聖杯の効果により、大洪水がごとき放出が可能。但し、中身が満たされていないので無限ではない

直感A+++

騎士王は全てを察し、見届ける。最果ての全てを見据えるかのように

カリスマB

一国の主としては十分なカリスマ

宝具

風王結界 A+ 種別 対軍・対都市宝具

『嵐の王』の伝説を重ね合わせ、辺りに嵐を巻き起こし、剣の先から竜巻を起こし、槍を中心に辺り一帯を破壊しつくす広域破壊宝具として新生している

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)
ランク EX→普段はA++ 対城・対界宝具

世界の表層を繋ぎ止める光の柱。十三拘束により拘束されし最果ての槍

十三拘束が解けた際に、真価を発揮する


約束された勝利の剣(エクスカリバー)

ランク EX 対城・対悪宝具

星に鍛え上げられし聖剣。空想の身で在りながら、聖剣の頂点に立つ至高の聖剣

常に13拘束を外された状態であり、その威力は最早宝具の域には無い。文明を滅ぼし、破壊するもの。人類史により生まれし癌細胞に振るわれる、人類最後の理想にして輝き、防衛機構

界聖杯のバックアップにより、連射が可能である

全て遠き理想郷(アヴァロン)

不老不死の効果を有し、持ち主の老化を抑え、呪いをはね除け、傷を癒す。真名解放を行うと、数百のパーツに分解して使用者の周囲に展開され、この世界ではない『妖精郷』に所有者を送り、あらゆる攻撃と交信をシャットアウトする

防御ではなく、遮断。世界最強の護り。

――アルトリアは更に此に、『魂』と『肉体』の治癒の効果を持たせ、自らの使用を封じた

マーリンより伝え聞いていた、『罪人』の、助けとするために。――その使命を、果たす一助とするために

例え、別の世界の『彼』であろうとも。その誓いに、誤りは無いのだから――

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