人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
「はい、ラーメス」
『難民キャンプ』
「――変わらぬ。変わらぬな。あのときと、あの喧騒と」
「ラーメス、ここは?」
「――滅び去った信仰の聖地にて、なお潰えぬ輝きを持った者達の戦いの場だ」
そこには配給の器具、戦車、テント、ステージなどが、規則正しく置かれている
「此処で――余は酒を飲み、スシとやらを食した。酒に酔い、醜態を晒した」
「まぁ!」
「フッ、それほど良き者だったのだ。・・・破壊はされていなかったか。――うむ、うむ」
【――――太陽の王。天命を知らす鐘はとうに過ぎ去った。そなたの首、無用なり】
「・・・ネフェルタリ、余が料理を振る舞おう。カレー、スシ、シチュー。どれでも好きなものを伝えよ」
「・・・はい。では――」
「来たか、来たか!待ちわびた!待ちわびたぞ!今か、今かと余は待った!待ち続けた!ようやく対面を成し遂げるとは遅い遅い!遅いにも程がある!!」
一同は半日の時を経て、ファラオの謁見の栄誉に預かる。VIP待遇、あれよあれよと言う間に玉座へと導かれる
天蓋より差し込む太陽の光。崩落とは無縁の磐石な建築技術。高く玉座へと続く階段
《全く以て、こやつは光輝、光を好むものよな。サングラスの一つもつけるべきであったか》
――サングラスの原典・・・あるかな?探してみますね、王よ
(ボクのも~)
「わぁ!ファラオだ!此処にもいらっしゃったんだ!」
言うなり即座に平伏すリッカ
「ふぁーらーおー!」
「マスター。礼を尽くすは大変素晴らしいのですが、会話にならないので・・・お顔を・・・」
「然り!!顔をあげよ龍なりし娘!総て赦す!!」
玉座へ鎮座し、愉快げに、愉しげに声を張り上げるオジマンディアス。一目で解る、極めて上機嫌な様子だ
「余が何者か!余がなんたるか!敢えて、敢えて語らせよう!謳え!余の言葉!代弁することを赦す!!」
「はい!ファラオ!――ひれ伏しましたね!ならば伝えましょう!この輝けるお方が何者たるか!!畏れ多くもこのニトクリスが!」
扇でファラオを扇ぐクレオパトラ、ニトクリス両名
そして、高らかに歌い上げる
「この方こそ最も偉大なファラオ!最も勇壮、最も威光に満ちた神たらんとする――」
「ファラオ・オジマンディアス!!太陽が輝くように!華が咲き誇るように!!ただファラオとして在る最大最強のファラオである!!」
盛大にずっこけるニトクリス。高笑うオジマンディアス
「うむ、赦せニトクリス!やはり名乗りは自らせねばな!赦す!赦すことを赦す!」
「い、いえファラオ!あなた様の振るまいに、異論等あるはずもなく!」
「そうか、ならば洗面台に行け!クレオパトラ!こやつの顔の落書きを消してやれ!」
素早く頷き、ニトクリスを導くクレオパトラ
「落書き?――――ファア――――!?」
『アドミラブル大戦略』と書かれた顔を鏡に認め愕然とするニトクリスを、沈痛な表情で下がらせるクレオパトラ
「すみません、すみませんニトクリス様。力及ばず・・・」
「不敬!不敬な!お許しくださいファラオ――!!」
騒ぎながらも、二人は洗面台に向かった――
「・・・さて、何の話をしていたのだったか」
「呆けるな。謁見、方針会議であろうが」
ファラオ・オジマンディアスに何の臆面もなく対等に話しかけるギルガメッシュ
(こういうときギルってスッゴク頼もしい!)
(はい!まさに王のカリスマです!)
――ふふん、王は凄いのです!
(だね!)
翼が生え、卵になるフォウ
(ホルスコスプレ!)
――フォウ!?
「そうであったな!フハハハハ!余は今!貴様らと対話を果たし特に機嫌がよい!故に!天に轟く我が言葉!全身をもって拝聴せよ!!赦す!総て赦す!!」
上機嫌に、高らかに。誇らしげに謳うファラオ。穏やかさの無い上機嫌さはこうなるのだろうか
「お前たちがカルデアからの使者であること!これまで五つの特異点を修復したものであること!そしてついに、ついにこの第六の楔――砂の聖地に現れたこと!総て承知している!!」
――ファラオは全部まるっとお見通し・・・?
《うむ、伊達に人の身ながら神を名乗るだけはあるな》
「何故なら!!そう!何故なら!」
オジマンディアスは高らかに笑い『ソレ』を取り出す
「何故ならお前達の探す聖杯は!この通り余が手にしているからだ!!」
そこに在りしは輝ける聖杯。万能の願望機。特異点を作りし元凶の証
「聖杯――!?」
マシュが声を上げる、リッカは冷静に問う
「――『勝ち取った』ものですか?」
「そうだ!察しがいいな龍なりし娘よ!これは余がこの地に降臨したさい、十字軍から没収したものだ!真の王たる余に相応しいものとして、な!そして――」
――オジマンディアス王!?
オジマンディアスはその聖杯を・・・無造作に放り投げた。あっさりと、容易く
「フン」
それを受けとる王、ギルガメッシュ
「――どう言うことです、ファラオ・オジマンディアス」
騎士王が告げる。その問いを、大笑にて答える
「取っておけ!余には不要!何故なら使う必要もなく、使う理由も無くなった!『此より、時代を取り戻す戦い』に参ずるのだからな!」
「――ファラオ・オジマンディアス!?それは、つまり――!?」
マシュの言葉に、深くうなずくオジマンディアス
「これより余をはじめとしたファラオ連盟は!星見の天文台、カルデア勢力と轡を並べる!この世界に君臨したおぞましき聖都!並びに獅子王!もろともに滅する事を誓おうぞ!赦す!喜べ!賛辞はよい!聞きあきた!!総身に余る光栄を拝命せよ!フハッ!フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
――ど、同盟をこうも容易く容認するとは!?予想外です!?
「フン、かつてないほど上機嫌よな。だが聞かせよ。貴様のその遣る気の源泉は如何なるものだ?気になるではないか」
ギルガメッシュの言葉に、尚も応えるオジマンディアス
「二つほどある!!一つは、貴様らの旅路そのものだ!」
びしり、とマシュとリッカを指差す
「貴様らの特異点是正の旅!退屈、倦怠とは無縁の旅路であった!愉快!痛快!爽快の一言!困難を砕き、悲劇を知らぬと踏破し!誰一人として目の当たりにせぬ結末を織り続けた!それはなんと、なんと希望に満ちた物語なのか!初めは僅かな興味しか無い退屈しのぎではあったが――フッ、手に汗握るとはこの事であったわ!」
彼は言う。お前達の今までの旅路こそが答えだと
彼は見た。今までの歩みを、此処に至る奮闘を
「特に――第四特異点における黄金のめの輝きを以て確信した!――最早魔術王!恐るるに足らず!!貴様らの牙、必ずや魔術王に届くものと!!」
――第四!王の全身全霊――!
《フッ、まさか見ていたとはな。我とて照れるではないか》
やはり、王は王を知る――!ファラオ・オジマンディアスは英雄王に遜色なき王の中の王なんだ!
(キミがいなければコイツは絶対にやらなかったことだ。うんうん、解っているじゃないかファラオ・・・ファラオ・・・)
翼を開き、光に満たされ消えていくフォウ。そして黄金のマスクを被り復活する
(ツタンカーメン!)
――フォウ!?
「その聖杯は見物料のようなものだ!受け取っておけ!たかが聖杯に固執していては、ファラオの名折れ!!」
「――でも、この特異点は終わりじゃない。でしょ?ファラオ」
「然り!益々以て聡明よ!側室の席は何時でも空けておこう!龍なりし娘よ!」
「まさかの側室!?マシュ!!玉の輿!玉の輿だよヤッター!!」
テンションマックスになるリッカを、ぽふりと嗜める騎士王
「落ち着きなさい。まだ話は終わっていません」
「あ、はい」
『なるほど・・・確かにそれは納得できる理由だ。僕たちの奮闘は、英雄王が認めるところだからね!うんうん!』
『――っ』
自慢げに謳うロマン、感極まり泣き崩れるオルガマリー
「ふははははははは!!それはそうだろうよ!財など、我の蔵に転がる財の一つに過ぎぬからな!賢明ではないか太陽の!」
「無論!!そして勝算があるのならば悠長に怠惰を貪る必要なし!余は立つ!!『完全無欠のはっぴぃえんど』とやらを彩るために!お前たちを照らすために余は立とう!!」
心底から愉快げに、オジマンディアスは笑う
勇者には慈悲を
意志には敬意を
揺るぎなく進む衆生には、庇護と祝福を
「そして!憶測、所感ではなく言葉にしよう!!龍なりし娘よ!人類悪を背負い、討ち果たし、ラーなる輝きと死の国の闇を共に懐く少女よ!問わねばなるまい!!心して答えよ!その返答を以て、そなたの未来に我が総てを託すか否かを決しよう!!」
腕を組み、黄金の瞳にて見据える
人類悪を愛にて輝かせる少女を
その身を以て、世界を救わんとする最新の人間を
「敢えて問おう!残り二つの特異点!その先にも!貴様らの未来と旅路は続くものだと!!このファラオ・オジマンディアスに告げる気概と確信はあるか!!」
王の視線、仲間の視線
――マスター・・・
(リッカちゃん・・・)
総てを浴びながら、屈せずに応える
「勿論!私達の未来は続いていく!滅亡を越えて、終わりを駆け抜けるために!!今を生きるものとして、世界を臨む者として、必ず!!私は――」
ぐっ、と手を握る
「皆の絆で、未来を取り戻す!!そして――皆の未来を奪った者に、必ず私の怒りを叩きつける!!」
真っ直ぐと、神々すら退けんといった覇気と気迫で神殿を揺らす
「――フ、ハハッ――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
その決意に討ち果たされしオジマンディアスが、高らかに、心から笑う
「――良かろう!!そなたの気概、しかと見届けた!!結末、未来を知りながら戦いを挑み!無茶、無謀と知りながらも立ち上がるその豪気さ!まさに、まさに――『勇者』そのものである!!『奴等』もそうであった!神そのものであった獅子の王に挑み!その地に生きるもの達を、種族、人種の分け隔てなく救った者達がいた!己の身を省みず、神にすら反抗し!やがてこの休戦を勝ち取った者達がいたのだ!!奴等の戦いは――此処に結実した!!」
『有り得ざる勇者・・・オジマンディアスさんが仰有る、異世界からの戦士たち、ですね?』
「然り!!余が覇気に充ちるもうひとつの要因である!!――良い機会だ!伝えておこう!この地で、何が起こったのかを!!」
――ファラオは語り始めた
彼と絆を紡いだものたちを
この地に在った、確かなモノを、その記憶を――
~~~~
純白の都を築いた獅子王は即座に余との決戦に入った
互いが互いを目障りと感じ、余はそれに応え、応戦した
民を護る余、攻め入る獅子王
――余は敗北など微塵も過らなかったが、民草はそうはいかぬ
早急であり、性急であった。余の民どもを受け入れる準備は万全にほど遠く、侵攻にて保たぬと読んだ。余は負けずとも、民どもは、行き場を失った者共は残らず死に絶えると睨んだ
騎士は強く、獅子王の祝福は磐石であった
あわや、余の民は全滅か――そう考えた瞬間、天恵の如く舞い降りた者共がいた
そう、それこそが有り得ざる勇者『ぶいん』とやらの参列であった
異世界、異界からの参列であり、総てが異なる装いのものたち
誰もが予測せぬ、獅子王に続く召喚。
――三つ巴か。余の予想を奴等は覆した
そのものたちは余さず余に、ファラオに、エジプトに与し、騎士どもと戦い、余の庇護する民を護ったのだ
――あのときの衝撃はまさに天雷を思わせた。余の威光を振るうまでもなく、奴等はこちらの民を護るため剣をとった
戦いがあった
激闘に土地が揺れた
異界からの武芸、騎士どもの争い、それが真っ向からぶつかり合った!
余に従わぬ者たちであれど、奴等の戦いは確かに余の民を庇護した
その激闘の裏で余は自らの民を余すことなくこの神殿に保護し、軍備を整えた
エジプトに散らばりし民を残さず救う時間を、奴等は稼いだのだ――庇護は、恙無く完了した
余の民は一人たりとも傷つくことなく救われたのだ!『部員』と名乗るものたちにな!
なんと言う恩義か
なんと言う天恵か!
それに報いぬはファラオの・・・いや!我が時代に生きた者たちへの恥!
余は玉座より起った!奴等の一人も消してはならぬ、害させてはならぬと誓ったのだ!ファラオの威光にかけてな!
獅子王は部員を蹴散らさんと祝福と加護を騎士どもに与え、蹂躙せんとした
末端ですらスフィンクスを討ち果たさんとする実力に届いた程の加護に、余は己の威信をかけ対抗した!
我が身体、我が霊基を9割削り、部員どもに余さず加護を与えた!消滅?ハッ、ファラオに道理は通らぬ!
やがて騎士は圧され、我が領地へと侵攻を取り止め、押し上げられた
円卓の騎士には、少しばかり手傷を追わされたが・・・些末!あまりに些末!
そして――戦いは余と獅子王の王威にもつれこんだ!
『槍よ、果てを語れ』
獅子王より下されし『裁き』が、余の神殿に落とされんと放たれた
「ファラオ!!獅子王の裁きが此方に!」
「小癪!!そして無粋!!余がファラオであり、ファラオこそが余であれば!!その王威に、崩すこと能わじ!!起動せよ!!デンデラの大電球!!」
余もまた、超長距離大神罰にてこれを迎え撃った
大地は割れ
天は叫び
世はまさに末世の体をもたらした!
神なりし女神の裁きは余りにも強大。余のピラミッド、神殿の総てを叩き付けようやく拮抗を果たしたほどだ
余は消滅を覚悟で神殿に威を回した!神である先達、神なりし王として――
断じて!断じて敗北は赦されぬと確信したゆえに!
「ファラオ!これ以上は!御身がもう!もう――!!」
ニトクリスめの悲鳴にも、余は耳を貸さなかった。余の身は砂上の蜃気楼が如く薄まり、かききえ、消滅は間近であった!
「泣くなニトクリス!顔を上げよ!余の民草に庇護をもたらした勇者ども!人理の未来を臨む援軍を害させては――ファラオの名折れ!!」
だが――構わず余は奮起した!余が倒れては民も、未来も、奴等の奮闘もまた水泡に帰す!
ファラオが潰えるとはまさに、太陽が堕ちると同義!最大最強のファラオたる余は、如何なる理由があろうとも朽ちてはならぬ!
例えこの身が砕けようとも!余が!衆生の期待、希望、願いを灰塵に帰すは赦されず!
何故ならそれが、ファラオの在り方に他ならぬからだ!
ファラオとは、太陽、神!潰えることは赦されぬ!
世の総てを背負いし者が、責務を投げ出し永遠の国になど至ることができようか!
――勇者どもの恩義に応えず、この世を去ることができようか!
「地上に在ってファラオに不可能なし!!万物万象我が手中にあり!!垣間見るがいい――勇者に捧げるファラオの武勇を!『
――かくして、裁きは覆された
獅子王の威光を跳ね返され、士気を挫かれ、傷ついた騎士どもは撤退し、聖都の守護に戻った
余もまた疲労し、疲弊し、まともな神威を示すことは叶わなくなった。神殿の中にて、漸く存命が叶うほどに消耗していた
もはや互いに、戦を続ける意志はなく
戦いは痛み分けに終わり、休戦協定が結ばれた――
・・・そして部員どもは、次なる戦いに挑んだ
この地にて行き場のない者たちを守護し、護り、そして庇護したのだ
余への報奨、余への返礼を望むものは一人もいなかった
皆、それが当然と言うように。弱きものに手を伸ばした
人種、立場、分別分け隔てなく、その輝きを分け与えた
――余は、其処に比類なき輝きを見たのだ
聖地は滅んだ。信仰の依るべは確かに朽ち果てた
だが其処には確かに――輝きと、信仰。人の暖かさが根付いていた
笑い合い、励まし合い。身を寄せあい、この滅びた特異点を維持せしめた
なんという奇跡か
なんという尊き者たちなのか
なんの見返りもない、記録、記憶すらされない戦いに、奴等は全霊を尽くしたのだ
余は尋ねた。『そこまでそなたらを奮い立たせるものはなんだ、と』
富ではない
名声ではない
では、なんだと。彼等は言った
『星見の、勇者が間も無く来る。我等は端役なれど、我等が王の旅路に参列する者である。ならば、かの王が参ずるまで、これ以上滅びぬよう、ただ護るのみ』と――
・・・その気高さ、清廉さ、美しさには覚えがあった
遥か過去、余と肩を並べた・・・唯一無二の男
何も望まず、ただ自らの想いに殉じた男
我が、無二の朋友――
――余は、誓った
永遠に忘れぬと誓った
己の王がために、報われぬ戦いに身を投じた者たちを
そして、余は起つと確約した
魔術王なぞ知らぬ、人理焼却など知らぬ
余は、この者たちを照らそうと
けしてあり得ぬ、影のごとき者たちをけして無には帰せぬと
余は、必ず――この者達の戦いに報いらんと
――余の倦怠は、諦観は。奴等に
『有り得ざる勇者ども』に――討ち果たされたのだ――
~~
「これが、余の知る『有り得ざる勇者』達の戦いである!奴等が庇護した難民もまた、ピラミッドに保護し、守護している!そして、煙酔のハサン、クレオパトラめに管理を一任している!既に戦い、守護の準備は整えてあり、報いる準備は万端であるのだからな!もはやこの身に倦怠の毒はなく、貴様らの助力を果たすに迷いなし!『己が民のみを救う』などという聖杯の誘惑を、奴等は討ち果たした!ならば余の救う先は『世界』に他ならぬ!!」
《――フッ。奴等のバカ騒ぎを、随分と高く評価したものよな》
――はい!彼等の戦いは、けして無駄では無かった・・・!
(それどころか、ボクたちの大きすぎるアドバンテージだ!スゴいぞ!流石はボクの悪友たちだ!鼻が高いなぁ!)
誇らしさにてフォウにアーマーが装着され、気持ち強そうになる
――フォウがかっこよくなった!?
(ほこらしみだよ、エア!)
『そうか・・・!裁き、祝福!こんなにも詳しい情報が送られてきたのは、彼らが戦ったからなのか・・・!』
ロマンが感嘆の声を上げる
『凄いぞ!世界が滅びたなら異世界から援軍を呼び寄せるなんて、誰もが考え付きながらもできないことを僕たちは成し遂げたんだ!この僕が知らない魔術・・・!いや、無粋なことは言わないさ!やったぞ!』
『えぇ――えぇ!』
「・・・――騎士の道、人の営みはとうに私の手を離れ、皆の胸に息づいている。・・・だからこそ。最果てにあらずとも、この世界は美しい――」
アルトリアが、万感の想いを口にする
そう、彼等は、救ったのだ
ファラオの無意識の絶望を
『どうにもならないのなら、せめて己の民のみを護る』という諦めを
その在り方によって
その戦いによって
ただ――『手をさしのべる』という、人として当たり前の行いによって
その心の在り方、彼等の導いた結果こそが
『至尊』と呼ばれる、世界の美しさそのものなのだ――
――あぁ、ワタシは・・・本当に、尊いものを。知ることが出来た――
万感の思いが胸を満たす
これこそが人
これこそが、輝き
彼等は示した
『あらゆる困難は、乗り越えるためにある』と――
「・・・先輩・・・私・・・」
「うん。――いつか、皆にお礼を言いたいね!いつか、皆に!」
感極まるマシュを、リッカは抱き抱え支える
「ふはは!ならば同盟、ここに結ぶとしよう!だが――我等が望むは完全無欠の結末!その為には、我等や貴様らだけでは足りぬことは解っているな?」
これ程の結束にも王は確信を、慢心を懐かない
王が納得するは結果のみ。その過程に生まれたものの価値は認めど、満足することはない。更なる磐石をギルガメッシュは求める
「無論!お前たちにはこの世界の総てを結集させる義務がある!故に提示しよう!貴様らの指針を!」
それは、ファラオとて望むところ。彼は提示する
「まずは聖地に向かえ!奴等の聖抜がなんたるかを把握せよ!そして、山の民どもの協力を取り付けよ!小兵だが、奴等の暗殺術は侮れぬ!そして砂漠に埋まりし『遺跡』にて!獅子王の真の目的を知るがいい!」
「獅子王の、真の目的――」
騎士王が鋭く呟く
「この世界の要素を束ねしとき!真なる戦いは幕を開ける!その戦いにて我等が切り開くとしよう!『完全無欠のはっぴぃえんど』とやらの道筋を!!ハハハハハ!!フハハハハハ!!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
高らかに笑い続けるファラオ・オジマンディアス
太陽は星見の天文台に寄り添い、開闢の星をなお照らす
その総ては。皆が望む結末のために――
「おや、太陽王。あなたも此処へ?」
「貴方は・・・円卓の騎士様でしょうか?」
「あっ、貴女は――!?う、美しい――!?まるで、砂漠に咲く大輪の華!我が名はランスロット!是非お名前をとぅわ――!?せ、背中の刻印が――っ!!」
「フッ、恋慕を諌められるか、無様なり!」
「す、すみませんレディ、お見苦しいところを・・・」
「いいえ、素敵な騎士様。ラーメスに御用ですか?」
「――はい。太陽王。・・・そろそろ」
「――『聖抜』か」
「はい。どうか、難民の保護の準備を――」
~
「あの軌跡は、まさに――」
「――いえ、いえ。私は放浪の身・・・かの王に合わせる顔などない・・・どの体面をもって言えようか」
「『王を殺すため、力を貸していただきたい』などと・・・――私は一人で、なんとしても・・・」